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確かにその通りでしたわ……
[真顔でそう返した。
冗談だというのは分かるし、実際出ていくものもないよね!
真顔を作って数秒後、耐えられずに吹き出してしまう。
オレはこの人のこういうところが好きなんだな。]
……そうですね
遠慮してうだうだするくらいなら話聞いてもらいます
でも今夜は聖夜なんでハッピーに行きましょう!
[どうやらお互いに子供のようだし、オレもかっこつけてないでいつか胸の内を吐露するくらいには近づいてもいいのかもしれない。]
やったね!
次は手伝いますよ、加賀部さんほどじゃないけど多少なら作れるんで!
[承諾の声に喜び手伝いを申し出て。
そのうちもこもこの素材に埋まり、段々彼の言葉の語尾が弱々しくなっていったか。]
[直接触れてくる手の動きに翻弄されながら、
時折背中を擦れていく彼の胸。
女性の様な柔らかさを持たず、小さな尖りだけが
背後にいる人が彼女ではなく、男性だと自覚させる。
そして耳元で呼ばれた名前が、女性とか男性ではなく
葛籠さん、なのだと脳髄が身体が理解して]
葛籠、さんっっ。
[彼の声が聞けたのはその一度。
確かめるように呼んだ名前は縋るようで甘えるようで
自分でも驚くくらい切なげに切羽詰まっていた]
は、ぁ……。
[呼吸を整える間、ぼんやりとしか視界に映る男2人。
自分の顔は随分だらしない顔をしていると思いつつ、
葛籠さんの傾げた首に合わせて揺れる髪が似合ってるなと
場違いな感想を浮かべていた]
そう言ってもらえると、助かります。
[白い泡に混じって粘り付く体液は縋っているようで。
彼が汚くないと言ってくれたとしても、
問題はあるだろうと掴んだ手に自分の手を重ねた]
俺に、洗わせてください。
[昨日今日と聞いた中で、また違う焦りの籠った声。
これ以上は止めた方が良いと思う俺と、
知らない声に身体を震わせた俺がいて。
どちらを優先すべきか、熱を放っても
冷静になれないままの俺は丁寧に丁寧に
指の先端、腹や股を洗っていく]
……葛籠さん、俺が手伝うのは、アリですか?
[抱え込まれた体勢のまま指を洗う。
密着した状態で嫌でも気付く熱い吐息。
そう言う事なのかな、と戻って来た冷静さが
何処かで答えを運んで来た気がして。
しかし力づくで手を振り払うことなく耐える様子を
鏡の中に認めながら、思わず尋ねていた。
自分から背中を押し付け、彼の熱を確かめる。
同じように熱を抱えているなら、抱えたまま俺の前から
出て行って欲しくなかったから*]
俺も、葛籠さんなら、汚いとか思いませんし。
……、
[ごくり、唾を飲み込む。
のぼせた頭の中で必死に思考を働かせようとしても、空回りを繰り返すばかり。
触れて欲しい。
気持ちよく、してほしい。
でも、やっぱり。
この事を隠したままではいられなかった。]
さっき、修学旅行みたいって、言ったけど。
オレは男同士で居ても、君と同じ感覚じゃないんだ。
今まで、女とも、……男とも付き合ったことがある。
勿論、寝たことも。
[ぴちゃん。
水滴が落ちる音が、妙に響いて感じた。
それ程告げる声はひどく小さい。]
だからといって、誰でも好きになるとか、
……誰にでも触れるとか、そんなことはない。
オレは、そういう人間、で。
[楠の肩口に顔を埋める。
隔てるもののない、本当を明かしてしまった。]
それでも、いいなら。
[受け入れてくれるのなら。
ここまで隠してきた臆病さを、罪悪感を滲ませて。]
君に、触れてほしいって。
思ってる、よ。
[今の感情になんて言葉を当てはめれば良いのか。
まだ分からない。
こんなに我慢してきたのに、彼の言葉1つで崩される。
それでも、酒に酔っていたとしても、錯覚ではないと信じて、今度は楠に全てを委ねたいと望んだ。]
気持ちよく、して?
[噛み締めていたはずの唇で囁いた。*]
[彼かの答えを待つ間、俺は葛籠さんの手を
しっかりと握ったままだった]
……。
[洗うでもなく、ただしっかりと。
この場で言うだけ言って、もしくは何も言わぬまま
逃げてしまわぬように、ギュッと]
──……。
[そのギュッと握っていた手を放す。
そしてそのまま、その手を肩口に埋まった
葛籠さんの頭へと伸ばし、悪い事でも告白した
子供の様に小さく見える彼を撫でた]
そんな人間で「いいか?」って訊かれても。
人、好きになった事あるんですよね?
じゃあ「良い」一択じゃないですか。
俺、好きでもない人に
義務感で付き合ってたみたいですし。
[男でも女でも、誰かをちゃんと好きになれるって
凄いな、なんて。
そんな感想がまず出てきた事で、
俺相当精神摩耗していたんだと気付かされた]
俺、男の人好きになった事はまだ無いけど。
今まで無いから
これからも無いって事自体無い気もするし。
二次元とかに目覚める可能性もあるし。
葛籠さんなら今でも好きですよって言えますよ。
[恋愛感情ではないのは確かだが、嫌悪など生まれない。
そんなものがあるなら、
最初から彼と一緒に風呂に入ったりは
しないし、何もかも許したりはしない]
……頑張ります。
[あやす様に頭を撫でていた手を止めて、もう一度彼の
手首を掴み、俺と位置を入れ替えるように促した。
そして椅子へ座らせると俺が後ろから被さる様に
手を前へ伸ばし]
人にしてあげるの初めてですから。
下手とかは言わないでください、めげるから。
[先に念押ししてから泡を落としていない身体を押し付け、
ボディシャンプーの泡を新たに増やした手を
彼の根本へ伸ばし、
もう片方で彼の胸や腹を洗おうと試みた]
[他人の性器に触れるのは当然初めてで、
おっかなびっくりだったが、自分の時の様に、
彼がしてくれた時を思い出しながら]
葛籠さん、大丈夫です?
気持ち、いいです?
[彼の表情を確認しながら、手を指を動かすたびに
耳元で何度も何度も囁き訊いては、雁首や鈴口を
指の腹で解す様に刺激していった*]
[離されることのなかった手。
例え白濁に濡れていて、お互い酔っていて、傍から見ていたら冷静じゃないのだと言われようと。
伝わる体温がくれる安心感が全てだった。
柔らかな女性ではない、少し力強すぎるくらいの男の力が、今の自分には有り難かった。
楠だから、そう思えた。]
…………ありがと。
[頭を撫でられる。
いつもなかなか言葉にしない感謝の言葉が、込み上げかけた目の奥の熱さの代わりになった。]
楠サンも、好きな人、見つけられたらいいな。
[自分の失恋経験は。
人を好きになった、ということでもある。
彼の言葉で気付かされた。
楠はまだその好きを感じたことがないのだろうか。
それは勿体ないな、と。]
オレも、――君のこと、すきだよ。
[今ある親愛を込めて。
きっと彼からの『好き』に、恋は含まれていない。
でも、嬉しかった。
そうでなくても告げてくれることが、なによりも。]
が、頑張りますって……。
ここでまで真面目じゃなくて良いんだけど。
[思わず小さく吹き出す。
かわいいな、と思う。
しかしそんな余裕も、体勢が入れ替わり、いよいよ触れられる段階になれば消し飛んでしまう。
鏡越しに目が合えば、すぐに伏せた。
それはそれで自分の局部と彼の手が視界に入り。]
下手なんて、言わないって。
[悩ましげに眉を寄せ。
触れられた瞬間、強く目を閉じる。
音と伝わる熱が鮮明になる。]
ん、ん……あ、ッ…!
[昂りは正直に、より硬さを増し、次第に濡れて。
荒くなる息遣いに抑えきれない声が混じる。
咄嗟に自らの手で口を塞いだ。
それでも潤む瞳と紅潮した頬は隠せないが。]
……ん、ぅ、
[溜まっていたのは此方も同じ。
強気な言葉なんてもう何も出てこなくて、問いにこくこくと頷くだけで、年下の楠に翻弄されるがまま、高められてゆく。*]
[感謝に込められた重さを図る術も経験も俺にはない。
だから返事の代わりに、何度も頭を撫でるだけだ]
そうですね。
ありがとうございます。
でも葛籠さんと昨日今日と話せて、すごく嬉しかったから
頑張って見付けなくても良い気がします。
[俺の幸せを願ってくれる葛籠さんの優しさに目を細め、
彼からの『好き』を素直に受け取った。
俺と彼の『好き』は何がどう違うのか、これから変わるのか
全く判りはしないが、少なくとも今の俺の『好き』は]
はい。
俺もです。
こんな風にするのもされるのも、
あなたなら、と思える位は 好きです。
[好きを形や言葉にするのは簡単で、しかし本当の好きを
示すのは難しくて。
きっと決死の想いで打ち明けてくれた秘密だろうから
それだけは嘘偽りない、俺の中の過剰でも過少でもない
基準を差し出した]
いや、でも俺だけ気持ちよくなったままで。
葛籠さんに下手だって思われるの嫌じゃないですか。
一応男だし、プライドもあります。
[こんなところでプライドまで持ち出すくらい真面目な
話はないだろうとツッコんでくれる人はいないようで。
吹き出す彼に小さく口を尖らせはしたものの、
実践で報いるべきと彼へ手を伸ばす]
声、出さないと苦しいんじゃないですか?
[根元を擦るだけで、先端を弄るだけで手の中の
熱が脈打ち躍る。
耳元で聴こえる彼の声も余裕を失い、艶めいて
荒れる息と重ねた身体に上がる体温が心地良かった。
言葉以上に明確に跳ねる姿態は腕の中でも
鏡の中でも美しかったが、やはり言葉が欲しいと
口を抑える手に片手を重ねて外そうと試みる]
他人を触るの初めてなんです。
ちゃんと、何処触ったら気持ちいいか。
どんな風に触って欲しいか教えてください。
[怖がらせないように、乳首ごと胸全体を掌で
大きく撫でまわし、熱も根元から先端まで搾り出す様に
数度一気に扱いては尋ねていく。
彼が望むならその通りに、言われるまま場所に触れ、
導こうと懸命に指や掌を
少し痩せている肉を痛めぬように躍らせた*]
[確かに息は苦しい、が。
それよりも居た堪れないくらいに恥ずかしい。
快楽に溺れかけながらもそれだけは中々拭えない。
それなのに手を重ねられ、口元から外そうと促されたら、何故か素直に言うことを聞いてしまう。
絆されているのとはまた違うのだ。
声を、言葉を望まれていると、言外に伝えられた気がして、それを叶えたくなった。
その癖、少し恨めしげに。
潤む瞳を薄く開き、鏡越しに彼を睨んだ。]
え、あ、はじめてって……ひぁっ、
[どういうことだ、と。
続けようとした言葉は、胸元への刺激に途切れる。
気持ちはなかったとはいえ彼女が居たのなら、柔い身体に触れたことくらいあると思っていたが、そうではないのだろうか。
膨らみのないそこを愛撫されれば、経験のある身体は正直に快感を拾い上げ、昂りがとぷりと蜜を溢す。]
そこ、気持ち、い……んんッ、ぁ、
[どうせ隠しきれない。
良いということを言葉にして、ただ胸をどう弄って欲しいかまでは言葉にできなかったのは許して欲しい。
生理的な涙が滲む。
何もかもが、あつい。]
――ッ、!!
[此方を思いやる指先は優しく。
激しすぎない気持ち良さが、積み重なっていく。
溢れ、達する瞬間は言葉にさえならず、楠のように予告なんてことも出来ずに、欲を吐き出してしまった。*]
[あまりに強い抵抗があれば外そうと思っていた手は
俺の手と共に唇から離れていく。
代わりに鏡越しに睨まれた気がするが、
潤んだ瞳は逆に可愛いと思わせて
的外れかもしれないが鏡の中の彼に
俺は微笑みかけていた]
だって俺しかあんな恥ずかしい声出してるのって
ずるくないですか?
[自分だけ気持ちよくなっても嫌じゃないですか。
ちゃんと葛籠さんに気持ち良くなって欲しいんです、と
耳元で念押しし、男であることを確かめるように
喉仏や胸を丁寧に洗っていく]
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