270 「 」に至る病
情報
プロローグ
1日目
2日目
3日目
エピローグ
終了
/ 最新
1
2
3
[メモ/メモ履歴] / 発言欄へ
視点:
人
狼
墓
少
霊
全
全て表示
|
[色の失せた枯れ草を、風が撫でていった。]
(117) さねきち 2019/10/18(Fri) 01時頃
|
|
[振り向いた彼女は、 セイルズが見たこともない表情を浮かべていた。
大人びた妖艶な微笑に一瞬見蕩れ、 それから、不穏に震える心臓を押さえ込むよう、 ぎゅ、と己の手を握り締める。]
どちらでいてほしい……?
[瞬き、鸚鵡返しに呟く間にも、 彼女は自分の可能性について語る。 曰く、二重人格。曰く、幽霊。
持ち札に触れてから「どちらでもいい」とカードを捨てて セイルズに近づき、その唇を奪ってみせた。]
(118) さねきち 2019/10/18(Fri) 01時頃
|
|
……、っ、――――、
[セイルズは或る名を呼ぼうとしてそれを留め、 諾々と接吻を受け入れた。 意図しないのに慣れたように体温を上げさせられるのが 少しばかり恐ろしく、軽く肩を掴んだが
銀糸が伝う。荒い呼吸を吐き出す。 二人の間にまた風が入り込む頃には セイルズは少し紅くなった己の頬を煩わしそうに拭い 「彼女」が語ることを、やはり黙して聞いていた。>>104]
(119) さねきち 2019/10/18(Fri) 01時頃
|
|
[彼女は自分を病の具現化だ、と語る。 お前が血を啜る度に 私はこの娘の表面に出てくるのだ、と。
そして”どこで見たのか”、”誰かに似た”微笑を浮かべて セイルズをじっと見据える。
セイルズはそこでやっと、 少し皮肉げに、……寂しげに笑った。]
(120) さねきち 2019/10/18(Fri) 01時頃
|
|
……そうか。 よかった。
信じてもいない神がいたら ……。妻を追い出す羽目になったら どうしてくれようかと思ったが
[目を伏せる。それから腕を伸ばし――]
待ちなさい。
[「さよならね」と告げた「女」の腕を掴んだ。 そうして身近に引き寄せる。 紅茶色の瞳を覗き込んだ。]
(121) さねきち 2019/10/18(Fri) 01時頃
|
|
どちら、と聞くなら答えを聞いていけ。 君は、怯えた、ただの女の子だ。
ひとりになる事を怖れて 愛されるものに擬態して それでも足りなくて怖いから狂っていく
……たったひとり、僕の娘だ。
[あたし、もう、ひとりでいなくていいの?>>0:200
思い出の中の少女が不安そうに首を傾げて 抱きついてくる姿を思い出しながら セイルズはそう語る。
愛しているわ、といいながら愛して、と強請る姿は 依存症末期の患者にもよく似ているが どちらかといえば、一人ぼっちの頃の娘に似ていた。]
(122) さねきち 2019/10/18(Fri) 01時頃
|
|
[……馬鹿な子。内心でひとりごち もっと馬鹿なのは僕か、と自嘲する。 いまだ神の国は遠く死者を蘇らせはしない。 わかっていた。わかっている。
終わってしまった物語の続きを 夢見ることは望んでいないのに その可能性を考えた自分を、嫌悪しながら 繋ぎとめるのはあくまで「娘」の方だ。]
(123) さねきち 2019/10/18(Fri) 01時頃
|
|
この考えが間違っていてもいいさ
……君がその通り「病の具現化」だというなら 僕は君ごと―― ミルフィ、君ごと 全て受け止め、愛して……償うまで。
君がその通り、「病の具現化」だというなら…… 本当に昔を知っているなら 僕を死で縛れないのは知っているはず 繋ぎとめておけ。ちゃんと。 ……僕が君を愛せるように。
(124) さねきち 2019/10/18(Fri) 01時頃
|
|
[セイルズはそこまで言うと、 彼女の頬に触れ強引に上を向かせた。
こんなものはただのあがきであって 何の救いにもならないことはよく知っている。
それでも、衝動は体を突き動かし
――――――彼女の呼吸を奪う。深く。熱く。]
[ ――……暗転。 ]
(125) さねきち 2019/10/18(Fri) 01時頃
|
|
…………。 なんでもないよ、ミルフィ。
[呼びかけられ、セイルズは穏やかに微笑み、 彼女の頭を撫でた。]
雨が降りそうだね。 今日はもう帰ろうか。 また、来年ここにくればいい。
[そういいながらも、白い薔薇を一瞥する。 揺れる花弁に目を細め そこに妻の姿を幻視し、苦笑した。]
(126) さねきち 2019/10/18(Fri) 01時頃
|
|
( …………馬鹿だよなあ、 笑ってくれ。クラリッサ。
君の代わりも、彼女の代わりも、 どちらも居はしないのに )
(127) さねきち 2019/10/18(Fri) 01時頃
|
|
[踵を返し歩きだす。 湿った風が墓地を吹きぬけた。 灰色の空からはそろそろ雨の気配がしてくる。
セイルズは空を仰いで、 そこにありもしない天国を見ると そっと、娘の手をとった。]
……ミルフィ。 また今度天気のいい日に、一緒に出かけようか。 随分一緒に買い物してないだろう?
「君」が好きなものを、教えてほしいんだ。
(128) さねきち 2019/10/18(Fri) 01時頃
|
|
( 君ごと愛して全て背負おう。 僕は吸血鬼である前に、君の父親なのだから ) **
(129) さねきち 2019/10/18(Fri) 01時頃
|
|
そうだね。
[灰色の空を見上げてセイルズは小さく頷いた。
季節は巡り、望まないのに はじまりと終わりを連れてくる。
自分の生に自分で幕を下ろせたなら、 きっとこの手を握ることもなかっただろう。 そう思えばこそ、 セイルズはミルフィの手を握ったまま歩く。]
(143) さねきち 2019/10/18(Fri) 20時頃
|
|
……ははは。 遊園地に水族館に、動物園か。 ああ、全部行こう。
[彼女が挙げた場所のなんと子供らしく愛らしいことか。 洒落たレストランでも美しい場所でもなく 家族の思い出がつきものの場所に行きたがる。
そのことにセイルズはどこか安堵して 笑い声をあげた。
それから唇に触れた感触に瞬き、 ……片眉をあげて照れたように頭を掻くが]
(144) さねきち 2019/10/18(Fri) 20時頃
|
|
残念だが知っている。だからパパ以外で。
[意地悪をするようにそんな事を尋ねる。
――そうはいっても、 彼女は明け渡してはくれないかもしれないが。
少し考えてから、ため息をつき、再び口を開いた。]
ミルフィが好きなもの…… 好きなこと、あるいは嫌いなもの。
……食べ物の好き嫌いは知ってるし 僕の授業に来ると眠そうだから 歴史が好きじゃないのも知ってる。
そういう ママの真似じゃないところ……
(145) さねきち 2019/10/18(Fri) 20時頃
|
|
僕は、やはり好きだと思ったから
(146) さねきち 2019/10/18(Fri) 20時頃
|
|
[誰かの代わりだと思わせて、 彼女の心を殺した回数よりも多く 彼女のことを知りたいと思う。
指先を伸ばすと、 セイルズは指の背でミルフィの頬をつついた。]
墓参りで確認したかったんだ。 最近あんまり似てきたから…… ……でも、
ママはママで、君は君だ 君は、ママじゃない。
……だけども君はやっぱり、何があっても僕の家族だ。
[何か吹っ切れたようにセイルズは微笑み ミルフィの手を握る。――留めるように強く]
(147) さねきち 2019/10/18(Fri) 20時頃
|
|
……愛しているよ、ミルフィ。
(148) さねきち 2019/10/18(Fri) 20時頃
|
|
(例えば君が狂気に負けたとしても 小さな祈りも届かないとしても 君の最期まで全てを
……いずれ地獄に落ちるまで )**
(149) さねきち 2019/10/18(Fri) 20時頃
|
|
ああ、全部……全部だよ。
[彼女の手を繋ぎなおす。 思うことを打ち明けて 黙ってしまった娘と、家に向かって歩いていく。
こつりこつりと革靴の底が地面を叩く。
頬につめたい感触が走った。 見上げれば、きら、と 糸がきらめくように雨が降ってくる。]
(178) さねきち 2019/10/19(Sat) 16時半頃
|
|
……そうだね。 傘がないから、急いで帰ろうか。
体が冷えてしまう前に。
[雨に降られながらセイルズは手を伸ばす。 ミルフィの頭をそっとなでて、 彼女の目じりから頬までを一度だけ、 指の背でなぞった。
"泣かないで”と言おうとして 何も出ない、不器用な父親めいて。
頭に、顔に、広い背に、雨は降りしきる。]
(179) さねきち 2019/10/19(Sat) 16時半頃
|
|
"I'm so happy to be your daddy, my love."
[浮かべるのは穏やかな微笑。 返した言葉は、いつもの決まり文句。
それ以上を語らずに二人だけの帰路を歩く。 大切に娘の手を握ったまま*]
(180) さねきち 2019/10/19(Sat) 16時半頃
|
|
―― 独白 ――
[永遠のようで一瞬な 愛しい年月の中で、日に日に、娘を病が蝕んだ。 二重人格、あるいは依存症そのものが ミルフィを支配し、彼女の生活を塗り替えていく。
妻と同じ年嵩で見た目の年齢が止まり 大学の研究を手伝うようになって いつも、隣にいてくれるミルフィ。
僕は何をしてやれるだろう。 父親として、家族として、 そしてこんな僕の生に巻き込んでしまった償いとして どうしてあげられるだろう。
……考えて考えて、考えたあげくに、 僕はやはり、最初に出した結論しか選べなかった。]
(181) さねきち 2019/10/19(Sat) 16時半頃
|
|
[起こる全てを、彼女の全てとして受け入れ、愛すること。]
(182) さねきち 2019/10/19(Sat) 16時半頃
|
|
[蠱惑的に誘って、「愛して」と両手を広げてくる>>162 そんな彼女――依存症を愛しながら思う。 依存症に乗っ取られている時の娘は、 妻に似た表情を浮かべながら、いつも寂しそうにしている。
"You'll never ever, never ever, never be happy without me."
そういう言葉が彼女の口からこぼれるたびに、 「もちろん」と笑ってその唇を塞いだ。 彼女の望むまま愛して、血を啜った。 それは例えるなら、死ぬ前の晩餐に似ていた。
気を失うまで抱いて愛しているうちに、時々、 僕は自分が誰を愛して抱いているのか解らなくなってくる。 そういう時必ず、「ミルフィ」と彼女の名を呼んで、 頭を優しく撫でた。
僕自身が誰のためにそう在るのか、 そうすれば思い出せたから。]
(183) さねきち 2019/10/19(Sat) 16時半頃
|
|
……ミルフィ。
[気絶してしまった彼女の髪を撫で梳いていると 時折、依存症が抜けた娘が目を覚ますことがあった。 そんなとき決まって、彼女は『あたしも』>>163と 僕にすがり付いてきた。]
ミルフィ。おかえり。 ……しょうがない子だ。
[僕は彼女を抱きしめて、その肌に鼻筋を寄せた。 心が少し入れ替わってしまっているだけで 同じ彼女。同じ体なのに 僕はそんなとき決まって、「おかえり」と口にする]
(184) さねきち 2019/10/19(Sat) 16時半頃
|
|
[恋しさと苦さ、娘を失いたくないと叫ぶ心を 「しょうがない子だ」と 彼女を受け入れるふりをして誤魔化して、 怖がる娘に微笑みかける。
そういう時の僕がうまく笑えていたか、自信がない。
たぶん、読み聞かせするときのように 声を穏やかに繕っていても 彼女を抱きしめる腕の震えと強引さは、 誤魔化せなかっただろうが。]
(185) さねきち 2019/10/19(Sat) 16時半頃
|
|
[カレンダーについた赤い丸を見る。 季節は巡る。今年も、あの日がやってくる。]
(186) さねきち 2019/10/19(Sat) 16時半頃
|
|
―― 夢 ――
[最近、頻繁に夢を見る。
僕と君は、手を繋いで歩いている。 灰色の空の下を。
君の体には随分と噛み痕が増えて 君を彩る服も化粧も、随分君が好まないものになった。 『ママ』に寄せた格好で、ぎこちなく笑っている。
もう何日も、君は君ではなかったから 久々の外出になる。]
(187) さねきち 2019/10/19(Sat) 16時半頃
|
1
2
3
[メモ/メモ履歴] / 発言欄へ
情報
プロローグ
1日目
2日目
3日目
エピローグ
終了
/ 最新
視点:
人
狼
墓
少
霊
全
トップページに戻る