15 ラメトリー〜人間という機械が止まる時
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コリーン、 逃げない と…あ、ラルフ……
[光る虫に戸惑った瞬間…… それを切り裂く閃光………。
その左腕の刃が、虫を裂いていく……。]
――…ッ
[両手を口に当て、息を止めた。]
(79) 2010/07/20(Tue) 18時半頃
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…すまぬ。
[斬る度に。]
危害を加えるなら、お前達には死んでもらうしかないのだ…
[哀しげな声で呟いたのは、きっとヒトには聞こえない]
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――……あ
[その光の乱舞、 そんなに多くいるわけではないのに、頭がくらりとする。
そして、かくりと膝を着く。息が荒くなる。]
逃げない と……。
(84) 2010/07/20(Tue) 19時頃
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[だけど、それは、現れた少女、コリーンの歌声、 そしてラルフの刃で散っていく……。]
あ……
[ぺたりと座り込んだまま、 彼らをぼんやり眺めた。]
(85) 2010/07/20(Tue) 19時頃
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ヨーランダは、ラルフの手が止まるのをみて、目を伏せる。**
2010/07/20(Tue) 19時頃
[どうしてか。]
[初めて、少しだけ、
それがかなしくなった]
『わたしも、あそこにいたかったなあ……』
[異形同士惹かれあうのか
単純に光が綺麗だからなのか
戦いの気配をどこかから感じ取り、妹は呟く]
[どうしてヒトを気にする。
どうしてヒトを庇う。
ヒトを守り、異形を斬った。
自分にはまだわからない]
『かわいい……』
[じいいっと、
その、異形を見ている]
[触れてみたい、と、思うのに]
[手に入れていたはずの力はどこかに失せてしまって]
[ヴァイオリニストから、身体の支配権を奪えない]
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― 泉 ―
[俯いて、そのまま黙り込む。 >>88 ラルフの止めた手…………。
きっと私が本当は穢いことを知ったから。 触れたくないのだ…。そう思った。
>>91 謝罪も、ただ黙って……。 自分がシィラをころさないで…大樹をころさないで、と言ったことが枷になっているなど、気がついていない。]
(140) 2010/07/20(Tue) 22時半頃
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[そう、そうやって、穢いのだと、避けられた思い出が蘇る。 魔女の娘だ。
穢れた娘だ。
まだ子どもなのに、あの子はたくさんの男を食らうのだよ、と嫌な例えをされた。 間違ってはいないのだから、何も言わず……。
ただ、おかあさんがごめんなさい、と…。]
――……
[でも、泣いてはいけない。 ただ、押し黙って………。そのまま動かずに……。]
(141) 2010/07/20(Tue) 22時半頃
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>>96 [でも、心乱れていること、見抜かれたのだろうか。ガストンから水を差し出されて、少し見上げ受け取る。
水を飲む…冷たかった。]
――……
[そして、コリーンやアリーシャの様子、ただ、首を回して、青色の眸でそれらの姿は映した。]
>>117 ――……いけます。
[そして、ガストンが手を差し伸べてくるのを、眩しく見てから、 それは触ってはいけないのだと、思った。
私は穢れている。]
ありがとう。一人でいける。
[ふらり立ち上がる。小さな咳をしたけれど、どこか火傷したということもない。]
(146) 2010/07/20(Tue) 22時半頃
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ヨーランダは、ガストンに礼をいうと、自分の塒にしている部屋へ向かう。
2010/07/20(Tue) 22時半頃
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― ヨナの塒 ―
[部屋に入る。 そして、寝転がろうかと思ったけれど、
窓に紅い光を感じた。]
――……シィラ?
[そして、窓を覗く。 そこにはエンジェルが触手を伸ばして……。
その頭を撫でた。]
(147) 2010/07/20(Tue) 22時半頃
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[シィラが傍にくると、聴こえ始める。その子の声……。]
――……私、あなたを知ってるわ。
でも、私、あなたを知っているわけないの。
[セシルがここに来る前に、死んでしまったあの子。
だから、その声がその子であるはずはなくて…。]
『だれ?』
[誰か、そこにいないヒトの声が聞こえた気がして……]
『わたしを、知っているの…?』
『あなたは、だあれ?どこにいるの?』
『どうして、そんなに怯えるの…?』
[ネコミミトカゲの様子を、"妹"は残念そうに見た]
[そして、
くすん、くすん、と。
泣き出した]
[怯えられないように、気配を殺しながら、そうっと、ネコミミトカゲを見ている]
『わたし、なにか大切なことを忘れているような気がするの』
『わたしは妹。セシルの妹。
セシルがわたしの名前を覚えていないから、
わたしもわたしの名前を知らない』
『わたしは、わたしはどこから来たの?』
[もともとは、ヴァイオリニストの想像が妄想になった存在で。
だけど、このように物を考えて、話す、力は。
一体どこから得たのだろう?
いや、――生まれる前の記憶を辿れば。
やがて思い出す。
自分が、泉の傍を漂う亡霊だったという事実。 ]
[元は、ただの妄想。
妹に会いたいが故に、妹は生きていたらどんな人間なのだろうと考え続けた結果、妄想から人格へと変化した]
[元は、ただの亡霊。
探し人に会いたいが故にこの泉まで辿り着いたけれど、悲願虚しく亡くなった少女の、思いの残滓]
[元は、名も無き異形。
ヴァイオリニストを育てた人間が、かつてこの身体に植えつけた、異形を共食(たべ)て成長する特殊な異形]
[元は、すべて、別のものだった。
妄想の上の人格と、
亡霊の意志と記憶と、
異形としての身体をもったひとつの生き物が生まれたのは、
ただの偶然に過ぎない]
[しかし元が何であろうと、
今、内臓にいるのは、
たった一匹の、異形だけ**]
[シィラが近づく……。
その声も鮮明に聞こえる。]
シィラ、彼女は何?
セシルの中の彼女は何?
[シィラの触手が頭に触れ、耳に触れる……。]
――……ああ
そうなのね。シィラと同じ。
生物には、母性本能というものがある。
産み出す…そう、本来産むべき生み方をした女性には、
それが付きまとう。
ヨナはそのとき、母親を連れ去られ、
シィラはそのとき、子どもを亡くした。
シィラがヨナを見た。
ヨナがシィラを見た。
互いに、失ったものをそこで補完する。
彼女らは、親子になった。
本来はそうではないのに。
物質的なつながりはないのに。
ひとは、誤作動を起こす。
そして、異形は、それに影響された。
ああ、人間という機械は、
―――・・・・・・。
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― ヨナの塒 ―
[その部屋いっぱいに入り込んだのは、シィラ。 そのとぐろを巻いた身体に包まれて、ヨナは眠る。
ときどき、疲れたとき、シィラはこうやって、ヨナを包み込む。 ヨナもまるで母親に甘えるかのように、そこに眠る。]
[だけど、それは、第三者の目には、異様に映ることだろう。]
(227) 2010/07/21(Wed) 06時頃
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――…ねぇ、シィラ。 私、なんで言っちゃったのかな。自分のことなんて……。
せっかく、もう知ってる人は誰も、いなくなっていたのに……。
[フィルとラルフに、ついと漏らしてしまったこと。自分が穢い娼婦であること。 言わなければ、よかったのに。]
(228) 2010/07/21(Wed) 06時頃
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――……
[そのとき、シィラがまた、ギィ…と鳴く。
瞬いて、それは駄目と首を振る。]
(229) 2010/07/21(Wed) 06時頃
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じゃあ、知ってる人がいなくなれば、いい。
[そんなシィラの声。
いや、もしかすると、それは、自分の心がシィラに投影されただけかもしれない。
いずれにせよ……。
湧く衝動……。]
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駄目…それは駄目なの。
そんなことしたら、また、私は、一人になってしまう。 ええ、シィラがいるのはわかっているの。 だけど………。
[そして、シィラがなお、ヨナを包む。 きっと見た人は、シィラの中にヨナがいるようには見えないだろう。
だから、見えない中で、ぽろぽろ泣いた。**]
(230) 2010/07/21(Wed) 06時頃
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『わたしでよければ 手伝うわ』
『セシルが生きていれば』『わたしはそれでいいから』
[妹は *わらう*]
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