158 Anotherday for "wolves"
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ふふふっ、あはははっ。
何て素敵なお遊戯かしら。
[高い笑いと、鼓膜を揺らす声。
お伽噺のひとつを読み聞かせるようにした後
甘く、甘く、囁きました。]
とやかく謂う人がいるのなら。
『山羊さんの仲間』を、食べちゃいましょう。
ね、私食べたい人がいるの。
[思い浮かべるのは───……]
[歌を自由に歌う姿。
導く声、か弱い姿。
守られる対象。
食べてしまったら、みんなどんな表情をするかしら**]
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[ラディスラヴァがどこまで聴いていたのか。 そしてそれをどう思ったのかはわからなかった。
駱駝色で即座に隠された色をぼんやりと思考で辿る。]
おはよう。大丈夫かい。
……別に……どうとも思わんよ。
[ぽつりと落とした言葉は彼女に聞こえただろうか。 静かな宿屋の一室に外の声がもやもやと響いてくる。 あまり、よい心地はしないものだった。
教会で見た地獄と。 人間達の射すような視線と。 ――それから。
ぐ、とたおやかな右手が添えられた細い首。 言葉を発する事に迷いがあるようだった。>>286>>287 空気をふるわせる事無く、唇が動く。]
(300) 2015/05/14(Thu) 10時頃
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……いや、
[「ありがとう」には短い返しを。 続いた言葉には返答に詰まる。 なにか 「なにか」。 ありすぎて困るくらいだ。]
……君は、教会で倒れていた。 教会の中は相変わらずだ。 片付けなくちゃならん。
サイラスがここに来る時手伝ってくれた。 グレッグもだ。 ルパートは…………。
[――あの血の匂いは、きっと家畜のものだと、 気のせいなのだと、思いたいのに (かつての友を疑いたくはないのに) 教会での大惨事が 彼の誤解させるような言葉が 思考を塗り潰していく]
(301) 2015/05/14(Thu) 10時頃
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……教会での事を聞いても、驚きはしていなかったよ。 妻の墓参りに行くそうだ。こんな時に。
[搾り出すようにそれだけ言うと、 落としていた視線をゆっくりあげて]
――声、出ないのか。
[問いかけた。*]
(302) 2015/05/14(Thu) 10時頃
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誰…?
[未だわからぬ会話の相手に
そして居もしないのにどこかから
しかし確実に届く声に
戸惑う。
そういえば…――と記憶を紐解く。
昨日、自分が父と会話していた時に
頭のどこかで男と女が会話していたような。
ぼんやりとどこかで聞いていた声
にいまだ思い当ることはなく。]
わたしを見張ってるの…誰?
[わたしの問いかけには知らんふりで
相手は尚も続ける
「子供には少し難しいかしら」と高圧的な
態度に何となくつまらなくて口をへの字に曲げて
頭の中の声に耳を傾けた。
高い女の声が紡ぐのは
まるで自分の持ってる絵本のようなお話。]
狼さんは悪気があったわけじゃないのに…――
ひどい話だわ……――。
わたしの持ってる絵本の話では
狼さんと山羊さんは仲良しよ。
[今――自分の読み進めた――のところまでは。]
[キンキンと響く声は頭の中だけでなく
鼓膜を内側からも震わせる。
それが妙に気味悪い。
それからお母さんが
ベッドで寝かしつけてくれる時のような
優しい、柔らかな声色で
悪魔のささやき]
わたし、仕返しが怖い。
そんなことしたら 怒られちゃうよ……。
[まだバレてない。本気でそう思ってる。
仲間? 突然ふたりの男女の声と
お父さんのもう一つの声。
わからない、わからない。
わかりたくない。]
お姉さんが食べたいんだったら
勝手にしたらいいわ。
わたし 知らないもの。
[彼女が食べたい相手が誰のことかなんてわからぬまま。
好きにすればいい、と無関係を装って。
ああ、少女が
「オンチョウ」の意味がわかる おとなならば。
ああ、少女が
ラディスラヴァの嫉妬の先を理解できる おとなならば。]
[少女は私に誰かと問いましたが
私はそれに返すことなく笑ったまま
見張る、という言葉にはまた更に笑みを深くしたでしょうか]
そう、酷い話でしょう?
元から仲良くなるなんて無理だったの。
狼さんは狼さんと。
山羊さんは山羊さんと、仲良していくべきだったのよ。
だって山羊さんは、狼さんが食べるごはんなんだもの。
[そんな一節が彼女の絵本の中にあるかどうかは知れません
まるで当たり前のことを次げるように。
幼さ残す少女へは、『酷い話』を続けました。]
仲良く暮らすなんてふざけたお話は、
絵本のなかだけに、しておけばよかったのよ。
[ふざけたお話?
そんなことない。]
[そう言いたいのに、言えない自分がいる。
だってオーレリアお姉ちゃんを殺したのは自分。
ぐちゃぐちゃにしちゃったのも自分。
ちょっとだけ食べちゃったのも自分。
そんな自分が
みんな一緒に仲良く暮らせるよ
なんて言えないことは
さすがの少女にもわかる。
だから、噤んだ口を固く結んだまま。]
…………。
仕返し?
ふふ、大丈夫。
そんなことするような『人』も
一緒に食べてしまえばいいのよ。
[それは言葉で連ねるだけならばとても単純な話です。]
『過ち』は正さなくちゃならないのよね?
牙をなくした狼と、
ただ食事をしただけの狼と、
どっちが『過ち』なのかしら。
[続く言葉は一族の手で…だったでしょうか。
牙無き奴等に制裁を、なぁんて大義名分を掲げるのも面白いかもしれません。]
───あなたは、私を止めないのね?
[例えそれが彼女の大切な友人であろうとも。
私は戸惑うこともせず食べて見せるでしょう。
知らない、と逃れようとする言葉にだけは
そっとそっと、微笑んで。]
いいえ、あなたは知っているの。
『知っている』のよ。
[止めなかったこと、それはすなわち肯定。
そう受け取った私は、黙った彼女の可愛らしい顔を思い出しながら
くすくすと耳を擽るような音で、笑っていました。]
さあ、他のお二人はどうかしら?
私を止める? それとも止めない?
他に食べたい『山羊さんの仲間』でもいるかしら?
[艶やかな誘惑は、他の二人へと届くでしょう*]
[聞こえる声に、ほんの少しだけ目を細める。
高い音色を彩る高慢さは、
彼女の気位の高さを思わせる。
高慢に傅くほど矜持は低くない。
嗜虐的な考えがうっすらと過ぎるもののそれは直ぐに消えた。
子供に向けての語り口が聞こえる。
彼女が語りかける相手はすぐに知れるから男は暫し無言のまま。
子供と称される彼女の途惑いと続く反応に耳を傾け、
二人の女性の話が済み、新たに声掛けられるを耳にとめ]
――…未だ決めかねている。
『邪魔』と思う者がいればそちらに傾くかもしれないが、
『恩寵』に対しては、キミに否を唱えるほどの思いいれはない。
[細められた目も
矜持も、消えていく考えも。
黙っていては伝わらぬこと。]
ふふっ、そう。
可哀想に、あの子は見捨てられるのね。
[唄紡ぐ盲目の小鳥。
彼女がきっと仲間だと思っている一人から、命を見限られたのだと知れば。
それはそれは、絶望に染まる表情をするのでしょうね。]
『邪魔』がいれば教えてね?
一人ずつ、邪魔者は消していきましょう。
私も手助けするわ。
だって、私たちは『味方』なんだもの。
[そうでしょう、と。
偽りの涙を横に流しながら、嗤います。
学者さんの謂う通り、普段と変わらぬ貌を張り付け。
その厚い駱駝のカーテンの下に、真紅の瞳を細めて**]
好きにするさ。
[それは丁度、意識を失って見えた彼女の枕元で
かつての友と呼んだ男に言い放ったと同じ、投げやりさで]
好きに、するといいさ。
[恩寵うたう小鳥を食わんとする彼女の声に応える]
[耳に残る、娘の歌声。
視えなかったものが───
そう歌った彼女の目に、今は何が見えるのだろう]
それがお前たちの意思ならば。
[構わないと告げる音は、やはりどこか諦めに似る。
”彼ら”を諦めたわけではない。
ただ、もっと違うものを男は随分前に諦めてしまった]
お前たちが──…生き延びる道ならば。
[同族を自らの牙にかけること、男はやはり選ばない。
艶やかな声持つ人狼の娘、この娘に言わせれば、
自分もまた充分に腑抜けの一員なのやも知れぬ。
そうと思えど、それを変える気とてなく]
…… 力持つ者の話を、聞いたことはあるかね?
[代わりに問うのは、若者らへ。
それが何か、どれ程のものであるのか。
男とて、詳しくを知るわけではないけど]
これまでは使われなかった力だ。
私も詳しくは知らん。
だが、以前耳にしたことがある。
人を食らう人狼を見抜く術持つ者の話を。
[視るは生者であるか死者なのか。
それすらも良くは分からない。
分からないまま、ただ警告のみを発する]
この村に今、いるのかも知れない…いないのかも知れない。
だが、気をお付け。
血は血の中に、用心して隠し切ることだ。
耳と牙、…醒めるのはお前たちだけではあるまい。
[最後の響きは案ずるように、諦めのようにどこか*暗く*]
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[ラディスラヴァの頬に涙が伝う。>>358]
[村医者はそっと目を伏せた。 咽び泣く声は聞こえずとも 息遣いが彼女の深い悲しみを伝えてくる。
オーレリアちゃんは>>355、と 唇の動きに、 それが教会で亡くなっていた女性だと悟った。 崩されてしまった均衡を思う。]
……。 [泣くな、とは言えなかった。]
それじゃ痛いだろ……。
[己の首を絞めるような仕草に、 彼女の右手をそっと首から外そうとしたが どうだっただろう。]
(378) 2015/05/14(Thu) 18時頃
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[それから]
この部屋は好きに使っていいと宿主が。 僕は行くよ。 ……何かあれば、気軽に尋ねてきてくれ。 喉のことも。
[それだけ彼女に伝えて、部屋を出ていく。 ──ぱたん、と扉を閉めた。
伏せがちにしていた琥珀の目。 掌を見つめ、強く握り、前を向いて歩きだす]
(379) 2015/05/14(Thu) 18時頃
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