255 【ヤンストP村】private eye+Violine
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―いつかの雑貨屋―
[イルマが来訪した頃、ちょうどロイエは手にしていたボールペンをエプロンの胸元に差し込んでいた。]
いらっしゃいませ。今日は……、はい?
[小声で伝えられた用件。
使用目的や動機を、ロイエ側から伺うことはない。
話してくれる分にはリサーチも兼ねてありがたいものの。]
ノッカさん、今日の運勢はとても良いかも。
ちょうど良いのがあるんですよ。ほら、見ます?
[見せたのは携帯端末の画面。
映っているのはノッカの横顔。]
―いつかの雑貨屋―
[イルマが来訪した頃、ちょうどロイエは手にしていたボールペンをエプロンの胸元に差し込んでいた。]
いらっしゃいませ。今日は……、はい?
[小声で伝えられた用件。
使用目的や動機を、ロイエ側から伺うことはない。
話してくれる分にはリサーチも兼ねてありがたいものの。]
イルマさん、今日の運勢はとても良いかも。
ちょうど良いのがあるんですよ。ほら、見ます?
[見せたのは携帯端末の画面。
映っているのはイルマの横顔。]
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[イルマが座るベッドの音はやけに軽く、>>86 あぁ、己とは違うと、今更な自覚が今更湧いてきた。
口の中で水分を奪うクッキーを飲み込んで、 口許に誘われ示された指先のテープに眉を顰めた。
特別性との言葉は素直に嬉しさが込み上げたが、 怪我するくらいなら別だ。 擦り傷も切り傷も、キングスにとっては『疵』。
疵物の未来は――と思考が流れかけて唇を噛んだ。 ここにも傷はある。破れて血が滲み、そのままだった傷。 薄い膜を取り戻していたそこに歯がまた圧力を加え、 やけにしょっぱく感じる血が僅かに洩れた。
こんな傷でも奴らは疵物とするのだろうか。 そんな考えが浮かんでも恐怖がない自分は何だろう]
(181) 2018/12/03(Mon) 16時半頃
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ん
[頼りない、に苦笑し、惑う視線を彼女へと。>>87 真っ直ぐに射抜く視線は少しだけ恐ろしく、 参ったなとまた苦味が増す笑い。
どうやら身近な人間に怒られたり泣かれたり、 その方が自分はよほど恐ろしいらしい。
それでもイルマに頼ろうとするのは、 他に浮かばないという理由も強かった、が――]
(182) 2018/12/03(Mon) 16時半頃
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あぁ、違う違う、そうじゃない。 孤児院のことは確かに―― 食事くらいたまにイイモノ食わせてやってくれたら、 そう思うのは本当だけどさ。
[なんせ彼女の料理は美味い。 年度予算が限られている以上、 食事も慎ましやかなココに加わる彩があれば、 子供たちは喜ぶに違いはないのだけれど。 クッキーへの違和感は今は消えて、 覗うような物言い>>87も、予定めいた計画>>163も、 ゆるゆると首を振って柔らかな否定を返す]
(183) 2018/12/03(Mon) 16時半頃
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鍵も、もう大丈夫。 中身も金庫自体も、孤児院全体のものにしてきた。
怪我したり、病気になったり、 真冬に暖房が壊れたり、とかそんなふうに、 お前の言う通り必要な事だけに使うってさ。
昨夜、皆で相談して、子供たちが決めたことだ。 あいつら自分で考えて行動出来ないわけじゃないし、 物事の分別がつく齢のヤツもたくさんいた。
だからそーじゃなくて、俺が頼りたいのは……
(184) 2018/12/03(Mon) 16時半頃
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[床を軋ませ立ち上がる。 安普請というよりは古い建物の一部は、 何処にいても音がなる防犯を考えれば最高の家だ。
イルマに存在を知らせながらベッドへ近寄り、 隣に座るまで拒絶がなければ隣に拳一つ開け座って。 視線が合うまで、身動ぎせず待ってから]
(185) 2018/12/03(Mon) 16時半頃
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残酷かもしれないし、無茶なことかもしれない。 まあでも、今までやってなかったコトやりたくてさ。
遊び相手になってくれないか。
イルマの時間あるときだけでいいし、 仕事終わりじゃ遊ぶにしても遠出できないだろうケド。
これまでは孤児院のことばっかで、 俺がどうしたいか、ってのをすり替えてたから。 独りでやるより誰かと――って、考えたら、 友達ん中で、お前の顔が浮かんだんだよなぁ……
(186) 2018/12/03(Mon) 16時半頃
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[断られるならまだしも、また怒られるのではと、 少しだけ口調が早まってるあたり情けないけれど。
居なくなる前にしたいことといえば、 ふわふわした形のない願望を形にすることだった。
街を見て回る、美味いものを買い食いする、 誰かと笑って同じ景色も時間も共有する。
残す側には残酷だろう。 残さねばならない己にとっても。
薄靄に隠された何かを引き出すのは、 別離の苦味を知るに繋がるのも理解している。 だから願っていいかではなく、 その細身に頼っていいかと口にした。
己の醜悪さも残酷さも理解した上で、 酷く喉を乾かし息を吐くにも痛いまま返事を待った**]
(187) 2018/12/03(Mon) 16時半頃
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―― 商店街 ――
[商店街に寄ったのは他でもない、買い物をする為である。
当たり前であろうと思われることだが、
自分にとっては商店街とは警邏する場所でもある。
然しながら自警団の制服を脱いだ自分は私人であるが、
商店街の店主たちにとっては自警団の副団長の顔をした男であることに変わりはない。
帰り道の買い物など皆大方同じであろう。
夕食の材料に、朝食の調達を済ますと自分は次いで女物の服と下着を買い求めるために雑貨屋へと寄った。
サイズが判明したのだから丁度良いものを。
それも普通の物だけではなく夜の仕事をする者が買いそうな物を。
ロイエならば良いものを見繕ってくれるだろう。
何せいつの間にか自分のノッカを盗み見れるようにしていたくらいなのだ。
任せておけばなんとでもなりそうだ。
自分は多めに金払いをして、頂戴した品をザックに入れて帰途につくふりをした*]
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[何だろう、喉がやけに渇く。 クッキーの甘さが残る舌が張り付いて痛い。 緊張しているのとはまた違う違和感は、 背筋を騒めかせたままその理由だけが行方不明で。
イルマが思案する僅かな間、>>218 居心地の悪さに貼り付いた舌を唇の内で動かしてみる。
己のモノながらまるで異物のようだ、 何故かそう感じて、微かな溜息で思考を散らす]
(235) 2018/12/03(Mon) 22時頃
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へ ?
[そんなことを考えていたせいか、 言葉の意味が直ぐに頭に入ってこなかった。>>219 呆気にとられたかのように口を開けた間抜け顔。 それからじわりと言葉が頭へ浸透して、 口角が上がり、笑顔に見えるだろう表情を浮かべて。
実際のところ照れ隠しに近いそれが、 全くと言っていいほど出来てないのはさておき]
(236) 2018/12/03(Mon) 22時頃
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あ、いや、……祭り、か。 思えば今まで無縁だったなぁ…… 屋台の粉もんって妙に美味そうでさ。 昔、買えないから指くわえてガン見してて、 邪魔だっつて屋台の親父に追い払われたコトあるわ。
[昔日の記憶はこの程度で既に薄れていたが、 彼女もそれくらいは憶えてくれていたらしい。
笑顔を実物に代えて視線を部屋に戻しながら、 昔はこの部屋もなかったなと思考を馳せ掛け留めて。
そうだ、もう夜も更けかけている。
夜通し昔話を話すのに付き合わせる程、 鈍いとはいえ流石に配慮まで欠けているわけじゃない]
(237) 2018/12/03(Mon) 22時頃
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ありがとな、イルマ。 でも、無理だけはしないでくれよ。
[寝台を軋ませて立ち上がり、 灯を背にし逆光の中差し伸べる手はどう映るだろうか。
差し伸べた手は彼女の反応を待つのではなく、 怪我のある手>>86を掬いあげ、誘うように軽く引き。
立つのを促して、視線は指先の白いテープに落とす。
招集を受けて体を大事にとよく言われた。 疵物がどんな未来に繋がるかをよく表すそれを、 言葉にはしないが過るのは確かで。
傷がどのくらい深いのかと探ろうにも、 手当がすんだそこから窺える知識など己にはなく]
(238) 2018/12/03(Mon) 22時頃
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怪我、とかさ。 時間だって無理矢理開けたりしなくていい。
[怪我とクッキーの味を結ぶ鋭さはなく。
それでも、遊ぶ約束だけは守らせるけど、 と言葉を継ぎ手を引けば立ち上がってくれただろうか]
(239) 2018/12/03(Mon) 22時頃
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送るよ。 街灯のない夜道はさすがお前でも怖い……
んんん……? ……怖い、か?
[何だか怖がるイルマが想像できず、 神妙な顔つきで、微妙に首を傾げつつ。 家までは拒まれても明るい道までは送っていくと、 そこだけは頑として譲らなかった*]
(241) 2018/12/03(Mon) 22時頃
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[――さて。パン工房の前の道を進む男とは
すれ違ったか、それとも。*]
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─夜道─
[斜陽も過ぎて薄闇の路を歩き、 空を見上げながら何を話したかといえば。
あたりまえの日常を あたりまえに享受していた日々のこと。 互いに大人しい部類ではなく口喧嘩は多々あって、 それでも何故か仲直りはすぐできたよな、等々。 幼馴染として過ごした日々の全てを話すには、 到底足りない距離だから会話は短く終わったけれど、 明るい街灯が煌々と道を照らすまでは楽しくて。
その光の下、別れの言葉はなくただ緩く笑うだけ。 またな、すらなく、気を付けろよ、程度の軽い言葉と、 手を上げてイルマの背を眺めること暫し]
(294) 2018/12/03(Mon) 23時半頃
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[帰宅の足取りは引きずる程に重く、 渇いた喉を潤そうと手近な小売店で水を買う。
こんなに喉が渇く程、緊張したのだろうか。 それとも甘いクッキーが未だ残っているのか。 そんな思考も喉を潤す水が喉奥へ押し流して、 ふと、端末を長い間見てなかったと懐を探る。
着信ランプは緑色。 仕事用に設定したその色を見て、 指を忙しなく動かし着信の内容を確かめる。>>36
既に概ねとはいえ引継ぎも済ませた身だが、 託した新人に任せるには少し問題のある品らしい]
(295) 2018/12/03(Mon) 23時半頃
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[此方の返事が遅かったせいか、 (仕事のメールは商会にも回る) 既に了承の意が商会から発注主に返っている。>>96
次いで届いているもう一通を見れば、 親方から、明日、その仕事を頼むと連絡があった。
頼まれた仕事に否はない。 退職金は先に貰ったが未だ所属している体だし、 それに世話になった恩を返さないほど非情でもなく。
返信に了解、と短く返して、顔を上げて。 今度こそ帰るべく、ゆるい足取りで孤児院へ急ぐ*]
(296) 2018/12/03(Mon) 23時半頃
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[一時工房前で足を止めていた男は、何事もなかったかのように歩き出す。少女とすれ違うのは平静通りの顔をした男。山羊頭のように丸め込まれたものでなく、常と何一つ変わらない平穏な光景]
[扉が鳴る──男は、振り返りたいのを堪えている]
[まだ己の“目”はあそこにないし、繋ぐのは人通りが無くなってからでないと難しい。でも知りたいのだと気が逸る。
悪意を向けられた彼女は、どんな姿を見せているのだろう──]*
[
少しでも振り返れば見れただろう。
――けど。まだ無理だったかもしれない。
不安げな彼女の姿を。
ただ、私にはそれは見えないもので*]
[雑貨屋で買った盗聴器とカメラ。
特にカメラは高性能で端末で見る事が出来る。
ボールペンの形をしたカメラ。
それをどこかに差し込めばいい。
カメラだけじゃ足りない。
何を喋っているのか知りたいから。
だから盗聴器も用意した。
これもまた端末と連動して聞く事が出来る。
これを仕掛けるチャンスは寝て起きてから。
ピスティオが仕事に行っている間。]
[侵入者を容易く見つけてくれる軋む床。
寝てる横でそっと忍び込んでなんて無理だろう。
大体こういうものは隠れてやるからいけない。
堂々と正面から入って出てこれば案外バレない。
きっとそうに違いない。
男の部屋に女が出入りすれば変な噂が立ちそうだけど。
所詮イルマとピスティオだ。
そんな色気のある関係などと思う人はいない。
どうせ飯でも持ってきたんだろう。
なんて思われるだけだ。
今はそれで嬉しいけど、少しだけ複雑だ。
遊ぶと約束した。
その遊びが何かわからないけど。
何時もよりお洒落していこうと心に決めた**]
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―孤児院―
[結局、空腹を訴える己に負けたのは半刻前。 孤児院へ帰りかけた道で大きな腹の音に眉を寄せ、 部屋に戻れば朝の残りのパンがあるからと、 心を鬼にすること数歩、すぐ負けた。
なんせ大通りから差ほど離れてない距離。 煌とした灯はまだ誘惑のように視界を焼いて、 ――帰ってもパンは一切れという現実もあり―― 空腹が要素とあれば抗える男子などいまい。
イルマと別れてすぐに、 彼女が寄るかもしれないパン工房に行くのも、 遭遇してしまうことを考えれば収まりが悪く。 安食堂を頭に浮かべて、 大盛定食を満足するまで食べてのご帰宅だった]
(340) 2018/12/04(Tue) 01時頃
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[孤児院の灯は燈っているとはいえ僅かで、 街灯もない近辺は流石に物騒の一言に尽きる。
尤も、孤児や院を狙う輩など居なかった。 ―――これまでは。 運営がぎりぎりなことも周知の事実だし、 見るからにボロい建物となれば狙う者もない。
もし警戒心が目に見えるものであっても、 その影が写るのは恐らく門の施錠くらいなものだ。 そんな門を潜って欠伸をしながら部屋へ行く。
仕事に備えて今日は早めに寝てしまおう。 ああ、クッキーもあるんだったっけ、 赤いリボンはチビ達が欲しがるだろうか――…]
(341) 2018/12/04(Tue) 01時頃
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[それは、ごくごく平穏な日常の思考。 眠気に包まれた、取り留めのない朧な感覚。
風呂に入らなければと思えど身体が重いのは、 満腹まで食べてしまったからだろう。 ああでも、この季節とはいえ臭いが気になるな、 なら湯が抜かれる前に入ってついでに浴槽を洗って……]
(342) 2018/12/04(Tue) 01時頃
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ん……?
(343) 2018/12/04(Tue) 01時頃
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[部屋の扉を引いた刹那の違和感に視線を落とす。
子供たちから手紙が届くことが偶にあった。
言葉にできないものなら絵を、 ひっそりと伝えたい事ならば訴えを文字にして。
だから、部屋に手紙があることは慣れてはいる。 とくに招集を伝えたばかりの今日は、 相談も文句も言いたい子供がそれなりに居るだろう。
手紙自体に違和感はない、けれど。
滅多に鍵などかけない部屋だったが、 それでも部屋の鍵を持つ子供らはベッド等に置く筈だ。
つまりは床に置かれているのは違和感でしかなく、 送り主の想像もつかない手紙に首を傾げ、拾い上げて]
(344) 2018/12/04(Tue) 01時頃
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