212 冷たい校舎村(突)
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[ それだけは、絶対に 嫌! ]
(23) 2017/03/14(Tue) 00時半頃
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[私は、走って逃げ出しました。 無理矢理渡された連絡先は、 どうしようもなくて、今でも机の引き出しの中。
母に会った事は、 級友には勿論、父にだって、言えません。 無かった事にしようと、何度思った事か。
けれど、この顔がある限り、私は忘れられません。 あの"女"の、汚れた血が、この身に流れる事実を]
(24) 2017/03/14(Tue) 00時半頃
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[だから私は、"女らしさ"を棄てたのです。 少しでも、"アレ"から遠ざかる為に。
少しでも、真っ当な人間に、近付ける 様に、]
(25) 2017/03/14(Tue) 00時半頃
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[そんなの無意味だって、解ってるのに*]
(26) 2017/03/14(Tue) 00時半頃
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[ 俺が死ぬより、 このひとが死ねばいいと思った。 ]
(27) 2017/03/14(Tue) 00時半頃
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[ ……そう 思った時が 幾度もあるって 言ったら、 クラスメート は、 俺をどう 見るんだろう。 ]
(28) 2017/03/14(Tue) 00時半頃
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― 回想:文化祭の空き間 ―
[ 髪を整えてくれた入間が、 なんだか 気遣うような言葉を …言って くれる、 から。 ]
「 ……見たくないわけじゃないんだ 」 「 むしろ 見たかったし、 隠そうとしてるわけでもない、けど 」
[ 笑う橘を真似て、笑みを作ってみる。 …転入した時よりは、張り付いてないといい。
接客する橘の方を見やって、 「ほんとにあいつ 笑うよなあ」って 相槌を ぽつ ぽつ。 ]
(29) 2017/03/14(Tue) 00時半頃
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「 …… 前髪、私だけが触るって 切るって、 何年も言われてる人がいて、なんか それがずーっと残ってた 」
「 ほら、…俺って愛されちゃってるから? 」 [ ―― なんだろうな。
否定 とも 違うけれど 見たくないわけじゃないんだって、 こどもみたいに主張したくて、 そればかりが先に立った。
たぶん これも、 俺らしく なかったんじゃないかな。 適当に躱しておけばいいのに、馬鹿だなあ俺。 ]
(30) 2017/03/14(Tue) 01時頃
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── 夜:3年3組へ ──
[ 教室に戻ったころには、 眠るための準備が成されていただろうか。
俺は、自分の席に戻って、 ああ、そういえば、ブレザー貸したんだって、 きれいな文字>>2:544を見つめて、思う。 ……気まずいな とも、思う。
それでも、これは、 ”喧嘩中”ってわけじゃないと、 思ってもいいのだろうか。
ふたつ、お礼みたく置かれた飴玉。
もう、みんな寝支度をしていたから、 またあとで食べようって、 ブレザーのポケットに、忍ばせた。]
(31) 2017/03/14(Tue) 01時頃
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[ それから、みんなに混ざろう。
暗幕を見て、なんだよこれ って、驚こう。 光が眩しい と文句を言いながら、 みんなを追いかけるように、寝支度をしよう。
並べられた寝袋 に、少しだけ強張った頬を、 めいっぱい緩めて、みんなの並ぶ端にもぐりこもう。
お邪魔します。 外から内に入るときのまじない。 心の中で、呪文のように、唱えて。**]
(32) 2017/03/14(Tue) 01時頃
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[ …口の中が 乾いている。 持っていたペットボトルの水で、唇を湿らせて。 ――冗談交じりに、 それこそ、笑うしか知ってないみたいな、 あいつのように。俺は言っていたんだ>>30。
たぶん、冗談はへたくそだった。 入間の反応はどうだったんだろう。 なんか こういうことを言うのに やっぱり恐ろしさが勝ってしまうから、
―― 今でも、後ろに "いる"ような。 そんな錯覚に陥りかける から、 差し出された手も ごめんなって断って。
誤魔化すみたいに 橘のもとへ行った* ]
(33) 2017/03/14(Tue) 01時頃
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―眠る前:3-3教室― [>>2:561元賀に疑問符つきでも]
……いない、か ぁ
[>>2:505 理一の言葉に、溜息緩やかにひとつ。 思うのは、3階のマネキン、片付けると向かった人たち。 天ヶ瀬が帰ってきたときも、おかえり、と。そう言って。]
もー、びっくりした。 そりゃ油断もするよ、しかたないだろー
[>>2:541と、理一に笑って。緑茶を受け取った。 こういうところ、本当に彼は凄い、と能久は思う。 >>2:532暗幕作りの手伝いも、遅ればせながら手を伸ばす次第。]
…堆のほうが、背が高くて届くよねえ……
[小さく苦笑。でも、見上げる角度は嫌いではないのだ、秘密だけれど。]
(34) 2017/03/14(Tue) 01時頃
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[ …寝言 が、聞こえるんだ。 鬱陶しいほどに聞いた 英語 の 寝言。 ]
(35) 2017/03/14(Tue) 01時頃
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[ …えとさん。 九つ上の、俺にとってたったひとりの "おんな"。 初対面が葬式だと勘違いするほどには まともに会ったことがなかった気がする。 ―― 海外生活 楽しかった? 飛んで帰ってきたくらいには 父さんと母さんのことが …きっと 大事だったんだろうけど。 ]
(36) 2017/03/14(Tue) 01時頃
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[ 失ったものを取り返すみたいに 俺のことを、ずうっと 何年も 束縛なんて言葉が優しく思えるくらいに ―― する、のは やめてくれよ* ]
(37) 2017/03/14(Tue) 01時頃
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― 翌朝:3-3教室 ―
[ チャイム よりも なによりも。 耳に入ってきたのは 認識したのは、 ―― "寝言"だったから 午前八時五十分。 古部通は 飛び起きた。 ]
(38) 2017/03/14(Tue) 01時頃
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―― っ、!? ……? [ 前髪の下から教室を見渡して、 ―― 違う、ここは 学校だ と。 ぼんやり認識すれば、 思い出すのは今までの、こと。
昨日、あのあと。 天ヶ瀬を見送って、飯を食って、 それから、 教室に来た入間>>2:537に制服を渡して、 …寝袋に入れば、そのまま 今。
寝袋がこすれる音が、 暗幕内で小さく響く。 それ以上に 自分の荒い息が、煩い。 ]
(39) 2017/03/14(Tue) 01時頃
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[ …ここで 気づく。 聞こえてくるのは 寝言じゃあ なくて、 …囁き 声>>14、? ]
(40) 2017/03/14(Tue) 01時頃
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[ 笑い声から泣き声に。 それからさらに 囁き声に。 …なんだこれ、って そんな顔を隠しもしなかったけれど、 それでも 隣の保田>>32を起こさないように、 ゆっくり ゆっくり 深呼吸をして。 ……顔 洗おう って、 妙な倦怠感の残る身体を動かして、 外へと** ]
(41) 2017/03/14(Tue) 01時頃
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―眠る前:3-3教室―
[>>2:561元賀に疑問符つきでも ただいま?と謂ってもらえたのはよかった。 気づいていないかもしれないけれど、そういうところはきっと]
うん、元賀は意外と「いやしけい」、だと おれは思うな……
[3階から、堆と、保田と、入間がもどってくるまでは>>31留守番しているように、起きていた。戻ってきたなら、安堵したような笑顔を浮かべて*]
(42) 2017/03/14(Tue) 01時頃
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寡婦 パピヨンは、メモを貼った。
2017/03/14(Tue) 01時頃
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[男らしい、とか、女らしい、とか。 どうして、そんな言葉が生まれたのだろう。
女らしい男とか、男らしい女が居ては、いけないのだろうか]
(43) 2017/03/14(Tue) 01時半頃
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――回想:かくしごと――
[物心ついた時には、既に母は居なかった。 父さん曰く、『事故で死んだ』、らしい。
父さんは、いつも俺に、こう言っていた。 「強い男になれ」、と。
父さんは、俺に男らしく強くあってほしいという思いからか、よく“男らしい”ものを勧めてきた。 キャッチボールやランニングに俺を誘って体を鍛えさせたり、一緒にスポーツ観戦に行ったり、戦隊ものを見せたり、少年漫画を買ってきたり。
でも、俺が、好きなものは。 どうしようもなく惹かれたものは。 それらとは、全く真逆のものだった。]
(44) 2017/03/14(Tue) 01時半頃
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[ふわふわしたもの。きらきらしたもの。かわいいもの。 魔法にお花、甘いお菓子。
そんな、“女の子らしい”もの。
でも、そういうものが好きだというと、父さんは苦いものを食べた時みたいな顔をした。 戦隊ものより、その後の魔法少女のアニメを見てみたい、と言ったら、「それは女の子が見るものだ」と言った。
周りの男の子は、父さんが勧めた戦隊ものや少年漫画、スポーツが好きみたいだった。 自分と趣味が合いそうなのは、いつも女の子の方だった。
確か、保育園を卒業するくらいまでは、女の子と一緒に遊んだりしていた、と思う。 でも、小学生になって、だんだん女子の集まりに近づきづらくなって、でも一人でいるのは嫌だから。 せめて男子に仲間外れにされないようにと、話題に合わせる為だけに、対して好きでもない漫画やアニメやスポーツを見るようになって。]
(45) 2017/03/14(Tue) 01時半頃
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[そうしていつからか、女の子らしいものが好きだということは、隠すようになった。 周りに合わせるために、父さんに嫌な顔をさせないために、そうするしかなかった。
でも、隠していても、好きでいることは止められなくて。 父さんに隠れてお小遣いで買った、可愛らしいキーホルダーとか、綺麗な飾りとか、きらきらしたお姫様が出てくる絵本とか。 そういうものは、まとめて自分の部屋の押し入れの奥に隠した。 そういうものを集めて眺めている時が、一番楽しくて、自分らしくいられる時だった。
そんな俺の隠しごとが、2回だけ、バレてしまったことがある。]
(46) 2017/03/14(Tue) 01時半頃
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[一度目は、小学5年生の時。 その時一番仲が良かった男友達が家に遊びにきて、ジュースを取ってこようと、1度自分の部屋から離れて、戻ったら。 友達は、押し入れを開けて、そこから取り出した可愛らしい猫のキーホルダーをぶらぶらと揺らしながら、
「なあ、なんでこういうの、隠すみたいにしておいてあんの?」
と、聞いてきた。 俺は正直、期待した。 今まで隠してきたが、こいつなら受け入れてくれるんじゃないかと。 好きでいることを、認めてくれるんじゃないかと。 だから、正直に話した。「実は、こういうのが、好きなんだ」と。
そうしたらそいつは「ふぅん」って言って、それから、]
(47) 2017/03/14(Tue) 01時半頃
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「男のくせに、気色悪ぃ」
(48) 2017/03/14(Tue) 01時半頃
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[ああ、ほら、やっぱり。 隠さないと、だめなんだ。
多分こういうのも、捨ててしまった方がいいのだろう。 好きでいることを、止めてしまった方がいいのだろう。
でも、俺にとって、それはとても、難しいことで。 結局ずるずると、その隠しごとを続けてしまった。
ぬいぐるみを買うなんて出来ないから、それなら作ってしまおうと、初心者用の本を買って下手くそながら作ってみたり。 ケーキ屋さんに入りにくいから、それなら作ってしまおうと、お菓子作りの本を買ってまずはクッキーを焼いてみたり。 手芸だけじゃなく編み物にまで興味が湧いて、気づいたらピンク色のマフラーが出来上がっていたり。
そうして、どんどん押し入れの中身が増えていった。]
(49) 2017/03/14(Tue) 01時半頃
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[中学生の時、こういう、女の子らしいものが好きなことを“少女趣味”と呼ぶことを知った。 ――あまりの似合わなさに、笑ってしまった。
父さんには……親父には、多分バレていないと思う。何も言ってこなかったから。 親父に勧められた柔道部も、ちゃんと入って、真面目にやっていたし。 まあ、結局、柔道が好きでやっている人の中に、柔道が対して好きでもない自分が混ざっていることが、どうにも居心地が悪くて。高校では続けたくなく、家事をやるからと説得して、高校は部活に入らないことにしたのだけど。
その説得をする時は、少し、緊張した。家事なんて女の仕事だ、お前は部活をやれと言われるんじゃないかと。 まあそれまでも父と分担してやっていたこともあり、杞憂に終わったのだけど。]
(50) 2017/03/14(Tue) 02時頃
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[そうして、隠れて趣味を続けて。 “2回目”が訪れたのは、高校3年の、文化祭が終わってからだった。
親友と言い合うくらいに仲が良かったけど、高校入学と同時に地方に引っ越していった奴が、「今から健士郎の家に行くから」と半ば強引に押しかけてきて。 部屋の物勝手にいじったりするなと警告して、お茶を取りに部屋を出た。
やるな、と言ったら逆にやるような奴だって、どうしてあの時の俺は忘れていたんだろう。
部屋に戻ったら押し入れが開いていて、そこから色々なものが見えた。 うさぎのぬいぐるみ。猫のキーホルダー。表紙にお姫様が描かれた絵本。手編みのマフラー。裁縫セット。お菓子作りや手芸、編み物、花言葉の本。 他にも色々、とにかく“女の子”って感じのものたちが、顔を覗かせる。]
(51) 2017/03/14(Tue) 02時頃
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[どうしよう。どうしよう。 無言で、無表情で佇んでいる親友が何を言うのか、怖くて仕方ない。 でも、とにかく、何か言わないと、って、焦りながら口を開いた。]
……い、っ、今まで、言わなくて、悪かったな、その、実は、そういうのが……すき、で、 でも、その、言ったら……もしかしたら、気持ち悪がられるかも、とか、嫌われたら、って、思って、それ、で……
[そいつは、まるであいつみたいに、「ふぅん」って言って。 それから、口を開いた。]
「俺、別に健士郎がこういうの好きでも、気持ち悪いだなんて思わないよ」
(52) 2017/03/14(Tue) 02時頃
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