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[今ならそれがどういった感情から来るのか分かる。
けどその当時は、数多の感情を嬉しいとだけしか分からず。
俺、タオルで風船作れるねんと少しはにかみ、
得意げな顔を髪の下からのぞかせた。]
[ 金魚みたいな反応だ
このまま鉢の中で買えたらなんて発想は
今は打ち明けることなく隠した。
二つしか変わらなくても彼は幼く
その癖して仕草ひとつひとつで
虜にしては離さないからタチが悪い ]
……分からへん。
でも、戻りたいような気もする。
会いたい子がおるねん。
[ 問いかけに答えたのは一言のみ
浮かぶのは至極当然に桜のこと。
少し寂しそうな表情を自覚しないまま
ふと首筋を撫でられて瞬きした ]
[今日は何をするのか
布団の中に潜り込んで待っていれば、兄ちゃんが飛び込んできた。馬乗り状態なのもおもしろくてきゃきゃっと笑い。そうして、頬にちゅっとしてしまった。
やって抱き着くのも好きやから。
単純な考えで重なった行動。彼の顔が赤いのに気づき
なんとなく落ち付かなくなるけど
代わりにゲームに向き合い]
……ん、ええよ。
[ 喉の凹凸を辿る手に擽ったいと目を細め
幼い口付けに柔らかな気持ちに絆されて
促すようにその頸を指の腹で撫でる ]
――んっ
[ どんな痕が残るのだろう。
瞼を閉じ待っていたもの終わらず
不思議そうに首を傾げて破顔した
ぁは……はは、っ
してもええけど、
[ もう一度吸いつこうとする彼を前に
ほんの少し考えた後、提案する ]
噛んだら、ええやん。
[ ココ。
晒したのは薄くついた鬱血の花。
ここに歯を立てるか?と尋ねた。
なぜ提案したのかは分からない。
だが、幼馴染は昔からよく甘噛みしてきたから
その仕草を思い出したのかもしれない ]*
…ほんま?兄ちゃんいっつもずるない?
[慌てたような彼を振り返り首を傾げた。
落ち付かない、けどさっきのちゅーはよかったと思う。咄嗟に笑う彼の顔を見ていたらなんだか胸のあたりがきゅんきゅんするのだ。其れは悪い感じやない。
やから、今日は負けへんでとガンバって。
でも――一回目は勝たれへんで。頬を膨らませ]
…兄ちゃん、ハンデ…
[結局強請ってしまう。
ハンデちょうだいって言うて、彼の良い事を。
目を閉じる兄ちゃんの目の前にたってちゅぅとするのだ。2つの歳分の高さ違い。背伸びしても届かないから、屈んでもらい。
ちゅっと唇に触れて
次は勝つでと顔を背けた。――ほっぺ熱い]
[兄ちゃんのお母さんが途中、ご飯を一緒にと声をかけてくれるまで。一勝ちは出来ただろうか。ご飯を食べ終わったらお風呂もどうやろうと
兄ちゃんが一緒に入ってくれる言うてくれから強請る。
その結果がどうなったのか、まだ
幼い自身はよく分かっておらず
――実は、今も良く分かっていないのは内緒の噺や*]
[逢いたい子、其れが俺なのかどうか
確かめるのは怖かった。
今、こうしているけどお酒だって入っている。
だから口から言葉は洩れず、夜はそうなんやと視線を臥せる事でしか答えられなかった。そして指先は彼の首筋を巡る。
桜の花びらのよりも濃い痕を。
残したら、彼の心にも残るやろうか]
[許しの声に頷き、唇はおそるおそる向かう
擽るような指先の撫で方に緊張を崩し
唇は、彼の其処へ吸い付いた。ちゅぅちゅうと頑張って目を瞑る彼に素敵な花を贈ろう。そう思ったのに、上手くいかず。
もう一度を提案するのは情けなく
……っ堪忍。
あ。 ぅ
[堪忍、もう一度。
ええよと心よく
こくんと息を飲む、吸う吐く]
…いたない、それ……
[噛んでいいのだろうか。
昔からの癖で、好きなものを噛むという癖が俺にはあった。兄ちゃんのほっぺに思わず噛みついたのは一度や二度じゃない。けど子どもの力。甘噛みでしかなかった。けど、今噛みついたら。
――痕が残るまで噛んでしまいそうで
躊躇い、迷う視線が落ちる]
……少しだけ、少しだけやから
そんかわし…俺も 噛んでや。
[彼の痕が欲しい。鬱血よりも赤いものが。
ゆっくりと手を伸ばし、腕を絡めればもう一度。薄い花の上を舐めて歯を添えて、甘く柔く一度噛んで、痕が着かない事に気付けばもう一度。
今度は先ほどよりも強く、はむっと噛んで]
…あ、できた
[ゆっくりと唇を離せば、花が出来た。
いや花というよりも歯型だが、其れでも咲いた其れに顔をほころばせ、できたでできたと喜んで、すぐはっとした。そして慌てて指先で其処をおそるおそるなぞり、彼を見る。]
いた …ない?
[痛いならどないしよう
傷なら舐めたら治るというけれど、でも治したくない。俺の痕を彼にのこしていたい。おろおろとしてそれからぎゅっと抱き着いた。
離れたくなくて、何もかも戸惑って助けを求めた*]
[ 彼が輝く理由が自身の愛情を貰う為なら
いくらでも、注ぎ続けたいとさえ想う。
彼に触れれば触れるほど離したくないと
強く願うようになり、向けられた依存
たまらなく心地よくて執着の糸が増す。
触れられずに焦らされた身体の一部は
同性のものでありながらも
服を纏っていようとも
男の劣情を煽るものであったから
ピクニックに心温められようとも
移動距離を長くしようとは思わなかった。
本来ならばホテルを取るか家に誘うか
彼を初めて抱く場所に
浪漫や安全性を考えるべきだったが
あまりに熱を上げすぎて―― ]
[ 心優しくて、愛しくて、甘え上手な彼が
熱狂的に渇望する姿は酷く蠱惑的だ。
深い場所まで満たされたいと訴えかける声と
寄り添いたがる舌を貪るように絡ませる
彼の口内は甘くて、溶けそうなくらいに熱い
――まるで花を味わっているようだった。
蜜が甘くて美味しいと有名なツツジの花さえ
彼と比べればただの背景に変わってしまう。
月の光にすら愛された青年から溢れる涙は
まるで夜露のように輝き、陶酔を誘う。
ふやけそうなくらいに睦み合わせた唇に
一度吸い付いてから顔の向きを少し傾け
彼の目元から溢れる塩水を啜ろうか。 ]
[ 若手の部下とそうも変わらない肉付きであり
彫像のように筋肉を有した身体ではない。
ましてや、豊満な胸も存在せず
腰が括れている訳でもない。
なのに――彼の肢体は芸術品のようだった
羞恥と興奮の狭間に身を置き慎ましくも淫ら。
彼の性別が男であると主張する肉竿は
愛されたい、潤いを注いでくれと誇張し
天に広げて恵みを求める花の葉にすら見えた。
そして、花の蜜は小川のように彼の肌を伝い
臀部の狭間をしっとりと濡らしているのが
指で探れば直ぐに分かった。 ]
[ 桜の花びらよりも濃い痕を
手繰り寄せるようにすれば得られるのか。
何度も挑戦する姿
たかが痕くらいいつか消えるのだからと
そんな言葉を告げたら傷付けると思えた。
恐らく、今だからこそ、意味があるのだ。
全ての酔いが覚めてしまった後の事を
考えるよりも刹那に生き延びる為 ]
分からへん。
誰かに噛んでなんて言うたことない。
でも……お前ならええかなって。
[ 忘れたくないと思ったのはきっと、
酒や桜が魅せた未知の感覚かもしれないが
この気持ちに嘘などはなかったから ]
ええよ。
[ 噛んで噛まれて、その後に何が残るのか。
そんな未来など月篭りすればいい。
しかし叶わぬ事を知っているから息を詰め ]
――っん、
[ 微かな鈍痛
痛くないとは言えない。
だが、心配そうに見る眼差し
抱きつく頭に手を伸ばして撫でた ]
独占したいって言うたん、お前やのに。
そんな事心配してどうすんの。
[ あほ。
存外甘い声で伝えるもの今度はこちらだとばかりに
彼の金色の髪を耳に引っ掛けて首筋を撫でる ]
痛いけど、でも欲しいんなら我慢できる?
[ 裏を返せば欲しいから我慢したのだ。
それを今打ち明けるのは照れが混じり出来ない。
代わりにひっつく子犬の髪を指で梳きながら
ひとつ優しく問いかけた ]*
[ ――何もかもを、見つめて。
全てを愛おしく想う。
誰にも開きたがらない貞淑な蕾そのものなのに
唯一の庇護者に己を選び花弁の奥を晒したがる
純愛とエロチズムを交配して生まれたような彼は
見つめているだけでも全身を燃え上がらせる。 ]
たまらないな。
[ ゆえに、我慢がならない。
忍耐は不可能だった。 ]
……ずっと?
[ 自慰しか体験が無さそうな綺麗な色合いの男性器。
それに、男を知らずに閉じている肉門。
清らかな肉体を持ちながらも触れられたいと、
――ずっと、乞われていたなんて。
愛おしく濡れた眼差しをしかと見返し、
彼の言葉を噛み締めるように反復する。
揺らぐ腰つきは淫靡な妖獣に出会ったかのよう ]
俺も、こうしたかった。
俺の知らない君を、全て見てみたかったんだ。
それに――見るだけじゃなくて。
[ 勿論触れたいし、
触れるだけでは足らない熱を交わしたい ]
[ 望む声に頷き、彼から溢れる淫液を指に絡め
貞淑な門へと指腹を擦りつける。
絶えず決壊する透明の露に助けられ
潤いを何度も足しながら、皺を柔らかくしようと
小刻みに揺らしては、表面を愛撫して ]
此処――段々熱くなってきたよ。
中にも、挿れてみようか。
[ 中指――…
短く揃った爪から指先までを緩慢に差し伸ばす。
縁を超えたとて窮屈な体内は
安々と広がる兆し無く、少しだけ考える。
同性と寝る方法をもっと勉強しておくべきだったか ]
…大きく息を吐いて。
苦しめる気は、無いんだ。
[ 彼の胸板に頬を寄せ、舌で尖りを愛しながら
指は陰門の方に押し入る事に集中しながらも
掌をうまく使って陰嚢をマッサージする。
陰茎を愛撫すればもっと力は抜けるのだろうが――
彼の掌に重ね、指を絡ませる。 ]
ほら、俺が居るよ。
君を――…一輝だけを、可愛がりたい俺が。
怖がらなくて、いいからね。
[ 極力優しい声を出すように意識しながら言い聞かせ
少しずつ中指を奥へと潜らせていこうと。
抵抗感を強引に捩じ伏せる真似はせず
浅い場所を何度も擦り、開花を待ちながら慎重に *]
[何時か消えるなんて分かってなかったのかもしれない。
何度も挑戦してでもうまくいかなくて、もう一度って
彼に求める。その結果が、噛むという方法。
――残るのだろうか
お前ならと言ってくれた声のように彼の心の中に。
了承の言葉に導かれて、歯は彼の首筋に立った。赤い花が咲く。
抱き着けば、彼のぬくもりを感じ]
… やって、やって
傷つけて もうた 、あ…ほちゃうし
[確かに独占したいと言った。
けど痛みの声を聞いてしまえば慌てるのも仕方ない。
耳にひっかけられる際少し擽ったいと唇から笑いが漏れ。彼の手が首筋を撫でれば気持ち良さに眼を閉じて、彼に抱き着いたまま。
少し―――間を拡げ]
……うん。欲しい。
[こくんと頷いた。
欲しいから我慢した。
指で梳かれてこくんこくんと何度も頷き。
首筋を晒す、噛んでほしいんやと、優しい問いに
眼を明けて彼を見る。そうして少しのぞけり
腕で彼の後頭部を引き寄せて]
此処に ……
[頂戴。と自らの喉を晒して――痕を欲しがる*]
[ 失敗に怯えるのは次の機会はないという諦念。
それ程まで臆病な自分なんて知られたくない。
虚勢を張ってはいるもの、
そんなもの彼の前では容易く崩れた ]
傷ついてへんけど
傷物になったんやったら
責任取ってくれるん?
[ へらっと笑いながら口にした。
その割にこんな乗り気な言葉がするりと溢れ
それが本心からのものだったから驚いた。
内心の驚愕は表に出さないよう努め、
晒される白い首筋
なあ……、……全部、
[ 俺ものものになればいいのにな。
そんな言葉を口にする前に噛み付いた。
彼のする甘噛みとは違って
容赦なく、名前のつけられない思いの丈を
今全て注ぎ込んでしまうほどに肩まで抱いて
唇を離す。
労わるようにうっすら滲んだ赤を舐めて
襲いかかる狼のような表情で
それでして口付ける唇だけは柔いまま ]*
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