171 獣[せんせい]と少女
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― 鐘楼の塔 ―
[風に乗って聞こえてくる、歌声>>2:597>>2 >>14地面に咲き乱れる、コスモス。 なんて、素敵な門出だろう。 ―――自分たちも、皆を送る鐘の音を、早く届けなければ。
コリンを乗せて、高く、高く。 鐘楼の塔のてっぺんにある窓が、段々近くに見えてくる。 …何度ここからコリンが落ちてきて、受け止めただろう。 元々俊敏な方ではなかったのに。 回数をこなす度に、慣れてきて、お腹を傷める頻度も減っていった。
でも。コリンがあんまりにも楽しそうだから 幾ら落ちてこようが、受け止めるのが遅れようが 嫌に思ったことは一度もなくて ……それはいつも、楽しい思い出だったのだ。]
(55) 2015/10/14(Wed) 19時半頃
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……さあ…ついたぞ、コリン。
[窓から入って、その場にコリンを降ろすと、 青い光と共に元の姿に戻った。]
皆に聞こえるように、鐘を鳴らしてくれるんだろう?
[そうして、にやりと笑って指さす鐘突き台の横には――― コリンが置いてきたはずの、 がっこうの思い出がいっぱい詰まった箱が 持ちやすいよう、布にくるまれて、ちょこんと置かれていただろう。]
(56) 2015/10/14(Wed) 19時半頃
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コリン。このぐらい、俺が持つからさ。 思い出は捨てないで。 それで。
[笑顔で。]
旅をして…いっぱい、いっぱい。 素敵な思い出を増やして欲しいんだ
俺はそれを…最後まで、見守らせてほしい。
[そうして。コリンの片手を持ち上げれば さっきのお返しというように その手に、恭しく、優しく、口づけた。]**
(57) 2015/10/14(Wed) 19時半頃
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― 裾野の町 ―
[興奮気味の主人が逸れぬよう、まなびやから歩いてきたのと同じく、手を繋いだまま、祭りに彩られた町を歩く。>>45]
あれは、わたあめ、とか、わたがし、とか言われるものだ。 砂糖で出来ていると聞いたことがある。
[ふわふわの雲をひとつ注文し、少女へと手渡す。]
呼び名は、好きに。 ……急でなくても、いい。 ずっと一緒にいるのだから、時間はたくさん、ある。
……それとも、わたしも、言葉遣いを、変えるべき……だろうか?
[様付けも、敬語も、少女が望むならと、珍しい雲を食べるクラリッサに問いかける。]
(58) 2015/10/14(Wed) 20時半頃
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[秋を、冬を、春を、夏を。 ゆったりと色んな場所へ向かい過ごそうと、クラリッサの語る予定に頷いた。]
では、まず…… この町の先に、大きな街道がある、そこを此方へ……
[地図上の道を指差し、簡単な進路を少女に示す。 秋色に染まる山の景色が美しい場所に目星をつけて。
今は、知り得る地理と地質と気候と、数百年の経験を生かす時だ。]
この辺りの地域は、温泉、もある。 温泉……は、湧き水が、湯になっていて……風呂に入り放題だ。
[興味はあるか、と尋ねて。]
(59) 2015/10/14(Wed) 20時半頃
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[最後にひとつ。 舞い上がったオズワルドと。>> そのそばを、駆け抜けてゆく麒麟と少女を、追いかけるように。>>15>>34
振り上げた、腕。 幻想の風が、花びらを散らし…。
空に溶けて、消えてゆく…。 口元に笑みを浮かべた、獅子の手に、包まれたそれも>>25 温もりに溶けるように、消えて無くなっただろう…。]
(60) 2015/10/14(Wed) 20時半頃
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………さぁ、行こうか。
[契約を結んだ、少女の背を掌で押して。]
まずは…どこへ…、行きたい…?
[旅の行く先は…、君の望む場所へと…*]
(61) 2015/10/14(Wed) 20時半頃
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雪は、降る地域によって、質が違うらしい。 ああ、そういえば……この辺りの地域。
[また、地図上の別の場所を指で指し]
色んな種類の林檎を育てていることで有名なんだ。 冬に確か、林檎の祭りが、ある。
[その頃にゆったりと滞在し、果実と雪遊びのどちらをも楽しむのも良いだろう。]
(62) 2015/10/14(Wed) 20時半頃
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わたしの、お勧めの……場所。 一番の場所は。 少し遠い、険しい、山になる。 ……旅慣れた頃に、向かおうか。
[人気の無い山奥の、自分の産まれた場所を思い浮かべ、微笑んだ。
見たことの無い景色に驚き喜ぶクラリッサを、これから何度も目にするのだろう。 そんな少女に、自分にしか見せられない景色をあげたい。 こっそりと、ささやかで面倒な企みを、一つ、抱いた。]
(63) 2015/10/14(Wed) 20時半頃
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風来坊 ヴェラは、メモを貼った。
2015/10/14(Wed) 21時頃
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― ヴェラのおかえし ―
[ ( ……全く、パティシアとは大違いだ。)
ゆっくり、物静かで、慇懃で、丁寧。 見送りの言葉をかけた己に、深く頭を下げる彼は 相変わらずのゆっくりとした仕草だったものだから 「それ」を手渡されるまで 自分達に何かを用意してくれたと気付けなかった。
疑問符を浮かべ、小首を傾げて。 隣のミィに「なんでしょうね?」なんて笑いながら ガサリと開いた厚手の紙。>>40
「 はは、 こいつは……。」
なんだろう、年甲斐もなくはにかむほど照れくさい。]
(64) 2015/10/14(Wed) 21時半頃
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[ 自分が描かれるなんて 思っていなかったのもあるけれど それ以上に 紙の上の、ミィと共に居る己の顔が 想像以上に緩んでいるから。
黒が目立つ己と、淡く光っているように見えるほど 白い彼女。 その対比は、哀しさはあれど悲観するものではない。]
有難う。 …こんなに浮ついた顔をしていたとは…… ………気付いていなかった。
[ ミィと揃って感謝を述べて、彼等>>41を見送りつつ 元の通りに畳んで紙を仕舞った懐は しばらく経ってもずっと、ほんのりと暖かかった。*]
(65) 2015/10/14(Wed) 21時半頃
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[早くこっちに来たい気持ちはわかりますけど、 あんまり急ぐと転んでしまうかもしれませんよ。>>29>>30 さあさあ、どなたさまも空を、舞うはなびらを見上げながらも、 足元にはお気をつけて。
ヒナコからの祝福は視界いっぱいに。 ヒナコがもらった祝福は、まだまだ小さな手のひらの中に。>>12]
いってきます!
[見えるものすべてに手を振っていれば――、
少女を乗せて高く、高く舞い上がる、四足の獣。>>35>>55 彼女たちを追いかけるように、 モスキュートが振りあげた腕に合わせて風が舞って、 はなびらを散らしていきました。>>60]
(66) 2015/10/14(Wed) 21時半頃
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消えちゃったー……。
[でも、みんなの心には強く、強く、 残っているといいですよね。
ヒナコも前を向いて、歩き出すことにしました。>>61 契約を結んだ獣《きしさま》と、ふたりで世界を見にいくために。 最初に望むのは……]
わたし、おそとのおまつりにいきたい!
(67) 2015/10/14(Wed) 21時半頃
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―旅立ちの刻―
[その鐘は、祈り手に応えて三度、
―――澄んだ、美しい音色を響かせる。
高い、高い蒼空へ、抜けるように。 遠い、遠い世界へ、広がるように。]
(68) 2015/10/14(Wed) 22時頃
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[儚き少女らの新たな旅立ちと、 永きを生きた獣の旅立ちとを。>>2:601
優しく、祝福するかのように。 その背をそっと、押すかのように。
さぁ、別れの哀しみを越えて。 希望の一歩を踏み出そう。
―――汝らのゆく先に、幸多からんことを。]*
(69) 2015/10/14(Wed) 22時頃
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―少し前・鐘楼―
[辿り着いた鐘楼の窓から、がっこうを見下ろした。 忘れられた家の屋根が遠くに見えて、 今の一瞬で、驚くほどの距離を移動したと実感する。
鳥のように羽搏くことはなかったけれど、 まるで大地を駆けるように、雲の道を抜けてきた。>>50 それは飛ぶよりも、もっと貴重な体験。 かつてないほど高く、速く、…そして自由に。
初めての天駆けがこれほど快適だったのは、 もちろん、ユージンの気遣いあってこそ。
響く歌声、色とりどりのコスモス、 そしてみんなの笑顔を。 しっかりと記憶に刻み付ける。]
(70) 2015/10/14(Wed) 22時頃
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[宝物が増えたことを喜んでくれたユージン。>>53 「また一つ」という言葉には小首を傾げたけれど、 その疑問は鐘楼に着いてすぐ解けた。
促された先に見つけたのは、>>56]
えぇー!なんで!? だって、これ……っ
[捨てきれなかったモノがたくさん詰まった箱。 この10年間の想い出。置いてきたはずの宝物。
…また一つ。
その言葉の意味にようやく思い至って、 思わずユージンを見上げた。]
(71) 2015/10/14(Wed) 22時頃
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だって重たいし、嵩張るし、 旅に邪魔かなって、… それにあたし、ユージンがいてくれるなら…
[これくらいは持つと、請け負ってくれる彼に>>57 迷うように一度、口を開きかけたけれど。
そこに、優しい笑顔を見たから。
これまでの想い出と、これからの想い出を、 心から願ってくれる瞳に出会ったから。]
……、うんっ
[手の甲にそっと触れる柔らかな口付けに、 淡く頬を染め胸を高鳴らせながら、しっかり頷いた。]*
(72) 2015/10/14(Wed) 22時頃
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―まなびやの出口―
[軽やかな歌声>>2:597が心地よく耳に入る中、大鷲と久方ぶりの再会を果たす]
・・・おいおい、わざわざ口に出すなんて無粋ってもんだぞ まあ、別に良いけどな。
[>>1彼がわざと口に出したのは仕返しのつもりだろうかと苦笑いしつつ]
(73) 2015/10/14(Wed) 22時頃
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[…こういう時、どんな言葉を使ったら、 今のこの気持ちが伝わるんだろう?なんて。
あまり勉強してこなかったことをちょっぴり後悔。 ヒナコなら、何か良い返し方を知ってそう。
持ち上げてくれた彼の手を、きゅっと握り返し、]
あのね、ユージン。 この鐘はできれば、あなたと一緒に鳴らしたいの。
……お願い、聞いてくれる?
[まだ頬の赤いまま、なかなか視線を合わせられず。 少し俯きながら、けれど照れたように口元は緩んだ。]
(74) 2015/10/14(Wed) 22時頃
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["彼"だけにそっと伝えた言葉 再会を喜んでいるだろうアヤワスカを眺め彼女は微笑んでいただろう*]
(75) 2015/10/14(Wed) 22時頃
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あたしは、料理も下手くそだったし、 お勉強もサボってばかりで、本も読まないし、 アヤワスカやミツボシ、ヒナコ達みたいに、 みんなを楽しませる何かも残せないけど…。
一つだけ、伝えられるものがあると思うの。
それはね、
(76) 2015/10/14(Wed) 22時頃
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…――― あたしの、元気!
(77) 2015/10/14(Wed) 22時頃
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[そうして勢いよく、堂々と、 三度の鐘の音を響かせる。>>68>>69
届け、届け、 ]
いってきまーーーす!!
[ …――旅立ちを告げる、あたしの声。]*
(78) 2015/10/14(Wed) 22時頃
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[ヒナコ《ひめぎみ》の、望みにこくりと、ひとつ。 頷いて…。]
まつり…か…。 わかった…。
[まなびやから、裾野の町までの、長い下り坂を。 転ばないように…と。言いかけて。 手に持ったままの、おまもり>>12に、気付く。]
…………どこかに、結ぶ…か…?
[持ったままでは…、不便ではないだろうか…? 万一、失くしたりしたら…。 きっと、ヒナコは悲しむ…のだろう…。*]
(79) 2015/10/14(Wed) 22時頃
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[ 雲を蹴り、花唇を従え、鬣と尾をたなびかせる背中を 眩しい太陽でも見るように 目を細めて見送れば その駆ける先が鐘楼であることを知る。
( ――今日の鐘は、これからか。)
残された言葉>>52への返事は、小さな頷きに込めて。
優しい二連星のデュエットが幕を下ろし ミツボシがちらりとミィを見上げれば>>10 くすっとひとつ笑った後、 ]
素敵だったよ。 アンコールは、またの機会に。
[ 足元で揺れる「優美」の名を持つ白いコスモスを 拍手と共に贈ろう。*]
(80) 2015/10/14(Wed) 22時頃
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町娘 小鈴は、メモを貼った。
2015/10/14(Wed) 22時頃
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[ 旅立つ背中>>67を押すように 鳴り響いた鐘は>>68 遥か高い秋澄みの空へ、風乙女の祈りを乗せて ]
ぴい、 ヒョロロロロ……
ピィーーー ヒョロロロロ、
[ 鳶の啼く合間を響いて抜けてゆく。
それぞれが結んだ絆を、より一層固いものに それぞれの選んだ道を、より一層明るいものに 照らし、導く先は 楽しい事ばかりではないかもしれないけれど 「きしさま」が居れば、きっと大丈夫だから。
高い塔から旅立つ影>>78へは、 吹き上げるような上昇気流をプレゼントだ。*]
(81) 2015/10/14(Wed) 22時頃
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[時間は待っちゃくれない。 けれどもあまりに急ぎ過ぎてどこかの誰かは>>30は怪我をしそうにはなってないだろうか。 なんて。せっかくの門出にもこっそり思う。
集まりつつあるせんせいと少女の姿。 目につくものから口角を上げてのご挨拶。 大して口なんかうまくない。それくらいで勘弁して欲しいものだ。
ミツボシの視線>>10に対してミッシェルはどのように応えただろう。
“旅の幸せを願って” 獣だけにしか聞こえぬ声で確かに拾い上げてはいたけれど、ミツボシには伝えていなかったから。
ただ、彼ら>>15が上へと向かってしまう時、思い出したように渇かしてしまう獣>>2:573にそっと囁こう。]
(82) 2015/10/14(Wed) 22時半頃
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[それ以降は野暮だと、閉ざした矢先。 空から響く声と少女を乗せて駆ける麒麟>>34を垣間見る。
自分も腕を振ろうとして指の隙間から覗く花弁>>60はふわりと、溶け入るように消えていく。]*
(83) 2015/10/14(Wed) 22時半頃
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[ 幼狼の呟きに、にんまりと口元を曲げて 味見だ、美味いだと言っていた頃>>0:59が蘇る。 自由に生きていた狼が 初めての少女に傅き、従う気持ちは ]
……どうだ。 「恋」とは違うだろう?
[ ”呪い” かどうかは、遠くない未来 身を以て知ることになるだろうけれど]
……呼び名のことは考えておく。 またな。
[ その時狼>>75は何を想うのか。何を知るのか。 「呼び名」を改めるのは、その後だと 微笑む己は ”呪い” に最も近い位置に居た。*]
(84) 2015/10/14(Wed) 22時半頃
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