212 冷たい校舎村(突)
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[……だからでしょうか、少し、喋りすぎてしまって。 それを反省しながらも、おずと尋ねてみれば 返ってくるのが、優しげな笑みだったものですから]
ほんとに、ありがとう。
……でも、"こんな俺"とか、言っちゃ駄目だよ 私は健士郎相手じゃなきゃ、 こんな相談も出来ないんだから。 ね。
[ありがとうって、それだけ言えば良かったのかもですが まるで自分を卑下するみたいな言葉が、許せなくて いつも通りの声音で、つい、委員長らしいお節介]
(252) 2017/03/09(Thu) 15時頃
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[二人きりの、秘密の相談会。 ……って言う程、色気のあるものではありませんでしたが こっそり集まったり、あるいは堂々と教室で。 時折、メールなんかでも。
先生が仕事を押し付けてくる、とか。 お父さんの帰りがいつも遅いの、とか。 どうしたらちゃんとご飯食べてくれるのかな、とか。 私がする話っていえば、大体そんな感じで。 今にして思えば、度々、彼を困らせてもいたでしょう。
それでも彼は、私を突き放したりしませんでした。 どころか、向こうからも、相談や愚痴が零され始めて。 その時の気持ちは、形容し難いものがあります。 一方的でなく、彼に頼って貰えたのが嬉しくて 精一杯、答えたに違いありません]
(253) 2017/03/09(Thu) 15時頃
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[「会話を続ける方法? えっと、相手の気持ちになる、とか? 相手の好き嫌いを知ってれば、きっと話しやすいよ」
「今時男らしく、とか、変だよね。 やりたい事、やりたい様にやれば良いんだよ。 認めてくれる人は、お父さんだけじゃないんだから」
「お父さんって、理想を押し付けてくるよねー。 でもさ、健士郎はお家の事もあるし、 それにクラス委員なんだから、それを盾にすれば良いよ」
出来る限り考えて答えたつもりでしたが 言えたのは、耳障り良い、毒にも薬にもならないものばかり。 相談に対する答えにしては、お粗末なものでした。 さて、彼の助けに、なったのかどうか]
(254) 2017/03/09(Thu) 15時頃
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[そんな、心地よいやり取りを断ったのは、私の方。 何気ない普段の会話は、勿論、今でもしています。 だけど相談なんて、愚痴なんて 全てを知ってしまった私は、 口にする事が出来なくなってしまいました。
心配させてしまっていると 薄っすら、気付いてたって 踏み込んだ会話は鳴りを潜め、曖昧に笑うだけ。
でも、本当は 彼に一つ、謝らなければならない事があります。 父や家の話をしなくなったのは、 その事実から、目を逸らす為だったのかもしれません]
(255) 2017/03/09(Thu) 15時頃
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[──── 知らなかったとはいえ 実は、母が生きていたんです なんて。
同じ境遇だと言い続けた彼に対して、 どんな顔して言えば良いって、言うんですか*]
(256) 2017/03/09(Thu) 15時頃
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── 現在:校舎へ ──
[ 理一を急かして、くぐった校門。
目をこらせば、校舎へと続く足あとふたつ。 見間違いじゃない と、安堵しながら、 少しでも、歩きやすいようにと、 ふたつの足あとの内、大きい方をなぞるように歩く。]
やっぱ、休校ってわけじゃねーのかな、電気ついてるし それにしたって、静かすぎる気がするけど
[ まだ、始業時間までは少しあるが、 見上げた校舎に明かりは灯れど、人気はなく。
首を傾げながらも、昇降口の扉に手をかけた。 痛いほどに冷たい、金属の温度と、かすかな重み。 力を込めれば、なんなく開く、扉。 開けたまま、早く入れ と促して。]
(257) 2017/03/09(Thu) 15時半頃
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── 冷たい校舎 へ ──
(258) 2017/03/09(Thu) 15時半頃
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[ ……。
異様に静かな以外は、いつもと同じ。 その奇妙な非・日常感に、思わず立ち止まった。
ギイ と小さく軋んで、背後の扉が閉まった。ガチャン。
そうして、凍えるような寒さは和らいだ。 マスクをずり下げながら、顔を上げて、 ようやく、少し先の人影を見留める。>>215]
(259) 2017/03/09(Thu) 15時半頃
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[ ふたつのほっそりとした影。 目立つのは、つばの広い、青い装飾の目立つ帽子で、 その横で、すらりと伸びる背が、 彼女に付き添うようにも見えた。
立ち姿か、醸し出す雰囲気か、ふたり並ぶと、 この異様に静かな空気に妙に溶け込んで──、]
……大和さん と、古辺。
[ ……声に出して、名を呼んでみれば、 彼女らも同じ制服を着た生徒 である。でしかない。
一瞬遅れて、「はよ」と、短い挨拶を投げかけて、 自分の上履きを取り出す。
あ。下駄箱に長靴は入らない。]
(260) 2017/03/09(Thu) 15時半頃
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[ 個人の下駄箱に収まりきらなかった長靴を、 適当に、下駄箱の横あたりに置きながら、 先客ふたりに向けて、質問を投げかける。]
やっぱ、休校じゃないよな 全然、人見かけなかったの、なんだったんだろ
[ 委員長たる彼女が登校しているということは、 少なくとも、うちのクラスに休校の連絡はなかった。 ……ということだと思うけれど。
首を傾げながら、視線を大和と古辺に向ければ、 おふたりはどうやら、イメージに違わず、 スマートに登校なさったよう。こっちとは大違い。]
(261) 2017/03/09(Thu) 15時半頃
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[ じとり と、もう一度だけ、 理一をひと睨みしておく。貴様。
それから、思い出したように、 もうひとつ投げかける問いかけは、]
── そういえば、他、誰か見た?
[ この時間に、昇降口に4人だけ というのは、 いくらなんでも、奇妙すぎて。
とりあえず、教室にでも向かうかなあと、 考えながら、マフラーを取り外した。*]
(262) 2017/03/09(Thu) 15時半頃
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―現在:学校―
確かに静かだよなー… 昼過ぎに学校来た事ないんでわかんないけど
[>>246サボリ魔の経験談には半目になった。
>>133 他のものも置いていかれる、というのは困るので、ここまでざくざく歩いてきたが入間は女子だし、足の長さも違う。能久もちらちら気を遣いつつ歩幅を合わせてここまで来た。 ――そんな入間も、同じ感想だろうか。]
ぁー…ケータイ平気?
[>>247ため息を聞きとめて覗き込む。 画面は真っ暗で聊かならず心配だ。]
(263) 2017/03/09(Thu) 15時半頃
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鍛えてるから…?
[>>248元賀の首元を見て そう謂ったが賛同は果たして得られたか。 ようく見れば、雪に埋もれそうな別の足跡。 登校している人は確かにいるらしい。]
うぁー、雪まみれだ…ー
[白いコートに白い雪、 何処まで払い落したか分からないほど。 雪に飲まれたのか、 生徒のざわめき、 教師の呼びかけ、 みんなの足音、 いつもの雑音がほとんど聞こえない。]
…… 、…?
[能久は首を傾げたが、人影を見つけたなら、淡い疑問は地面に落ちた雪のかけらのように溶けて消えた*]
(264) 2017/03/09(Thu) 16時頃
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── 回想:文化祭当日 ──
うん。水差すの嫌だし、 そういう流れのときは、拒否んないけど
[ 相槌。>>225に至るまでの、若干の沈黙。
別に、元賀との会話では、珍しくもない。 けど、その意味を時折考えたりは、する。 べらべら喋るほうでもない元賀との会話は、 どこか、行間の読み合いじみていて。
ああ、返事しにくいかそりゃ とか。 自分的には、割と、「俺に構わず先に行け」的なことを、 伝えた気になっていたわけだけれど、
コミュニケーションとは難しかり。 止めておく というなら、それ以上はな。]
(265) 2017/03/09(Thu) 17時頃
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……そ。元賀がいいならいいけど 見てんの……ああ、古辺が怒鳴ってんのは、ウケる
[ 普段はそう声を荒げない古辺の怒声が、 ちょうど、炸裂したときのことだった。
思わず、くく と笑いを堪えながら、 ドタバタ騒ぎを、輪の外から眺める。
ああ、確かに。見ているだけ でも、悪くない。]
(266) 2017/03/09(Thu) 17時頃
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あほだなー、調子のるから
[ 食べさしのパンケーキ。 差し出された古辺が、フツウに拒否する。 昴のフォローとか、ちゃっかり逃れている女子とか、
ちょっと離れた場所から眺めるのが、愉快で。 ちょっと輪から外れただけの場所が、遠い。]
(267) 2017/03/09(Thu) 17時半頃
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[ そんな調子で、一部始終を眺めていたら、 降ってきた提案>>227に、高い位置にある顔を見上げる。]
── じゃあ、そんときは一切れだけ、分けて
[ 思いがけない申し出だった。 一瞬だけ、思案して、 なんでもないこと のように、返した。 気遣いを無下にするのも、気後れがして、
それに、なにより、文化祭で出したパンケーキ、 甘いものが大好き、というわけじゃなくても、 記念に、一口くらいは食べておきたかった。
それに、それから。]
(268) 2017/03/09(Thu) 17時半頃
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[ 嫌 ではないけど、申し訳ない。 なんとなく、気まずい。居心地が悪い。
── と、思うときにも、ひとは”苦手”という。]
(269) 2017/03/09(Thu) 17時半頃
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[ 結局、その後、元賀と連れ立って、 ”パンケーキください”と頼みにいったのなら、 それはそれで、愉快な光景だっただろう。
エベレスト級じゃないクリーム>>233に、 内心でよかったと胸を撫で下ろしながら、
ちょっと食べてみたいだけだから と、 一切れ分、先にナイフを入れさせてもらおう。
最初に切り分けた一切れ。 それを食べたら、あとはつつかず、手をつけず。]
(270) 2017/03/09(Thu) 17時半頃
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[ 見た目どおり、ふわふわの食感は、
お洒落カフェだのパンケーキ屋だの、 そんな店に縁のない俺には衝撃的。
クリームのほとんどのっかっていない場所を選んで、 口の中に放り込んだ途端、ふんわり広がる優しい甘さ。
クリームエベレスト級は、ないわ。バカじゃん。
と、シンプルバージョンしか食べてないくせに思った。 思っただけだ。口に出す無謀さは持ち合わせていない。
昴と元賀に、「うまかった サンキュー」と告げて、 最後の、文化祭。思い残しも、なくなった。*]
(271) 2017/03/09(Thu) 17時半頃
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じわり じわり と、 居心地の悪さや、考え込んでしまう瞬間に、 滲む、息苦しさはあれど、 あの頃は、まだ、前を向いていたように思う。
大学に入れば。大人になれば。世界が、もっと広がれば。
漠然とした期待。願望。
何にでもなれる と信じられるほど、無垢ではなくとも、 どこかに居場所はある と、無邪気に夢見ていた。
きっとそれは、間違いではなくて、 ないけれど、 ##
(272) 2017/03/09(Thu) 17時半頃
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ばーちゃんが死んだのは、 文化祭が終わって、*少し経った頃だった。*
##
(273) 2017/03/09(Thu) 17時半頃
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[カイロは無事、受け取ってもらえました>>207。 これでお相子ですね>>209。 それだけで、もう、一安心という気分。
コーンスープはコートのポケットに入れて、冷めない様に。 入れ替わりで出したスマホに、丁度着信が]
でも、絶対転んだ人居るよ。 賭けても良いね。
[実際、私も転びそうだった内の一人です。 通に会わずなければ、 きっとスマホを見ながら此処まで来たでしょうから。 滑らなかったのは、彼>>211のお陰かもしれませんね。
転んだ人には、タオルが必要かしら。 彼>>211と同じ様な事を考えながら、校門へ、一歩]
(274) 2017/03/09(Thu) 17時半頃
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通こそ。
[悪天候の中、滑らず来れた事は、 験担ぎとしては、上々だったかもしれません>>212。 でも、こんな事言ったら、滑った人に悪いでしょうか。
出来る事なら、全員、笑顔で卒業出来たらと思うのです。 バラバラになるのは、寂しいけれど。 ほら、卒業したって、今生の別れじゃないですしね。
彼の先を歩いて、軽く振り返ってみれば 長い前髪の下に隠された、彼の瞳が じ っと、校舎を見ている気配。
歩きながら、私もそれに倣って、校舎を見上げます。 しん と、静まり返った、校舎。 おかしいな なんて、眉を顰めたりもして]
(275) 2017/03/09(Thu) 17時半頃
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……ほんと。誰も居ないみたいな… 通が職員室行ってくれるなら、 私は先に、教室の方見てくるよ。 何かあったら、連絡入れて。
[──── 誰も居ない。 自分で言っておいて、少し不安になりながら。 昇降口へと入っていく彼に、続きます。
今日、学校があるにしても、無いにしても。 職員室なら、確かに先生方も居るでしょうか。 彼の考えに同調しながら、それに同行を申し出ないのは、 単純に、他の級友が来た時の事を考えたからです。
私達と同じ様に、 登校したものの、休校なのでは? と 戸惑っている人も居るでしょうから。 私は、そちらの対応をしましょう]
(276) 2017/03/09(Thu) 17時半頃
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[ そうして私は、 静かな校舎へ、足を踏み入れました。
いつも通り、なんの、躊躇いも無く ]
(277) 2017/03/09(Thu) 17時半頃
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[そのまま、通と並んで下駄箱へ。
時々遅くまで残ったりもしてたから、 静かな校舎は、初めてってわけじゃないですが。 でもこんな時間じゃ、やっぱりちょっとおかしいでしょう。
眉を寄せ頭を悩ませていると、後ろで扉の開く音>>259。 振り向けば見えたのは、二人の級友の姿>>260。 呼ばれた名前に、 咄嗟に笑みを返したのは、委員長の性でしょうか。 此方の顔なんて、どうせ、帽子で殆ど見えないのにね]
(278) 2017/03/09(Thu) 17時半頃
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おはよう。……那由多、転んだの? お尻、びしょ濡れ……っふふ、
ほ、ほら、通。やっぱり平気じゃなかったよ!
[漏らしたみたいに、濡れたスラックス。 ちょっとだけおかしくって、 心配の前に小さく笑ってしまいました。ごめんなさい。
笑ったのを誤魔化すみたいに、通に話題を振って。 靴を履き替える那由多に続いて、私も。 足は指先まで冷えていましたが、濡れてはいません。 上履きは、問題なく履く事が出来ました]
(279) 2017/03/09(Thu) 17時半頃
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うん、連絡来てない。
……もしかしたら、 皆方先生の連絡し忘れとかかもしれないけど。 だからって、これだけ人が居ないのって、おかしいよね。
[そう、確かにおかしいんです>>261。 那由多の言葉に同調しながら、 電気は点いているけれど、静かな校舎内を見遣ります。
足音も、話し声も聞こえません。 聞こえるのといえば、空調が動く微かな音くらい。 でもそれなら、点けた人が居るって事ですから きっと、誰か中に居るとは思うんですが。
見てれば、じとり>>262、理一を睨む那由多。 ああ、成程。何となく、色々、察した様な。 巫山戯あった結果なら、転んだのも心配無用かしら]
(280) 2017/03/09(Thu) 17時半頃
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ううん。私は通だけ。 でも、莉緒とか堆は、此方に向かってると思うよ。 さっき、返事があったから。
[スマホを軽く揺らしての返事。 学校に向かってるのが私達だけでなくたって、 まあ、変な話っていうのに、変わりはないんでしょうが。
那由多からの二つの質問へ、通はどう返したかしら。 それはちゃんと確認して、 邪魔にならないタイミングで、那由多に…… もし、理一の服も濡れている様なら、彼にも向けて。 そっと、声をかけてみましょう]
(281) 2017/03/09(Thu) 17時半頃
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