260 【R18ペア村】“Bloody Curse”
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[ ……てのひらには未だ 十字痕がある。 赤黒い色は消え、 色素だけが残ったような 消えるんだか、 消えないんだか、 その辺りは教会の奴等にも、わからないようだったが
"だれか"の背中を支えたことで、 残ってしまったようなものだから、 ──── "ゆるしてやろう"。
痛みがあるわけでも 無し。 ]
(102) is0716 2019/03/15(Fri) 23時半頃
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[ 良く擦るものだから、 寧ろ沈着したような茶っぽい痕を ──── 消えてしまわなそうな 其れを、
何かを決意するように ぐっ と 握り込んだ。 ]
(103) is0716 2019/03/15(Fri) 23時半頃
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[ ──── "指輪交換"と 言うのは 永遠の愛を 互いの心に誓う ……と言った"考え"を 形にあらわしたものだ、 と
聖職である以上、身に付けさせられる なんたらの作法の本に 記載があった。
──── 今日 式を挙げた彼等は、 そりゃあ "しあわせ"って顔で ぎんいろの其れを 納めていた。
……俺は しらないが、 "こいつ"も そうだったんだろーか、なんて どうやら灯りをつけたまま寝転けたらしいおとこを ベッドサイドから見下ろして 何故か、 今日を 思い起こしている。 ]
(104) is0716 2019/03/15(Fri) 23時半頃
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[ 例えば 今日 結婚式をあげた彼等は、 片割れの"こころ"が 動かなくなったとき その誓った愛ってやつを どうするのだろうか。
例えば そうでなかったとしても こうやって無防備に投げ出した、 "こころ"に繋がるという指先から、
"あい"のない"だれか"に 奪われてしまったなら、
彼等は 誓い直すのだろうか。 それとも─── ]
(105) is0716 2019/03/15(Fri) 23時半頃
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[ …衝動に 駆られた。 最初は、"結婚式に出てきた"って話を くらいよるの伴に、 話してやろうと思ったんだけれど
眠っている姿と、 ベッドからはみ出した左手と、 ─── ぎんいろの反射する光を きっと ゆるせなくなったんだろう。
此れまで人を愛したことがあるか、と言えば …そんなことは結局わからなくて、 彼女だってろくに続いたこともない 男だけれど
" だれか "の 誓いを 無かったことに出来るのなら、 ]
(106) is0716 2019/03/15(Fri) 23時半頃
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[ …無かったことに したとして、 どうしたかったのかも もう わからない。
半分ほど抜いたところで、 大きく開いた黒の瞳に 気がついてしまった から。
中途半端に手を止めれば、抜いていたんだか、 ……"嵌めようとしていた"んだか、わからない様相。]
(107) is0716 2019/03/15(Fri) 23時半頃
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[ ────嗚呼、 待たせていたのかな、 と
ここ数日の"めんどうくさいだれか"の言動に すこしは気がつくようになった 男の勘から、 一時は 焦るように跳ねた"こころ"を押さえ付け
悪戯が見つかった、くらいのにんまり顔!
唯、───しんぴんを用意しておくほど、 できた男じゃあ なかった。 ]
(108) is0716 2019/03/15(Fri) 23時半頃
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[ ゆびさきにのこる "誓い"を てのひらに転して、
赤の余韻を残す十字に ぎんいろが 掛かる。 ]
(133) is0716 2019/03/16(Sat) 19時頃
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[ ──── 罪悪感 というのか、 少しの寂寥が ないわけではない。
御揃いの誓いを残したまま、 やみのむこうに旅立ったおんなを ……知らないわけでは なかったから。
唯、"おまえ"だってわかっていただろう。 このおとこのことを 好いていたのだから。
握り込んで くらやみに隠してしまえば ぎんいろはもう 灯らない。 ]
(134) is0716 2019/03/16(Sat) 19時頃
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──── そうだよ。 てめー が さみしいだろうから、 戻ってやってたんだから。
(135) is0716 2019/03/16(Sat) 19時頃
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[ 逆みたいに にんまりわらい、
サイドテーブルを背凭れに、床に座り込んだ。 膝をたて、 お行儀悪く。
頭上から柔い光が降っているというのに、 逆みたいに"おにーさん"にはなれなくて 唯、 光から 空いたひだりてを求めるよう、 ぎんいろを袖口に落とした右を 伸ばし、 ]
(136) is0716 2019/03/16(Sat) 19時頃
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[ この部屋がひとりには広く、 三部屋あったのだって、
抑、 直ぐに引っ越しに対応出来たのだって
きっと このおとこなりの"予防線"で 別段 狙っていたわけではなかった偶然の一致を 恰も仕組んだかのように "わるく"
痕を隠すように 手をとってやろう! ]
(137) is0716 2019/03/16(Sat) 19時頃
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[ その後、 夜景を見に行く と 唐突に言い出し、
あかるいよるとはいえ、 外に出た瞬間 誘ったわりに後悔したりしたのは また 別のお話。
地上の 星々の中に、 ぎんいろを 混ぜ込んだのも。* ]
(138) is0716 2019/03/16(Sat) 19時頃
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[ 雨が ステンドグラスを叩いている。 ]
(192) is0716 2019/03/17(Sun) 09時頃
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─── 或教会 ───
[ 古い長椅子に腰を下ろし、 やる気無げに 天井を見上げていた。
習慣的に行われている " しんぷサマの話を聞く会 "。 ……何時もは わりとサボっていたのだけれど、 流石に何回かには一回は居ないとならないので 今日は その "何回かに一回"である。
別に 信仰があるわけではないのに、 ロザリオを渡されているんだから、 きっと"この世界"も腐っている。
今、 壇上で話している偉そうな男だって、 ほんとうに神を信じているんだか、 ]
(193) is0716 2019/03/17(Sun) 09時頃
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[ ── そんなのは、穿った考えとは わかりつつも。
真面目に聞いていない聖職など、 熱心なひとに怒られてしまうから、と
私服で椅子に座っている辺り、 俺だって間違いなく、汚いおとなの仲間だ。 曇空じゃあステンドグラスも美しくない。 ]
(194) is0716 2019/03/17(Sun) 09時頃
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[ …… あい の 話をしていた。
この宗教で認められる"うつくしいあい"。 大前提は、 男女の間にあるものだ。
別段、 自分が少数派であると思ったことはない。 おんな嫌いなわけではないし、 性欲を覚えないわけでも ない。 商売女相手であれば 抱けなくはなかった。 ]
(195) is0716 2019/03/17(Sun) 09時頃
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[ 唯、 ──── "あいしているか"と 問われると 過去形の"いた"も付くことなく、 "あいしていない" と言い切れてしまう
同居人への当て付けに、 "おんなのつれこみ"を試してみようとも思ったが、 …単に不便だったのでやめてしまった。 まったく "ゆるせない"。
こころが狭い方だという自覚はあるが "めんどう"には慣れたような気がしていたのに、]
(196) is0716 2019/03/17(Sun) 09時頃
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「 愛とは 寛容であり、───── 」
[ 結婚式でもあるまいし。 内心で せせら笑っていた。
つまりは、きっとこの宗教において、 "あいすること"を認められていないのだ。 ─── 抑、 "あいされていない"のかも 知れない。 全く 生きづらい。 いきぐるしささえ 覚えるくらいに。 ]
(197) is0716 2019/03/17(Sun) 09時頃
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[ つまらない話が 終わり、 施しを受けるものたちの 背中を眺めて そのまま 座っていた。
隣に腰を下ろす誰かを 待っている。
……"一緒に住んでいるおとこふたり" "おなじ席にならんで座る"なんてことは、 どうやら 許されないらしいから。 ]
(198) is0716 2019/03/17(Sun) 09時頃
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──── 辞めてやろうかな、
[ 手首に下がるロザリオと、 てのひらに刻まれた十字とを、
頭上に掲げて 呟いた。 曇天が 落ちている。**]
(199) is0716 2019/03/17(Sun) 09時頃
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[ 神の愛など! ]
(251) is0716 2019/03/18(Mon) 03時頃
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[ 曇天を返すように、ぼんやりと、 にぶく 銀に光るロザリオが 拐われて、 ( 空の指先は、全く後を追わなかった。 )
椅子の背に頭を任せて、くろいろを見上げる。 ]
(252) is0716 2019/03/18(Mon) 03時頃
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[ あの、"故人"を思う度、 ……"訊ねたことば"を思い出す度、
ゆいいつ の だれか が 居なくなってしまったなら、と 頭のどこかに 危機感があって
教会に踏み入れたのは、 そう、 結局、"予防線"だったのだ。
体ひとつで だれかに必要とされるのなら、 ]
(253) is0716 2019/03/18(Mon) 03時頃
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[ ─── 今思えば、随分と投げ出したものだった。 ロザリオで呪いからは守られていたとはいえ、 内出血の痣も、 蕁麻疹も ずぅっと 身近で
…マゾなのか、 と言われると、 もしかしたら 否定もできない。
否、──── 嬉しくは、無かったが、 ( 何度キレたかわからないが! ) 其れで "よくはあった"。 勝手な弔いの 罪悪感だって、 消えるような気がして ]
(254) is0716 2019/03/18(Mon) 03時頃
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[ すこしでも あいがあったなら。 …ほんのすこしでも、その十字を 愛せていたなら、
世の中はもうすこし生きやすくて あの "あんなところ"で ふつうに居られたのかもしれない、と も、
唯、 其のとき、この くろいろは 俺を見つけてはいなかったろう。 ]
(255) is0716 2019/03/18(Mon) 03時頃
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───── ……、
[ "その程度のつまらない世の中であるなら、" そんなものは 棄ててしまって正解か。
都にいるうち、型みたいなものを 無意識に 身に付けてしまうらしい。
うえから 答えが降ってくるから ゆるすように わらい、 ]
(256) is0716 2019/03/18(Mon) 03時頃
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じゃァ、 …… お前がまた別のおんなにナンパされる前に "こんなとこ"からはオサラバしよう。
[ …結局はどこか小物臭く、ムードなんて足りない様。
そのうち、 頭上の左手と、 その 誰かのあいの痕を 茶が追い、
"其れ"はもう 棄てたのに 年月までは どうしようも ないのか
不意、 ]
(257) is0716 2019/03/18(Mon) 03時頃
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───── そうだ。 ゆびわを 買いに行こう。
[ ゆびさきは ロザリオを追わなかったが、 拐った左手を 追い、
喩え その銀色を取り落とそうと、気にもせず 誓いの 痕を 隠すようにまた 手を取ってしまおうか。
いつか の 左の爪痕は、 とっくにもう 消えてしまっていたから** ]
(258) is0716 2019/03/18(Mon) 03時頃
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[ 布を叩く音がする。
あれから、片手はずぅっと左手をとっていて、 傘のお陰で両手とも空かないものだから、 時折 雨の石畳に靴底を滑らせ、 ( こんな日に革靴なんてものを選ぶから! ) ─── 頻繁に手を引っ張っていた。
スマートさが足りない。 ]
(298) is0716 2019/03/19(Tue) 22時頃
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