141 サトーん家。 3
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そうでしょ。もっと言っていいよ。
[因みに双子の片割れについては勿論聞かれても無駄だ。 何をしているのかなんて全く知らない。 トランスファーマーで見るDVDが決定しても、 佐波がセットをしてくれるようなのですっかり任せて その場で上着をのんびり脱ぐ。 カーテンレールにかかったハンガーの一本を借りて、 元いた場所へまた腰を落ち着けた。]
(74) gekonra 2014/12/13(Sat) 08時半頃
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よしよし。 いいのが作れそうな気がしてきた。
[過剰な褒め言葉に、森部は満足した風を見せた。 DVDの再生が始まったころ、 鈴倉が風呂場から戻ってきたようならば 足をのばして座ったまま振り返って「お帰り」と声をかけつつ 湯上がりのいい匂いにありがたみなど感じていたかもしれない。]
(76) gekonra 2014/12/13(Sat) 09時頃
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[佐波が飲み物を用意しはじめた。 それを見ながら自分も…と思うも、なんだかまったりしてしまって 尻から根が生えていて立ち上がりたくない。 そこへカップ麺がぽいと投げて寄越された。]
あ。ありがとう。
[佐波の気分で選んだだろう大きめのカップ麺を受け取って、 机の上に乗っていたコンビニ袋からレシートを探す。 それを見ながらポケットに入れていた財布から、 だいたいでお金を渡した。 とはいえ、先程肉まんをかじったばかりなので すぐ食べる気はまったく起こらない。 「あとで」ということで、そっと机に乗せておく。]
(77) gekonra 2014/12/13(Sat) 09時頃
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[佐波の「なんかいる?」に甘えて]
あっケイさんお茶僕にも下さい。
[とお願いをした。 映画は農作業とナレーションから始まった。 どうでもよさげな設定の説明と 安心安全の不動のカメラワーク。 農夫が納屋にとことこ歩いて戻るだけの 要るのかわからない映像を眺めつつ 期待出来る、との佐波の評価を聞いて頷いた。]
いいねぇ…
[期待通りの最初から最後までのくだらなさと、 突っ込みどころや、突っ込みようもなさに笑いながら 映画を見終えるまでに、まだもう暫しかかる。**]
(79) gekonra 2014/12/13(Sat) 10時半頃
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[一昨日買った同じのど飴が並んでいる。
のど飴を渡した根来は大丈夫だろうか。
まあ、鼻とのどだけならひどいことにもならないだろうけど。]
[…そういや、風邪をビンゴしていたし笑わせてもらった記念に
根来にはのど飴を贈ったが、
共同でドッキリトラップを仕掛けた鈴倉にも送るべきだろうか。
のど飴やガムの面子を見ながら一度考えて、
結局買うことはなかった。会計も終わっていたし、
そういえば麻婆茄子を僕の皿から一個もらっていってるからいいか。と思い至った結果だった。
尤も、夕飯は自分で作ったわけでもない、
佐波がつくったものだったけど。]
[そんな適当でも許される、
この仲間内の空気感が気に入っていた。
そこを気にかけていた彼女と別れたのも
やっぱり仕方がなかったのかもしれない、と改めて思う。]
[彼女が好きではあったんだけど。
彼女の為に変わってやれる程、
気の利いたやさしい奴では無かったらしい。
三つ子の魂百まで、だ。
もし「変わりたかった?」と問われれば、
きっと僕は即答で答えられないだろう。
適当のあの空気感が気に入っているから。
本当手におえない。]
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伏線なんてなかったんだ…… 自分でぶっ壊してりゃ世話ないよ… そうそう……鍬も結局よくわかんないし。
[DVDを見終えた後、長々感想を言い合うでもなく しみじみとそう言った。]
またいい映画を見つけてしまったね…
[けれど森部は何故か満足した様子だった。 代わる代わるに風呂を使う間、 洗い物を同時に行って水の出が悪くなっても この寒波がどうのと言われている気温の中では哀れだ。 全員使い終わってからにしようと決める。 佐波と入れ替わりに佐藤が風呂場へ向かうのには]
いってらっしゃい
[と声をかけ、佐波は佐波で寝部屋に去るのを見送った。]
(127) gekonra 2014/12/14(Sun) 00時頃
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おやすみー
[と佐波に声をかけて、部屋が一度、しんと静かになる。 床に寝転んでDVDを見ていた森部は、鈴倉を見上げる。 DVDを切って、テレビに切り替えられた今、 この部屋に存在する音は若手お笑い芸人の深夜らしい 彼らなりに仕事に一生懸命取り組んでいるのであろうトーク。 遠くから聞こえるお湯の音。佐波が布団を触る音。 その程度だ。 鈴倉はといえば、じっとテレビを見ている。]
……
[部屋にはふと二人で置かれてしまった。 見ていても、鈴倉の視線がテレビから離れないので、 話題を揃えるために、森部もテレビへ顔を向ける。]
(132) gekonra 2014/12/14(Sun) 00時半頃
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[転がったまま芸人のトークに耳を傾けていた森部が 鈴倉から声を掛けられるまで、長い時間は必要なかった。]
ん?
[差し出されていたのはポッキーだ。 冬限定の、鈴倉が買ってこいといっていたもの。 森部は寝返りをうつようにして一度うつ伏せになると、 肘をついて半身起こした。 森部の視線は、いちど、鈴倉の指先へ注がれて、 鈴倉の差し出すポッキーへ顔を近づけて、口にいれる。 軽く歯で挟んで、鈴倉の指から持っていこうとするも 鈴倉が指を離さなければ、一口齧っておしまいだ。]
(133) gekonra 2014/12/14(Sun) 00時半頃
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[口の中に食べ物をいれたままだが、感想を求められたので、 ポッキーの礼とともに、少しばかり、笑ってみせた。 なんでもない質問とともに。]
ふまいよ。ごちそうさま。
[ポッキーを鈴倉の指から引き抜く際に、 ふわ、とシャンプーやリンスの匂いがまた香る。 起き上がって、座り直す際に、もう少しだけ、側に寄る。 もう少しだけ。けれど、そこまで。]
…… …
[じっと鈴倉の視線がこちらを向いている。 だから視線を返すが、それがなんとはなしに、テレビへそれた。]
凛は。もうちょっと居るの?
[佐波も一度出かけるようだ。 川端も姉の用で居なければ、根来も風邪で居ない。]
(148) gekonra 2014/12/14(Sun) 01時頃
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[鈴倉が思い切り笑い、目尻が下がる。>>150 そんな鈴倉の顔を見ていたのも、 貰ったポッキーを一本食べてしまう間のこと。]
へえ? ケイとか戻ってくると思うけど。
[チラリと向けられた視線に気づいて、 ポッキーをもう一本、鈴倉の持つ箱から引き抜いた。]
も一本ちょうだい。
僕はコタツを満喫してから。明後日とか。 凛もう一泊してけばいいよ。
[勿論この時には、佐波のみやげ話が聞けるだなんて知らないし りんごが届くだなんて知らないし 雪が本当に降るかどうかもしらなかった。 いつもどおり無責任に鈴倉の宿泊を引き伸ばす提案をして、 森部はまたのんびりとテレビへ視線を向けて、 漸く笑えそうな事を言ってくれた若手芸人に、軽く笑った。]
(164) gekonra 2014/12/14(Sun) 01時半頃
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[風呂場から戻ってきた佐藤には、 勝手に一本とったポッキーをくわえて]
おかえり
[と言った。 佐藤が風呂場から出てきたことで、 森部はポッキーを食べつつ、さっさと居間を去って、 洗い物をしにいった。 寝る前に「居間は翌朝きっと寒いから」と 佐藤から忠告を受けたことで、今夜もきちんと寝部屋で寝た。]
(168) gekonra 2014/12/14(Sun) 02時頃
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[結局翌日も朝ねぼうをしたのは勿論。 佐波が出かけたことも、雪が積もっていることも、 眠ったままでは知る由はない。
花火や掃除に佐藤が励む間。 特に起こされることのなかった森部は、 近場に鈴倉が居れば、だが この時ばかりは半分起きたままでも、寝たふりをして、 鈴倉の肩に腕をのせて、束の間幸せを満喫する。
佐藤に起こされ、必要な手伝いををした後は きままに雪遊びをしにいった後、佐波に画像を送ってやった。 夜になって、新品の炬燵を囲み、佐波の面白い話を聞くまで まだまだ、まだ暫くの、時間がある。 佐藤家に戻ってきた者には、なにもかも、知らんぷりで、 てんでいつもどおり、のんびりと言うのだ]
おかえりー
[と。**]
(175) gekonra 2014/12/14(Sun) 02時頃
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[…適当でも許される、この空気感が気に入っていた。
それが続くまでは、楽しんでいたいと思う。
そう思ってるからこそ、
僕は次もこのバカなやり取りに流されるんだろう。
「まあいいけど」の、いつもの言葉で。]
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