272 【R18RP】十一月と、蝶が奏でる前奏曲
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[ぎゅうっと指の間に指を挟まれれば>>139 こ、これは恋人つなぎというやつなのでは…!? 意識してしまうと顔が熱くなる。
二人並んで顔を赤くしたりうつ向いたり咳払いしたり 若干挙動不審だった私たちも 寒さに頬が冷えてきたら中へと入った。
一番近くの入り口から入った角には 青い海と白い海岸の写真の前に 綺麗なウェディングドレスが展示されている。
来年度に向けて私が企画している一つも 「特集!海外婚!」だったりして 最近は海外リゾート地での結婚式も流行りらしい。 お価格もそこまで高くないところが多いしね。]
(145) moggyu 2019/11/12(Tue) 23時半頃
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[ここは旅行会社とレンタルドレスショップの提携で 日本で選んだドレスを海外で着れる! というのも売り文句らしくって 事前に試着できて手ぶらで飛行機乗れるのは 楽ちんでいいなあとか思ったり。
価格もお手軽だなあとか うっかり仕事頭になっていれば 店員さんがパンフレット片手に話しかけてくる。]
えっ、いえ、あの……その 式とかは そんな ぜんぜん
[全然も何も付き合いだしたばっかりだし 私はともかく大和はまだ学生だし そもそもそんなこと考えているかもわからないし。
でも、その気がないというのも変だし 私は曖昧な返事を返すばかりになってしまう。]
(146) moggyu 2019/11/12(Tue) 23時半頃
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[ぐいぐい来る店員さんは 私の曖昧な反応を遠慮だと思ったらしい。
今ならこんなにお安いんですよとか こちらのドレスきっとお似合いになりますよとか もう試着室まで連れていきそうな勢いだ。 彼氏さんもみたいですよね? とか振るのヤメテー!]
つ、付き合ってはいるんですけど まだ結婚とか、そういうのは早いって言うか…… し、したくないとかじゃなくて! あっ……んんんっ……。
[ここまで言っちゃったら誤魔化せないのでは? と思っている冷静??な私と だって大和はまだそういうのないでしょ! 年下だし学生だし重いとか思われたら嫌じゃん! ってじたばたしている私で大乱闘中です。*]
(147) moggyu 2019/11/12(Tue) 23時半頃
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[私の知らない8年間。 どうやら本当に色々なことがあったらしい。 変わっただろ?と聞かれて、 小さく「そうだね」って返したのは、 私の頭の中に思い描いたのが、 8年前の高本じゃなくて 過去を変える前の高本だったから、だけど それはきっと、すれ違ったままで、いい。]
(148) ししゃもん 2019/11/13(Wed) 07時半頃
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[いまの高本にとって、 私と一緒に歩けることが、幸せ。 明日も明後日も、ずっと ── それは私だって、]
そっか、嬉しい。 私も、同じだよ。 高本の隣で歩けることが、 なによりも、嬉しい
[いつの間にか高本呼びに戻ってるけど、 慣れってことで、許して欲しいな?]
(149) ししゃもん 2019/11/13(Wed) 07時半頃
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[……でもね。 高本が私のジャージ姿に触れるなら、 私はまたきっと、いつもみたいに、 あわわわわって、慌てふためいて。]
べべべべべつに 私いつもジャージなわけじゃないし 週3とか4はジャージじゃない、よ、ね?
[あれ、不安になってきた。 この世界線の私は毎日ジャージ姿だったのだろうか もしも私のよく知る昨日までなら、 ジャージじゃなくてジーンズも履いてたし、 なんなら女友達と遊ぶ時にワンピースだって着たよ?>>0:279>>0:280]
(150) ししゃもん 2019/11/13(Wed) 07時半頃
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[しかしまあ、結局今だって、 割烹着の下はジャージだったわけで そう考えるとあまりにも説得力は、ない。 だだだだだからね 私は「私の知ってる最近の高本」の真似して]
じゃ、じゃあ、デートしようよ おしゃれ!してく!から!
[威勢よく言ってみたけど、 家におしゃれな服があるのかは、不安。
あとね、ファッションチェックしてよ、とか 気の利いた洒落を入れられなかったのはごめんね 今の高本の活動は、まだあんまり知らないんだ。
…だから、色々教えてよ。ね?]**
(151) ししゃもん 2019/11/13(Wed) 07時半頃
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― 病院 ― [眼前に横たわる現実の非情には想像を絶するほど重かった。ぐしゃりと圧し潰されるように、精神は悲鳴を上げているのに、嗚咽を漏らし膝から崩れ落ちずに済んだのはただひとえに、その感情の吐き出し方すら分からなかっただけだった。
だからか、言動はかろうじて人らしさをなぞれていたらしい。ティムの主治医とも会話をこなすことが出来ていた。本来、こうした込み入った内容は家族以外には語られないものだろうが、恐らく事前にティムの親から話が通っていたのだと思う。またこの時、あれこれ尋ねても不思議そうな対応ではなかったから、昨日までの俺も未だ話す機会を得られていなかったのだろう。
問いかけたのはまず端的に、ティムの意識は戻るのかということだ。外傷はほとんど無いのだ、という点から語り始める医師からは、0か1かの単純な回答で導ける容態ではないことが知れた。はっきり言って下さって構わない、とだけ告げて、また見つめる。 脳全体の機能が失われて戻らない脳死とは異なる、生命維持に問題は無い。だから、起きる見込みはある。医師は確かにそう告げた。同時に、意識が回復した例の多くが、数日以内であるとも]
(152) calabari 2019/11/13(Wed) 09時半頃
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[その瞬間、呼吸を忘れた。沈黙の中で、詰めていた息をはっと漏らす。事故が起きて何日が経った? 日記を思い出す。確か、今日で五日目だ。五日目。それは「数日」に該当する期間なのか。不安に視線を揺らしていれば、医師は緩く首を振る。 もちろん、数日でなくとも回復する例は存在する、と。目安として提示されたのは、三ヶ月と一年。前者は、一般に永続的な植物状態だと認定される期間らしい。つまり、三ヶ月を境にして回復例は激減するということ。後者は――区切りとして選ばれやすい、と医師は濁した。区切り、それが何を指すかを、理解できてしまう。
一年。それが、延命治療が打ち切られる一つの区切りだと]
(153) calabari 2019/11/13(Wed) 09時半頃
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[ぐらぐらと視界が揺れる。すぐ目の前にいるはずの医師さえも見失うような、酷い濃霧に置き去られたような気分だった。そうですか、と零す声に一切の色は失われ、視線は何もない宙を漂う。
意識を戻す治療はないのか、とぽつり漏らす。曖昧な肯定が返り、今までの回復例で行われていた治療はここでも可能な限り行う、と伝えられる。ただ、まだこの分野での研究は進んでおらず、効果が保証されたものではないらしい。是非何でも試してほしいと前のめりになってすぐ、はっと我に返って姿勢を正した。家族でもないのに医師に意向を伝えるのはおかしいだろう。だが、家族からも同じ言葉を伝えられていたのだろう、ティムの主治医は深く頷き、出来る限り尽くす旨を約束してくれた]
(154) calabari 2019/11/13(Wed) 09時半頃
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[他にも幾らか話した後に、再びティムの病室へと戻る。 恐ろしいほど静かな部屋だった。ただ眠るだけのティムの傍、床に膝をついてその顔を覗き込む。
確かにティムであるのに、まるで別人のようだった。動かないのも、喋らないのも、笑わないのも、鳴かないのも。あれほど元気に振られていた尾が、動く気配がないのも。有り得ない姿だった。 だって、つい先日まで。さっき、まで。ティムと話していたのだ。いつものように部屋で寛いで、食事をして、笑って、話して、陸二の後ろに乗って、散歩だってして、本当に、本当に穏やかな日々を過ごしていた、はずだったのに。
モニターの電子音が規則正しく音を刻む。ティムが生きていると知らせる音。そんなものだけでは足りなくて、手にそっと指を伸ばした。 あたたかい。あたたかい、のに、握り返されることはなかった。血の通っている以外は、ただの人形のようで、いや違う、ティムは確かに生きている]
(155) calabari 2019/11/13(Wed) 09時半頃
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ティム、……ティム、起きろ、 もう、五日だって、遅いだろ、 ティム、 ……早く、……
[手を握る。強く握って、けれどやはり、握り返されることはなく。返るのは呼気と、電子音だけだ。 それでも繰り返す。チューブやコードに触れないように額を撫でてみたり、肩を指先で軽く揺らしてみたり。面会時間の終わりを告げられるまで、許される限りの接触を重ね、何度も何度も声をかけた。
反応は何もなかった。何も返らなかった。ただそれだけしか頭になく、病院からの帰路のことは覚えていない。気付けば自宅に帰っていて、ソファに体を預け、ぼんやりと天井を見ていた。
電気も点けずに過ごす部屋が次第に暗くなる頃、やっと追いついてきた感情。背にひたりと張り付いて離れないもの]
(156) calabari 2019/11/13(Wed) 09時半頃
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……ぅ、ぐ あ゛、ぁぁ……
[心を占める絶望に嗚咽がこみ上げる。手で押さえても喉に詰まった感情が端からぼろぼろと零れ落ちて、眼鏡が曇り、視界も顔もぐちゃぐちゃに乱れていく。
ティムを助けたいと望んだ。失われた足を見る度に胸が痛んだ。例えそれが人を救った結果であったとしても、その代償として陸を空を駆ける足が奪われた事実は、耐え難い苦しみだった。 だから――だから、その過去を変えられる機会を得て、ティムを事故から救えると思ってしまった。足を失わずに済む未来を選べるのだと。そうだ、確かに選べた。過去は書き換わって、ティムは五体満足で――だが、それがなんだ。例え足が失われていなかったとしても、彼が、ティムが意識不明なら、何も意味がないだろう?]
(157) calabari 2019/11/13(Wed) 09時半頃
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ちがう……ちが、 こんな、…ず、じゃ、こんなの、……
[より良いものをと選んだはずの未来だったのに。俺は何のために、三人を見殺しにしてまでこの世界を選んだというのか? ――俺が、変えなければ。三人は救われ、ティムも足を失うことはあれど命に別状はなく、意識も問題なくあった以前の方が。それを、俺は変えてしまった。知らなかった、知らなかった、変えたらこんなことになるなんて知らなかった! これは過去を変えたいなどと過ぎた願いを持った俺への罰なのか。それなら俺が事故に遭えばよかった。何故よりにもよってティムが、どうして、あいつは何も、何もしていないのに。
眼鏡を上げ、濡れて湿った目元を袖で拭う。夕暮れの異物は現れない。変わっても責任は取れないと言っていたように。 もう、変わらない。選択は覆らないのだ。どれだけこの現実に絶望しようが、受け入れを拒もうが、無慈悲に時は過ぎ、明日は訪れるのだろう]
(158) calabari 2019/11/13(Wed) 09時半頃
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[まだ、まだだ。意識が戻らないと決まった訳じゃない。まだ五日だ。例え多くが数日以内に起きると言われていても、それはつまり、そうではない例も存在するというのと同義だ。 大丈夫だ。大丈夫、大丈夫、起きる。絶対に起きる。俺が信じないでどうする。
人の命を踏み躙ってまで選んだ未来を、決して、無価値にする訳にはいかない。――絶対に、諦めてなんかやらない]
(159) calabari 2019/11/13(Wed) 09時半頃
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[翌日、上司と相談して暫くは業務を減らしてもらえるようになった。元々辞職を考えていたが、運行管理の後任を見つけるにも時間が必要で、なるべく居てほしいと望まれたこと、加えて勤務時間の融通なら可能だと挙げられて、辞職は一度考え直した。ティムの明るさを失った職場はどこか沈んでおり、なるべく見舞いを欠かしたくないのだと話せば、それは大いに認められた。
その後、可能な限りほぼ毎日のペースで病院へと足を運んだ。同時に、植物状態からの回復例についても懸命に調べ続ける。パソコンには検索履歴が残っており、数少ない検索結果の中から探したと思われる医療関係者の記事や、植物状態の家族を持つ人物のブログなどがブックマークの中に無造作に並んでいた。一度は読んだらしいそれを熟読し、自分でも可能なケアを手当たり次第チェックしていく。気になる本は片っ端から調べて買った。気になった小説や仕事の参考書が大半だった本棚は様変わりした]
(160) calabari 2019/11/13(Wed) 09時半頃
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[症例の中には、意識はあって周りで話していることが気配は感じ取れるのに、筋肉が動かせず反応を示せないパターンもあると言う。全てを認識できていながら何も伝えられない状況とは、一体どれほどの苦痛を、孤独を覚えるものだろうか。
ゆえに、ティムの傍にいる際は、常に意識があるものとして接していた。実際にそこまで明瞭な意識がなかろうと、外部からの刺激は回復に重要な要素だと言う。目を覚ました患者が、日々呼ばれていたことや触れられていたことを薄っすら覚えている、といったケースは少なくないらしい]
(161) calabari 2019/11/13(Wed) 09時半頃
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ティム。雪が降った。 まだ積もらないだろうが……来週は冷え込むらしい。 ……約束、忘れてないよな。
[一ヶ月が過ぎた。彼はまだ起きない]
(162) calabari 2019/11/13(Wed) 09時半頃
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[寝たきりとなると、まず現状の健康状態を極力維持できるかどうかが最大の懸念であるという。床ずれを防ぐために数時間起きに寝る角度を変えさせる必要があるし、口腔内のケアも欠かせない。最悪肺炎や感染症を引き起こす可能性もある。 ティムを看る看護師たちは皆丁寧だったのだと思う。病に罹ったとは聞かなかったし、いつ訪れても彼の部屋は清潔が保たれていた。
ただ、他の患者も見なければいけない都合上、毛並みの手入れにまで手をかける余裕は存在しなかった。だからブラッシングは自分の習慣になっていく。それは今までの生活と変わりないとも言えたが、あんなにぱたぱたと振られていた尻尾は動かない。ブラシの櫛歯を毛の流れに沿って動かして、毛玉に引っかかってももう、痛いと吠えはしない。 ブラッシングに喜んで、大きく尾を揺らして、その都度動きを抑えるようにぎゅっと握る――なんてやりとりは、最早存在しなかった]
(163) calabari 2019/11/13(Wed) 09時半頃
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動かないと随分梳きやすいもんだ。 でも、おまえが静かなのはやっぱり変だな。
いつまでも仔犬が抜けないんだし、おまえは。 ……鳴いたっていいのに。
[三ヶ月が過ぎた。彼はまだ起きない]
(164) calabari 2019/11/13(Wed) 09時半頃
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[書籍や情報を探す中で、植物状態になった家族を持つ人間とコンタクトを取る機会を得た。彼の妻は交通事故の被害者らしい。幸い命は取り留めたが、一向に意識は戻らないのだと言う。 その境遇に、かつての事故の被害に遭った女性を重ねてしまい、胸が苦しくなる。彼女は、彼女の子はその命すら失ったのだ。罪がゆらりと眼前に立つようで、彼との会話はどこか息苦しさを伴った。 だが、日々行っているケアや病院で試している治療法など、情報を共有できること。意識を取り戻してほしい大事な人が他にもいる、という事実は、確かな慰めになった。諦めてはいられない]
(165) calabari 2019/11/13(Wed) 09時半頃
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今日はみんな来てる。 分かるか、もう一歳半だと。 ほら、おまえの選んだぬいぐるみ。 これと一緒に寝るのが好きだ、って。
……一緒にかけっこか、 そうだな、できると、いいな……
[一年が過ぎた。彼はまだ起きない]
(166) calabari 2019/11/13(Wed) 09時半頃
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[日に日に、ティムの体は衰えていく。 重い荷物も平然と抱えていた腕も、地面を元気に駆けていた足も細くなって、かつて丁度だった病衣も随分余るようになっていた。悪くなった毛艶を誤魔化すように、ブラッシングの際にはスプレーを念入りに使って丁寧に毛並みを整えていたが、それにも限度がある。 だが、なるべく少しでも、綺麗な姿でいられるように。見舞いに訪れる両親の目からも、彼らの愛する息子の窶れた姿が映ってしまうのは、耐えられないから]
(167) calabari 2019/11/13(Wed) 09時半頃
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早起きだけが取り柄、だと。 まあ、分かるが、……
…………待ってるんだ、みんな ティムが、煩いぐらいの大声で、 うわ、寝すぎた、なんて……言って、起きるの、
……ティム、いつまで、待たせるんだ、
[二年が過ぎた。彼はまだ起きない]
(168) calabari 2019/11/13(Wed) 09時半頃
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[植物状態の妻を持つ彼と知り合って二年が経過した頃だった。 近況報告のように数ヶ月に一度か二度、メールでのやりとりを繰り返していたが、ある日久々に会って話したいことがある、と連絡があった。 再会した彼は疲弊しきった笑みで、もう終わりにしますと告げた。もう限界だと、何も答えてくれない彼女の傍に居続けるのはもう苦しいのだと。その決断を聞いて、考え直すように説得する、なんてことは出来なかった。同様に彼も、貴方も諦めたほうがいい、などとは決して言わなかった。 ただ、今までありがとうございました、とだけ残し、それを最後に連絡は途絶えてしまった。
――あれは、未来の自分の姿なのだろうか]
(169) calabari 2019/11/13(Wed) 09時半頃
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……諦めない。諦められない。 おまえは絶対起きるって、信じてる、
俺は、なあ、ティム ……おまえが無事なら、それで…… 他の何より、おまえが元気でいたなら、 ただそれだけで、よかったのに
それ以上、なにも望まなかったのに……
[三年が過ぎた。彼はまだ、起きない]
(170) calabari 2019/11/13(Wed) 09時半頃
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― 病室 ―
[その部屋は、いつ訪れても凍えたように静かだった。 いつものように椅子に腰掛けようとして、不意に窓に目を向けた。 そこには空から降る、ひとひら、ひとひら、白いかけら]
……初雪、か 今年は、早かったな……
[窓に寄って眺める冬の光景を眺めれば、吐息で窓が白む。 語尾が掻き消えて間もなく、白く染めた窓も元の色へ戻っていく。
視線を降ろせば、未だ眠り続けるティムの姿があった。 部屋をいくら暖かな空気が満たしていようと、確かに生きているのに、応えもなく生きた気配がないというのは、全てを酷く寒々しいものに感じられてしまう。 傍に座り、そっと手のひらを重ねた。寒いのは錯覚だと自らの体に覚えさせる。生きた体温だ。自発呼吸があるからと、数年前に呼吸器を外した口元に手を寄せれば、温い呼気が肌を擽った]
(171) calabari 2019/11/13(Wed) 09時半頃
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…………ティム
[事故が起きて季節は幾度も巡り、とうとう来月で五年が経とうとしていた。一般に維持の打ち切りが行われる一年はとうに過ぎていたが、それでも生命維持の打ち切りを受け入れられずにいた。 それはティムの両親にとっては辛い選択なのではないか、と思いながら、それでも諦められなかった。その選択をさせる詫びではないが、彼の治療費を一部だけでも負担させて貰いたいと申し入れた。保険金が下りたとはいえ十分に間に合っているとは思えずにいたからでもあったが、何より、言外に伝えられていた“いつでも諦めていい”という意味の否定を示す意味合いもあった。
だが、五年だ。 回復は最早絶望的であり、これ以上は生命維持の保証も無い。病院側からも、これ以上行える治療は現状見つかっていない、と伝えられている。 それでも前例はあった。五年を過ぎ、絶望的だと考えられていた患者が起きた事例は存在していた。それだけで諦める理由にはならなかった。 いや、もし例え前例が無くとも、諦められなかっただろう。最早、ティムは必ず起きるという希望を抱くことだけが、日々を生きる糧であり支えだった]
(172) calabari 2019/11/13(Wed) 09時半頃
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……ティム
[顔を寄せて覗く表情はいつも、穏やかな寝顔に見えた。本当は違ったのかもしれない。せめて眠りの間はいい夢を見ていればと、そんな願望が見せる錯覚だったのかもしれない。 生命維持装置が鳴らす機械音を耳にいれながら、じっとその表情を眺める。
どうしてだろうか、思い出したのは、狭いベッドで共に眠った時のこと。 酔いと眠気の中、すぐ眼前に彼の顔があり、ぬるい呼気を綯い交ぜにしながら寄り添った夜だった。 あの時は、そう、一人を寂しがった俺を慰めるように、落ち着かせるように、何度も顔舐められたのだったか。懐かしい夜だ。――ティムとの最後の夜だった]
(173) calabari 2019/11/13(Wed) 09時半頃
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[変わっただろと聞けば、そうだねと返ってきて]
そうだろ。
[俺も頷いて歩き出す。 別になんて返事が返ってきても変わらないけど、 でも、楽しそうに口元に笑みを浮かべて。
呼び方がまた「高本」に戻って、 ちょっと残念な気もするけど、 こーちゃん呼びだと毎回呼ばれて恥ずかしいだろ? だから、今はこのままでいいかって、 ついつい安心してしまう俺がいる]
(174) ゆき@青葱帯 2019/11/13(Wed) 20時半頃
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