97 wicked ROSE 【ハジマリの五線譜】
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[――…バアッ!]
[緋色の鎖を取り巻く、夜色の羽が、別たれし再会の刻に吹き荒れた。 その瞳に映るのは、唯の人間の少年だとしても。 その身に零れる『アルト』の旋律。 夜色の髪、緋色の双眸、嘗てその背を飾り付けた夜の羽。 己にしか視えぬ筈の、罪過の鎖を抑えるその少年に、天使の面影が浮かんだかも知れない]
(252) 2013/10/01(Tue) 14時半頃
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[罪縛りの片翼と裏切りの片翼が今再び出会う。 罪と罪の旋律が再会する、それは人の世は災いの音律と看做すだろう。
北天に煌く、歌蓮の森が枯れ行く、ゴートリンゲンの旋律。 滅びの序曲の様響くそれも、取り様には、散り行く葬送の調和《ハーモニー》。
世界に満ちる楽曲は、明るい光に満ちた長調の旋律のみではない。 暗き闇に揺蕩う短調の旋律もまた、流れるべき美しき旋律のひとつ。
指揮存在は世界を流れるあらゆる正負長短の楽章に聴き入る。 世界が壊れぬ限り。 指揮存在は無意識に流れる旋律達の《聴衆》として在る]
(253) 2013/10/01(Tue) 14時半頃
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[少年の左腕を戒める、緋色の鎖は、淡い光と緩やかな音色を流し。 耳元を流れる、不協和の訪れを感じさせる旋律を、《聴き入り》続けていた**]
(254) 2013/10/01(Tue) 14時半頃
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[痛い暑い寂しいお腹すいた苦しい勝ちたい悔しい大嫌いだ死んでしまえばいい眠い憎い嬉しいあれが欲しい強くなりたい負けたくない憎たらしい踏み潰してやりたい眠たいお金持ちになりたい熱いうるさい悲しい息ができない助けて休みたい腹減った消えてしまえ死にたい旅行したい優しくして帰りたい掃除して美味しいものがいい靴が服がほしい寝たい喉が渇いた早くして黙れ寒い苦い昨日に戻りたい安くして助けたい愛してる]
うるさい黙れうるさい黙れうるさい黙れうるさい黙れうるさい黙れうるさい黙れうるさい黙れうるさい黙れうるさい黙れうるさい黙れうるさい黙れうるさい黙れうるさい黙れうるさい黙れうるさい黙れうるさい黙れうるさい黙れうるさい黙れうるさい黙れうるさい黙れうるさい黙れうるさい黙れうるさい黙れうるさい黙れ
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[世界を流れる音律を《聴く》指揮存在は、あらゆる旋律を許容する。 それは正負長短、天使の詩声と罪禍の音色、世界の楽曲を。
生命の鼓動を曲げる、悪しき不協和音《ゴートリンゲン》すら。 それが世界を構成する旋律である内は、唯《聴き入る》。
だが、その旋律が、楽曲の調和《ハーモニー》を乱す時。 そして、音律が音色を為さぬ、雑音《ノイズ》として、旋律を塗り潰す時。
乱れ崩れる旋律達の中、指揮存在は、タクトを振り上げる――]
(274) 2013/10/01(Tue) 20時半頃
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[森の生命を崩し、千切り、枯らし行く音。 既に旋律ですらない、神経犯す雑音《エクス・ゴートリンゲン》を前に少年は戦慄すら覚えた。
不協和音に触れる傍に、音の意義を無くす雑音《ノイズ》。 森を抜け、女王の庭、いや、世界に溢れる楽曲を、丸ごと雑音《ノイズ》に変えようと塗り潰す様なそれ]
……く、お前…… ロバート、様、じゃない……?
[くら、と立眩みの様な感覚から立ち直り、向き直る先で笑う鳥。 緋色の鎖が、雑音に反応して緋い光を放ちだしていた]
(275) 2013/10/01(Tue) 20時半頃
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[朱い涙を流しながら笑う、不協和音の鳥と、少年の視線が交錯した]
…………遂げ……られ……?
[声すら歪に聴こえる中、少年はその鳥の言葉に、困惑を浮かべた。
咲いた、思慕。 実った、希望。
なんの、こと。
何も、少年には身に覚えのない言葉。 ロバートの身体を奪う、不協和音の鳥が、何の事を告げているのか、理解が出来ない]
(276) 2013/10/01(Tue) 20時半頃
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[然し、確かな事は、今の彼は余りに危険で、看過は出来ない事]
…………ッ。
まだ、まだ全然足りないよ
命の交響曲の終楽章は ちょっとまだ、先過ぎるかな
[罪禍の鎖に舞い散る夜羽は、少年の詩に呼応して、燐光を帯びる]
(277) 2013/10/01(Tue) 20時半頃
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≪ 亡魂葬送のレクイエム op4 ≫
ﻳﻮﺭﻭﻛﻮﻳﻴﻬﺎﻳﺎﺣﺎﺗﻴﻜﺎﻧﺎﺷﻴﻤﻴﻨﻲ ﻫﺎﻧﺎﻫﺎﺃﻭﺗﺴﻮﺭﻭﺇﻱ ﺗﻮﻛﻴﻬﺎﻧﺎﺣﺎﺭﻱﺭﻭ ﺗﺴﻮﻛﺎﻧﻮﻣﺎﻧﻮﺇﻳﺈﻳﻜﻮﺃﻭ
[旋律を雑音《ノイズ》に脅かす不協和音に暗色の詩。 唇から流れるアルトの旋律は、そう、≪滅衰≫の葬送詩]
(278) 2013/10/01(Tue) 20時半頃
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[生命溢れる、喜びや光の歌とは云えない旋律はしかし]
ﺳﺎﺁﻫﻮﺭﻭﻳﻴﺴﺎﺭﺍﻧﻤﻮﺭﻭﻳﻴﺘﻮﻳﻮ
ﺁﻧﻮﺇﻳﺰﻮﻣﻴﻬﻴ ﺇﻳﻤﺎﺭﻱﺗﺴﻮ ﻧﺎﺳﻮﺃﻭ
[駒鳥が唄う除曲《序曲》の"滅び"に、"滅び"の詩を重ねれば。 『滅びを滅ぼし』、駒鳥の呪詛に抗おうと戦う。 例え少年ひとりでは抗い難いかも知れない、ゴートリンゲンの旋律であろうとも]
(279) 2013/10/01(Tue) 20時半頃
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[散り逝く滅びを滅ぼすには、足りないだろうか]
グウェンドリンであって、グウェンドリンでない…?
[何者か掴めない、随分口調の偉そうな男から向けられた視線と呟き。 謎掛けにも聴こえるその応えに手が止まり、不思議そうな表情を浮かべる。
森の生命力が枯れ行くのを、彼が留めようとしている事は解る。 7拍、3拍、重なり合う音拍、然しそれも]
(299) 2013/10/01(Tue) 22時半頃
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[花弁が散り行き、蔦が枯れる、近づく森の死]
……はぁっ!? 諦めて尻尾巻けって云うの!
[確信付けて森の死を予測した声に、少年は思わず反発を表すが。 喰われる、奇妙な音の言葉回しに、ぎょ、と眼を剥いた。 それはこの死に行く森に食われるのだろうか。或いは。
駒鳥が奏でる、焉葬の除曲に――音に、喰われるとでも云うのだろうか]
(300) 2013/10/01(Tue) 22時半頃
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くそ、詩が聴いてない。
[然しそれは認めなければいけない様だ。 美しくも繊細な指を鳴らし、微笑む駒鳥の不協和音を、止められた感触は無かった]
……どうして、なんていわれても。 俺に、そんな心当たりなんて。 どこにも。
(307) 2013/10/01(Tue) 22時半頃
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[――――ほんとうに?]
[背中で、黒き背高の男の存在を何故か意識してしまう。 彼と邂逅した時、ひどく意識が痛んだ。 まるで、漸く正しい鍵を差し込んだものの、長年開かれず、酷く軋みをあげる扉の様に。
彼から紡がれる音色は、何処の言葉なんだろう 外国の物?いや違う、その響きはまるで、遥か昔に忘れ去られた音楽みたいに]
(308) 2013/10/01(Tue) 22時半頃
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[おいで。駒鳥のその音色に再び意識は眼前に返る]
……インク瓶に、違うインク。ね。 わかりやすいや。
つまりそれ、乗っ取られてるって事じゃないか!
[中に残されたロバートの意識に、希望は持てるのだろうか。 然し、今ここで彼に呼びかけが通じるとは、少し思えず。
引き際を見誤るな。要約すればそう、傍らで男が語る]
(316) 2013/10/01(Tue) 23時頃
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わかってたけど……。 やっぱり、俺には独りでこれらをどうこうする力は無いみたい。
[聴いてない。相も変わらず緑の色を消し去り逝く風景に、少年は歯噛みし]
おいお前の方は、何か手立てとか……。
……ッ。待って。 誰か近づいてきてる。
[駒鳥の声に導かれて、何かがこの近くに赴く音色。 《調律》の乱れた、音色の反響]
(323) 2013/10/01(Tue) 23時頃
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こいつ、無関心な奴――…
[男の、ロバートの意識にさして興味なさそうな様子に悪態を吐こうとした時。 流れる朱い涙と交わる、不協和音と駒鳥の求め《コール》]
――――……チェレスタ……?
この森にきて。 や、まてよ。
お前っ、チェレスタに何をするつもりだっ!!
[片隅に想像は存在したが、その求め《コール》で確信を得た。 共にこの森に飛ばされたのだろう、チェレスタを使い、何かをしようとしている、『ゴートリンゲン』に、少年は鋭い視線を向ける]
(327) 2013/10/01(Tue) 23時頃
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[やがて間を置かず、チェレスタの姿。 瞳が茫洋としている、焦点も定まらず、正気を失くしている]
――…チェレスタッ!!
[既に少年も、音色を増幅させるチェレスタの力は目の当たりにした。 あの偽鍵を開いた時ですら、あの有様。なら今度は…。 危機感と共に、少年の足はチェレスタと駒鳥の間を阻む場所へ駆け出す]
(329) 2013/10/01(Tue) 23時頃
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――…いっ!?
[真横を綺麗に抜けられ、チェレスタの姿は不協の呼び音に真直ぐと]
ふ、ざけるな!! 演奏てのは、そんな悲惨な旋律の為の物じゃない!
それに――チェレスタは、楽器じゃないっ!!
[当然の事、とチェレスタを楽器扱いする声に反発を示して。 もういちど。チェレスタを無理矢理引き戻す為に、その腕へ手を伸ばした]
(338) 2013/10/01(Tue) 23時半頃
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――そんな旋律、奏でたらだめだッ!
[表情の無い声、少年の事を映していない朧の瞳。 駒鳥から遠ざける様に、無理矢理チェレスタの腕を引いて、引き離した]
歌うなら誰でもいいの! お前自身の、嬉しいとか嫌とかはどうなんだよ!?
それ位なら、鍵盤は専門外で、ドへたくそな俺が弾く方がずっとマシだっ!
[間を空け、指示の様に言われた男の言葉に、従う様。 そのまま強引に、チェレスタの身体を遠ざけようと腕を引き始める。 長身の男、天使の様な風貌をした、彼はどうしていただろう]
(349) 2013/10/02(Wed) 00時頃
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[その時、少年は迸る黒曜を確かに視た]
……あ、の黒色……。 橋で見た、竜と全く同じ色した……。
――おいお前っ!まさか俺の服びしょびしょにした――…!!
[同時に奏でられだした旋律に、少年は口を閉ざす。 終焉を迎える、滅びの歌蓮。死の誉れ高らかに響く、消滅のグロリア]
(353) 2013/10/02(Wed) 00時頃
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[チェレスタを駒鳥から離そうと引く腕、それは]
……ッ うわ、ああっ!!
["楽器"に与えられしひとつの名。 駒鳥の音色が、"楽器"を呼び、"鍵盤"に触れた時。 強い衝撃と共に、少年のみが拒絶に弾き飛ばされた]
(357) 2013/10/02(Wed) 00時頃
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[弾き飛ばされる前、既に腕は振り払われていた。 拒絶された腕、色の無い眼差しに、微かに感情が覗いた筈なのに]
――――……チェレスタ……?
[確かに感情が覗いた筈なのに、チェレスタが少年へ向けた答えは。 拒絶。自我を無くした様子の時と、変わりもしない、拒絶。
何故なのか、理由も解らず。 少年は呆然と、既に草も枯れた荒土に、両手を付いて]
(359) 2013/10/02(Wed) 00時頃
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[世界の楽曲を破壊せぬ限り。 流れる旋律の調和《ハーモニー》を崩さない限り。
正負長短関わらず、あらゆる旋律を許容する、指揮存在の思想。 それが恐らくは最も、チェレスタの感じた答えに近い思い。
だが、唯その役割を罪の鎖に。 黒き光の色彩《キズナ》に共有した少年には遠い物。 駒鳥が奏でる、焉葬の除曲は認められない物としても。 チェレスタは求められる故に唄うのだろうかと軽い困惑を少年は覚えて]
(362) 2013/10/02(Wed) 00時半頃
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[思わぬ背中から、青年の声が耳朶を打ち、少年を混迷から叩き起こした]
……似非神父……っ?
[ハ、と我に返り、辺りの状況をふと見渡すも]
まず、い。 これ、俺、まにあわな――…ッ!?
[拒絶に対する、呆然とした自失が長すぎたと、少年は蒼褪める。 既に森の崩壊は加速を進め、チェレスタは虚構と不協和音囀る駒鳥の手に。 既に、滅びの狂想曲が奏でられ始めていた]
(364) 2013/10/02(Wed) 00時半頃
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[出口は?逃げ場、声の方向?距離、何歩分?]
戻れって、云われても……!
――…ッだめだ、巻き込まれちゃ…。
[戻るべき場所を認識し、逃げるにも既にその時間が足りない。 既に楽曲は奏でられ始め、森の死はすぐ近くまで。 大樹が死を迎え、ゆっくりと倒れ付す音を聴きながら。 もう間に合わないと悟る少年は、瞳を強く瞑り、両腕で身を庇おうとした時]
(375) 2013/10/02(Wed) 01時頃
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[強い衝撃と、耳元を通り抜けた気がした、『ﺗﻴﻨﻮ ﺭﻭ/テノール』の音色]
[身体が浮いたのは、突き飛ばされたのだろうか。 驚きに瞳を開いてしまった時、確かに自分の身体は宙空。
そして瞳には、視界沢山の、黒色の羽と。 その奥で煌く、射干色の瞳]
(376) 2013/10/02(Wed) 01時頃
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