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[無論、聞かずとも、誰が殺したのかを知っていた。]
[抱きしめるリンダ(
……ふぅ。
[その瞳は、恍惚の色を帯びた。]
[恍惚に酔う声なき声が囁く―]
…偽の占い。大変、結構でございます。
もとより老獪狡猾なるルパート様の策略…
若輩のわたくしが、口をはさむ余地はございません。
ええ…ええ…
大変、結構でございます。
[子飼いの"ヒト"がしくじろうと、切り捨てられるだけのこと―]
ただひとつ…これだけは事前に申し上げましょう。
『リンダお嬢様は、わたくしの"もの"――』
骨の一欠…
肉の一片…
血の一滴にわたって
わたくしのものでございます。
それさえ守っていただければ……
ええ、どうぞ…あとはご自由に……
[返って来たこたえ
あーあ。残念。
[それは心からの言葉だった。
残念だ。そうすれば少なくとも、無事にここからは逃げ出せただろうに。]
[ああ…忌々しい…
なんと忌々しい…
心労も、心傷も、恐怖も、絶望も…
お嬢様を壊してしまう。
お嬢様の"肉質"を落としてしまう。]
へへ……っ
[占われても疑われても大丈夫。
それはきっと、とてもいいことだ。生き延びられる可能性が上がる。笑みの気配伴って掛けられた声
とおい昔に、声なき声で呼びかけられた時と同じように。]
でっち上げ…でっち上げか。
なあ、でっち上げたら上手く切り抜けられるかな?
切り抜けたら、前と同じように暮らせるよな?
占い師は優先的に出られるらしいし……
[悪くない気がする。
でっち上げ。が、村の誰かを殺すに至ることまでは、気の回らないまま。]
構わないっスよ。手伝いましょうか。
えーっと……。俺っちが占いをしたらいいンすよね?
それで助かるってなら、お安い御用だ。
[いつもの雑用を引き受けるノリで、軽く笑った。
![]() | 【人】 洗濯婦 ベッキー[パティと手分けして水を配る。皆思うところがあるようだ。ずしりと重たく感じる空気の中、それぞれに、「大丈夫?」「しっかりね。」などと小さく声をかけ、許されれば肩に触れる。もしかしたら声はかすれて聞こえにくかったかもしれない。 (138) 2018/07/26(Thu) 01時頃 |
止してくれ。
ジジイなことは認めるが
策略なんて大げさな話じゃあない。
連中の言いたいことと、
おれたちの言い分の間をとりたいだけさ。
[ロイエに首を振り、ピスティオに頷く。]
手伝ってくれるか?
ありがとうピスティオ。助かるよ。
ああ、今日からおまえが占い師。
よろしく頼んだぜ。
そうなりゃあ、
おまえを優先的に外に出してやれるかもしれない。
おれたちにとっても願ってもないことだ。
ロイエが腕によりをかけて育ててきた娘さんだしな。
言いたいことはわかる。
なにせ、いいにおいがしているからな。
なるほど、高級な肉ってのは違うもんなんだねえ。
[どこか冗談めかしていう。]
……じゃあ、リンダお嬢様に
おれたちが手を出さないかわりに、
ロイエはおれたちのお願いごとを
守ってくれるってのかい?
[そうじゃなければ、そのお願いごとを聞く理由はどこにあるのだろう。]
[老獪狡猾と称した宿屋の獣から、声なき声が返った。
我を通す"対価"を払え。
温和な声色の奥に、冷たい思惑が見え隠れする。]
……
[どのような無理難題を要求されるか。
先のピスティオが脳裏をよぎる。]
……それで『血の契約』が交わせるのであれば…
はい……御二方の願い…なんなりと…。
[屋敷の獣は、いつもとかわらぬ冷たい口調で返した]
[結社に邪魔されるわけにはいかない]
![]() | 【人】 洗濯婦 ベッキー[倒れたリンダと、彼女の告白を思う。取り乱したイヴォンの様子を思う。久方ぶりに現れた男の訳知りの言葉を思う。どう考えたって普通じゃあない。ぐるぐると巡る思考が、口からぽつりと溢れる。隣にパティがいるものの、それは誰に宛てるともなく発せられた。] (153) 2018/07/26(Thu) 13時頃 |
![]() | 【人】 洗濯婦 ベッキー[ぶん、と一度首を振る。考えるべきことと考えてはいけないことの分別がつかない。手元のグラスに水を注ぎ、一気に飲み干す。勢いよくカウンターにグラスを置けば、グラスの底がコンと音を立てた。] (154) 2018/07/26(Thu) 13時頃 |
ー リンダの個室 モンドが去った後ー
[ベットの上で弱々しく寝息を立てるリンダの頬を撫でながら、思案する]
······。
[ピスティオが能力者を偽り、身代わりの3名を結社に差し出す。ルパートは、適当に差し障りのない人間を選んで指示するだろう。ピスティオは口が回り、周囲からの信頼も厚い。問題ない。
真贋の効くサイモンは、今夜にでも始末する。“本物”の能力者が邪魔になるようならば、これも始末する。スージーならば、ぬかりなく息の根をとめるだろう。問題ない。
気がかりなのは、ルパートが要求する“お願い事”だ。資産か、利権か、はたまた育てたあげたメイドたちの肉か······。なんにせよ、弱味につけこんでくるのは想像に難くない。
だが構わない。取り返しばいくらでも効く。]
[屋敷の獣は強欲だった。
自らの手を汚すことなく、愉悦に耽溺することを好んだ。今はただ、こうして美しい乙女を愛でるだけでいい。それで万事がうまくいく。
このとき、屋敷の獣は迂闊にも軽んじていた。リンダが口走ったうわ言(
[ーだがもしも]
······。
[“お嬢様”の頬を撫でる手が止まる。
同胞たちへの猜疑が首をもたげてくる。
もしも、交わした約束が違われるようなことになれば。
違えなければならない状況になればー]
(······お嬢様の血肉はわたくしのもの···
誰かに奪われるくらいならば、いっそ···)
あ〜〜〜〜〜も〜〜〜〜〜〜〜〜
ヤダ。
やだやだやだやだ。
ヤダ〜〜面倒にも程があるわよ。
もういっそ、全員殺したい。
そしたら、あ〜、駄目ね、バレバレだ。
それくらい私でも解るわ。
あ。っと、ごめん、ごめんごめん。
リンダには手を出さないわよ。
私はどおーせグルメとは程遠いし、
肉の味の違いなんて解んない。
誰が食べたいとかないもの。
[言った後に、(
[少し前のはなし、]
どうして作っておかなかったの…。
まあこんな事態あるとは思わなかったけど。
[隠し通路の話(
でっちあげ、かあ。
それが一番楽かしら。
狼役を三人、結社に引き渡して?
私たちは逃げおおせる。
お任せするわ。
ピスティオなら疑われても人間だし。
問題ないもんね。頼りにしてる…。
[疑われ一発アウトの我が身を思うと声もうだうだしたりしていた。正直ここは頼るしかないし。]
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