158 Anotherday for "wolves"
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[少女は私に誰かと問いましたが
私はそれに返すことなく笑ったまま
見張る、という言葉にはまた更に笑みを深くしたでしょうか]
そう、酷い話でしょう?
元から仲良くなるなんて無理だったの。
狼さんは狼さんと。
山羊さんは山羊さんと、仲良していくべきだったのよ。
だって山羊さんは、狼さんが食べるごはんなんだもの。
[そんな一節が彼女の絵本の中にあるかどうかは知れません
まるで当たり前のことを次げるように。
幼さ残す少女へは、『酷い話』を続けました。]
仲良く暮らすなんてふざけたお話は、
絵本のなかだけに、しておけばよかったのよ。
[ふざけたお話?
そんなことない。]
[そう言いたいのに、言えない自分がいる。
だってオーレリアお姉ちゃんを殺したのは自分。
ぐちゃぐちゃにしちゃったのも自分。
ちょっとだけ食べちゃったのも自分。
そんな自分が
みんな一緒に仲良く暮らせるよ
なんて言えないことは
さすがの少女にもわかる。
だから、噤んだ口を固く結んだまま。]
…………。
仕返し?
ふふ、大丈夫。
そんなことするような『人』も
一緒に食べてしまえばいいのよ。
[それは言葉で連ねるだけならばとても単純な話です。]
『過ち』は正さなくちゃならないのよね?
牙をなくした狼と、
ただ食事をしただけの狼と、
どっちが『過ち』なのかしら。
[続く言葉は一族の手で…だったでしょうか。
牙無き奴等に制裁を、なぁんて大義名分を掲げるのも面白いかもしれません。]
───あなたは、私を止めないのね?
[例えそれが彼女の大切な友人であろうとも。
私は戸惑うこともせず食べて見せるでしょう。
知らない、と逃れようとする言葉にだけは
そっとそっと、微笑んで。]
いいえ、あなたは知っているの。
『知っている』のよ。
[止めなかったこと、それはすなわち肯定。
そう受け取った私は、黙った彼女の可愛らしい顔を思い出しながら
くすくすと耳を擽るような音で、笑っていました。]
さあ、他のお二人はどうかしら?
私を止める? それとも止めない?
他に食べたい『山羊さんの仲間』でもいるかしら?
[艶やかな誘惑は、他の二人へと届くでしょう*]
[聞こえる声に、ほんの少しだけ目を細める。
高い音色を彩る高慢さは、
彼女の気位の高さを思わせる。
高慢に傅くほど矜持は低くない。
嗜虐的な考えがうっすらと過ぎるもののそれは直ぐに消えた。
子供に向けての語り口が聞こえる。
彼女が語りかける相手はすぐに知れるから男は暫し無言のまま。
子供と称される彼女の途惑いと続く反応に耳を傾け、
二人の女性の話が済み、新たに声掛けられるを耳にとめ]
――…未だ決めかねている。
『邪魔』と思う者がいればそちらに傾くかもしれないが、
『恩寵』に対しては、キミに否を唱えるほどの思いいれはない。
|
―回想・集会所にて― [彼女が僕に聞きたいこと。それはとてもシンプルで難しい問題で。 僕は人間を、同胞と同じくらいに大切だと思っている。友人としても、隣人としても、そして興味の対象としても。 彼女も人間を友人として大切にしているのであろう。
だからこそ、一瞬、言葉に詰まった。>>1:265
しかしそれはほんの僅かな間だけの事。 口元に笑みを浮かべると、彼女の不安を少しでも取り除けるようにと、手を伸ばした。]
ラディスラヴァ。普段通りに接すればいいのさ。
残念な事に一度小さな不安を抱えると、どういう言葉や行動をした所で 噂の真偽が明らかになっていない今、人間側の不安を取り除くのは非常に困難なんだ。 大丈夫だから信じてくれと訴えるよりも、何時も通りに接した方が君の友人の不安も少しは安らぐだろう。
[そう、ゆっくりと伝えれば彼女はどんな表情をしただろうか。 こんな答えしか彼女に渡せない自分に苦笑をしながら、叶う事なら彼女の頭の上に二、三度手を置いたことだろう。]
(361) 2015/05/14(Thu) 15時半頃
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[自分に宛てられた礼の言葉は確かに受け取った。 しかし、彼女の表情はあまり良いものとは言えなかったかもしれない。 どうした物かと思案を重ね、ゆっくりと口を開く。
自分の思考の裏側の言葉をなぞるように。]
大丈夫。時期に「元通り」になるさ。
[何も心配する事はないと出した音は、彼女に宛ててか、それとも。**]
(362) 2015/05/14(Thu) 16時頃
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[細められた目も
矜持も、消えていく考えも。
黙っていては伝わらぬこと。]
ふふっ、そう。
可哀想に、あの子は見捨てられるのね。
[唄紡ぐ盲目の小鳥。
彼女がきっと仲間だと思っている一人から、命を見限られたのだと知れば。
それはそれは、絶望に染まる表情をするのでしょうね。]
『邪魔』がいれば教えてね?
一人ずつ、邪魔者は消していきましょう。
私も手助けするわ。
だって、私たちは『味方』なんだもの。
[そうでしょう、と。
偽りの涙を横に流しながら、嗤います。
学者さんの謂う通り、普段と変わらぬ貌を張り付け。
その厚い駱駝のカーテンの下に、真紅の瞳を細めて**]
好きにするさ。
[それは丁度、意識を失って見えた彼女の枕元で
かつての友と呼んだ男に言い放ったと同じ、投げやりさで]
好きに、するといいさ。
[恩寵うたう小鳥を食わんとする彼女の声に応える]
[耳に残る、娘の歌声。
視えなかったものが───
そう歌った彼女の目に、今は何が見えるのだろう]
それがお前たちの意思ならば。
[構わないと告げる音は、やはりどこか諦めに似る。
”彼ら”を諦めたわけではない。
ただ、もっと違うものを男は随分前に諦めてしまった]
お前たちが──…生き延びる道ならば。
[同族を自らの牙にかけること、男はやはり選ばない。
艶やかな声持つ人狼の娘、この娘に言わせれば、
自分もまた充分に腑抜けの一員なのやも知れぬ。
そうと思えど、それを変える気とてなく]
…… 力持つ者の話を、聞いたことはあるかね?
[代わりに問うのは、若者らへ。
それが何か、どれ程のものであるのか。
男とて、詳しくを知るわけではないけど]
これまでは使われなかった力だ。
私も詳しくは知らん。
だが、以前耳にしたことがある。
人を食らう人狼を見抜く術持つ者の話を。
[視るは生者であるか死者なのか。
それすらも良くは分からない。
分からないまま、ただ警告のみを発する]
この村に今、いるのかも知れない…いないのかも知れない。
だが、気をお付け。
血は血の中に、用心して隠し切ることだ。
耳と牙、…醒めるのはお前たちだけではあるまい。
[最後の響きは案ずるように、諦めのようにどこか*暗く*]
どこに?
[答えは返っただろうか。
聞けば、また歩きだす。]
せんせ……………、ごめんなさい……。
ごめんなさい………なんでもないの、だだ…
こわくて………………。
[泣いたらカビてしまうって言ったのに]
サイラスのおうちに……います………。
[ 瞑った瞼が、 また 濡れた。 ]
『過ち』……。
悪いこと。
でも…、友達は、食べちゃいけない…もん。
[「どっちが過ち」か、なんて。
そんなことはわからないけど。
少女はその先の考えを
遮断した。答えを知るのが 怖い気がして。]
止めないよ……。
怒られても、しらないもんね。
お姉さんの言ってること
意味わかんない。
[わたしを馬鹿にしようとして
わざと難しい言い回しをするんだ。
と、少し不機嫌そうに不満じみた声で。]
[“お姉さん”の声に呼応するように聞こえる男の声。
幸か不幸か自分に話しかけられたことはないから
あまり聞かぬふりをするけれど。
男はオンチョウというのが誰のことかわかっているようで
ここでもおとなの仲間はずれのような気がして面白くなかった。
何が『味方』なもんか。
ラディスラヴァの口ぶりに頭の中で
そう否定して。]
お父さんまで難しい話する……。
[『力持つ者』の話。
それが何なのか
力とは何なのか
見当もつかない。
けれど。]
わたしかくれんぼ上手だから。
大丈夫だよ。
[と父には嬉しそうに
その無垢な弾む声で
返事をした。]
[不利益を被ると思しき考えは共有する意識にのせず。
それはいいこで在り続けた癖か本質か。]
犠牲を払わねば得られぬものもある。
寧ろ、犠牲を恐れた故に失うことの方が、怖いよ。
[可哀想と称される娘を思う。
より失えぬものの為に見捨てる。
力をつける為の糧があるにこしたことはない。]
『邪魔』を消して、
耐えることを強いられぬ『楽園』でも作るかい?
[手助けするという『味方』に軽い調子で言葉を向ける。]
[諦めにも似た音色が
彼には思うところがあるのだろうと感じさせた。]
――……。
[お前たちが生き延びる道、と彼は言う。
私たちではなく、お前たち、と。
自身を含まぬかのような物言いにピクと片眉がはねた。]
我が子が愛しいならその子の傍に居て
その子が大人になるまで守っておいでよ。
何処の馬の骨とも知れぬ者に任せたくはないだろう?
[軽口染みたものを年上の彼へ投げ]
[力を持つ者の話には]
御伽噺や伝承にそんな話があったような気がするけど
人を食らう人狼を見抜く術持つ者、か。
この村に、いなければいいね。
もし居たら、厄介だ。
族長と同じかそれ以上に『邪魔』になるかもね。
――…ん、用心するよ。
[普段と変わらぬ柔らかな口調で。]
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