246 とある結社の手記:9
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[無論、聞かずとも、誰が殺したのかを知っていた。]
[抱きしめるリンダ()の芳香と体温を全身で味わい―]
……ふぅ。
[その瞳は、恍惚の色を帯びた。]
[恍惚に酔う声なき声が囁く―]
…偽の占い。大変、結構でございます。
もとより老獪狡猾なるルパート様の策略…
若輩のわたくしが、口をはさむ余地はございません。
ええ…ええ…
大変、結構でございます。
[子飼いの"ヒト"がしくじろうと、切り捨てられるだけのこと―]
骨の一欠…
肉の一片…
血の一滴にわたって
わたくしのものでございます。
それさえ守っていただければ……
ええ、どうぞ…あとはご自由に……
|
[ 大人が、大人なのにふるえて、泣いて。そうして意識まで手放す姿を目の当たりにしたのは、はじめてだった。 こんなふうになるほど、人狼はおそろしいのだ。それに、行方不明のひとは亡くなったのだという。
そして、ここには、人狼がいる。]
(121) 2018/07/25(Wed) 23時半頃
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マリオは、リンダをじっと見つめ、深く心に刻み込んだ。
2018/07/25(Wed) 23時半頃
[返って来たこたえは予想通りと言えば予想通りで。青年は黙って肩を落とした。やっぱり簡単にはいかないものか。]
あーあ。残念。
[それは心からの言葉だった。
残念だ。そうすれば少なくとも、無事にここからは逃げ出せただろうに。]
|
おれたち、やられるかもしれないね…?
そしたら、占いをする人が人狼をええと、3人みつけるまで、どうにか身を守らないと。
どうしたらいいんだろう。…包丁かな。
(124) 2018/07/25(Wed) 23時半頃
|
[ああ…忌々しい…
なんと忌々しい…
心労も、心傷も、恐怖も、絶望も…
お嬢様を壊してしまう。
お嬢様の"肉質"を落としてしまう。]
へへ……っ
[占われても疑われても大丈夫。
それはきっと、とてもいいことだ。生き延びられる可能性が上がる。笑みの気配伴って掛けられた声に、青年は無邪気に頷いた。
とおい昔に、声なき声で呼びかけられた時と同じように。]
でっち上げ…でっち上げか。
なあ、でっち上げたら上手く切り抜けられるかな?
切り抜けたら、前と同じように暮らせるよな?
占い師は優先的に出られるらしいし……
[悪くない気がする。
でっち上げ。が、村の誰かを殺すに至ることまでは、気の回らないまま。]
構わないっスよ。手伝いましょうか。
えーっと……。俺っちが占いをしたらいいンすよね?
それで助かるってなら、お安い御用だ。
[いつもの雑用を引き受けるノリで、軽く笑った。**]
止してくれ。
ジジイなことは認めるが
策略なんて大げさな話じゃあない。
連中の言いたいことと、
おれたちの言い分の間をとりたいだけさ。
[ロイエに首を振り、ピスティオに頷く。]
手伝ってくれるか?
ありがとうピスティオ。助かるよ。
ああ、今日からおまえが占い師。
よろしく頼んだぜ。
そうなりゃあ、
おまえを優先的に外に出してやれるかもしれない。
おれたちにとっても願ってもないことだ。
ロイエが腕によりをかけて育ててきた娘さんだしな。
言いたいことはわかる。
なにせ、いいにおいがしているからな。
なるほど、高級な肉ってのは違うもんなんだねえ。
[どこか冗談めかしていう。]
……じゃあ、リンダお嬢様に
おれたちが手を出さないかわりに、
ロイエはおれたちのお願いごとを
守ってくれるってのかい?
[そうじゃなければ、そのお願いごとを聞く理由はどこにあるのだろう。]
[老獪狡猾と称した宿屋の獣から、声なき声が返った。
我を通す"対価"を払え。
温和な声色の奥に、冷たい思惑が見え隠れする。]
……
[どのような無理難題を要求されるか。
先のピスティオが脳裏をよぎる。]
……それで『血の契約』が交わせるのであれば…
はい……御二方の願い…なんなりと…。
[屋敷の獣は、いつもとかわらぬ冷たい口調で返した]
ー リンダの個室 モンドが去った後ー
[ベットの上で弱々しく寝息を立てるリンダの頬を撫でながら、思案する]
······。
[ピスティオが能力者を偽り、身代わりの3名を結社に差し出す。ルパートは、適当に差し障りのない人間を選んで指示するだろう。ピスティオは口が回り、周囲からの信頼も厚い。問題ない。
真贋の効くサイモンは、今夜にでも始末する。“本物”の能力者が邪魔になるようならば、これも始末する。スージーならば、ぬかりなく息の根をとめるだろう。問題ない。
気がかりなのは、ルパートが要求する“お願い事”だ。資産か、利権か、はたまた育てたあげたメイドたちの肉か······。なんにせよ、弱味につけこんでくるのは想像に難くない。
だが構わない。取り返しばいくらでも効く。]
[屋敷の獣は強欲だった。
自らの手を汚すことなく、愉悦に耽溺することを好んだ。今はただ、こうして美しい乙女を愛でるだけでいい。それで万事がうまくいく。
このとき、屋敷の獣は迂闊にも軽んじていた。リンダが口走ったうわ言()は、心労から見た夢()に過ぎないと。サイモン亡きあとの結社は、とるにたらない相手だと。]
[ーだがもしも]
······。
[“お嬢様”の頬を撫でる手が止まる。
同胞たちへの猜疑が首をもたげてくる。
もしも、交わした約束が違われるようなことになれば。
違えなければならない状況になればー]
(······お嬢様の血肉はわたくしのもの···
誰かに奪われるくらいならば、いっそ···)
あ〜〜〜〜〜も〜〜〜〜〜〜〜〜
ヤダ。
やだやだやだやだ。
ヤダ〜〜面倒にも程があるわよ。
もういっそ、全員殺したい。
そしたら、あ〜、駄目ね、バレバレだ。
それくらい私でも解るわ。
あ。っと、ごめん、ごめんごめん。
リンダには手を出さないわよ。
私はどおーせグルメとは程遠いし、
肉の味の違いなんて解んない。
誰が食べたいとかないもの。
[言った後に、()をはたと思い出すと、訂正する。]
[少し前のはなし、]
どうして作っておかなかったの…。
まあこんな事態あるとは思わなかったけど。
[隠し通路の話()には沈んだ声だ。残念と言うピスティオの声()にもわかる〜と同意したり、]
でっちあげ、かあ。
それが一番楽かしら。
狼役を三人、結社に引き渡して?
私たちは逃げおおせる。
お任せするわ。
ピスティオなら疑われても人間だし。
問題ないもんね。頼りにしてる…。
[疑われ一発アウトの我が身を思うと声もうだうだしたりしていた。正直ここは頼るしかないし。]
今日から貴方が占い師。
あ、わかる。
ピスティオ外に出してもらえたら、
それってすごく助かりそう。
[あ、んん。()手を出さない事を交換条件に提示する言葉に声()を一端止めた。
正直、私は皆のお願いなら全然聞いても良いと思ってたからだ。取引なんて面倒だ。皆がやりたいようにやれるのが一番だ。
私は、深くものを考えるのが苦手だ。
だから、指示には従う事にしている。そう言うのがあるからかもしれないし、それに単純に。
自分、よりも、人狼と言う種、を大事にしている節もある。
喩え自分を切り捨てられたとしても、恨み言は言えど裏切る事はないと言う確信はあった。
そう言った片鱗は今までも見せてきている筈だ。自分よりも仲間を優先し、死にかけた事すらあったかもしれない。]
[まあそれと、ポカをやって皆を追い詰めるのは別の話なんだけど。]
[殺したい。殺したい。殺したい。
リンダだって何であんな事いうかな。結社が詐欺師だって話になったら楽だったのにな。殺したいな。でも、ピスティオが手伝ってくれて、他に三人でっちあげる、という話になって少し落ち着いた。だってこれならいけそうな気がする。
それでも殺意はあるんだけど。というか、サイモンは殺す。と言う気持ち。]
早く夜にならないかしら…。
[そうしたら、人狼の力だってきちんと発揮できて、きちんと綺麗に殺してあげられるのに。]
あ、そうだ。
サイモンは殺すとして、
私が殺しても良ーい?
ちゃんと見付からないように、
確りとやるから。ね?
[信用できないと言われるとか、他に殺したい人が居るのなら、ちぇーと舌打ちのように言って諦めるのだけど。
各々の家の深い事情までは知らない。誰が誰を殺したとかも知らない。フワッとした事だけをしっていて、それに基づいて動いている。]
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