105 CLUB【_Ground】
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[痛い。 分からない。 苦しい。
扉の前にへたり込み、ずきずきと熱を宿す指先を見れば、またうっすらと血が滲み始めていた。 舐め取ると、鉄錆の味と一緒に、独特のヤニの味がした。 ……また、胸が痛くなった。]
なんでこんなに痛いんだぞ……
[ぎゅっと、胸元に手を寄せて蹲る。 耳にも尾にも、いつもの元気は欠片も見えない。]
(106) 2013/12/22(Sun) 01時半頃
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―通路―
[同僚からの連絡。引き渡しの“教会”は、シーシャが先に行くらしい。白衣の裾を払って立ち上がり、大きく息をつく。 震えは止まった。何も解決したわけではないけれど。
入れ違いに入った通信。その内容に目を細めて]
(@68) 2013/12/22(Sun) 01時半頃
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[ゆっくりと歩み、途中で足を止めたりしながら、歩む。 ティーに喜んで着せてもらった服は肌触りがいい。 緩んだ前から入る外気は少しだけ寒かったけども、それよりも緊張が勝って気にならなかった。
扉を開ける音。 立たせられ、ティーが背後にいく気配。
着物の隙間から見える鎖骨下に刻まれた刻印が、深呼吸と共に動いた]
(107) 2013/12/22(Sun) 01時半頃
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[当事者と、監視カメラと、ものいわぬ椅子だけが聞いた 研究員という枠を踏み越えた勝手な願い事。
答えを聞いて、ティーはやっと、掴んでいた手を離した。]
(@69) 2013/12/22(Sun) 01時半頃
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[息を、吐き出す。 息を、吸い込む。 単純なその二つを繰り返し。]
――――、ッゲホ!
[喉奥から咳を溢して、男は歩き出した。 壁を殴るほどに激昂出来る若さがあったのかと、どこか客観的すぎる感想を溢して。 心を凍てつかせ、降りしきる雪の中に佇むよう。 音もなく、冷たく。 冷静さを取り戻し、男は研究ルームへ向かった。]
(@70) 2013/12/22(Sun) 01時半頃
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[『また後で』、そんな言葉で返事を締めくくる。 そして調理室へとワゴンを返した頃、また同僚からの連絡]
……ん? 了解。
[少し怪訝な顔をしつつも「頼み」を引き受けて。 その「頼み」のために研究ルームへと足を向ける]
(@71) 2013/12/22(Sun) 01時半頃
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[その時のティーの顔は、 硝子の義眼だけが知っている。*]
(@72) 2013/12/22(Sun) 02時頃
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[やがて、部屋へと現われる姿。片目の視界に映る鮮やかな色彩。 小さく息を呑み、立ち上がる。
ああ、この目隠しの布一つ取るだけで、彼のこれからの生を手中に引き受けることになるのか。
純白覆うように、その肩に羽織らせる己の色。 首筋に見えた白い鱗を、生身の指がそっと辿る。
目隠しの結び目に手を伸ばしかけて留められ、硝子の目は不思議そうに見返した。]
(108) 2013/12/22(Sun) 02時頃
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―研究ルーム―
[パソコンの中に眠る情報の山の中を掻き分ける。 クリックする指先は、“痛い”。 しかし迷うことなく救い上げ、プリンターが過去を数枚吐き出し始めた。]
――――――。
[煙草を取り出し、火を灯す。 昇る白い煙、苦い苦い、タールとニコチン。 銀色が揺れる。 男の首にではなく、黒縁のガラス板に映る“誰か”の胸元に。]
(@73) 2013/12/22(Sun) 02時頃
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約束するよ。この命に掛けて。
[重々しく頷く。秘めたる誓いと共に。]
おいで、俺だけの…シィ。
[短く呼びかけて、目隠しさせたままそっと口づけたのは、遺伝子に組み込まれたプログラムより先に、魔法をかけてしまいたかったから。 ひんやりとした唇に己の熱を移したのち、生身と鋼の指はゆっくりと結び目を解いた。]
(109) 2013/12/22(Sun) 02時頃
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[>>108立ち上がる音に、身体を固くする。 首に触れた指に、ぴくんと身体を震わせて。
また、深呼吸したとき。 背後で言われた、ティーの言葉に目隠しの下、目を丸くして思わず振り返ってから、慌ててまた前を向く]
…………。
[きゅうと、なんとも言えない気持ちが込み上げて、たまんなくなって。 ティー、と意味なく、彼の偽名を呼んだ]
(110) 2013/12/22(Sun) 02時頃
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[>>3:109クロイツの口から出た返事に、顔を上げて。 呼びかけの声に従って、彼の方へ一歩、二歩、歩む]
ふ……?
[なにか温かなものが唇に触れて、疑問符を出してから。 結び目がほどかれる瞬間、理解して。
羞恥で色付いた目元のまま、目隠しの下から現れた瞳が、クロイツの瞳を見つめた]
は、はじめまし、て?
[かあっと赤くなったのは、システムのせいではなくて。 思わず唇を自分の指で撫でながら、小さく頭を下げた]
(111) 2013/12/22(Sun) 02時頃
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[祝福の鐘はやっぱり鳴らず、 白い鳩は飛び立たない。
ティーが二人のための静寂を守っていた時間は僅か。]
ん、っとー、 三十分、かなぁ。
[緊張感の欠片もない声が、 部屋のタイムリミットを告げた。]
(@74) 2013/12/22(Sun) 02時頃
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[見つめ合う二人の視線が自分へ向く前に、 ティーはくるりと踵を返し、部屋を出た。]
死の乙女の白き手も、二人の仲を引き裂けない。
[またひとつ、しあわせが結実した。 気障なせりふを口ずさんで、ティーはちいさく笑った。]
(@75) 2013/12/22(Sun) 02時頃
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―――…!!
[>>@65 鈍い音に、身を竦める。 突然響いたそれ。音の出所を探して辺りを見回してから、通信機からのものと知る。 通信機はチーム間の連絡用。同僚は今、“教会”にいるはずだ。それならば……]
(@76) 2013/12/22(Sun) 02時半頃
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[扉を閉めて、規則正しい靴音を刻みながら ティーは端末を確認する。
伝言が、一件。
表示される名前を目にした途端、 靴音は、止まる。]
(@77) 2013/12/22(Sun) 02時半頃
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[その鮮やかな血の色の瞳に目を奪われ、それがぎょっとしなかったことに、少し安堵した。]
あぁ。 やっと、逢えたな。
これから末永く、よろしく頼む。
[恥じらう仕草が可愛らしくて、思わず表情は綻ぶ。これではどこぞの誰かさんのことを笑えない。
差し出したのは、生身の方の左手。]
あ、あぁ。 そんなに時間はかけない。 挨拶を済ませたら、行こうか。
[代金は運転手に上のBARへ運ばせてあるから、 あとは連れ帰るだけ。]
職員たちの顔は見ていくかい? 今まで世話になったんだろう?
(112) 2013/12/22(Sun) 02時半頃
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[次にその名を呼ぶのは その声を聞くのは
──すべてが終わった後だと思っていた。]
(@78) 2013/12/22(Sun) 02時半頃
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[出来立ての真新しい雪原を容易くゆるませる 太陽みたいな名前。
迷いは指先を彷徨わせ──、 結局、あらがいがたい引力に、指はその名をなぞる。]
(@79) 2013/12/22(Sun) 02時半頃
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―研究ルーム―
[少しの躊躇いの後、部屋の扉をノックする。普段ノックなんてしないくせに]
……おっさん?
[扉を開けて、そっと中を覗き込んで。その背を視界に入れてから、ゆっくりと歩みよる]
(@80) 2013/12/22(Sun) 02時半頃
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[――――――ダンッッ!!!!!]
[通信機から、鋭い音>>@65が聞こえて来たのはその時>>@75。]
──!
[サムか、フーか?
直感で、フーだと判った。]
(@81) 2013/12/22(Sun) 02時半頃
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────…、
[淡い色の、ティーの眉が寄る。
けれど、端末は、 そんなことには構わず、 録音された不安げな声を再生する。]
(@82) 2013/12/22(Sun) 02時半頃
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……思ってたより若かったですね。
[主にチアキの呼称のせいで出来ていたイメージを覆す、長身の男に呟いて。
差し出された手を握る前、ティーに別れを言おうと振り返ったがすでに姿はなかった。 少しだけ寂しげにしたが、静かに主人の手を取る。 きゅっと握る手から、体温が伝わった]
……んー、ん……。 たぶん、忙しいと思いますし。カメラで見るのもなんなので。また、日を改めて。
[職員たちに、と言われて首を振ったのは。 なんのかんの言いつつ、顔を見てしまえば名残惜しさに泣いてしまいそうだったから。
手を握り、彼の後についていく途中 そっと手を伸ばし、右側を隠す髪に触れる]
……痛い?
[その部分も、やはり温かった]
(113) 2013/12/22(Sun) 02時半頃
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[背中に普段聞かないノックの音が響く。 丁度印刷が終わった紙を手にとり、煙草のフィルターを噛んだ。]
ああ、珈琲でも飲むか。
[代わりに普段はやらない、珈琲の支給。 挽きたてのドリップではなく、泥臭いインスタントだが。 黒く深い、その色を渡し。]
ま、座れ。
[カチリと、通信機のスイッチを入れたままにする。 本来ならばここに呼ぶべきであろう、もう一人の部下へ。 職務を言い渡し、呼びつけるわけにもいかない。]
(@83) 2013/12/22(Sun) 02時半頃
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[研究エリアへ向いていた靴先が向きを変えた。
早足に、その部屋へと急ぐ。]
(@84) 2013/12/22(Sun) 02時半頃
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……雪でも降るんじゃ
[珍しく珈琲なんぞ入れてくれる上司に、受け取ってからぽつりと呟く。既に降っている。 落ちつかないまま、言われるままに傍に座って]
……えと、
[何から尋ねていいか、わからない。自分の時は、話しやすいよう水を向けてもらったというのに。 言葉を探しあぐねていると、上司が手にした印刷物に目が止まる]
それ……、
(@85) 2013/12/22(Sun) 02時半頃
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[部屋の前まで来て、 額を冷たい扉に寄せて、目を閉じた。
静かに深呼吸を三回。
顔を上げて、ノックした。]
ティーだよ。
…────チアキ。
[真っ白な雪が、やわらかに降り積もる。]
(@86) 2013/12/22(Sun) 03時頃
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寒いからな、つか降ってんのか。 寒いはずだ。
[珈琲を啜る、熱く感じないのは熱が出始めているからだろうか。 気取られぬように、咳を噛み殺した。]
ああ。
[印刷物、一字一句間違うことなく記憶している情報。 渡して、情報を読み上げていく。 それはどちらの部下もまだ男の元に配属されていない、遠い遠い記憶。 男が製作に始めて携わった、一匹の記録。]
(@87) 2013/12/22(Sun) 03時頃
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先日も言われたよ。老人だと思っていたとか。 確かに酷い声なのは、否めないが。
[苦笑い。 手が触れ合えば、ひんやりとしたなめらかな肌を感じる。 それでも、鋼の義手よりは温かいか。]
あぁ、そうだな。 後日落ち着いたら、あらためて挨拶に伺おう。
[白い着物と、その上に羽織らせた黒いコート。 寒くはないかと気遣いながら店を出ていこうとして。
髪に隠れた顔半面へと伸ばされた手に、反射的に身を竦めた。]
(114) 2013/12/22(Sun) 03時頃
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いや、もう。痛くは、無い…んだ。
[消えぬ傷痕。硝子の目玉。 何より一瞬だけ見せた怯えが言葉よりも雄弁で。
未だ治りきらぬ痛み、それを紛らせるために傍に置く者を欲した。 冷たい鋼の右手も、着衣の下に隠した無数の痕も、遠からず晒す事になるだろう。
ちゃんと話せる時が来たら、その時に打ち明けなくては。]
(115) 2013/12/22(Sun) 03時頃
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