76 ─いつか、薔薇の木の下で。
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[ほしいもの。漠然とした影はすぐに消える。
薔薇の香りが隠してしまうから
[流されるまま、秋空の色が瞼の裏に隠れると同時。
薄紅に同じものをふわり、重ねた。
甘い香りは脳髄をしびれさせて感覚を麻痺させる]
ん……
[次第に深く、抱き寄せる腕も力がこもる。
求める様はそれこそ子猫がミルクを舐めるよう]
ああ、可愛いね……。
[口づけは、深く、されど、その仕草はどこかあどけない。
けれど、欲望はそれでつきることはない。]
――……君が欲しいよ。
僕をもっと欲しがって……。
[薔薇の力で、蘇った肌の弾力は、彼に触れることを求めて……。
そう、月明かり、薔薇の木の下。
彼の望みに答えるよう、その指先を動かしていく。
そう、彼が抱かれたいのならば、そのように、抱きたいのなら、やはりそのように……と、問うて……。]
[深くくちびるをあわせて、吐息まで取られてしまったよう。
くたり、その肩口に頭を預け。
息はあがり、頬は僅か上気して。
薔薇の蔓が意識を侵食する感覚がわかる]
……。俺も。
[手はぎこちなくその肌に触れた。
同性の筈なのに自分とは違う、花弁のようなしっとりしたそれにまたくらり。脳裏がしびれる
唇を滑らせて浮き出た鎖骨に紅薔薇の印を一つ、刻みつけ
持て余す薔薇の香と毒のような棘の感覚
抱き寄せて痩躯をゆるく押し倒す
どちらを求めているかは月明かりが照らすまま。
薔薇の霞の中の交わりは、熱く深くとも、
そこに名残は残さない
誰が訪れても一時の色の香は消えうせる筈]
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……あ。ノイ?
[声をかけられて、我に返ったように目をしばたいた。]
いや、うん…なんでもない。 酔ったのかも、ね。
[何か釈然とせぬままに、ふるっと首を振って。 ぼんやりした様子で、ノイが片づけるのを眺めている。]
……ぁ。
えっと、手伝う?
[そう声をかけたのは、ほとんど片付いた後だった。]
(79) 2013/03/24(Sun) 23時半頃
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…ノイ?だいじょぶ?
風邪でも引いた?
[熱のありそうな様子を心配そうにのぞきこみ、 額をそっと重ねてみる。 ふわりと漂う薔薇の香りに戸惑って。]
寝るんなら、部屋戻れよ……
[抱き起すように引き寄せれば、互いの心音が重なるような気がして。 妙な気分になるのを、煩わしげに頭を振って散らす。
部屋まで引っ張って行って寝かせる気だけど…]
(90) 2013/03/25(Mon) 00時半頃
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エリィ、手ぇ貸してくんない? なんかさ、ノイ…熱でもあるみたいで。
[そんな風に助けを求めるこっちの方が、割とぼんやりして危なっかしかった。**]
(92) 2013/03/25(Mon) 00時半頃
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…うん、やっぱりおかしいよ。 ちゃんと部屋で休んだ方がいい。
[流石に抱き上げるほどの力はないから、肩を支えるようにして、彼の部屋へ。 エリィが手を貸してくれたら多少は楽に運べただろうけど。
ベッドへ寝かせようとしてバランスを崩し、うっかり雪崩れ込むような状態になる。]
……わっ、
あ、ご、…ごめ…… [肩越しに流れた長い髪が、彼の上体へと覆いかぶさって。 腕を立てて体を起こそうとすれば、あまりに近い顔と目が合う。
きっと、ひどく動揺していた。]
(103) 2013/03/25(Mon) 11時頃
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ヴェスパタインは、ベッドサイドにぺたんと座り込む**
2013/03/25(Mon) 13時頃
[そう、さきほど、声の通うものと、
肌を合わせたばかりなのに、
疼きは収まらず、なお、
求めてやまない……。]
ああ、君も苦しいだろうか。
[声の届くものへ。今、その苦しみが、そして、甘やかさを共有するものへ。
心の中で、細い指を伸ばす。]
──……。
[頭を振って、懸命に香りを脳裏から消そうとする。
あの細い指が触れてくるような感覚に
吐息にかすか、熱がこもる。
けれど。目の前の彼に触れて、箍が外れたら多分、自分は]
だめ、だ。
[苦しいけれど。切ないけれど。
それでも、まだ]
この苦しさ、わかってくれるのは、
君だけだよ……。
[それは、いつのまにか、彼自身の言葉だけではなく、
薔薇の言葉にもなっている。
枯れたまま、終わるのは、嫌だ。
また、あの花を咲かせたい。
美しく、そして、甘美なあの想いを……。]
君だけだ……。
君がいないと……。
[細い指は、もがくように、
唇は、浅い息を繰り返しているかのように、開ききらない五分咲きの薔薇のように…。]
ぅ……ん
[入ってくるな、これ以上、香りはいらない
懸命に拒絶しようとするけれど
酔いは拒絶の仕方を忘れてしまったよう。
ヤニクからそらした目は熱で秋空を写す湖面のよう。
もう耐えられないくらい理性はぎりぎりで。
月の下で暴いた体の感触が手に残る。
あぁ、かなうなら、もう一度触れたいと
伸ばされた指に応えるように
夢の中で自分の指も絡ませる]
…欲しいのに。
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ちゃ……、ちゃんと寝ろよ。 具合悪い、んだ、ろ!?
[何故か妙に気恥ずかしくて、視線を合わせられず。ぷいと背を向けて床にずり落ちるみたいに座ったら……]
……ひゃぅ!? [背中つつかれて、変な声、でた]
(122) 2013/03/25(Mon) 22時半頃
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ああ
欲しいなら、
摘み取ってしまうかい?
[薔薇の囁き。
それは甘美な欲望を否定しはしない。
その伸ばした指は、きっと彼の身近な人からも伸ばされたような幻影。
薔薇は、咲き誇るために、
吐息をこぼす。]
――……
摘み とる…?
…何を、どういう……
[息が上がる。目の前のヤニクの熱と薔薇の香りの熱で
逃げ場のない感覚。
潤んだ目はその水滴を零す]
熱い、よ…たす け…
[どうすれば熱は収まるのか。
どうしたら、このやり場の無い感情はきえてくれるのだろう]
[助けを求める響きに、
薔薇ではなく、彼自身が眉を寄せた。]
ああ、
壊したくないんだね。
[指先、それは、眠る子を宥めるように…。]
――……君を慰めてあげる。
僕なら、いくら壊されても、
構わないよ……。
[優しく、語りかける。]
君の大事な人は、
大事にして………?
[その言葉はどう響くだろう。
だけど、深い意味はない、そのままの意味だ。
大事な人がいるのならば、
大事な人は、大事に………。
欲望だけで、何かを壊してしまいそうならば、
壊れてもいいものを壊せばいいと……。]
僕のことは壊してもいいんだよ。
むしろ、僕は壊れることを………。
[薔薇とは違う、願い。本当は見えない、未来。
美しくありたい。枯れてしまいたくない。
そこは同じなのに。]
───……ぁ、う…… !
[熱と理性と、大事な人と薔薇の声。
持て余してどうしようもない感情と
それでも失いたくない大事な友人と
満ちる香り薔薇が脳裏を壊してしまったよう。
悲鳴のような声は悲痛で、けれどやはりどこか甘やかで
助けてたすけてタスケテ
辛い。熱い。苦しい。
けれどどうしていいのかわからない。
ずっと人に頼ってきた代償。この依存心の塊は]
ああ……
つらいなら、
薔薇の木の下にまた、おいで。
[苦しげな声に、薔薇は甘やかに…。]
――……いくらでも、君を慰めてあげる。
いいえ、愛してあげる……。
だから、今は、おやすみ?
[そんな慰めを。]
|
や、やめろよ……。
[どきどきする。
自分からこんな声が出るなんて、思いも寄らなかった。]
くすぐったい、だろ。 ……変な気分になったら、どうしてくれる。
[そっちを肩越しに様子を伺うも、赤くなってそうで振り向けない。 膝に顔埋めて、丸まってしまった]
(131) 2013/03/25(Mon) 23時半頃
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僕も、苦しいから……。
[ひとりじゃないよ、と。
依存には、依存で答え…。*]
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…や、その……
なんでもない。
[鸚鵡返しに問い返されて、ぎくりとした。 ぎこちなくごまかそうとしながらも、自分の中で持て余しているものの異常さに戸惑うばかり。
月明かり。薔薇の香り。 どうにかなってしまいそう。]
わ、っ。
[毛布投げつけられて、驚いた声。 もそもそっとそのまま、そこで包まって。
人の気配は、何よりも安眠を誘うもの。 一人の部屋で寝れずにいたせいか、うつらうつらとしはじめた。
白い横顔は、とても無防備。]
(141) 2013/03/26(Tue) 00時頃
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[そこに、眠る子の姿はあったか。
いずれにせよ、シルヴァではない、薔薇は、サイモンにも彼にも微笑む。
そして、おいでと、手を差し伸べるのだ。]
|
[なけなしのプライドで縋らずにいるけれど、根はとても臆病で寂しがりやだ。
相方が帰省してしまって、一人の部屋はいつもより広くて寒い。 緊張の糸が切れたかのように、安心しきった寝顔。
長い髪に触れられれば、わずかに開いた唇の隙間から、かすかな吐息が零れた]
(152) 2013/03/26(Tue) 00時半頃
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