人狼議事


158 Anotherday for "wolves"

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  せんせ、 …ありがとう………。

[ わたしの声を聞いてくれて。 ここまで来てくれて。
             彼を連れて、きてくれて。]

 




[おとこの声が返ってきたのはおそらくその時]

 


 ベネット……?
 本屋のベネット…。

[聞いたままに繰り返して]

 うそ…――。
 じゃあもしかして、お姉さんの村に住んでる人…?

 じゃあ本当に村の人を殺しちゃうの…?
 どうして…。

[どうして。
理由はずっと話していた。
なんとなく話が理解できるようになってきた。

思い出せ、思い出せ。
彼らはなんと言っていたか。]


[少女の反応から
正体に気付いていなかったのだと確信する。]


――…お姉さんに名を訊いてみるといい。
きっとキミも知ってるひとだ。

全部、村での話だよ。


[屠ろうとするのが誰なのか。
それを導き出すとすれば彼女自身。
どうして、の答えは綴らず、
村の人を、という言葉を肯定する応えを。]


 あーら、奇遇なこと。
 いつも守られているお姫様。

 自分から食べられに来てくれたのかしら?

[くすくす、くすくす。
高く澄んだ声は、目の前の二人へと落ちました。

偽りの涙で腫らした瞼を抉じ開けて。
奥に光る真紅は、瞳孔を細めて獲物を見つめます。]


 誰…――?

[あなたは誰?]

 誰…――?

[殺されちゃうのは…誰?]


そうだな。
…ああ、メアリーはかくれんぼの名人だ。
きちんとそのまま隠れておいで。

なあに、心配することはない。
ここに居るのは、みんな味方なのだから。

[弾むような娘の声に返るは、父の声。
優しい声色で安堵させるように告げる言葉は、
ひょっとしたら己のためでもあっただろうか]


[ベネットの軽口が響く。
聡い青年だと、内心苦笑した。

確かに、先の言葉に男は自分を入れてはいない。
入れずとも良いと思っていた。

彼ら──族長に従う者らは、犯人を捜すだろう。
犯人を見つけずにはいられぬだろう。
ならば自分が。その時には彼らの盾になろうと]

おやおや。

[けれど口に出す音は別のこと]


私がそう簡単に死ぬように見えるかい?
これでも、伊達に年を重ねてきたわけじゃない。


……そら。
誤魔化すのだって、充分お手のものさ。
だから、大丈夫だよ。

[そんな言葉で、彼の気遣いをはぐらかす]



────…

[やがて聞こえて来た、彼女の声
急がなければと、それには応えず、男は黙って空を見上げた*]


 ──見捨てられた、可哀想なあなた。

[それが誰と知らないから、容易く見捨てられ
得るものの為か、失うものの為か
犠牲に払われるであろう命の灯火
投げやりに放たれた、見捨てる言葉]

 ああ、そうそう。
 私もこの村の一人。

 誰かわかるかしら?

[それでも少女に名前を告げなかったのは
ただの意地悪のつもりです。
隠す気など毛頭ありません。
誰かが口にすれば、それはそれとばかり。]


 誰か、わかるかしら?

[そう、私は一体誰なのか。

私が、誰を殺すのか。

『知らない』と見捨てたのだから。
あなたに教えるつもりなんてないけれど。]



[楽しそうに 歌を歌っているように
頭に響くのは意地悪な言葉。]

 ……わからないわ。
 わたし、あなたみたいな意地悪な人
 会ったことないもの……。

 きっと家を締め切って
 厚いカーテンの奥で暮らしてる人ね。

[それにしてもやたらと
“見捨てられた”という言い回しを使う。
よほどわたしを 悪者にしたいのか。

自分はもっと酷いことを言ってるのに。]

 わたしは…わたしは違う。
 わたしあなたたちみたいに意地悪じゃないもの。


 意地悪?
 ふふっ、そうね、その通り。

[それは歪んだ私には、褒め言葉にもなるものでした。]

 そう、たった一人の部屋の中で
 カーテンも開けず、暮らしているの。

[よくわかったわね、偉いわと。
それもまた高圧的な態度なのでしょう。
くすくすと微笑めば、先ほどまでの『味方』の会話を
なぞるように話し始めました。

独り言のようなものです。
つらつら、つらつらと。]


[あの時の老いた男の口振りには気付いていましたが
私はその言葉にだけ、わざと何も返しませんでした。]

 人を食らう人狼を見抜く術、
 かくれんぼ、ねぇ。

 いいんじゃない?

[何がいいのかまで口にしないのは
これが独り言のようなものだからでしょう。]

 素敵な『楽園』の為にも
 見つけたら食べてしまわなくちゃいけないわ。

[まるで何も考えていないような言葉を落とします。
軽い調子には、軽い調子で。
耳につくのはころころと鈴の鳴るような笑み。]


 あなたが持ってるの、それ。

[ちんけな銀の薔薇細工。
悪避けのつもりかしら、銀なんて。
古い伝承よね、狼人間には銀が効くなんて『逸話』。

まるで死を呼ぶ花のよう。
これを下げられた『人』は、次々に死んでいくの。
そんな物語があっても面白いわ。

私は首元を見つめながら、くすくすと嗤っていました。]

 いいえ、なんでもないの。
 気にしないでお姫様。

 ああ、私たちのことなんて『視え』ないのだったかしら?

[くすくす、くすくすと。]


[だって可笑しくて仕方がないのです。
涙が浮かんでしまうほどに、愉快で仕方がないのです。

死んだと判れば
すぐにでも過去として処理してしまう、彼女(マーゴット)が。
すぐにでも過去として処理されてしまう、彼女(オーレリア)が。

可哀想ねと呟くのは、小さく。
『味方』にも届かぬ音で、唇だけを動かしました。

今宵、私に食べられるあなた(マーゴット)。
彼方が死ねば、みんなあなたを過去にするでしょうね。

それって、ああ、なんて。]


 滑稽なのかしら。
 
 


[幼い彼女とすれ違うことができたなら。
私は醜い唇を、ニタリと歪ませて見せたでしょう。]

 ごきげんよう?

[別れ際にそんな挨拶を落としたのは
意地悪な私が、また意地悪に。
声の正体を教えるためでありました。]


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