246 とある結社の手記:9
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― ロビー ―
[かなり、遅れてロビーにやってくる。 それはもちろん、慣れない一人での身支度に時間を費やしたからだ。 それだけ時間を掛けてなお、帽子の下にとれなかった寝癖を隠していたりする]
(84) 2018/07/29(Sun) 23時半頃
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[投票で選ばれたのは誰なのか、一目でわかった。 その瞳はその姿を捉えていたから。 誰も居ないはずのその場所に、もう居ないはずの彼女の姿を。 自分が、自分達がそうなるように選んでしまった*彼女の姿を*]
(86) 2018/07/29(Sun) 23時半頃
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─ 夜 ─
あれ?スージーの勝ちか。
へえ…おめでとうっス!
やっぱり人狼にも、年齢ってあるものなんスかねえ。
[夜半。人狼らの競争に聞こえた声に、ピスティオは暢気にそんな台詞を返している。それは可愛がってた弟分の死を知らせる言葉だったけど。でも、声はそれに乱れる風を見せなかった。
寂しいとは思う。ちょっと悲しいなとも思う。可哀そうにも思う。けれど自分は悪くない。自分のせいじゃない。仕方ない、仕方なかった。
………「狂人」と。結社に称される青年の精神構造の特殊さは、もしかしたらこの過剰なほどの自己弁護と自己肯定にあるのかも知れなかった。自分のせいじゃない、仕方ない。だって生きるために必要なんだから、と。
結局のところ、どこまでも自己本位である精神は、弟分の死に己の責任を問うことを放棄している。]
マリオはきっと…、
「人間だってバレたから襲われた」っスね。
…ふぁ…、
明日は忙しいなあ。
俺っち、色々びっくりすることばっかりだし……
寝よ。おやすみっス。
[欠伸交じりにそんな見通しを呟いて。
その後はけたたましく起こされるまで、それはもうぐっすり寝たのだ。*]
[人間が得た牙は、今日の襲撃先を定めたようだった。]
[死んでいる。死んでいる死んでいる死んでいるしんでいるしんでいるしんでいるしんでいるしんでいるしんでいるしんでいるしんでいるしんでいるしんで………
… ああ、うつろな 目だ。 ]
[そう考えるんだろう?ほんとうの「占い師」は。
ああ、血の臭いだ。気分が悪くなるような血の臭いだ。]
はーー……
俺っち、どうしてもあの匂いだけは、
ダメなんだよなあ…。
生臭くない?
[だから「肉」を運ぶときには、ルパートにはきちんと梱包をして貰っていたものだけど。感覚の違いをぼやく嘆きが、一つ零れた。]
人間にとっちゃあそうらしいな。
おれもピスティオがそういうから"くさい"とわかる。
ははは。助かってるよ。
[血の臭いが苦手なピスティオ。対して人狼であるルパートには、その血のにおいとは、人間のスープのかおりだ。食事を拵えている台所からするいい匂いと然してかわりがない。]
()
さて、ワンダも予定通りだが……ああとも。
マリオは皆が守ってやらなかったから死んだんだ。
"嘘つき"が二人も出て、だあれもマリオが本当の人間と
真の意味では信じてやれなかった。
人間も、余計なことをしなきゃあよかったのにね。
薄情な大人たちばかりでマリオが割を食ったのさ。
……さあてどうだろうな。守護者についちゃあ、
リンダが結社員に答えさせたメモのかんじ、
居ると思うが。
おれたちが"三人"だって言い当てたくらいだ。
うん。おれはモンドだと思ってる――まあ違ったとして
それはそれ。"力になれるかも"なんて来た場所で
まんまといの一番に子供が殺されて、
どんな気持ち……なんだろうなあ?
おれとしてもきいてみたい。
…… 後悔したほうがいいぜ、モンド。
おまえがあっちでもこっちでも、
誰かが何かの力があるというたびに
「おまえが襲われる!」なんて騒ぎ立てたから
憐れなマリオは襲われたのさ。
まったくだぜ。
う〜〜〜ん、そうだよなあ………
だってほら、ルパートさんだって強烈なドブの臭いとか嫌いだろ?
[人狼と人間では、幾ら声が通じようとも味覚も感覚もまるで違う。”くさい”とは思わないらしいルパートに、考えながら例を挙げた。それなりであり、その程度でもあった。]
あっはっはっはっは
ピスティオにとっちゃあ、人間の血ってのは
どぶと比べていいもんなのか?
自分に流れているのにねえ。謙遜に聞こえちまうな。
[愉快そうにわらっている。]
守護者といっても、やはり一度に多くを救える……
というわけでは、ないようですね。
そして、結社からの情報がただしいのなら、
自分自身は……護ることができない。
なるほど……。
……へ???面白いかい?
そうだなあ。あまり変わらないんじゃないかな?
だって臭いし。汚いし。
あまり触りたくないってところまで一緒っス。
流したくはないけど──…、うん。
流れてる分には関係ないしさ。
[笑い声には少し不思議そうに、あっさりとしたこたえが返った。]
守護者といっても所詮は一人の人間、
あっちにもこっちにも
行けるわけじゃあないってことかねえ。
昨日の晩も誰かを健気に守ってやっていたのかな。
それじゃあ、おれたちは
どぶを啜って喜んでる狼というわけだ。
なるほど殺してやりたいと思われるのも道理かな?
あれ???
今日は俺っちが格好良く、モンドさんは人狼だー!って告発する日だよな?
なんで変な雰囲気になってるっス??
[さっぱり良く分からなくて、首が傾いだ。*]
……丹精込めて、そのどぶを育てている身にもなっていただきたいものですね。
[ピスティオの物言いにぷりぷりしている。]
[あたしがユージンさんのもたらす結果が気にならないのは、もうひとつ理由はありますが。
それはあたしとユージンさんだけが今は知っていればいいのです。]
……リンダさまには、どう見えたのでしょうね。
[実際のところ、いろいろ爆発しそうで。
ちょっと困っていたところに、声がした。
泣きじゃくっていた声は、いつだかに止んでいて、]
……気になる、のは。 気になっちゃうよね。
[リンダの結果を気にする声に、同意を示す]
オレには、ホントのことはわかんないから。
うそつくって緊張するよねえ……
[後半最後だけ、ぼやきめいた。]
[すぐに反対の声を上げなかったのは、ユージンさんの指示を仰ぎたかったからです。
せっかく、ユージンさんはユージンさんのお仕事をされているのですから、それが嘘とわかってしまうのは、危ない気がしていました。
目線を向けるのは、危険です。]
……ユージン、さん。
仲間がいるって、いいこと、ですね。
[自分の敵意を、肯定してくれる存在がいることを、喜んでいいのかわかりません。
けれど最低でも、先程こわくてこわくて仕方がなかった、泣き出しそうな感情は、今は悲しいほどに、静かです*]
[黙って状況を眺める。促しに各々が答える途中、それぞれを聞いて]
なさけなーい相方だけど、 ちょっとは心強い?
[仲間。とその言葉に、冗談めかせた声がある。
静かなのが、少し切なくて、でも泣いていないのは、同時に安心だった。
モンドが笑ったのも、少しわかる気がしてしまう。]
また、揉めるだろうから。
言うなら、早めがいーだろね。
[危ないとか、正直にお話した後のリンダのこととか。
そもそもみなさんの反応とか、それはそれで心配ではあるのだけれど。
でも、]
御使いさまだけは、……
連れてかれちゃうと、オレとしてもすごく困るから。
……まっとうでいようって気が、
萎えちゃいかねないし。
[他の全部より、自分の気持ちだけを
優先するなんていうのは。
そんなのは。]
[───結局、 苦い、体験だ。]
これで役者が出そろっちまったな?
共鳴者が二人。守護者が一人。
占い師が一人。霊能者が一人と。
さて、こいつでおれたちがベッキーを襲うのは
いっとうマズい道になったワケだ。
あそこに有象無象と大量にいるどれかから
今日は食うことにしよう。
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