ラルフに3人が投票した。
シーシャに1人が投票した。

ラルフは村人の手により処刑された。

時は来た。村人達は集まり、互いの姿を確認する。
犠牲者はいないようだ。殺戮の手は及ばなかったのだろうか？

全ての人狼を退治した……。人狼に怯える日々は去ったのだ！

まったくよぉ…

僕を連れて消えようとするとは…あのバカもうどうしようもねぇな。

浄化の糸ねぇ…お人好しのイアンにはもってこいだな。

［ケッ！と、言葉を吐く。けれど、そこには怒りはなかった。イアンの闇として生まれた自分。ずっと、意味を考えていた。イアンにとって僕はなんなのか。どうすれば、イアンに見てもらえるのか。闇には、縛ることしかできなかった。］

…はっ…クソ野郎…

一本だけで僕を浄化させようとするとは…

［胸に突き刺さった一本の絹の糸をみて、泣いた。］

ばぁか…

仕方ないから…のって…やるさ…

［浄化が始まる。胸から徐々に消えゆく。泣いていた。けれど、笑っていた。］

[幸せになるのが許せなかったんじゃない。
ただ、自分も幸せになりたかったの。

彼に子供だと言ったけれど、自分の方が子供かもしれない。

肉体から離れた意識体の自分は消えていく。
濁っていたはずの瞳は少しずつ綺麗な赤に変わる。
恐怖はなかった。あるのはただ、切なさと。ほんの少しの罪悪感。]

　……ねえ、アイリス。
　本当は私――

[守りたかったの、と。聞かれることはないのだろう懺悔のような言葉を零す。
壊れた心から生まれた自分。
苦しさも悲しみも、全て知っていた。そんな思いが歪んでしまったのは 自分の妬みからだ。

流れていく涙。最後まで歪んだままだったと自嘲した後、あの声を思い出して――少しだけ頬が緩む。
そして彼女は、消えた。]

　――なら、さよならだね。
　困ったな、もう憎んでもくれないのかい？薄情な子だ。
　アーア、手塩かけ育てたけれど…もういいや、いらない。

[クラリッサの瞳には怒りも憎しみも籠っていなかった。
あるのはほんの少しの思い。闇は気づいただろうか、それはわからない。
ただ、いらないと告げる声は、ゾッとするほど冷たかった。
しかし、数瞬後思いついけばまたニコニコと笑みを向ける。]

　アア、でも一つ。
　一つだけ何か願いを叶えてあげようか。
　何、これまでのお礼さ。受け取ってくれよ。
　…勿論、兄様を生き返らせて、以外でね。
　それがキミの一番の願いだろ？だからそれはダメだよ。

[そう言って、愉快そうに不愉快な笑みをうかべる。
そして慈愛の仮面を被り、甘やかな声で誘惑するように言葉を紡ぐ。]

　さあ、どうする？キミが望むなら、消えないように存在を変えることも出来るよ。
　この戦争を終わらせることだって、…マア、方法は私が決めるけどね？
　それとも今戦ってる人達を救いたいとか、偽善者ぶってみるかい？
　消える迄の一時、奪われた妹の愛を盗り返してみるのもいいね。
　化け物になった親友を、人の姿に戻したりもできるさ。
　幸せなあの頃に帰りたいというなら、その道案内をしてあげよう。
　…それとも、私に一矢報いる気かな？それもまたいいね！

　ナア、私の可愛いクラリッサ。
　キミの最期の願いを教えて？


[クラリッサの返答は―――]

　――…人間ってわかんないなぁ。
　消えてしまうなら、そんなことに意味はあるのかい？
　ハァ、折角キミの不幸を見たかったのに…何だか意地悪する気も失せてしまったよ。

　…約束は約束、やるけれど、ネェ。
　可哀想なクラリッサ。キミとの日々は中々楽しかったよ。
　お陰でキミは、大切な人と自分を傷つけ手にかけたキミの生は、全くもって不幸だったけれどね。
　もう会うことはないだろうけど、ジャア、おつかれさま。

[胸の前で手を降りながら、その姿は霧散していく。
闇はまた、宿主を探し。
狂気を植え付け、それを搾取し。
そのサイクルを繰り返していくのだろう。
一抹の懸念もなく。一欠の疑問もなく。繰り返していくだけ。
何故なら、その循環が存在そのものだから。

残された少女は、小さな憐れみをもってそれを見届け、
そうして、自身もその夢から目覚めた。**]