76 ─いつか、薔薇の木の下で。
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――……大丈夫です。 すみません。
[開く唇、泣きそうな顔は、眉を垂らしたまま、 されど、今ある理性を確かにしようと、そんな言葉を吐く。*]
(111) 2013/03/25(Mon) 21時半頃
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この苦しさ、わかってくれるのは、
君だけだよ……。
[それは、いつのまにか、彼自身の言葉だけではなく、
薔薇の言葉にもなっている。
枯れたまま、終わるのは、嫌だ。
また、あの花を咲かせたい。
美しく、そして、甘美なあの想いを……。]
君だけだ……。
君がいないと……。
[細い指は、もがくように、
唇は、浅い息を繰り返しているかのように、開ききらない五分咲きの薔薇のように…。]
ぅ……ん
[入ってくるな、これ以上、香りはいらない
懸命に拒絶しようとするけれど
酔いは拒絶の仕方を忘れてしまったよう。
ヤニクからそらした目は熱で秋空を写す湖面のよう。
もう耐えられないくらい理性はぎりぎりで。
月の下で暴いた体の感触が手に残る。
あぁ、かなうなら、もう一度触れたいと
伸ばされた指に応えるように
夢の中で自分の指も絡ませる]
…欲しいのに。
ああ
欲しいなら、
摘み取ってしまうかい?
[薔薇の囁き。
それは甘美な欲望を否定しはしない。
その伸ばした指は、きっと彼の身近な人からも伸ばされたような幻影。
薔薇は、咲き誇るために、
吐息をこぼす。]
――……
摘み とる…?
…何を、どういう……
[息が上がる。目の前のヤニクの熱と薔薇の香りの熱で
逃げ場のない感覚。
潤んだ目はその水滴を零す]
熱い、よ…たす け…
[どうすれば熱は収まるのか。
どうしたら、このやり場の無い感情はきえてくれるのだろう]
[助けを求める響きに、
薔薇ではなく、彼自身が眉を寄せた。]
ああ、
壊したくないんだね。
[指先、それは、眠る子を宥めるように…。]
――……君を慰めてあげる。
僕なら、いくら壊されても、
構わないよ……。
[優しく、語りかける。]
君の大事な人は、
大事にして………?
[その言葉はどう響くだろう。
だけど、深い意味はない、そのままの意味だ。
大事な人がいるのならば、
大事な人は、大事に………。
欲望だけで、何かを壊してしまいそうならば、
壊れてもいいものを壊せばいいと……。]
僕のことは壊してもいいんだよ。
むしろ、僕は壊れることを………。
[薔薇とは違う、願い。本当は見えない、未来。
美しくありたい。枯れてしまいたくない。
そこは同じなのに。]
ブレンダは、目を伏せ、項垂れた。
2013/03/25(Mon) 23時頃
───……ぁ、う…… !
[熱と理性と、大事な人と薔薇の声。
持て余してどうしようもない感情と
それでも失いたくない大事な友人と
満ちる香り薔薇が脳裏を壊してしまったよう。
悲鳴のような声は悲痛で、けれどやはりどこか甘やかで
助けてたすけてタスケテ
辛い。熱い。苦しい。
けれどどうしていいのかわからない。
ずっと人に頼ってきた代償。この依存心の塊は]
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――…はい
[何か着たほうが、というオスカーの言葉に頷いて、クローゼットに視線を向ける。]
大人しく寝てます。
[オスカーが上着をとってくれたならそれを羽織って、寝台に上半身を埋める。]
というか、悪いこと、かもしれません。 欲望を持つということ、 神は、それを美しいとは思わないでしょう。
リンチ先輩のように、気高く、優しくはなれない…。
[寮で、何かといいながら、みんなの面倒見がよかったオスカーのこと、 比べるべきではなくても、日陰者には眩しかった。]
(127) 2013/03/25(Mon) 23時頃
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ああ……
つらいなら、
薔薇の木の下にまた、おいで。
[苦しげな声に、薔薇は甘やかに…。]
――……いくらでも、君を慰めてあげる。
いいえ、愛してあげる……。
だから、今は、おやすみ?
[そんな慰めを。]
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そんなことはないです。 ああ……。
[上着をかけてくれて、 髪を撫でてくれる。その仕草に、ため息がでる。
だけど、行ってしまう、その言葉に、自身の見をぎゅっと掻き毟るように寄せた。]
(132) 2013/03/25(Mon) 23時半頃
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……卒業、おめでとうございます。
[華やかな、お別れパーティの日。 遠くから、行ってしまう彼らを見ていた。 皺の目立つ肌を晒したくないと、必要以上に着膨れをして……。
その中でも、とくに、輝いてみえたオスカーの姿。 そう憧れの中に…。]
(133) 2013/03/25(Mon) 23時半頃
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ありがとうございます。
[薔薇の香りは、彼の背を引きとめようと、香るだろう。 だから必死にそのあとは、息を止め、唇を噛み締めて、布団の中、潜り込む。 その唇に血が滲み、きれても、
まだ、そこに理性はあった。]
(134) 2013/03/25(Mon) 23時半頃
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僕も、苦しいから……。
[ひとりじゃないよ、と。
依存には、依存で答え…。*]
ブレンダは、新緑の眸を隠すように、目をぎゅっと閉じた。*
2013/03/25(Mon) 23時半頃
妻 ブレンダは、メモを貼った。
2013/03/25(Mon) 23時半頃
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[扉が閉まる。 同時に、心の中のシルヴァの部分が悲しげに窓を閉めたよう。
美しさを手に入れても、 薔薇の芳香を香らせても、
寂しさは消えず……そう、本当は寂しくてたまらないこと、告げられず……。 閉じこもる心に、薔薇は微笑む。]
ああ、そう、眠っておいで。 君は眠っておいで。
[薔薇は笑う。]
(140) 2013/03/26(Tue) 00時頃
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ブレンダは、むくり、身体を起こすと、羽織った上着、袖を通して…。
2013/03/26(Tue) 00時頃
妻 ブレンダは、メモを貼った。
2013/03/26(Tue) 00時頃
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君は眠っておいで。 大丈夫、甘い快楽だけは君に届けてあげる。
そう、君は、それがいいだろう? 枯れて、誰にも振り向いてもらえないより…。
枯れる前に、花を咲かせて、 そして、僕のかわりに散っていくんだよ。
[金色の髪は月明かりにまた輝きを増す。 そして、白いシャツ、にスラックス、靴は履かずにまた軽やかに。]
(142) 2013/03/26(Tue) 00時頃
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― 薔薇の木の下 ―
[軽やかに踊るようにたどり着いたのは、 さっき組み敷かれた薔薇の木の下。 そこで、唇をぺろりと舐めて、薔薇の木に口付ける。]
―――……ああ
[そのまま、佇んでいると、影がよぎる。 それが、誰か、薔薇は知っている。
端正な文字は誰でもよかった。]
(143) 2013/03/26(Tue) 00時頃
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――……サイモン……。
[そして、その名を読んで、また細い手首、指を伸ばす…。]
(144) 2013/03/26(Tue) 00時頃
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[そこに、眠る子の姿はあったか。
いずれにせよ、シルヴァではない、薔薇は、サイモンにも彼にも微笑む。
そして、おいでと、手を差し伸べるのだ。]
ブレンダは、薔薇の木の下。サイモンの手に指を絡ませて…。
2013/03/26(Tue) 00時半頃
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