190 【身内村】宇宙奇病村
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>>76
[ワクラバ様の言葉に、ワタシはうなずきました。 ワクラバ様は、倉庫に戻ってきた時とは別人のようでした。ワタシはそれを、嬉しく思いました。 停滞していた時間が、動き始めるのを感じます。 よどんでいた空気が、動き始めるのを感じます。 この先に何があるのかわかりません。それでも嬉しく思うのです]
(79) 2016/05/21(Sat) 21時半頃
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[目をそらしたアシモフに、おや、と思う]
……さすがだぜ、アシモフ。 それが、あんたじゃなけりゃいいんだがよ。
(80) 2016/05/21(Sat) 21時半頃
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[次に、頭に繋がっている方の個人端末で、一つのファイルを起動した。 特製バーチャルキノコだ。]
[それも、ジジイやワクラバへ前に送ったような子供騙しじゃない。 子供のキノコ嫌いを矯正できる程度じゃ、私の脳のリミッターは騙せない。]
[感覚データの配合自体はここ数日の空き時間で組んだ急拵えだけど、私のシマでも持っているだけで怖い制服の奴らが飛んでくるヤツだ。 宇宙まで飛んで来れるもんなら来てみやがれ、って話なので、今回はこういったドーピングだって使ってやる。]
(81) 2016/05/21(Sat) 21時半頃
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フゥ……
(82) 2016/05/21(Sat) 21時半頃
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イースターは、寝不足で淀んでいた思考が急激に冴えていくのを感じた。
2016/05/21(Sat) 21時半頃
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(>>80)
ああ、そうだネ……ぼくが倒れたら、皆を起こす人がいなくなるからね。 ぼくは、倒れるわけにはいかないよ。皆のためにも、誰を犠牲にしても……。
(83) 2016/05/21(Sat) 21時半頃
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[良い感じにキノコが美味くなってきたところで、改めて作業用端末へ向き直った。]
[AIモジュールのプロテクトは既に解除済み。 そもそも軍事用でも無く、あまり攻撃を受ける事を想定していないから守りも最低限だった。 私にとってこんなの相手にもなりやしない。]
[私が一番苦労し、時間がかかったのはむしろ、ミツボシのAIを解析する方だった。 その出所を聞いた今としては納得できるが、見た事も無い造りのそれを解き明かすのは、突然知らない星の遺跡に放り出されて、時代も文明も知らぬままに文字を読み解いていくような作業だった。]
[判断基準のシンプル化を事前にしておいたのが効いて、2週間でようやくその肝心な部分のみ拾えたというところだ。]
(84) 2016/05/21(Sat) 22時半頃
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[その、ミツボシから拝借したデータを、AIモジュールへと組み込んでいく。]
[船員を害するようなフローにアタリをつけて、一部を上書いていきながらも機能自体は決して殺さず。 不整合を起こしそうな箇所も潰していって――]
……、……
(85) 2016/05/21(Sat) 22時半頃
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[こうして改竄をしている時間を、私はプログラムとのコミュニケーションとして捉えている。]
[弱い箇所、敏感な急所を、いやらしく突く。] [手が出せない箇所、反応の悪い点には固着しない。]
[主導権は完全に私にあった。 相手の隅々まで意地悪な目で眺めながら経験と勘で要所を責め立てていく内に、快楽物質が分泌される。]
[……セックスで良いんじゃないかなこれもう。私、裸だし。]
(86) 2016/05/21(Sat) 22時半頃
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[だからコイツも私がひん剥いてやるんだ。 私の前に、全部晒して見ろよ。]
……、……
[プログラムとサシでのコミュニケーションは、私を偽る必要が無くて気持ち良い。]
[親に捨てられた私が、気付けばこんな事に手を染めていたのも、きっと代わりとなる何かとの濃密なコミュニケーションを求めて――]
(87) 2016/05/21(Sat) 22時半頃
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…………………… ブォェロロロロロロ
[ビチャビチャと、口から床に水分が垂れる音とともに、急激に落ち着く。 チクショウ、久々すぎてキノコの配合トチったみたいだ。 折角の良い気分が台無しだ。]
……オ゛ェッ
[端末やモジュールに吐瀉物がかからなくて良かった。]
(88) 2016/05/21(Sat) 22時半頃
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[それから数分? 数十分? 頭がグルグルしてて定かではなかったけど、]
――……AIモジュールの直し、終わったよー。 ちょっと動けないから、誰か取りに来て、これメインコンピュータに挿してきて…… [完成と共に崩れ落ちた。 うっかり吐瀉物に顔を突っ込む事になって、本当に最低な気分だったけれど、どうにか皆へと通信を飛ばす。]
[あー……服着てないな。まあ 良い …か。]
(89) 2016/05/21(Sat) 22時半頃
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― イースターの自室 ―
[通信を受けたワクラバが、ズカズカと足を踏み入れた。全裸で吐瀉物めがけ突っ伏しているイースターの姿にギョッとする。]
おぅおぅおぅ……過激じゃねーか。 なんだ、AIとヤったか? それともキノコでトんじまったか? あとでアシモフ呼んでやるよ。寝てな。
[AIモジュールをメンテナンス用端末から取り出し、懐に抱えて、部屋を出る。と、再びドアから室内に顔を覗かせた]
いいもん見たぜ。役得ありがとよ。 へっはっはっ。
(90) 2016/05/21(Sat) 22時半頃
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[(>>90)ワクラバから連絡をもらいイースターの自室へ、ミツボシに手伝ってもらって介抱してやることにする。命に別状は無さそうで何よりだ。 何で全裸なのかは疑問だったが。とりあえずそのまま医務室へと運ぶ。
AIモジュールのことはワクラバに任せ、感染経路がわかった時にとる手段に頭を巡らせた。]
(91) 2016/05/21(Sat) 22時半頃
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(精神に寄生するもの……それの摘出、もしくは根絶か……)
(現在寄生されている人が手遅れかどうかも問題だが)
(……何かを、犠牲にしてもやらなきゃならない)
[――アンドロイドに寄生され得る精神はあるのだろうか?]
(92) 2016/05/21(Sat) 22時半頃
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― コンピュータールーム ―
よぅ、クソAI野郎。 イースターに調教されて素直になったか? またオイタしたら、今度こそぶっ壊すからな。
[メインコンピュータ内部に受け取ったAIモジュールカードを挿す。しばらくのロード時間の後、無数にあるランプが瞬きを開始する。アシモフに通信ヴィジョンモニタを送った]
オーケー、AIモジュールをセットした。 あとは頼んだぜ、アシモフ。
[今、自分のいる場所で、ヤンファは倒れていた。今更自分だけ助かろうとは思わない。生還するのなら、全員一緒にだ。もちろんヤンファも― ]
(93) 2016/05/21(Sat) 23時頃
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― 回想 ―
[動力室に乗り込んで、ごそごそ作業をするそいつが嫌いだった。
上から目線で講釈を垂れるたびにムカっ腹が立った。ここは自分の縄張り、そのはずだった。
この幼い身体を維持するのに、どれだけの金を犠牲を強いている?]
(浅ましい……そこまでして生きたいか)
[母星での経験から、肉体処置を浅ましいと断じるワクラバは、延命処置を受けるつもりはなかった。今は少しでも長く生きたい。少しでも長く生きてほしい。そう願う。いつしかその小さな背中は、エンジニアとしての憧れになっていた。]
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― 医務室 ―
……任された!
[(>>93)ワクラバのGOサインが来た。開かれたヴィジョンモニタに映るデータと命令コマンドの嵐。 それを見続けながら手元のコンソールを叩き続けた。 時間があるわけじゃない。今感染している……おそらくワクラバは、いつ眠ってしまうかわからないのだ。その前に、何とかしておかないととれる手段がまた一つ減ってしまう。
AIが危険を検出した時の記録。ヴィジョンモニタが十も二十も浮かび上がった。映像記録、音声データ、サーモグラフ、定時バイタルチェック、質量記録、エネルギー測定、可能性の羅列……。 それを自分のできる限り最速で、精査していく。
流れるデータと思考とともに、時間ばかり費やしているように思えた。どれだ、どれを危険だとAIは思った。]
(94) 2016/05/21(Sat) 23時頃
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―医務室―
[ベッドに寝かせたイースター様を見て、不意にワタシはまたあの既視感を覚えました。ワタシはずっとシルク様にもワレンチナ様にも会いに来ていませんでした。罪悪感という機能のせいでした。 どうしてその記憶を参照できなかったのでしょうか? あるいは、ワタシの記録も、寄生体に改ざんされていたのかもしれません]
もうずっと前にも、こうして誰かに付き添っていたことがありました。病室には誰もいませんでした。話をすると、寄生体に感染してしまう恐れがあると、お医者様はその方を避けていました。その方が寄生体に取り付かれているとは限らないのに、です。 その方は、ワタシに「お前にだったら言っても大丈夫だね」と笑いました。 「お前にうつすために、ワタシはお前と二人きりでいるのだから」と。 そのまま、その方はだれにも相手にされず、お亡くなりになりました。 最後の言葉は、 「そんなことじゃ、寄生体に選んでもらえないよ」 でした。
(95) 2016/05/21(Sat) 23時頃
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今のワタシは、どうでしょうか? 皆様より、 照れ、という感情を教えていただきました。。 不安は、いつもワタシの隣にいました。 幸福を、ワタシは捨てることができませんでした。 決断ということを行うことができました。
今なら、寄生体はワタシを選んでくれるでしょうか? 人間と一緒になれているでしょうか?
(96) 2016/05/21(Sat) 23時頃
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[ミツボシの声にアシモフは振り返らなかった。ヴィジョンモニタにずっと目を走らせながら、耳だけを向けていた。ミツボシの出自、そこにはきっとヒントがあるはずだと思ったから。]
(話をすると、寄生体に感染してしまう恐れがあると――)
……これかっ!
[問題は彗星の時間よりずっと前だった。 ナユタとシルクが話している映像データがあった。場所は船外活動準備室。彼が倒れていた時間とは全然違う時だが……。 ナユタがシルクに何事か話している。そう、何事かだ。 何かは、ノイズでわからなくなっていた。 音声データが壊れている箇所なんてこの近辺では見当たらない。映像も、微かに乱れがあった。エネルギー値もよく見ればおかしい。]
ここでAIは想定外の危険性を検出したってことか……!
[たいしたもんだな、と場違いに思った。]
(97) 2016/05/21(Sat) 23時頃
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話をすると……なるほどね。 どんなことを話したかってのも問題だが……表情を察するに無意味な日常会話じゃなさそうだ。 ナユタが何か……言いづらいことをシルクに伝えているように見えるな。
[映像を必死で調べる。頼る手段が推測しかないのは苛立たしいことだったが、仕方ないと諦めていた。
それから、長く一息を吐いて……ミツボシに向き直る。]
(98) 2016/05/21(Sat) 23時半頃
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……ふー……助かったよ、ミツボシ隊員。
……。
[答えるために考えた。]
……人間と一緒、か。 ……実際のところ、ぼくは君をよく知らない。この船に乗り込んできてから、ぼくとはあまり話してないだろう?ぼくはここに篭もりきりだったしネ。 だから、君に対しては騙されていたな、という思いが強いんだが……まあそれも君のせいじゃないってことだし、それはいいんだ。
[どう考えをまとめたものか、どう告げたものか、悩んだ。]
……まあ、ぼくから見て君はアンドロイドらしくはないよ。 人間らしいかどうかは、他の隊員に聞いた方がいいナ。ワクラバとかにね。
[だけど、とまた一息いれて]
(99) 2016/05/21(Sat) 23時半頃
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― 医務室 ―
[コンピュータールームから戻る道すがら、自分にできることを考えていた。ふと、思い立ち、医務室に入る。寝台に並ぶ3つの保護膜。]
……目覚めの一発に、なんて言ってやるかな。
(100) 2016/05/21(Sat) 23時半頃
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― 回想 ―
[出会ったその直後に殴りあった。理由は単純。気に喰わなかった。お互いに。
なんとか蹴落とそうと、やっきになって競い、学んだ。]
f*ck'n f*ck!
[あの頃と変わらない口癖。起きたらまた殴ってやろう。]
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君の人間らしさに、ぼくは賭ける必要がある。
[強く、ミツボシを見た。]
君に、感染させる。 ぼくは隊員たちを守るために、そう選択する。
[通信はオープンだ。皆に聞こえているだろう。]
(101) 2016/05/21(Sat) 23時半頃
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― 回想 ―
[高学歴エリートサラブレット貴族。ルックスもイケメンだ。
地べたで寝たことも、汚水をすすったこともないだろう。
なるほど、平民とは違うってわけか。気取りやがって]
よぅ、よろしくな。王子様
[クルーの初顔合わせで、嫉妬にかられた口から出た皮肉。
冷たい眼差しに射られた。だから睨み返した。
今は、あの切れ長の瞳から放たれる熱っぽい視線を待ちわびている自分がいる。]
― 回想 ―
[出港後まもない、船内の廊下。文通相手の子供と並び、窓の向こうに広がる宇宙を眺めていた。
長い睫を瞬かせ、クリスタルように透明に輝く瞳で、その子供は星々を見ていた。
一つずつ確かめるように名前を挙げて、新鮮な喜びと驚きを滲ませながら話をしてくれた。
それらは、ワクラバにとって、取るに足らぬ、見慣れた惑星たちだった。
なぜか、そのときだけは、その星々がやけに輝いて見えた。
この輝きには、見覚えがあった。
技術を身に着け、星間を飛ぶのが当たり前になったことで、遠ざかってしまった、あの記憶。あの夜空]
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>>101
[この船のお医者様として、アシモフ様には考えがあるようでした。なにより、ワタシはそのために作られたのです。ですが、そんなことは関係ありませんでした]
ワタシは皆様の役に立ちたいと、決断しています。
(102) 2016/05/21(Sat) 23時半頃
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[ワクラバからミツボシへ通信が入る]
よぅ、ミツボシ。 コンソールルームに来いよ。遊ぼうぜ?
(103) 2016/05/21(Sat) 23時半頃
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― 自室 ―
(>>90)
まあ、どっちもかな……
[畜生、良い勘してやがる。]
これ見て役得と本気で思えるならワクさんだいぶ業が深いよ……
(104) 2016/05/21(Sat) 23時半頃
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