158 Anotherday for "wolves"
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[同胞の命を奪ったその手を彼女に伸ばすのは躊躇われた。 名を呼んで、互いの距離を縮め]
待たせたね。 ひとりで心細くなかった?
[胸の内へと収まるクラリッサの肢体。 躊躇いは薄れて、彼女の背をそっと抱きしめる。 見上げる眼差しにゆると目を細め見詰めていれば 頬に彼女の手が触れ、微かに口許を緩める。]
――…終わったよ。 ああ、違うな、終わらせてきた、だね。
[さらと向けた言葉の意味は彼女なら正確に理解できるだろう。*]
(118) helmut 2015/05/26(Tue) 01時頃
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[クラリッサの動きにあわせて長く艶やかな髪がさらと流れる。 彼女の応え>>119に頷きを返し]
逢いたいという思いが通じたのかな。 ――…もし、キミに何かあったら、と、
[離れる間不安だった、と微かな声音で告げる。 瞬きを肯定の応>>120えと受け取り、 落とした視線の先には淡い彼女の笑み。 いたわるようなぬくもりが頬へと触れる。 彼女には泣いているように見えたのかもしれない。 拭うような動きに僅かな驚きを過ぎらせながらも 思い受け取るように彼女を包むまま、そっと目を伏せた。]
(126) helmut 2015/05/26(Tue) 12時頃
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[今までとこれからと。 未来(さき)を思わせるクラリッサの声>>121に 少しだけ考えるような間を空け、もう一つ頷く。]
僕が殺したのは族長、ジョスラン、それから、サイラス。 『共存』を壊したくて、というよりも――… 隣村で禁を破ったのが妹、だったから、 家族を罪人として引き渡す事は考えられなくて、 “過ち”として正そうとする族長を、手に掛けた。
[はじまりを語る。 罪と知りながらの行為。 彼女が知りたいと望むなら、 ベネットの知ることは全て彼女に伝える心算で 残酷で救いの見えぬ闇を、晒す。]
(127) helmut 2015/05/26(Tue) 12時頃
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………せんせ。
今日の夕焼け、すごく綺麗ね。
[ こぼれた声は 朱い空を彩る筋雲の隙間へ ]
ね、せんせ。
[彼にだけ聞こえる声で囁く。
身体がこわばるのが重ねた肌越しに伝わる。]
[怯えている。愛おしい。]
ほしい。
柔らかい肉が。
新鮮な肉が。
[あの時のような。
無我夢中で食べた、あの時のような。]
次は“誰と”にしようかしら。
誰と作る子が
いちばん美味しいと思います?
ねぇ、せんせ?
[鈴のようにコロコロと
かつて聞いたことのあるような『笑い声』
「せんせ」と短く
かつて聞いたことのあるような『口ぶり』
今のわたしには7人の弟たち
かつて見たことのあるような『家族』
愛する父であり夫である医師
かつて会ったことのあるような『人物』]
[かつて仲間から言われた言葉
「 ──…キミのお父さんはキミを守ろうとしていただろう?
彼はキミが生きることを望んでいると僕は思うよ。
グレッグも、かなしむよ。」
「 残される彼(グレッグ)の気持ちも考えないの。
殺された彼(ルパート)の思いも考えないの。」
それらは呪いのように
『生きなくてはならない』
少女であったメアリーの胸にしこりのように
残りつづけた。まるで誰か()が後押しするかのように。
“キャサリン”と名乗るかつての少女は
その呪われた生を重ねて、今日も
妖しく溢れんばかりの美を纏って。
生きる**]
―― 回想 ――
[「見てる」とその場を離れずに居た少女に、
応も否も唱えず、「そうか」と一つ零すのみ。
シーツを借りる為立ち去るその場で、
彼女が何を思い何を口にしたかは知らない。
グレッグの事もあり彼女の思いも聞いていた。
だからこそ、見るなとも言えず、
さりとて友との決着を他に任せる気にもなれず。
サイラスの亡骸の前に戻る頃には少女の姿はなかった。
ふ、と吐息を零す。]
狩りを誰かに見せるのは
今日が最初で最後――……。
[特別なのは、彼女が最初に味方と言い出したルパートと
己の中に深い傷跡を残して逝ったグレッグが大切にした存在だから。*]
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[物語の狼に対してのクラリッサの言葉>>1:-159を思い出す。 優しい彼女に手を差し伸べて欲しいと仄かに願った己>>1:-177。 けれど実際は叶わぬものと諦めていた。 守るべき大事なものの為に、己の為にそこまでする義理はない。 そう思えばこそ声に出して彼女に伝える事はしなかった。
彼女の微笑み>>186に不安は軽くなる。 たおやかな彼女を知るたび惹かれてゆくのを感じた。 惹かれながらも一生伝える事はないと思っていた。
もし、何かあったら。 守れなかった過去が歯止めを掛けていたのに、 それを彼女は少しずつ解いてゆく。]
何もなくて良かった。 キミに何かあったら後悔してもしきれない。
[見詰める彼女の眸の揺れを感じながら 頬から肩へ、滑るように落ちる手の動きに 微かくすぐったげな音で咽喉を震わす。]
(198) helmut 2015/05/27(Wed) 00時頃
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[指先に触れるクラリッサの繊手。 包み込むような動きにされるままあれど 彼女の応え>>187と眸に宿る水の気配に 僅かに困ったような表情を一瞬浮かべる。]
――…もう言わない。
優しいキミは孤独に森に彷徨う狼に、 自らの意思で手を差し伸べて呉れた。
[巻き込まぬ道もあったはずなのに、 結局巻き込んでしまったと思いながらも 童話のもしもになぞらえて 選んでくれたことへの感謝と喜びを滲ませる。
花は今も本屋で静かに咲いているだろう。 けれど今一番欲しい花が己の手にある。 包む彼女の手をそっと握るは壊れ物を扱うように。]
(199) helmut 2015/05/27(Wed) 00時頃
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[攫うという言葉通り、 クラリッサの背と膝裏に手を滑らせひょいと抱き上げて]
必要なものだけ持ってこの村を出よう。 仮令追っ手が来たとしても――… 何があろうとキミを守るから。
一緒に、旅をしよう。 遠い場所を、広い世界をみてみたい。
[常より明るい口調でそんな未来を語る。**]
(200) helmut 2015/05/27(Wed) 00時頃
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――……ああ、綺麗だな。
[騒動の顛末を見届けながら、言えたのはそれだけ。
空は人の心も、何もかも、
置き去りにして色を変えていくから
喉に詰まって、言葉も何も出やしなかった。]
グレッグ、
[囁いた音が、甥に届いたかは分からない。
ぱくりと裂けた喉からは、かふりと空気が抜けたから。
構わず甥を後ろから抱きしめた。
いつか、この子を本当の息子と呼ぶ…夢を、見た。
もうずいぶんと昔の話のようだ]
…─── あ い してるよ 。
[お前を、お前たちを。
呪縛のようにずっとずっと…そう永遠に]
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[少し滲んだ自嘲の色は気付かぬ振りをして クラリッサの頬>>205を撫でる。]
それは頼もしいね。 けれどもう森を独り彷徨う事はない。 僕にはキミが居るから。
[大丈夫、と呟いて、小さな鳴き声に獣の声を重ねた。 ベネットにとって物語のヒロインはクラリッサだった。 けれどその物語の主人公は己でないと思っていたけど、 今はもうそう思うことを止めて彼女と共に歩むを決める。
誇り高き人狼の血は次代へ繋がる。 その力を振るうは特別となった彼女の為にのみ。 彼女を守る為ならその身も流れる血も惜しむことなく。]
(226) helmut 2015/05/27(Wed) 03時頃
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[抱き上げたクラリッサから小さな悲鳴が上がれば 「驚かせてごめん」と素直に謝り 此方を見つめる彼女の可憐さに口許を緩ませる。]
ありがとう、クラリッサ。 けれど守られるより守らせて欲しい。
物語でも姫を守るのは騎士の役目だろう?
[血に塗れた己が王子の役割を担えるとは思えない。 けれど彼女を守りたいがゆえに騎士と口にする。 ドナルドから預かる包みの中身をしれば よりそう意識するかもしれない。 身分違いの恋もまた悪くない、そう思うけれど 誓いのような彼女からの口付けに肩書きなど必要ないのだと思う。
これから紡ぐ物語は、本には綴られぬ二人の歩む未来。]
(228) helmut 2015/05/27(Wed) 03時頃
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[村を出て暫く行けば、ひとりの旅人と擦れ違う。 見覚えのある顔は、以前世話になった薬屋の主。 ふと過ぎるは、友と思いながらも手をかけた彼の姿。]
――…手は、届いたかな。
[ぽつと呟き空を仰ぐ。 隣を歩む彼女の視線に気付けば柔らかな笑みを浮かべ]
友人のことを思い出していたんだ。
[そう言って、彼女の手を取り直し再び歩み始める。**]
(229) helmut 2015/05/27(Wed) 03時頃
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