131 SACRED JUSTICE ―闇の正義と光の祝福―
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俺はただの医者だ。
[表向きは。
実態は病魔は喰らう半人半魔の中途半端な存在。]
「間もなく闇で染められるこの地に」
なんていってる奴が唯の医者であるはずがないだろ?
それに共鳴してる時点で普通じゃないよな。
[過去の経験から考えると闇に類推されるもの。
あえて口には出さなかったがそう確信していた]
僕はそもそも君たちの顔まだ知らないのにね。
ティソ、だね。よろしく。
[そう考えると益々妙だ。普通この手の精神共鳴は、両者の同意、どれだけ最低限でも顔見知りですらない状態でこれ、というのは。然し]
[間も無く闇で染められる。その言葉を耳にしてアマトは]
……そうですね。
兄さまは心配するだろうけど。
それが必要な事だから。僕も。
[もし表情が見えていたら曇るその瞳を見られていただろう]
…まあ、普通ではないかもしれないが。
ならばそういうお前はどうなんだ?
ティソといったか、善良そうな人物に見えたがお前も。
[闇の眷属だというのだろうか。
ここは聖都、闇の眷属はそもそも肩身が狭くひっそりと暮らしているのだ。
なのに今日になって闇の気配を感じる事が多いのは。
やはり私は憂鬱を謳う詩人《ブルーバード》の通りにこの街が、闇へと染められていくのだろうか。]
戦う為にこのレグレシアまで来ました。
[嗚呼、告げてよさそうだ。そう判断して、反応を窺う為にもその言葉を吐いた]
あはは、兄さまと友達なだけでも、「唯の医者」じゃちょっと無いね。
僕がいつでも、「しがない神秘研究家」なんて名乗ってるのと同じくらいには。
[ティソは。彼はどういう立場の人間なのだろう]
ああ、こちらこそよろしく。
俺は善良な市民だよ。
ちょっとだけ、特殊な事情は持ってるけどな。
賢者の塔にいた事があるっていって置けば察してもらえるか?
……随分と勇ましい事だな。
戦うとは具体的に何とだ、教団か?
ならば容易くはいかんぞ。
あちらは人数も多いしな。
[真顔で答える。
表情は伝わらずとも空気は伝わるだろうか。]
お前の兄ならば俺の正体も知ってはいるのだが。
まあ、ただの医者という事にしておいてくれ。
[本気でこの地が闇に染まり、戦いが始まれば。
自ずと正体も知れよう。]
善良な市民か、あはは。
つまりティソは魔術師か何かで。
何らかの研究成果かこの特異体質の所為で締め出されちゃったわけだ。
[確かにアマトは察した。なまじ知識はあるだけに余計な所までだが]
うん、そう。教団と戦います。
イアンさんも、結構危ない人だね。お互い、こんな言葉、教会に聞かれたら唯じゃすまないよ。
それに、相手の強さは、知ってる。
それはもう、身に染みて。
……それに戦わなきゃいけない理由も増えたみたいだしね……。
[その小さな声は己に向けた物だが]
ま、そんなところ。
[属性が原因とまではいわなかった。
闇属性に理解のある人間が零ではなかった()
しかし、大半()は忌避しており、
才能こそ認められていたが確固たる地位のなかった自分は排除されてしまったのだった。]
聞こえるかしら?
今、貴方の心に直接問いかけているわ。
[さて、魔法耐性のある彼に言葉は届くのか。
レティーシャと話すよりは小さな声になってしまうのか。
それとも、全く届かないようであれば通信用のマジックアイテムを渡すところなのだが。]
[頭に響く不快なノイズ音。
同時に途切れ途切れにクラウディア卿の声が響いて顔を顰めた]
面白い力をお持ちの様ですが、
少々頭痛を伴う話術のようですので、ご遠慮致しますよ。
[クラウディア卿の力は《白》の加護を突破する程のものだが、
やはり負荷は掛かるらしい。
素直に断りを入れると、
通信用のアイテムを受け取る事になるだろう]
…あら、面白い術式を使うのね。卿の才たるや恐るべきかな。
[ふと通信アイテムを使ったときのように頭の中に響いてくる声に、笑みを浮かべた。ダイレクトに意思を伝える声。自分はその会話には参加しない。ただ傍受しているだけだ]
やはり難しいですか。
ではこれを。
[水晶を一つ手渡した。
そして補足的な説明を加える事に。]
私専用の通信手段という訳ではないのです。
他にも王国の為に戦う人が居るのならば。
魔術を教えるか、同じ様な魔法道具を渡すでしょうね。
私にはこれで十分です。
[渡された水晶に話しかける。
声が届く者が判っていれば、それで良いと]
何やら異教徒狩りが始まっているようだが。
二人とも隠れるなりした方がよさそうだぞ。
[今アマトとティソの二人がどこで何をしているかは分からない。
一応は警告はしておこうとそっけなく伝えるだけ伝える。
ある意味で教団内部へ潜入したいならチャンスでもある。
己は今はまだ教団へ近づく気はないけども。]
異教徒狩りか、詳しく聞きたい。
状況次第では潜入を試みてもいい。
ああ、あと薬屋での用事は終わった。
さっきのメモの薬ももらったんだけどもって帰ったほうがいいか?
[共鳴を連絡代わりに使う。]
いや、薬は今はいい。
診療所付近も煩いのでな、近づかない方がいいだろう。
[精神共有とは面倒くさい事を、と思っていたが。
慣れれば案外便利であった。]
詳しくは俺も分からん。
なにやらスラム街の住民を教団本部へ向かわせているらしいが。
それに抵抗するなら異教徒、そういう考えのようだな。
[故に潜入するならただ粛々と本部へと向かえばいいだけの事。
実に容易く中へと入れるだろう。]
嗚呼、イアンさんもスラム街の近くにいるんだ。
僕からも、山狩りぽい何かが始まってるの、見えてるよ。
[そっけないイアン連絡。ティソは近くにはいないらしいが。
随分大規模な異教徒狩りだ。この分ならば教団の戦力も結構分散してくれているかも知れない。ならばチャンスは未だ]
僕も少し、メサイア大聖堂に殴りこみを掛けてみようかな。
[少し市場で食材買ってくる。そんな口調で、言ってのけた。ティソも、状況次第はという但し付きなのに]
殴り込まなくても普通に入れるんじゃないか?
[物騒な言葉に真顔で返す。
何が目的かは分からないが暴れるよりはなるべく穏便に行動を済ませる方が成功するのではないだろうか。]
それはほら、新生山賊団的な気分で。
[流石に意味がわからないだろう。だが云われて見たら、今こうして教団の聖堂へいく、なんだか光の無い目をした人々に紛れたら、簡単に通れるはずだ。
問題は、内部に到達した時点で、地下牢行きからどの様に道を逸れるかだが。
それこそいざとなれば暴れる事になるか]
薬は了解した、そしてスラムの住民を本部にか……。
紛れ込みたいところだけど、恐らく其れだとばれるな。
一応、賢者の塔ではそれなりに顔が知れてるからな。
……山賊?
[アマトの姿は知らないが兄のアマネの姿を思い浮かべる。
あまり山賊には見えない気がしたが。
それはさて置き。]
顔が知られているのならば気を付けるんだな。
あそこには厄介な人物が幾人かいる。
特に気を付けるべきはクラウディア卿だろう。
[もうすでにアマトがクラウディアと対峙した事はまだ知らない。]
あー、もう皆まで言うなって奴じゃねー?
クラウディア卿は、さ。
[塔の中でも別格。
いや、教団の中でもかもしれなかった]
[賢者の塔、そういえばティソの出身的に、紛れての潜入は難しいらしいと思い出す]
……うん。わかってる。
あのデタラメな貧乳お姉さまには出会えば死にそうだし。
僕も聖霊術師。捕まらない様に気をつけます。
[幸いな事に、まだ彼女にしか直接顔は見られないから。
今、特に友達が教団の敵として狙われている今、アマトは自分ならまだすり抜ける機会もあるかも知れないと山を張っている。とは云え行き先は、件の枢機卿がおわす教団の本部。彼女だけでなく、脅威は腐らせて捨てる程沢山あるだろうが]
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