266 冷たい校舎村7
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見られていると、気が楽?
[ その聞き方は、おかしかったかも。 彼女の言う、”だから、好き”のだからが、 僕にはかみ砕けなくて、ただ気になっただけだ。]
……でも、気に入ってくれたならよかった。 誰に何が、どんなのがいいかとか、 考えるの、楽しかったんだけど、 …………やりすぎたんじゃないかと。
[ はにかんで僕は言う。 ええと、そんなことないよ。という返事は、 あまり期待していないので、気を使わなくていい。]
(289) 2019/06/10(Mon) 23時頃
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[ そんなやり取りを重ねて、 きっと、気まずい沈黙の直前。
……あるいはこう言ったから気まずくなった?
僕は、悪気があったわけでも、責める意図も、 ましてや君がホストだろうとか、 そういう勘繰りさえなく、不意に尋ねた。]
……ところで、お母さんと何かあったの?
[ なんせ、僕に分かるくらいに、 話題に上がるとどうじに視線が下がったもの。
とはいえ、新たな助っ人が表れるのはもうすぐ。 答えを得られたかどうかは怪しいけれど。*]
(290) 2019/06/10(Mon) 23時頃
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──現在:1階──
[ さっきぶり。とか、朝ぶり。とか、 もしかするとメジャーな挨拶なんだろうか。 さっきも感じたような違和感に思いを馳せた。]
……ああ、そうなのかな。 僕らの中の誰かが作った世界なら、 思い入れ、あるよね。お化け屋敷。
[ 宮古瑠璃の例え>>220は言い得て妙だった。 ……少なくとも、僕はそう思ったって話。 暢気なのかな。あり得る話だと思う。
ウインク>>254は肯定と受け取った。 僕はよし、というふうに静かに頷く。]
(291) 2019/06/10(Mon) 23時頃
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[ 毛布とシーツ。 もしかするとマット。寝袋。 人手はいくらあったって嬉しい。 ありすぎるってことはないだろう。
彼女の申し出>>225を僕は喜んで受ける。 邪魔なわけがない。僕は軟弱な現代人だ。]
助かるよ。 なんせ……ああ、そういえば、 何人分になるんだっけ。 朝の時点では────、
[ 朝。あのチャイムが鳴ったとき。 すべてのはじまり。そのときの教室。]
(292) 2019/06/10(Mon) 23時頃
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[ 空中に視線を滑らせて、記憶をたどる。 1、2、3……席の並びを思い出して、 11人。と灰谷彩華が言うのが少し早かった。]
……うん。確か、11人。いた。
[ 今度は声に出して確認をする。
そろそろ、話は歩きながらにしようかと、 少し先の保健室のほうへと足を進めながら。*]
(293) 2019/06/10(Mon) 23時頃
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──現在:1階──
[ ”見守られているだけだと気が楽”>>341
──と、灰谷彩華は言って、 それは僕には理解しがたい感覚でもあった。]
見守られているだけ。 相手が自分に何を求めてるかもわからないなんて、 ……かえって不安になりそうだな。
[ 僕は正直な感想を述べながら歩いた。
できれば、ご要望はわかりやすいほうがいい。 さらにいえば、言葉にしてくれたほうがいい。 座って。動かないで。静かにして。笑って。
……なんでもない。 僕らの感覚に隔たりがあるのはいつものことだ。]
(376) 2019/06/11(Tue) 02時頃
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[ やりすぎ。>>341と咎められて、 多分、僕はやや面食らった顔をして──、 それから、そうだよねというふうに、 情けない笑みを浮かべたんだと思うけど。]
でも、悪くはなかったでしょう。
[ 君は知っているかもしれないけれど、 僕はやや無自覚に自己評価が高いので、 幸い、あまりしょげることもなく切り返す。]
(377) 2019/06/11(Tue) 02時頃
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……そっか。
[ ──と、僕は呟いたのだ。
灰谷彩華の返答は明らかに、 母親との間に何かがあった。少しであれど。 という内容だったものだから。
自分から何かあったのかと聞いておいて、 あまり褒められた返事ではない気がするが、
そのときの僕には、それをうまく引き出す術も、 それ以上を聞いたところで、何か声をかけることも、 到底、うまくやれるとは思えなかった。ので、
進行方向に現れた人物に安堵の息を吐く。*]
(378) 2019/06/11(Tue) 02時頃
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──現在:1階──
[ やったあ。と言う宮古瑠璃>>323に、
僕はきちんと説明ができた安堵や、 寝床問題に対する思案もすっかり忘れ、 思わず、ぱちぱちと小さく拍手をした。
奇しくもその行動は二人分重なり>>362、 一瞬、場が不思議な祝賀ムードに包まれる。]
そうだったんだ。おめでとう。
[ 賭けに勝った>>324らしい。めでたい。 彼女はそのことによりご機嫌になったようで、 それもまた、悪いことじゃあない。 僕もまた、つられるように機嫌よく、 保健室までの短い道のりを歩いてたんだけど、]
(379) 2019/06/11(Tue) 02時頃
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[ 僕らの作ったお化け屋敷との共通点。 その話になり、どうかなあと首を傾げる。] ……出られない、ことはないんじゃないかな。 方法はわからないけど、基本出られる……らしいよ。
ええと、この世界の持ち主以外はってことで、 それはそもそも、ここが本当に精神世界だとか、 そういうSFじみたことだとすれば、だけど──、
[ 同意を求めるような視線>>326に、 僕なりに丁寧にお答えしてみましたが、どうでしょう。
大丈夫だよ。と囁いておく技量もなく、 僕は愚直に自分の知っている情報を吐いた。
その認識がどこまで共通のものになっているのか、 僕はまだ数名としか共有していないので知らないけど。]
(380) 2019/06/11(Tue) 02時頃
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[ 何はともあれ、保健室はすぐそこ。
迷いない足取りで入室する宮古瑠璃>>326に、 僕は続くように──たぶん最後尾に陣取って、 あまりご縁のなかった清潔な部屋へと入り込む。
毛布を腕に抱える。 途中までは数えていたけれど、 たくさん持っていけば、 マット代わりにも使えるかもって、 横着をする気で、できる限り積み重ねた。]
それもそうだね。 まさかこの時期にすることになるとは。
[ どうせなら、文化祭の時期にやりたかった。 ……と、僕は不謹慎ながら肯定を重ねる>>326。]
(381) 2019/06/11(Tue) 02時頃
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[ さて、よたよたと階段を上り、 いったん運び込む先は元居た教室でいいかな?
眠るのは別の部屋にしよう。 そのために毛布を運びなおそう。
──という話になるならば、 僕はまた粛々と足を動かすだけなのだから。
ちなみに、保健室にベッドは3台あった。**]
(382) 2019/06/11(Tue) 02時頃
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──現在:3年7組──
[ もうそれなりに夜も更け、 寝る準備に入ってもいい時間だろう。
運んできた毛布を、 この場にいない者の机に置いて、]
毛布、何枚か下に敷けば、 マットの代わりになるんじゃないかな。
ここで眠るのか、別の教室にするかは、 考えた方がいいと思うけれど……
[ 思ったよりもたくさん毛布があったし、 体育のマットよりは不快感がない気がする。 なので、寝床の心配はほぼ解消できたと考え、]
(418) 2019/06/11(Tue) 18時半頃
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おなかすいたから、何か食べてくる。
[ その場にいた誰かにそう告げて──、
……どこかで食料節約について、 話題になってるなんて知らなかったから。
自分の荷物から一応財布を抜き、 どこかの屋台か、食堂か、購買か、
あるいは家庭科室なら、 飲食系の出し物をしていたクラスが、 材料を保管していたかもしれない。
いくつか見当をつけて、 また教室を後にすることに決めた。*]
(419) 2019/06/11(Tue) 18時半頃
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── 1階>>432 ──
自分が見守っている相手に、 何も望まずにいられる人なんて、 ほとんどいないと思うから。
だとすれば僕は、 それに応えているほうが楽だから。 好きにしていいって一番苦手だ。
灰谷さんは違うのかもしれないけど、 そういう人間もいるってこと。
[ 肩を竦める灰谷彩華>>432に、 僕の返す声も軽い調子だっただろう。 なんせいつものことだったから。]
(444) 2019/06/11(Tue) 20時半頃
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[ 悪くなかった。>>433に、 フォローするようにつなげられた言葉に、 僕は文字通り、いつも通り微笑んで答えに代える。
本人が進んで話そうともしないのに、 こちらから深くつつく話題でもない。>>434
消極的な返事に、僕は黙って前を見た。*]
(446) 2019/06/11(Tue) 20時半頃
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──1階:運搬>>451──
……そう、ええと、要は、 死にかけている人とかが、 自分の精神世界、みたいな場所に、 ほかの人間を閉じ込めることがあって、
……だから、あのメールは、 遺書だったのかなあ。って話。
[ おさらいのように語りましょう。
灰谷彩華の口ぶり>>435からして、 そう考えた人間は少なくないらしい。]
(460) 2019/06/11(Tue) 21時頃
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そう、方法までは。 でも、もし相原さんが本当に、 ここからいなくなってるなら──、
こっちの世界で死んじゃう代わりに、 あっちの世界に帰れるのかもしれないね。
[ そんな思い付きを口にしてみたけれど、 宮古瑠璃>>452の呟きに重なって、 ああ、そうかも。と僕は思ってしまう。]
帰りたくないし、帰したくないのかもね。
[ すべて、僕らの曖昧な予測でしかない。]
(461) 2019/06/11(Tue) 21時頃
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[ 教室に着いて、荷物を置いて、
僕とは異なる方向に歩き出す人>>454の、 去り際の声に、シャワーも浴びたい。と思う。
けれど、ひとまずは腹ごしらえを。 残念ながら、皆の分など気は回らず、 僕はひとり、おなかがすいたなあと思い、 のんびりとした足取りで廊下を歩く。*]
(462) 2019/06/11(Tue) 21時頃
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──現在:3階 家庭科室──
[ 勝手にその部屋に忍び込んで、 僕は冷蔵庫の扉を開いた。
そこには、大量にではないけど、 クラスや部活名の記された、 いくらかの食材がしまってあって、 僕は思う。予想的中である。
料理の心得があるわけじゃないから、 馴染みのある食材を適当に手に取る。 卵とかニンジンとか、そのたぐいの。
何を作る気かと言われると困るが、 このあたりなら切って炒めて、 適当に味を付けたら、大事故はないだろう。]
(477) 2019/06/11(Tue) 21時半頃
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[ 夜に菓子パンとかカップ麺とか、 屋台の食べ物とか、違和感が拭えなくて、 不慣れなことに挑戦しようとした次第。
早速取り掛かろうとして──、 僕はあることに気が付いた。
家庭科室は4階にもあるはずだ。 僕はおなかが空いていた。
大盛無料と言われれば嬉しいし、 お代わり自由に助けられる世代。 ──を、名乗れる程度の食欲はある。
4階が3階の写しであるならば、 同じ食材があるはずだと、思って、]
(478) 2019/06/11(Tue) 21時半頃
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[ ……僕の自主的な思い付きには碌なことがない。]
(479) 2019/06/11(Tue) 21時半頃
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──現在:4階 家庭科室前──
[ 扉の前で、首を傾げていた。
”立ち入り禁止”>>231 これも、この階の薄暗さのような、 不思議な変化、みたいなものなんだろうか。
少し迷った後にそう考えて、 僕はそうっとその扉を引いた。
食材を拝借しにきただけなのだし、 別に、恐れるものなんて、怖いものなんてない。
けど、]
(480) 2019/06/11(Tue) 21時半頃
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[ そこに広がっていたのは僕の知らない世界だ。]
(481) 2019/06/11(Tue) 21時半頃
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[ 扉を開けた瞬間、おかしなにおいがする。 腐臭、と適切な単語が浮かばずに、 僕はただ、嫌なにおいだとばかり思った。
それでも部屋に立ち入ろうとして、 ゴミ箱に詰まっているものが、 アルコール飲料の残骸だと気付く。
机の上にばらばらに散らばった刃物。 静かな部屋に響く、水滴の音。
部屋の入口に僕は立ち尽くし、 そのときはじめて、僕ではないと思った。]
(482) 2019/06/11(Tue) 21時半頃
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[ この世界は僕のものではないと。]
(483) 2019/06/11(Tue) 21時半頃
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僕は誰かさんと違って、 僕の性格が致命的に悪いとか、 あるいは歪んでいるとか、 そんな自覚をする気はないよ。 あくまでこの世がおかしいのだ。
死ぬのに道連れなんていらない。 僕の行く地獄はもうここにある。
忘れて生きて。そのくらい言ってあげる。 この世に生きたい君たち、お元気で。
(484) 2019/06/11(Tue) 21時半頃
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だけど、こんなものは僕は知らないし。
(485) 2019/06/11(Tue) 21時半頃
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[ 入りこんじゃいけない場所に、 うっかり迷い込んだような気分だった。
僕はしばらくその光景を見ていた。 水滴の落ちる音を、10数える。 静かに息を吐き、また吸う。
それから、冷蔵庫には手も付けず、 くるりと踵を返して、廊下へ。
慣れないことなんてするべきじゃない。 大人しく購買でおにぎりでも食べよう。 そう思い、静かな足取りで階下へ降りる。
……机の上の錆びた包丁が、 やけに瞼の裏に焼き付いて離れない。*]
(486) 2019/06/11(Tue) 21時半頃
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……ああ、でも。僕なら。 今なってから考えてみれば、
死にたいんなら死ねばいいよ。 みんなもそうしなよ。くらいは、
言っていたかも、しれない な。*
(487) 2019/06/11(Tue) 21時半頃
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