266 冷たい校舎村7
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だから、怖いものなんてなかった。
(51) 2019/06/16(Sun) 02時頃
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[ 床に落ちていた破片をひとつ拾う。
赤く濡れているそれは、 辛うじて灯っている蛍光灯に透かして、 ようやく、元のあたたかな黄色を覗かせた。 少しの間、それを見ていた。
たぶん、僕は少し悲しくて、 それって身勝手な話だな、とも思う。]
(52) 2019/06/16(Sun) 02時頃
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僕には君の背中越しに見えた景色が、 君の目にはこういうふうに見えたのだと、 そのときはじめて知って、僕は笑った>>2:473。
(53) 2019/06/16(Sun) 02時頃
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……これ、拓海くんの。
[ 彼も知ってるかもしれない。 ……とは思いながら、
僕は手に取った破片を示して、 共に捜索中の高本悟に向けて言う。]
ここに、いないなら。 ここから、はじまってるから。 あの先にいるのかもしれない。
[ 次に示したのは、床に点々と続く赤。 部屋の外、廊下へと続いているそれを、 追うことになるだろう。と僕は思い、 手に取った破片を、掌に忍ばせた。**]
(54) 2019/06/16(Sun) 02時頃
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[家の都合で中学からずっと 部活に入れなかった俺は、 文化祭の日も他の奴らの部活のことなんて 興味ない振りをしていた。
本当は、俺も何か部活に入りたかったって 拗ねていただけなんだけれどな。
吹奏楽部の奴に演奏会に誘われても、 演劇部の奴に劇に誘われても。 委員長だからクラスのお化け屋敷抜け出せないんだって 嘘をついて、部活発表や部活展示には近づかなかった。
――ただひとつの例外を除いて]
(55) 2019/06/16(Sun) 03時半頃
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[拓海も京輔もお化け屋敷の係に出ずっぱりの時間。 俺はふらりと美術室の中に吸い込まれて、 その展示物>>0:893を見た。
日曜大工で作られたような円柱に嵌め込まれた ステンドグラスの中に、 ひとつの見覚えがある風景がある。
それは、夕暮れの公園だった。 昔指切りをしたあの場所が思い出されて>>0:272 俺は目を細めたのだった]
(56) 2019/06/16(Sun) 03時半頃
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まさかな。
[ふ、と口元を緩めた。 念のため誰の作品なのかを確認する。
作品名は「タイムカプセル」。 作者名は「養拓海」。
小さく息を飲んで。それから首を振った]
(57) 2019/06/16(Sun) 03時半頃
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約束なんて、きっと覚えてない。
[あいつ、馬鹿だしなと独り言ちて ふらりと美術室を見て回った]
(58) 2019/06/16(Sun) 03時半頃
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[途中、京輔の展示物を見遣り>>4:286、 その立体物の造形に、何かを察して 微かに眉を動かしたりしただろうけれど。
――――だって。 それに囚われてるってことだから。
やっぱり、部活というものが 羨ましくて仕方がなかった俺は、 足早に美術室を去ったのだった。
文化祭の、そんな一幕]*
(59) 2019/06/16(Sun) 03時半頃
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―― 現在 / 美術室 ――
[記憶の中にあったその展示物は、 無残に破壊されていた。>>20
床に散らばったガラス片のひとつを拾った。 血塗られたそれを指で拭えば、 見知った公園の滑り台>>0:272が顔を覗かせる。 俺は眉を顰め、そして床に落ちる血の量に 小さく息を飲んだのだった。
そこに拓海のマネキンは、ない。 ガラス片を制服の端で拭いて磨いてやると、 ポケットに入れた]
(60) 2019/06/16(Sun) 03時半頃
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知ってる。
[京輔に答える声>>54は、 存外に低いものであっただろう。 やっとのことで頷いて]
ああ、京輔。行こう。
[赤い血が点々と続く廊下を、早足で歩く。 まだ乾ききっていないその痕は、 3階の男子トイレへと続いていた]
(61) 2019/06/16(Sun) 03時半頃
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……拓海、じゃあないなこれは。
[そこに横たわったマネキンを見遣り、 その状態に大きく顔を顰めた]
颯太か? 胸が抉られてる。ひどいな。
[可愛らしいハートのぬいぐるみを見遣り、 その損傷激しいマネキンとの対比に>>4:332 俺は吐き気を覚えたのだった]**
(62) 2019/06/16(Sun) 03時半頃
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R団 タカモトは、メモを貼った。
2019/06/16(Sun) 03時半頃
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──回想・保健室── [ 性格悪いって、鼻を鳴らす。 1日前もこんな風だった気がする ]
それって、罪悪感?
[ 養くんが言ってたのを思い出す>>4:69
罪悪感、感じたくないから どうにかしてやりたいんでしょ? ]
(63) 2019/06/16(Sun) 09時頃
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だって………… あの頃は成績が一気に落ちて、 本当にそれどころじゃなくて。
幻想の恋人だったの。夢から醒めたの。
聞いてないって言われても、 私だってここに来てから気付いたんだから 仕方がないじゃない。 逃げ道なんて、私に聞かないで……
[ いっぱいいっぱいなの。 彼の逃げ道を用意できるくらいなら、 先に私が逃げてるわ ]
(64) 2019/06/16(Sun) 09時頃
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[ 顔を真っ赤して叫ぶ、まるで捨て台詞 ]
好きって言われて気になるなんて、 子供の幻想だよ。
性格悪いなら突き通して、 手酷く振ればいいじゃない。 あの時みたいに、 ポイッて捨てればいいじゃない。
それとも ……──────
[ 鎖骨の傷に目をやって、黙る ]
(65) 2019/06/16(Sun) 09時頃
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[ 痛みの中にいたい?
それとも 逃げ出したい? ]
(66) 2019/06/16(Sun) 09時頃
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………… ホント 馬鹿。
[ 目を潤ませたまま踵を返す彼を止めることはなく 去りゆく背中に小さく呟いた ]
(67) 2019/06/16(Sun) 09時頃
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助けたく なるじゃない ──**
(68) 2019/06/16(Sun) 09時頃
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──8:50──
[ 変わっていく止まった世界で チャイムの音だけは変わらずに時を報せる ]
(69) 2019/06/16(Sun) 09時半頃
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[ この場所で2度目のチャイムを聞く。
前回のチャイムから動いていないから 知らないだけで、体育館のマネキンは 増えているのかもしれない。
そして 今、また ──── ]
─────── !?
[ ガシャン 何かが割れる音がして 視界が暗くなる。怖い…………
ついに私がマネキンになる番でも きたのだろうか? ]
(70) 2019/06/16(Sun) 09時半頃
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[ 復旧した灯りにおそるおそる目蓋を上げる。
誰もいない場所で、私の顔が窓ガラスに写る ]
なん、で…………?
[ 5回目の8:50。 数え違えてなければ、今は朝だ。 昨日まで見ていた雪景色はもう、映らない。
恐る恐る立ち上がって保健室から外に出る。 ああ、なんでこんな時1人なんだろう ]
(71) 2019/06/16(Sun) 09時半頃
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[ 足を止めたのは食堂前。 そういえば結局何も食べれていなかった。
机に並んだ食事。 作られてそんなに時間は経っていない。
ハムを敷いた目玉焼きに、 簡単なサラダに、焼いたソーセージ。
「朝飯」というメモの字は、見たことがある ]
(72) 2019/06/16(Sun) 09時半頃
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三人分 ──────
[ 誰と、誰と、誰のもの? ]**
(73) 2019/06/16(Sun) 09時半頃
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──現在:3階男子トイレ>>61──
[ 穴があいている。と思った。 傍らで、ひどいな>>62。というのが、 しゃがんだ僕には上から降るように聞こえる。
まじまじと見たって、何も変わらないし、 赤の比率の高いまんまで、 傍らに落ちてるハートも赤くって、
……そこにあるのは人形なので、 いつも仏頂面していた君が果たして、 何を考えていたのかとか、わからないし。]
(74) 2019/06/16(Sun) 10時半頃
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……死にたがりの顔、拝めた?
[ なんて、答えは返ってこないけど。 聞こえないよねえ。当然ながら。
殺されたんでしょうか。 それとも違うんでしょうか。
死にたがりの誰かを見つけて、 何と言うつもりだったのか、 どんな顔する気でいたのか、聞けばよかった。
聞けば教えてくれたと思ってるんだけど、 キモイ僕の思い違いかもしれない。
こんなときまでこんな顔でごめんね。 死ななきゃわからない>>3:269。 そう言っていたのを思い出して、つい。]
(75) 2019/06/16(Sun) 10時半頃
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[ この場所は、めいっぱい赤くて、 けれど、僕らを導く血痕はまた別に続いていて、
僕は立ち上がり、足跡みたいに血の跡が向かう、 廊下の方へと向き直りながら、つぶやいた。]
……運びにいく時間、 あとで、あるかなあ。
[ あるといいな。という願望を込めて。
あのハートの形のものだって、 ぽっかりあいてしまった穴とか、 あるいは、相応しい何処か、 ……というものがあるのかもしれないし。*]
(76) 2019/06/16(Sun) 10時半頃
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[ また、赤く濡れた道標を追って、]
(77) 2019/06/16(Sun) 10時半頃
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──現在:4階生物室──
[ そこにたどり着くまでに、 また、奇妙なものを見た。
黒い足跡>>4:298。 それを追うように、赤。 その赤を追ってきた僕らである。
赤色は、その部屋の前を通り過ぎて、 けれど、黒色の行き着いた先、 閉じ切ったままの扉の奥に、 きっと誰かがいるんだろうなと、 僕はその扉に手を伸ばした。]
(78) 2019/06/16(Sun) 10時半頃
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[ その扉を開けるべきか否か、 どちらが本人の望みかなんて、 僕には分かりようのないことだけど、
僕が死んだら、あのがらんとした、 人形ばかりが並ぶ体育館の、 隅っこでいいから、置いといてほしいし、
……そんなときがきたらの話。]
(79) 2019/06/16(Sun) 10時半頃
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[ とにかく、何か引っかかりがあって、 なかなか開かない扉に僕は力を込めた。
力自慢ではないので、 高本くんなり、第三の生存者なり、 ご協力いただけると嬉しいのですが。
そうしてこじ開けた先に、 長いみつあみの人形を見て、]
……田所さんだね。
[ ──と、僕は言う。
なぜか、寒かったのかな。と僕は思い、 数秒後、それはその人形の腕が、 自身をきつく抱きしめているからだと気付く。]
(80) 2019/06/16(Sun) 10時半頃
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