171 獣[せんせい]と少女
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林檎なら、林檎の樹の群生地が 南の、さらにもっといった先に―――
[思いついたことをいうけれど コリンの求めているものとは、違う気がして
………ううん、わからん、お手上げだ、と。 困って上を見上げれば、 肩に乗ってこっちを見るコリンと目が合う。 眉を寄せて、唸っていたけれど…コリンが言った言葉が、ヒントになって。]
―――ん?刺激?…辛いとか?ぴりぴり…? … ………あ。
[ひとつだけ、これだ!と思い至るものがあった。 確かにあれは、林檎のようだけど林檎じゃなくて 甘いけど、それだけではない 自分も、大好きな―――雷の実。]
(183) 2015/10/15(Thu) 19時半頃
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[でもあそこはもう1000年も訪れていない場所。 自分が嵐で滅ぼした大地に残された樹が 今どうなっているかはわからない。
確かめに行くのは、怖いし。 樹が無くなっていたらと思うと胸がきゅうと痛むけど これからいく方角―――南にずっといけば、 あの高く険しい谷はあるわけだ。
悩むように、重い口を開いて、]
ひとつ心当たりがあるんだ。 でも…そこは遠いから。 一緒に南へ旅をして、世界を見て回りながら その…雷の実がなる場所を、目指してみるか?
[麒麟になれば早く着ける。 けれど、そこに着くまでの地をコリンとゆっくり見て回りたいし その間に心の準備もしたかったから。できれば歩きで…と。 1000年ぶりに故郷に行く決意と共に、そこまで言い切れば。]
(184) 2015/10/15(Thu) 20時頃
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とっておきの果物だ。…一緒に、食べれるといいな。
[今まで一人でこっそりとしか食べたことのない実を 大好きな主人であるコリンと一緒に食べれる日を楽しみに、顔はふわりと綻んだ。]**
(185) 2015/10/15(Thu) 20時頃
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― 旅のある刻 舟の上で ―
[荷物を確認して、買い忘れや置き忘れがないことを確かめれば、舟を出す。
水面は穏やかで、ちゃぷちゃぷと、 たまに方向を調整するくらいですむ。素敵な川下り日和。]
ありゃもう一貫の終わりかと思ったよ… コリンが手を伸ばして取ってくれなかったら シーツかぶったまま煙突にぶつかって、 ツノが刺さって動けなくなってたところだ
[こんな天気のいい日には、清々しい空を駆けまわったあの旅立ちの日を思い出さずにはいられないのには同意で。 あの、白い視界を思い出して苦笑いをした。]
(269) 2015/10/16(Fri) 00時半頃
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[自分も、アイスが食べられる場所は、 裾野の街のあの場所ぐらいしか知らない。 >>226思い出に浸るコリンの背中を撫でて、 その味を思い出して、己の喉も鳴る。]
俺はやっぱ、木苺のジャムのがお気に入りだな。 冷たくて美味しくて。
[溶けるたべものというのも、 初めて食べるコリンには珍しかっただろう。 勿体ないけど、残しておいたら溶けちゃう、と。 どうしようか悩む姿も、可愛らしく。]
…溶けそうになって慌てて食べるコリンといったら。 一緒に食べれてよかったなあ
[その姿を思い出して、目を細めては微笑んだ。]
(270) 2015/10/16(Fri) 00時半頃
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[旅の間に増えた思い出。 立ち寄った街で売っていた、赤い貝殻でできたネックレスや、小さな木の実と鳥の羽を組み合わせた髪留め。 綺麗な砂を詰めた小瓶には、青いリボンを結んで。]
ここまで、色んな場所を見てきたけど まだまだ、世界は広いから
[行く先々で、箱の中身は少しずつ増えていったから がっこうで用意した箱よりもう少しだけ大きくてコリンが気に入るような箱を選ばせ、買ってあげたこともあったっけ。]
(273) 2015/10/16(Fri) 00時半頃
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もっと、もっと。 コリンの笑顔を増やして この箱の中がいっぱいになればいいな。
[船に乗せたその箱を撫でて 次の場所ではどんな思い出が増えるかと、楽しみになる。
かたちに残る物。 きおくに残る物。
この旅の間に、なるべくたくさん。 思い出すだけでコリンが笑顔になるような そんな思い出を増やしたい…と。]
(274) 2015/10/16(Fri) 00時半頃
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んー、あんまり期待しないでくれよ? なんせ、俺もひっさしぶりにいくんだ
[まだまだ遠く、霞むように見える山。 その山の向こう、更に谷を越えた先にある山の天辺。
ここまできたら…枯れていないことを祈るだけ。 もし枯れていたときのことを思うと、 無意識に、後ろ向きなことも言ってしまう。]
(277) 2015/10/16(Fri) 01時頃
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今どうなっているか …お、次の目的地が見えてきたぞ!
[不安が頭を擡げ始めたけど 街が見えてくれば、とたんに声は明るくなって。 コリンを肩車し、持ち上げる。
新しいものが見えてきた時。 コリンにせがまれたとき。 何かにつけて、彼女の体を高く掲げてあげるのも まだ見たことのない風景を、一刻も早く見せてあげたいから。 そして、その喜ぶ顔が、早く、見たいから。]
(280) 2015/10/16(Fri) 01時頃
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あの町の近くの草原は、キツネとか、鹿とか 色んな動物が住んでるんだ
[本でしかみたことのないような動物たちを見るのも コリンにとっては新鮮で、驚きに溢れたものだろう。 今回も、コリンに色んな経験をさせてあげられればいい。 そして、そのついでに…また、今まで見たことのないような、新しい顔が見れればいいと。
きっと………能力を、姿を、認めてくれて いっぱいの笑顔を、自分に向けてくれて 自分を唯一の従者だと許してくれた、コリンと一緒なら、 どんなところに行くのも、 どんなお願いを聞くのも、 楽しくて、堪らないのだ。
…そうして、多くの土地を見て回り。 川が終われば、陸を歩き。動物を見て、山を見て。 やがて、その高い、高い、山や谷が連なる地へたどり着くのは……もう少し、先のこと。]**
(283) 2015/10/16(Fri) 01時頃
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