246 とある結社の手記:9
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つまり、ほんとーに、 どういうこと?
もともと占い師って、二人いたの?
[めんどくさいめんどくさい。そんな声色が滲む。]
もういっそまとめて殺せばいいんじゃない??
なーんて、そしたらピスティオが危ないか…。
ど〜〜〜しよ。
まあ実際、そのあたりみーんな人間なんだけどさ。
狂人だって。
結社員とどっちがあたまおかしーってのよ。
[その呼び方に、そんな言葉を。]
― 回想:投票による処刑の説明直後 ―
……なんですか、これは?なんなんですか?
なにが起こっているのですか?なんなのですか、これは?
占い?投票?処刑?
……結社。
結社、結社、結社。
するのですね、そこまで!
人狼を…我々を……本気で根絶やしにするのですね!
百の狼を刈るために、万の人間を吊るすのですね!
なんと……
なんと……おそろしい……
『人間め』!!
― 現在 ―
スージー……スージー、スージー、スージー……
落ち着いてください。
化粧が落ちてしまいますよ。
…状況は説明可能。
要は、"庭師"と"老婆"、どちらかが占い師を偽っている。
自身と占った相手を救うため。それだけのこと……。
[今朝がたみせた自分の激昂振りを完全に棚上げして、スージーをなだめる声なき声がひびく]
[キッチンにたどり着いて、ルパートは、堪えていた笑いをおおいに発散することにした。]
あっはっはっはっは。
[心底おかしいという、朗らな笑いである。]
あっはっはっは……あっはっは。
いやあもう、あぁわるい、わるい……
なんだか、牙をもらって喜んでるようにみえちまって。
[人々の話し合いが。大いに盛り上がっているさまが。結社員が当然のように閉じ込めた人間を殺したそうなのが。]
なあんだ、おれたちゃ仲良くできるよなんて
おれは思ったのさ。
おまえたちは、あいつらが嫌いかい?
いやあそれでいいんだ。
[ふう、と一息つく]
うん、うん。
狂人たぁ随分な呼び方だよな。
[はー、可笑しい。といいながら]
なに、そうカリカリしなさんな。
おれたちの殺しの手伝いをしてくれるそうじゃあないか。
スージーも、食ってるときの開放感に比べちゃ
どうにも人任せすぎてつまらんだろうが、
その投票用紙で一日に二人も殺せるとおもって
たのしんじゃあどうだい?
[ぶり返してきた笑いを堪えながら喉を震わせた。]
― キッチン ―
……笑いごとではございません。
[キッチンからの笑い声に、たまらず足を向けてしまった。
いささかムッとした顔を"宿屋の獣"に向けていたが、
続く言葉()に思わず笑みをもらす。
やれやれ、と首を振ったあと。]
とはいえ、これは……いささか困りましたね。
このままでは、運悪く我々の誰かに票が集まり……
などと言うことも……。
……いかがでございましょう。
ここはひとつ、意志を統一して、皆で同じ名を記すなど……
…ちょうどさきほど、勇敢なる少年()が口にしておりました。
……"魚屋の婦人"…ワンダ、と。
[嫌いかい?と尋ねてくる声に()]
……邪魔にさえならなければ、ええ…
好感をもてる方もいらっしゃいます。
これは、人と獣にかかわらず……
……そうでなければ、ええ…
…まぁ……大変不本意ではございますが…
[空中で片手をわきわきと掻くように動かし、
"ぶっ殺す"のサインをして見せた。]
― キッチン ―
[ロイエがやってくると顔をあげて"笑いすぎて出た涙をぬぐった。"]
うん、うん。そういうこともあるだろうな。
場合によっちゃあ、食われるぜ。くくくくっ
……ああだめだ。
どうにもおかしくって。
[ロイエの提案に、ルパートは頷いて]
おれもそれは、おまえらに頼もうと思ってたところでな。
なに、名前を書く場所なんてありゃしねえ。
紙ペラ一枚に名前をかきゃいいなら、
黙って票をあわせられるだろうさ。
ただまあ、勇気に突き動かされて、
「おくさん、あなたをあしたころします」なんて
わざわざ言っちまったマリオにならって
みーんな「このひとをころします」なんて言い始めたら
おれたちが揃って同じ名前を書いてることは
バレちまうかもしれないが。
どうだい。
何か理由の一つくらい考えておかなきゃいけねえかな。
ふくくくくっ……、はぁ……
[共鳴りの声に言葉が漏れたのは、
意図してのものではない。
出来たらよかったのにね。と、
そういう感情と、
──誰の名前だって、書きたくないよねえ。と、
そんな気持ちとがまじりあった結果だ。]
それとも勇敢なマリオ少年が、
うっかり人を殺しちまわないように、
人殺しにしないように、
別の名前を書いてやるのが
人の情ってもんなのかねえ?
[可笑しそうにそう訊いた。]
…… ローザスから、褒章ねえ。
使えるかな?
[── どうだろう。怪しい気はするなあと、
そんな風には思われたけれど]
[()ロイエの手には"ぶっ殺す"サイン。]
あっはっはっは。
いいんだ、おまえはそれでいい。
[ロイエのその様子で、結局人だろうと獣だろうと、殺されるのはいやなもの。平等とはこういうことかと目が細めるのだった。]
[ワンダに投票する理由()について、思案する風に首を傾いでから、冗談とも本気ともつかない口調で言た。]
このような理由など、いかがでしょう?
……『"魚"が嫌いだから』
[気遣う風な口調で茶化す声()に]
はてさて……なんのことやら……"人殺し"?
……いいえ、処刑されるのは『人狼』でございますれば……
マリオ様は、オオカミをこらしめた勇敢な子供となりましょう。
……
……
おや、どこかで聞いたお話でございますね。()
[――それこそが、
彼女を"嘘つきの娘"にしないための、唯一の方策である。
ただし、――もう遅いのだ。
人の身の親ならば、そう思えたのかもしれないが。]
あっはっはっは。魚ね。
おまえにきいたおれがばかだったよ。
そうだな、じゃあそれで、勇敢なマリオは
オオカミをこらしめた勇敢な子供。
………
てことは。
そいつを狼だと言ってやる必要があるってわけだ。
どうだいロイエ?
マリオくんが殺した人間が狼だったと。
おまえはいえそうかい?
[キッチンから出ていくロイエに声をかける。()]
……さて。
さて、さて、さて……。
いかがいたしましょう。
今宵の"新鮮なお肉"は、誰にいたしましょう?
"庭師"ノア様?
"渡船"ユージン様?
"掃除人"ラルフ様?
……。
彼らは村の外より訪れた方々。
むしろ"人狼候補"が適役かと。
差支えなければ、このロイエ、提案がございます。
本日の晩餐にいかがでしょうか?
パトリシア(パティ)様
…もしくはベッキー様のお肉などは?
……もちろん、ただの提案でございますれば。
決定権は、ルパート様、スージー様にございます。
どうぞ、ご自由に、お心が向くまま。
ですが、その道の者として保障いたしますが……
お二人は"絶品"でございます。
[投げかけられた問いかけ()に対して、すこし思案する。
結社はなぜ、処刑した者をオオカミだと断定できるのか。
処刑した者の皮をはぐのか、腑分けするのか。
それともほかに方法があるのか……
『霊能者』――
結社にそう呼ばれる判定士のことについて、ロイエはまだ知らない]
……結社からのメモを確認して参りましょう。
ええ、手がかりさえあれば……方法はいくらでも……
……。今日の新鮮なお肉の話をするにゃあ
もうちょっと、
イヴォンとノアの話をしなきゃあならないか。
イヴォンはピスティオに人間。
ノアはラルフに人間。
ピスティオはマリオに人間。
こういったわけだ。
イヴォンは自分と同じ「占い師」を
ラルフとピスティオは「関係ない人間」を
占った形になるよなあ。
[ラルフじゃなかった、ノアだった。と、わらって訂正する。]
わるいな、ノアとラルフは
しょっちゅう"つるんでいる"もんだから。
[途中、ロイエにメモを確認してくるといわれてルパートは、うんと頷いた。]
そうしてくれ。
リンダお嬢様がじっくり読んでたのを察するに、
随分事細かに書いてくれてるみたいだぜ。
[霊能者。――占い師と並び立って出た名前。
最初は、霊能者だの占い師だの、同じようなものを集めていると感じた。
インチキや詐欺まがいで儲けを得る筆頭のようなもの。似たようなものだが、結社は「占い師」と「霊能者」を別々にとらえている。
これらの違いとはなんだ?最初聞かされた時に、そう思った。
霊能者。
この名前の示すところは、つまり「霊」を見聞きすること。霊とは死んだ人間だ。さて、結社員は人狼を殺すために、人をも殺す準備があるらしい。……詳しいことはわからないが]
……おれの想像が本当だったら、
悪趣味がすぎるが。
[しかしまあ、結社員はボカしたのだ。ご丁寧にも霊能者について「こちらは…まあ、能力の説明は省くが」と。]
…………。
パトリシア。お願いがあるんだけど。
…… ちょっと耳ふさいでるってできる?
オレはやってみたことなくて、
できるもんだかわからないんだけど。
… できなかったら、聞き流してくれる?
[そう言ってから、少し間をおいて聞こえるのは──
あんまり情けない、ただの泣き言だ。]
あ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜……
きぃっつい。
やだなーーーーーーーーーーー!
すごく
… ものすごくイヤーーーーーだなァ…っ
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