266 冷たい校舎村7
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なんかさぁそれってつまんなくない? せっかくのめったにない大雪だよ? ちょびっとくらいは楽しまないと。 ……別に雪投げしようとまでは言わないけど。
[盛大に首を傾げながら言い募る。 とはいえこれもやっぱり平行線のまま着地しそうな気はしていた。 イロハが持ってる視点を蛭野が持ってるとは限らない。逆もまた然り。 けして短くない付き合いの中で、 きっと、そういうことばっかり積み重ねてしまっている]
(403) 2019/06/06(Thu) 02時頃
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[ほら、今だって、>>189 イロハの視点からだと自動販売機は標のようだけど、 蛭野の視点からすればそれすらもそのうち埋もれて見えなくなりそう、だという]
そりゃあたいへんだ! お目当ての飲み物が買えなくなっちゃう。
[だが、ツッコミを入れることなく、 軽快さすら帯びる口調で相槌を打っていた。 もしこの通学路が、町がこの後ぜんぶ雪に閉ざされてしまったら、 イロハたちがこの自動販売機を使った最後のひとになるのだろうか、なんて考えもしつつ]
(404) 2019/06/06(Thu) 02時頃
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[イロハとしては急ぎ足で向かってるつもりだったが、雪のせいでふつうに歩くに近しい速度。 加えて歩幅の差はどうにもならず。 先に自販機の前に辿り着いた蛭野が紙幣を機械に滑り込ませるのを見れば、>>190 何がどうなっているのか、と一瞬思考がフリーズした。
ほどなくして、缶が取り出し口から吐き出されるがこん、という音で我に返る]
え? あたし?
[自販機よりちょびっと低い高さから見下ろす眼差しに視線を合わせる。 盛大にきょとんとした様子で目をまあるくしていたが、]
(405) 2019/06/06(Thu) 02時頃
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む、むむ……かたじけのうございますことよ。
この借りはいずれ返す。 ……とりあえずこのミルクティーにするね。
[めちゃくちゃな時代がかった言い回しでお礼を言うと、 ふいっ、と自販機に視線を向けなおして、 手袋に包まれた指でお目当ての缶のところにあるボタンを押す。 止められなければ再度がこん、という音が響き渡り、 あったかいミルクティーが取り出し口に吐き出されるのだった*]
(406) 2019/06/06(Thu) 02時頃
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私も、ペットを飼ってたの。
リードを付けてあげると 皆、とっても喜んでた。
(407) 2019/06/06(Thu) 02時半頃
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・・・ そうね、何人目の話をしようかしら。
(408) 2019/06/06(Thu) 02時半頃
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─ ペットにつきましては ─
[ ぱちん と弾けるような音がして、 遅れて、白い肌に赤い線が滲み始めるの。
うんうん。私は満足げに微笑む。 ]
ほら見て、すごく綺麗 私、嬉しいわ ちゃんと我慢してくれて
[ 此方を見つめる瞳は、うっすらと 涙の膜を張って、揺れています。
痛いんでしょうね。かわいそう。 でも、我慢できるでしょう?まだ。 ]
(409) 2019/06/06(Thu) 02時半頃
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[ 顎を掴んで鏡に映る自分を眺めさせる。 身じろぐように少し抵抗されたので、 細く長い髪を指に絡ませて、掴む。 ]
見なさい
[ 私の声は、決して低くはありませんが、 一音一音はっきりと告げれば、皆 ちゃんと言うことを聞いてくれるの。
片手で彼女の頭を掴んだまま、 もう一度鞭を振りかぶります。えいっ。 ]
(410) 2019/06/06(Thu) 02時半頃
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[ 押しつぶしたような醜い悲鳴が漏れた。 ついに彼女は泣き始めてしまいました。 明らかに「やめてください。」って言いたげ。
髪を離せば、嗚咽と共にその場に蹲るので、 私も仕方無く、彼女に向かってしゃがみこみ、 可愛らしく両手で頬杖をつきましょう。
顔、あげられたら、パンツ見られちゃうな。 制服のスカートの下は、今日は何色だっけ。 ]
もう一回出来るよね?
[ 尋ねる。首を横に振られる。 ]
(411) 2019/06/06(Thu) 02時半頃
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なんで? 痕を付けて欲しいってお願いしたのは 貴女だよね?どうしてもって。
[ 不思議だなあ。 首を傾げて、形の良い後頭部を眺める。 荒い呼吸の混ざった沈黙。首は振られない。
昼間は、真っ当に働いている彼女の 指の間を通り抜ける黒髪はすっかり乱れて。 ]
お願いしたのに、コレ?
(412) 2019/06/06(Thu) 02時半頃
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[ ぱちぱちと、目を瞬く。 暴力に訴えるのは、好みな訳で無いんだけど この子はそれが好きなんだもの。
仕方ない、と私は立ち上がる。 ローファーの爪先を床との隙間に滑り込ませ、 ── 額を蹴り上げた。此方を向かせる。 ]
出来るよね?
[ 感情の渦に溶けた瞳が、私を見つめる。 震える唇が無駄な言葉を紡ぐ前に、 堪えきれないみたいに彼女の首が頷く。
ころっ と、私は微笑みました。 ]
(413) 2019/06/06(Thu) 02時半頃
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いい子
(414) 2019/06/06(Thu) 02時半頃
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たまたま耳に挟んだに過ぎないけど、 この子は捨ててすぐ、自殺したみたい。
他に依存先を見つけられなかったのね。
(415) 2019/06/06(Thu) 02時半頃
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かわいそうだけど、どうでもいい。*
(416) 2019/06/06(Thu) 02時半頃
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[「一番尊敬している人は誰ですか?」
小論文の題材にもなりそうなありふれた問い。 それに、あたしは長いこと、胸を張ってこう答えていた。 「あたしのママです」――と。
中学3年の冬にいろいろあって、 「ママ」って呼ぶのはやめちゃったけど、 答えじたいは変わってなかった]
(417) 2019/06/06(Thu) 04時頃
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―― 回想/ヨーコちゃんにまつわるあれそれ ――
[話は中学時代にさかのぼる。
イロハが仲冬高校を受験しようと思ったのは、 早い話が、そこが母の母校だったから、である。 母のようになりたいと思っていたイロハは、彼女に近付けるようにと勉強に励んだし、 母も応援してくれていた。
しかしイロハの成績はあんまりパッとしなかった。
きれいでかっこいいおんなのひとは、 常に一番でなければならない、ってワケじゃない。 けれど、もうちょっと上に行かないと合格が危ないと言われればさすがに焦った]
(418) 2019/06/06(Thu) 04時頃
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[焦ったイロハは、当時同じクラスにいた成績優秀な子――七月葉子に、>>122 勉強を教えてもらおうと思い立った]
……せ、せめてニガテな数学だけでも! お願い!
[断られようが頑張って頼み込んでいたっけ。 さすがに土下座はしなかったけれど。
思えばコレがまぎれもない、 七月との腐れ縁じみた関係の始まりであった]
(419) 2019/06/06(Thu) 04時頃
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[合格が危ないラインを越えて仲冬高校に入れはしたが、 そこは紛れもなくイロハより頭のいい人が多い場所で。 初めてのテストの順位は下から数えた方が若干、早いという有様だった。 イロハはまたも勉強の面倒を見てくれるひとを欲した。その結果]
ヨーコちゃん! ノート見せて!
[クラスが違おうがお構いなし。 その時七月はもう一番、ではなくなっていたが、 結局イロハがいちばんに頼る先は彼女であった]
(420) 2019/06/06(Thu) 04時頃
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[高2の時だ。 七月は高本と付き合いはじめた。 頭もよくて顔もいい高本と七月とは、 何だかお似合いな感じがする、と、イロハは暢気にも思っていた]
ヨーコちゃん、なんか変わったよねぇ。 高本くんと付き合うようになって。
[何が、とはうまく言えない。 借りてたノートに視線を落としてもページに言葉が浮かんでくるわけでもない]
恋かぁ、……
[恋をすると人は変わる、と言っていたのは――そうだ、母だ。 そう言っていた時の母の顔が目の前の七月の顔にオーバーラップしていた]
(421) 2019/06/06(Thu) 04時頃
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[母の初恋は高校の頃だったという。 相手のことは知らない。教えてくれなかったから。 それでも、恋とはあまやかなものであるとはじゅうぶんわかった。 母にあんな目をさせたんだから。
目の前にいるのは初恋の人じゃなくて娘たるイロハだったというのに]
(422) 2019/06/06(Thu) 04時半頃
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あたしも、がんばろっかな。
[ぽつり、と呟いてから数日後、イロハは本当に頑張ってみた。 当時気になっていたバレー部の男の子に告白し、付き合ってみたのだが、 なんだか一緒にいると疲れる、という理由で、 イロハの方から彼を振ってしまった。
以来イロハにとっては、方程式を解くことより、 恋をする方が難題になってしまった。 かといって数学が急に得意になったわけじゃない。 3年に進級しても、イロハが時折七月を頼るのは相変わらずであった**]
(423) 2019/06/06(Thu) 04時半頃
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[ 揺 れ る 煙 に 目を伏せた]
(424) 2019/06/06(Thu) 06時半頃
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………… 殴られても動かないんだよな。 見たことある。
あれって愛してほしいからかな。 それともあきらめてるからかな。
最初は悲鳴をあげるけど そのうち慣れきっちゃって 虐められるのを待つような目で飼い主を待って
あれは多分、どっちも、なんだろうな。
(425) 2019/06/06(Thu) 06時半頃
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ああ。 リードから抜け出したりも、するな。 するんだけど、数日するとぼろぼろになって戻ってくる。 そのまま野良になったりはしないのかね。 案外、ご飯の味でも思い出すのかもしれない。
にしても、 痛めつけなきゃアイせないのか 痛めつけるだけの何かが欲しいだけなのか 飼い主の方にも興味は尽きないもんで ・・・・・・・ サンプルケースは多い方がいいから そのためだけに飼われてみるのも悪くないね。 でも、俺はすぐに飽きちゃいそう。
(426) 2019/06/06(Thu) 06時半頃
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………………何の話? いぬの、話。
(427) 2019/06/06(Thu) 06時半頃
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あ。
これ、内緒にしといて。
(428) 2019/06/06(Thu) 06時半頃
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[くゆる煙を指差してから 誰も来ないような体育館裏の塀に煙草を押し付けて 俺は誰かさんと、秘密の話をする。
煙草。内緒にしてね、内緒だよ。 俺も内緒にしとくから。
いつもどおりの口調で軽く笑って 人差し指を立てる姿だけ、いつもの陽気さを失せさせて]*
(429) 2019/06/06(Thu) 07時頃
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―― 回想 / 盗難事件 ――
……はいはい。ハグハグ。
[拓海の反応はいつも通りの馬鹿げた 俺にとっては「つまらない」ものだった。
大仰に喜ぶ拓海の背をぽんぽん叩いて軽くハグ。 その茶番に付き合ってやる。>>192
昔から、こいつはこういう奴だった。 ノートを隠されたくらいで、 思い悩んで受験に失敗するような タマじゃあ、ない。
それなのに、なんでこいつのノートを 俺は盗んだんだろうな]
(430) 2019/06/06(Thu) 07時頃
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[道連れになんて、できるはずもないんだ]
(431) 2019/06/06(Thu) 07時頃
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そうだな。 つまんないことをするよな。 こんなことやったって、何にもなりゃしない。
[それは、半分は自分に対する言葉だった。>>193 俺はいったい、何をやっているのだろう]
……しかし、ひどい奴だな。犯人。
[お前にこんなことをするだなんて、と。 その言葉が嫌に自分の胸に響いて苦しくなる。 だから、俺はカラリと笑って]
(432) 2019/06/06(Thu) 07時頃
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