241 The wonderful world -7days of KYRIE-
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[ その男の碧色は、深く底まで凍った湖── と、]
(199) 2018/05/16(Wed) 01時半頃
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──回想として:花と王子──
[ ファーストフード店のバニラシェイクを ちびちびと啜りながら、仁衣奈は思った。
思ったけれど、口に出さなかったのは、 仁衣奈が口を開く間もないくらいに、 向かいに座っている友人が言葉を発していたからだ。
仁衣奈はそれに「 ふうん 」とか「 そうだね 」とか あんまり気のない返事をしては、 定期試験前の課題にカリカリとシャーペンを走らせた。
3年前、だったと思う。 中学の友人が”王子様がいる”って、 モールの中、花屋向かいのファーストフード店に 足繁く通うようになったのは。]
(200) 2018/05/16(Wed) 01時半頃
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[ 夢見がちな少女らの学び舎と、 それまで仁衣奈のいた世界との違いは 憧れを内に求めるか、外に求めるか。
──だと、仁衣奈は後になって思った。
ああいえ、人気の先輩であるとか 部活のスーパースター、”モテる男”なら 3年前の仁衣奈だって知っていたけれど。
でも、”王子様”だなんて、 そんな呼び名を与えられたりしないでしょう?]
(201) 2018/05/16(Wed) 01時半頃
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[ そんな理由があって、 仁衣奈は”花屋の王子様”を知っている。
放課後、友だちとおしゃべりをしたり 一緒に課題や試験勉強をするのが 教室や図書室から、すこうし外に移っただけ。
きっとたくさんいた”ファン”の女の子たちの グループにまぎれているひとりが、仁衣奈。
ふつうの中学生でしかないくせに 突っ立ってたって目立つ仁衣奈は、 ”遠巻きに眺める”ってのも なんだか居た堪れなくって、 ノートやプリントばかり見ていたけれど。]
(202) 2018/05/16(Wed) 01時半頃
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[ ……なんで、足繁く通うのが花屋じゃあなく 向かいのファーストフード店だったんだって?
”ふつうの中学生”のお小遣いじゃあ 花なんて、母の日くらいにしか買えやしない。
”お店によく来る制服”が黒いのだって、 きっと同じ理由だ──とは、閉じた花園の王子様の弁。*]
(203) 2018/05/16(Wed) 01時半頃
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──南エリア:いちご横丁──
[ ──あ、こっち側の人だ。 とニーナは思って、なんだか無性にほっとした。
まったく、本当に! ”成る程”じゃないんだよなあって、 頭を抱えたいって感じだったものだから。]
── あ、ええと、春風、さん?
[ はい、私めこそが壁見上げてた人。
けれど、そんな素振りも見せずに ( 見せないように! )
ニーナは落ち着いた仕草で振り返って、 それから、「 余裕です 」というふうに微笑んだ。]
(204) 2018/05/16(Wed) 01時半頃
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──ニーナです 彼女は、パートナーのジリヤ
大事、といってもいいのか 昔、よく来たものですから
お騒がせしてしまって、すみません 道具を持ってきてくれたんですね ありがとうございます、シュンタロさん
……お借りしても?
[ 一緒に掃除を、という誘いを 断る理由が、ニーナにはなかった。
礼をひとつして、作業に加担しようと。**]
(205) 2018/05/16(Wed) 01時半頃
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許婚 ニコラスは、メモを貼った。
2018/05/16(Wed) 01時半頃
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──南エリア:いちご横丁──
[ 武器を投げ捨てたジリヤに、 ニーナはほっと胸を撫で下ろした。
最終的には粉塵爆発という想定外のワードが 彼女を納得させたようなのは少し不本意だったが。
粉塵爆発、というと 台所にあるもの──例えばコーンスターチとか! ……のイメージしかなかったニーナは、 スプレーか何か? も関係するんだなあと 別の方向に感心して頷きもしたけれど。
奇妙な発想をするひとだと 黒髪の男>>211を見やって──、ええと?]
(239) 2018/05/16(Wed) 19時半頃
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[ ……何か過ぎった気がしたけれど、 とぼけた表情>>225を見たときにきれいに忘れた。]
(240) 2018/05/16(Wed) 19時半頃
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[ それよりも、 前回のミッションが話題に上るのを見て、 ニーナの意識はそちらに持っていかれた。
けれどひとまずはするべきことがあるから、 シュンタロに断って、掃除用具を借りる。
……ニーナも、掃除は得意だった。 それは”淑女の嗜み”というよりも、 地面にこびりついたガムを剥がすとか 煙草の吸殻を拾い集めるとか、 それこそ、落書きを消すであるとか──、
……どうしてだか、さっぱり分からないけれど。]
(241) 2018/05/16(Wed) 19時半頃
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[ シュンタロに借りて、スプレーを吹けば モップで壁を擦るたびに落ちていく緑に、 どことなく、爽快感さえある。
……便利な代物だなあ と、 声に出さなくとも感心しながら、 無心に手を動かしていく。*]
(242) 2018/05/16(Wed) 19時半頃
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許婚 ニコラスは、メモを貼った。
2018/05/16(Wed) 19時半頃
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[ ニーナは壁を見上げて、 高い位置から汚れを落としていく。
……黒髪の男が行ってしまった以上、 どうやらこの場で一番の長身はニーナだった。
であるからして、 ( あっ…… )という空気>>243の理由も 薄々察して、ニーナはなんてことない風に微笑む。
お気になさらず、あるあるですから。]
(250) 2018/05/16(Wed) 21時頃
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[ 気まずさからか、それとも元よりの性質か。
シュンタロと名乗った男は、 手を動かしつつも言葉をかけてくる>>244。
ニーナはすこぅし首をそちらに向けて、 やはり手を止めることはなく答えた。]
──ああ、有名だよね
[ さらっ と、口から出た言葉は 聞きようによっては嫌味だなあと、 声に出してから、ニーナは思った。
それから、うっかり敬語を忘れた、とも。 どうにもこの男のペースに乗せられていけない。]
(251) 2018/05/16(Wed) 21時頃
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[ 憧れた、という言葉には、 思わずクスクスと笑いを零して、] ”憧れた”って……女子校ですよ 入学しようがないでしょう
[ 二人がかりで作業を進めたからか、 緑色は残す所あともう少し、といった風。
ちらりと掌のタイマーを見やったが、 まだ少しくらい時間は残されているよう。
だからニーナも世間話に応じるが如く、 問いかけには、頬に笑みを残したまま答える。]
(252) 2018/05/16(Wed) 21時頃
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そうですね、元々知り合いです 一緒に生徒会をしたり── ああ、でも
これは、ジリヤには内緒ですよ 彼女、忘れているようなので
[ ちょうど、一区切り拭き終えたところだった。
モップから片手を離して、 しいっと、口の前に人差し指を立てる。]
……そういえば、貴方のパートナーは?
[ なんて、今ようやく気が付いたもので。*]
(253) 2018/05/16(Wed) 21時頃
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[ とぼけた言葉──と言われても、 単にそんなもの、ニーナの世界にはなかっただけだ。
シュンタロが吹き出したそのとき、 ニーナはきょとんとした顔をしていたんだろうし
その理由>>265を知って、ああ成る程と やっと自分の認識のズレにも気づいたんだろう。]
……なるほど ああ 私には縁がなかったものだから、 抜け落ちてた、な
[ ニーナにとっても、 この制服は嘗て憧れだったから。
なんて、言い訳になるかも分からないけれど。]
(272) 2018/05/16(Wed) 22時頃
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[ ニーナはすこぅし居た堪れなく、 目を逸したりも、していたけれど、
シュンタロの言葉>>265が、 ふと途切れて、再度相手に視線を向けた。]
……良い奴かは、どうかな だけど、フェアじゃないだろう
[ 気遣っている、つもりはなかった。 それに、続く言葉に今度はニーナが笑う番だった。]
(273) 2018/05/16(Wed) 22時頃
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──まさか! それこそ、”とぼけてる”よ、シュンタロさん
あの子には敵わないよ、本当に ……背中を預けられる、良いパートナーだ
そりゃあ、失くしたものもあるけれど、 それは貴方も、他の参加者も同じ──、
[ ……です。と、ニーナは付け足した。 どうにも、この口調で敬語というのに慣れない。]
(274) 2018/05/16(Wed) 22時頃
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ワレンチナ──ロシア系、 外国の方なんですか
……連絡、つくといいですね 今頃きっと、ここに駆けつけるために 一生懸命走ってるところ、とかですよ
[ 緑色は、壁からあらかた消えていた。 ニーナは満足げにそれを見やって、]
──ああ、少しスッキリした ありがとうございます、シュンタロさん
あとはあっちの洗剤──、 …………なんだか、向こうが騒がしいな
(275) 2018/05/16(Wed) 22時頃
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[ ひとつ礼をした後に、 ジリヤと花屋のお兄さんをちらりと。 作業の進捗はいかがだろう。
それから、ニーナ達が入ってきたのと逆方向、 門のあるほうに、視線を投げかけて──、]
……私、少し様子を見てきます この分なら”お掃除”は問題なさそうだし
[ 何かあったのだろうか、と。 足を音のするほうへ向けて────、*]
(276) 2018/05/16(Wed) 22時頃
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許婚 ニコラスは、メモを貼った。
2018/05/16(Wed) 23時頃
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……まあ、少しお転婆なところもあるけど 私が格好付け、というのも、そうだね
[ シュンタロの言葉>>281を受け、 ふふ、とニーナはまた笑った。
けれど、これも秘密ってふうに、 笑うのと同時にまた人差し指を立てて。]
確か、そうだと思うけれど ヴァレンティヌスあたりから引いてるんじゃないか? 詳しくはないけど、そういう綴りだった、はず
……ジリヤも、 ロシアの方の血を引いてるらしいから
[ すこうしだけ、知ってるのだと暗に。 マカセロ、と軽い響きに、ふっと笑って。]
(292) 2018/05/16(Wed) 23時頃
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……任せた! *
(293) 2018/05/16(Wed) 23時頃
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──南エリア:いちご横丁──
[ たたたっと小さく足音を響かせて、 ニーナが門の側へと駆けつけたとき、 そこは既に交戦の真っ只中>>271だった。
小さな女の子>>255と、 血まみれの女>>237──、と 思ったとき、ニーナは人知れず ひっと小さく息を呑んだ。]
(294) 2018/05/16(Wed) 23時頃
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[ なんで血まみれなんだろう、とも思ったし やっぱり、死人の世界ってホラーなんだとも。
”セノオさん”の噂を聞き、入学して暫く 学校のお手洗いは使わなかったニーナには あまり優しくない世界のようだった。
( 別にセノオさんは花子さんみたく トイレの住人ではないと知ったのは ちなみに、随分あとのことだ。 ) ]
(295) 2018/05/16(Wed) 23時頃
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[ それから、先程駆けてった黒髪の男。
彼の戦い振り>>271を見て──、 ニーナはまた、小さく「 あっ 」と呟きかけて 何かがこぼれかけたみたいに、口元を抑えた。
──消防士さんだ。 と思って、
成る程、粉塵爆発。と合点がいった。 といっても、ニーナはその瞬間まで 消防というとバックドラフト現象くらいしか 思い浮かぶものはなかったんだけれど。]
(296) 2018/05/16(Wed) 23時頃
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──回想として:消防団──
[ 地域の消防団を仕切っているのは、 商店街の男たちだった。それも、熱心に。
”大会”が近いらしいから、 最近は”練習”で忙しいみたいだ。
……と言っても、中学の友人は 「 なにそれ? 」という口ぶりだった。 という記憶があるが、仁衣奈には身近なものだった。
年に何度かだけ、消防団の演習訓練に 消防士さんが”指導”に来てくれるというのが ……”お決まり”というやつで、
仁衣奈はいつか、そのときに 黒髪の、鋭い目をした男を見たはずだ。]
(297) 2018/05/16(Wed) 23時頃
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[ 商店街の男たちは、勿論”素人”なわけで、 ……なのに、毎度のことながら本格的だなと、 操法訓練だとかを見て、かっこいいなあ、とか。
そんなことを思いながら、 主会場の市民グラウンドや校庭に 演習が終わる頃を見計らって せっせと冷えた飲み物を運んでいたのが、仁衣奈。
十八になったら、今は女でも入れるんだって 金物屋のおじさんに言われて笑っていた記憶。
……実際のところ、 仁衣奈には火事に遭遇した覚えもないし、 訓練や演習は、いつまでも練習のままだった。 それは幸運なことだったんだろう。*]
(298) 2018/05/16(Wed) 23時頃
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[ ……炎の力強さ、というものを ニーナはそのとき、はじめて知った。
同時に、無視しきれない”チグハグさ”に、 ニーナは立ち尽くしてしまう。]
……なんで、こんなことを
[ 私は知っているのだろうと、 芽生えた疑問は、その記憶に対してだった。
ほんの少しの間、その炎をまじまじと見つめて ……その間に、ひらりと動く黒い影>>@71。]
(303) 2018/05/16(Wed) 23時頃
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──あ、セノオ先輩
[ あの黒ずくめの姿はきっとそうだ。 が、どうやらもう立ち去るところ。
人知れずお見送りをして、 それからようやく、ノイズ犇めく場を見遣り。
「 助太刀しよう 」と言い損ねたことにより、 飛び込むタイミングを見失ったことに気付く。*]
(305) 2018/05/16(Wed) 23時頃
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──1st day──
[ セノオナツミ、と名乗った先輩死神に、 ジリヤは一体どんな顔をしていたのだろう。
すぐさまそれを確認したい気持ちはあったが、 ……そう、”王子様”として、 ニーナは悠然と微笑むしかなかった。]
……はじめまして、セノオ先輩
記念すべき”ひとつめのバッジ”、 貴方にいただけたこと──光栄です
[ 優雅にしてみせた一礼には、 ……トイレの花子さん扱いしてごめんなさい、と そんな謝罪を込めていた、なんて。
…………これも、ニーナの秘密のひとつ。**]
(307) 2018/05/16(Wed) 23時頃
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