278 冷たい校舎村8
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どこに、……いや、 さすがにそうだとしても俺達に会いにくると 思うけ……
あ、いた。>>92 おはよ。颯真。
[そうこうしているうちに 連城が名乗りながらやってきた。
男2人が保健室にいることにぎょっとしたのか 純粋に疑問をぶつけられたので 書置きがあったことと、 葉野を探そう、ということを共有する。>>93]
(98) 2020/06/22(Mon) 08時半頃
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そう、書置き。 ……絶対嘘だと思うんだよな。
[颯真にも頷いてもらえたなら、>>95 みんな笑顔で帰ろうぜ!に同意して頷いた。]
礼一郎と福住、帰ったよ。 マネキンが落ちてた。
[辰美は二人についてもう探す必要はないという。
実際、帰ったかどうかなんてわかりはしない。 委員長の無責任な発言の受け売りである。 でもまあ、そう思った方が精神的にもいいだろう。]
(99) 2020/06/22(Mon) 08時半頃
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[辰美は連城に続いて、三人で保健室を出るだろう。]
(100) 2020/06/22(Mon) 08時半頃
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[上から、といったのには理由があって、 人の行き来が激しかった地下〜一階よりも しれっと増えている上階の方が隠れやすいのではないかと そう、思ったから、なのだけれども
一段、一段と階段をあがり上を目指し、 辰美は七階階段の踊り場で立ち止まる。]
……増えてる。八階。 まだ増えんのかよ……
[2人に目配せして、辰美は八階に向かおうとするだろう。]
(101) 2020/06/22(Mon) 08時半頃
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[――そこで。]
(102) 2020/06/22(Mon) 08時半頃
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――8階――
[一直線に廊下が伸びている。 壁や天井に紫色のインクが付着しており、 窓の外では、三年八組の劇が上映されていた。 まるでビデオが映し出されているようだった。
壁にはCG作品がかけられている。 A2サイズのフレームに嵌まった絵。>>56 色鮮やかな色彩の様々な動物たち。
誰かを思わせるような面影を纏うそれらを 辰美は驚きと共に見つけて]
(103) 2020/06/22(Mon) 08時半頃
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――葉野。 帰るぞ。俺もお前も。……そういったろ。
[もしも、廊下の奥に>>59 その小さな背を見かけることがあれば、 そう、呼びかけもするだろう。**]
(104) 2020/06/22(Mon) 08時半頃
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……ウサギの颯真、かわいいな。 氷室は……
[豹か、魚か、どちらかだろうと思った。 特徴をよくとらえたCG作品。 それらをゆっくり眺めたい気にもなりながら、 進んだ先には、葉野の姿があって>>115]
(119) 2020/06/22(Mon) 20時頃
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[帰ろう、と口々に男たちが言う。 視線の先の少女は、のんきに笑っている。
映し出される舞台を 窓枠に寄りかかって眺めている。
――楽しかった。 みんなで作り上げる舞台は、本当に楽しかった。 裏方も役者も誰もかもが一生懸命だった。
辰美はそれを一瞥して、寂しげに目を細めた。]
(120) 2020/06/22(Mon) 20時頃
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…………ああ、見える。
皆で頑張った文化祭だ。
だけど…… 葉野、さあ。 いつ見終わる気だ、お前。
もうとうに、わかってんだよ。 お前があのメールの送り主だってこと。
(121) 2020/06/22(Mon) 20時頃
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…………何で死ぬんだよ。
目そらすな。俺たちの方見ろよ。
[一歩、二歩と辰美は葉野の方へと近づいていく。
なあ、お前今何考えてんの。 何見てんの。
教えろ、と言いたげに、彼女の傍で立ち止まった**]
(122) 2020/06/22(Mon) 20時頃
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[じゃあなんでここに お前が描いた絵、みたいなのがあって 俺らとお前は残ってるんだろうな。
そう、言いかけて口を噤んだ。
目が合わない。 強引にこちらを向かせることだって出来て、 氷室は実際そうしようとしていて
けれど辰美は、眉間にしわを寄せて 手を強く握り込んだだけだった。]
(132) 2020/06/22(Mon) 21時半頃
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[その問いはずるいと、辰美は葉野に思う。 …………思ってしまったので]
(133) 2020/06/22(Mon) 21時半頃
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…………。 楽しかっ「た」よ。すげえ、楽しかった。
楽しかったからさあ。 お前も含めて一緒に帰りてえんだけど。
お前、ちゃんと颯真が言ってることわかってるか? 手を差し伸べてるってわかってるのかよ。 お前も、俺も、氷室も、颯真も。 全員で一緒に「みんな」がいるところに帰れなきゃ そんなもんはな、全然楽しくねえ。
……楽しくねえよ。俺は。 今お前がここから帰んないなら。
(134) 2020/06/22(Mon) 21時半頃
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それどころか、――もしも、 ここから一人でも帰ってこねえことがあるなら。
(135) 2020/06/22(Mon) 21時半頃
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[辰美は好戦的に笑った。 怒っているようでもあった。]
(136) 2020/06/22(Mon) 21時半頃
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[――そもそも狼がこなければ、 オオカミ少年は脅かされることはなかった。
だからさ]
(137) 2020/06/22(Mon) 21時半頃
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こんな校舎を立てて、不穏なメール出したやつは 俺たちのかけがえのない思い出を壊しに来たんだなって。 ああ、そいつにとって俺たちとの思い出って
……その程度なんだなって。
(138) 2020/06/22(Mon) 21時半頃
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[重く息を吐いて笑うのをやめる。]
………… そんなこと思いたくねえんだよ。葉野。 ………いいのかお前このままで
[顔を顰めて、声だけは穏やかに問いかける。 クレープを共に食べた時の事を思い出して、 少しずつ、少しずつ心臓が痛くなってくる。]
(139) 2020/06/22(Mon) 21時半頃
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[楽しかったよ。 楽しいかったから苦しい。
許す許さないで割り切れていれば、 辰美はここに立っていない。*]
(140) 2020/06/22(Mon) 21時半頃
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[氷室から逃れた葉野が、嘘をつく才能について零す。 嘘をつくのが下手な嘘つき少女。 自分がついた嘘に苦しんでいるのかと、 ふと辰美は思ったけれど
嘘だよ、と震える声に思わず言い返しそうになる。 言いたいことなどいくらでもあった。 けれども先に、葉野の様子が気にかかった。
……そうする間に、颯真の言葉が聞こえて――]
(151) 2020/06/22(Mon) 23時頃
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[ふざけんな、ってつぶやきだけ、小さく落ちた。>>148]
(152) 2020/06/22(Mon) 23時頃
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[数歩後ずさった葉野が勢いよく駆け出す。 辰美は思わず追いかけていた。]
葉野、
葉野…………っ!
[追いかけて、追いかけて、 けれど追い付く寸前で、 葉野が廊下の行き止まりに到着し その向こうへと逃げていった。
鍵のかかる音がする。>>150]
(153) 2020/06/22(Mon) 23時頃
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……逃げんなよ。おまえ。そうやって逃げるなよ。
[こんな距離、息を切らすことだってない。 なのに少しだけ呼吸を乱した辰美は、 扉の向こうにそう投げかけた。]
俺はさ、 お前の嘘に振り回されて、友達困惑させて そりゃ思う事だって色々あった。あったよ。
でも、それでも、「お前」といった文化祭楽しかったよ すげえ楽しかった。
(154) 2020/06/22(Mon) 23時頃
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……お前と一緒だったから楽しかった!
だから嘘つかれたっていいや、って、許せたよ。 だけどさあ、葉野? お前さっきなんて言った? 1人くらいいなくてもいいじゃん? 思い出を永遠にする?
馬鹿いってんじゃねえぞ!
[辰美は扉を殴りかけて、 その左手をきつくきつく握りしめて叫んだ。]
(155) 2020/06/22(Mon) 23時頃
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お前が死ねば、 俺に残るのは死んだ奴と 文化祭をまわった悲しい思い出、それだけだ。
お前ともう会えなくなったら、 俺はそのうちお前のこと忘れるよ。
みんなだって悲しい文化祭の事忘れて、 お前ごと忘れんだよ。 つらいこと思い出したくねえもん。
永遠なんかならない。 絶対ならない。してやらねえよ。 永遠になるってんなら、 残していこうとするやつの気持ちに向き合え。
(156) 2020/06/22(Mon) 23時頃
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葉野。葉野紫織。
お前、ちゃんと向き合えよ ……ちゃんと、人のきもちにむきあえよ。
お前が今更何したって みんなお前を殺しやしないんだよ
怯えてんじゃねえよ……
[消え入りそうな声でつぶやく。 ぼたぼたと落ちてくる涙を拭って、 辰美は夕暮れの射す部室を、にらみつけた。*]
(157) 2020/06/22(Mon) 23時頃
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―― 泣いて、ねぇよ、 だいじょーぶだ こんなの、
……くそ ありがとよ [悪態をつくように言いながら、>>161 氷室からハンカチを受け取って拭った。
辰美自身も怒っているのか悲しいのかわからない。
ただ一つ言えるのはこのまま扉に閉じこもられて じゃあさようならはありえない、 …………という事だけだった。]
(171) 2020/06/22(Mon) 23時半頃
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……………… ……まあ、ありかも、しんねえけど。
[蹴り破るという氷室の言葉に 辰美はぱちぱちと瞬いて、部室の扉を見る。 沸騰した頭が少し冷静になった。
優しい連城の言葉が響いている。>>168 辰美はただ、祈るように扉の先を見ていた*]
(172) 2020/06/22(Mon) 23時半頃
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[いいよ、と言われて、 良いわけがない、と辰美は呻く。]
そんなの見過ごせるわけねえだろ 全ッ然良くねえし だいたい最初に一緒に帰ろうって 言っただろうが……!
[これではただの子供の口喧嘩だ。 嗚呼。と苦い味を噛み潰し、 わたしはみんなを殺す、というのだから 辰美は瞬いてそれを聞いた。>>175
”それ”が葉野のせいかどうかなんて、 辰美には理解できない。 だから、こう言った。]
(184) 2020/06/23(Tue) 00時頃
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