251 洋墨と躍れ、心の随に
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時は来た。村人達は集まり、互いの姿を確認する。
パルックが無残な姿で発見された。
噂は現実だった。血塗られた定めに従う魔物“人狼”は、確かにこの中にいるのだ。
非力な人間が人狼に対抗するため、村人たちは一つのルールを定めた。投票により怪しい者を処刑していこうと。罪のない者を処刑してしまう事もあるだろうが、それも村のためにはやむを得ないと……。
現在の生存者は、トルドヴィン、ニコラス、ワカナ、ロイエ、ウツギ、シルク、チャールズ、エニシ、チアキ、フェルゼ、ロゴス、クロエの12名。
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「 ─── ぼくにかえるばしょなんてない!」
ずっと、やわらかくコトバを口にしていた『少年』にしては、とてもはっきりとしすぎていて、たたきつけるようなコトバでした。 どちらかと言えば、子どものおこした、かんしゃくにも近いように見えたかもしれません。
ただ、かえるところがないのは、『少年』にとってはほんとうでした。 けれど、ほかの人から見れば、 “書” としてかえるところがあるように思われるのは、しかたのないことでした。 『少年』だって、その文字の中におさめられた一つ、ではありましたから。
(0) 2018/10/12(Fri) 07時頃
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どこか一本ちょうしの声>>1:341は、まるでその人のココロを伝えてきませんでした。 けれど、その人よりもずっと、ふきつける風がつたえておりました。 『少年』は風がつよくなってつめたくなった、そのりゆうを分かっていませんでしたから、その人をけいかいする、ということもありません。 それでも、今のうらやむような一言は、『少年』にとってはいわれのない、きずつくコトバでしたから、なきそうなかおをして、それでも、それをかくすようにうつむいてしまったのです。
けれど、どうして>>1:344、を口にされたら、『少年』が答えないはずがないでしょう。
「エニシにとっての、かえるところ、ってなあに?
だれかが、おかえりなさい、ってしてくれるところ? それとも、だれもいないけど、おうち? きみの、かえるばしょ、って言うのが、 ひとりぽっちでさびしいように聞こえた、から、」
(1) 2018/10/12(Fri) 07時半頃
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…まさか。
私はあくまで、書記官だ
[ 決して神の類に名を列することはない。
いつか、紙片と洋墨を授けた少年のように
この先自分を■■■■と呼ぶ者がいたとしても、…
( しぃ …と、秘するのみ ) ]
書き記す者でなければ意味がない
[ ──── “ 生涯 ” 。
決して短くない時を生きてきたようでいて、
どこまでも黒い、空虚の多い それにおいて
誰かの髪を撫で触れた記憶を探り、
…導き出される事はなく
四ツ足の鬣撫ぜた黒髪を模倣するように
少年のかたちの一冊に触れたなら、
元より熱の乗っていなかった白い掌に
新雪の如き柔い冷たさが広がっていった。 ]
[ 一度の瞑目。雪融けの前、六結晶が散る前に、
悴んでも赤みを帯びない手を そぅ、と離し
無垢から成る問いかけに、黒水晶は
其処にない銀世界の果てを眺めるように遠く ]
私は …影になる
[ 誰に読まれる事のない記録の書記官は、
雪の下に隠すように潜めた声で、声を綴った。 ]*
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ほかの人を、あえて見下ろす、ようなことを子どもはあまりしません。 『少年』にそんな気もちは、とうぜんありませんでした。 なんとはなく、それが自分にはさびしい色をしているように思ったから聞いたにすぎませんでした。
ですので、『なにがしたかった』と聞かれると、ほんとうは答えにこまるのです。
しいてむりにでも理由を上げるとすれば、ふあんに思ったから、になるのでしょうが、なにかをしようと思ったわけではないのです。
(2) 2018/10/12(Fri) 07時半頃
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[そもそも。世界に生れ落ちる前に 作者ではない者の手により無理やり摘み取られた者に 近くにあるものをよく見ていない、と 思われてもきつと、そう思った者に対し やつがれは困りはするだろうとは思うのです
そも、困るという感情に自覚するかどうかの違いはありますが 確固たる価値観を持たぬ己を とても”子供らしい”価値観の少年>>1:362では きっと、理解などできないのではないでしょうか ――彼が、自分の物差しで測る限りは
理屈ではなく本能にて寂寥と思う少年は それを齎したは誰であるか、すら きつと、わからぬのでしょう 或いは―― ……]
(3) 2018/10/12(Fri) 10時半頃
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[赤子が、親を見て、世界に触れて 感情の1つ1つを見出し理解するやうに
己もまた、今学んでいる最中ではありました
”汚されやすそうな”雪白は 染まれど尚無邪気さを保つかの人を見て 不可思議、を抱きますが、その感情の名前を 未だ理解することができず
それは胸の中に巣食うもやもやとして 自分の中で処理しきれずに首をかしげるに至るのです>>1:363
自分が彼の無邪気と残酷の同居を知らぬ故 めいっぱい”詰め込まれた”ことも 傷ついたと、考えることもなかったが故に
その少年が今、己に抱くが何であるかは やつがれは、わからないのでありました]
(4) 2018/10/12(Fri) 10時半頃
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[ようやく上げられた産声が 世界が”間違っている”と定義するというのなら ―― 一体、どうすればよいのでせうか
それすらわからぬままの会話は 世界にとっての”正しさ”を体現する少年と相まって 無垢故の歪を示していたのでありましょう]
魔法使いに。それがシルクは 良いと、感じたのだね
[そうか。貰うという選択肢もあつたのだ ――雪代、或いは待雪、など 自身を定義した2つを思い描き、また ジョンとの会話を思い出しつつ
ぽつ と、
また 洋墨が滲むが如くに]
(5) 2018/10/12(Fri) 10時半頃
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[”知らぬ”が故に、笑みを浮かべぬやつがれは 砂というものが何であるかを学ぶのである>>1:367]
砂には、シルクのやうに 考えること、をするのであろうか
気にするという情が、あるのであろうか だとすると、やはり雪とは、違うのかもしれない
[と。思いつつ、彼が実際に砂が喋るのを 聞いたことがないとは思いもしませんでした
楽しいを、たとえ思ったとしても それを定義することが未熟であり
興味深いを抱いたとしても それを察することができないであろう王子様
――で、あれば、すれ違うだけであつたのかも、しれません]
(6) 2018/10/12(Fri) 10時半頃
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[少年の問いかけには いいやと、否定を返します>>1:371]
同じ結晶は空から降らぬのである、よ。 同じ人が、世界から産声をあげぬとおなじ、こと。 同じように見えて、違う。
[”砂”がどうなのか、分からぬけれど やつがれにとって雪は、そのやうなもの、でしたから
己を執筆した時の”作者” ――のちに、ノーベル文学賞を得たその人の 知識の断片は己の中にありましたが 実際に体験も経験もし得ないやつがれは 話を聞いて理解する少年と 余り大して、かわらなかったのかもしれません]
(7) 2018/10/12(Fri) 11時頃
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[帰ると還るの違いを理解するには やつがれには経験が足りませんでした
そもそも。その場所すら最初から取り上げられた子供に 目の前の王子様の心の機微が 分かるわけもなかったのです そういう意味では自分も確かに”傲慢”であつたかもしれません
自分が理解しえないが故の 無知であつたので、ありませう]
(8) 2018/10/12(Fri) 11時頃
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[その強い語調のことのはが 何から出るのかー或いは、どのやうな感情から 漏れ出でるものなのか
やつがれには知らぬことでありましたが 本心からそうおもつていることは理解しました ですが、世界にとっては愛すべき王子様と 世界にとっては不必要な己は やはりどうしても隔たりはありました
やつがれには、還る場所はちゃんとあるのに 気付いていないだけのやうに思えたのです
物語、の中の君には、確かに 帰る場所はないというのに!
その時やつがれのなかに浮かんだ泡沫に、名をつけるとしたら]
(9) 2018/10/12(Fri) 11時頃
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目の前の俯く少年を、傷つけたことをやつがれもまた知ることはありません ですが、その様子は確かに、深雪を惑わせる一助にはなりました 最も、それが惑いであることを やつがれは気付いていないありますがのでは]
やつがれにとっての、かえるばしょ
[言われてやつがれは考えます 希求すれど、それを定義したことがなかったものですから] やつがれの、かえるところは [思い出すは作者の、そして の、撫でるてのひら]
(10) 2018/10/12(Fri) 11時頃
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ただ、存在することを許され
みて、しって欲しい
それだけ なのだろう
[ここに自分は居るのだと されど聞くだけきいて、何もしないであろう少年は 自分にとっては、 とても**なものに見えたは確かでした
それは、自身を存在することをゆるさなかった監修者のやうに 持つものの傲慢さが、持たざるものを ただ土足で踏みにじり、そのまま放置するやうにおもへたのです**]
(11) 2018/10/12(Fri) 11時頃
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許婚 ニコラスは、メモを貼った。
2018/10/12(Fri) 13時半頃
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[その立ち位置を一歩たりとも変えず、 スタヴローギンは少々遠退いた場を保ったまま ピストルを片手に構え直す。
>>368振りかざされたエメラルド・カラーに 文字通り、その頭蓋が吹き飛ばされると言うよりは─── 砂のように吹き崩れる黄金の輝きを 傍観者めいた距離から見つめていた。
(広がりを見せるように散りゆくさまに 興味を隠さないまま、しかし、眉を顰めるのだった。)]
... ほう?
(────霊子化、とも様子は違うか)
(12) 2018/10/12(Fri) 14時半頃
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[>>1:368 途端、先ほど揺らめいた火の気が、 鳥のように翼を広げるを感じ取ったが 特段これと焦る様子もなく、 また掌から溢すように”打ち出し易くした” ピストルの形状を解いて、地表を靴で叩く。]
...あなたの言う通り、 まるで殺しても蘇る死のようだ。
[>>1:326────語り手は違うが、と 言わんばかりに翠の杖の持ち主に うすら笑んだままの視線すら流しながら、 >>1:370今にも枝を伸ばしかけた 樹木が焼き焦がす炎に呑まれて黒炭と化そうとも 彼の顔色は変わらないようにも見えただろう。]
(13) 2018/10/12(Fri) 14時半頃
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[文字通りの薪を作り上げた炎を 傍目に、とつ、と語った。]
──────福音書には。
悪霊に取り憑かれて、 溺れ死んでしまった豚の話があったんですよ。
[それを語るのは、本来、 ”スタヴローギン”の役目ではなかった。 あの<事件>の関係者の多くは───── 破滅に追いやる<悪霊>に取り憑かれたものだった。]
(14) 2018/10/12(Fri) 15時頃
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[────ところで。
喩えば、レビャートキン兄妹が殺され、 起こった二つの火事現場の間を挟む川。 シャートフが沈められた池。 病に侵されたヴェルホヴェンスキー氏が、 その最期に辿りついた湖のほとり。
『彼』の語るように豚が溺れ死んだように 彼らの死の多くは水辺にあった。 『わたしたち』の著者たるドストエフスキーは その死に水辺を用意することに拘ったらしいとも、 解釈されている───────。]
(15) 2018/10/12(Fri) 15時頃
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[...『彼』以外の二人にも、 耳を澄ますことがあったのなら聞こえただろうか。 ぶくぶくと泡立つように立つ水音が。 見ようによってはヴォルガに張った氷が、 溶けたかのように、
(彼の足元が沈むことがなく、 まだそれは僅かだったが─────)
黒い水場が洋墨のようにも滲み出して、泡立った。 >>1:370水底めいた濁声に、呼応するようにも。]
先は逃げるのなら、と言いましたか。 ...訂正しましょう。
(16) 2018/10/12(Fri) 15時頃
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「 今回の件が迷宮入りする事は むしろ其方が望むかと思ったが。 どうやら、認識を改めるべきらしい 」
彼らが研究員をも拉致、ないし殺傷していれば、 たとえ霊への所業が表沙汰にならなくとも 人の法にだって、十分に抵触するが>>1:235。
世界を改変などと大それた事を考える訳だ、 隠す心算の見当たらない様は、いっそ清々しく 周囲の巻き添えも厭わないだろうと思わせた。
(17) 2018/10/12(Fri) 15時頃
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『伝奇集』を著したルイス・ボルヘス氏とは 年代が全く被らない訳ではなかったものの、 彼が紙上に物語を著し始めた頃にはすでに 我々の冒険は、終焉を迎えていた。
その事実を、私が後々知るかは別の話として。
よって私に女性を見破る事は至難だったが、 『ドン・キホーテ』ならば覚えがある>>1:273。
ただし ──── 著者名は記憶と一致しない。 であれば何かしらのパロディと捉えるべきか。
(18) 2018/10/12(Fri) 15時頃
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では、コトノハ、コトダマを使う折に わざわざ表題らしき語を口に出す理由は何か。 単一能力なら、定義の必要があるだろうか? 仮説として現時点で挙げられるのは。
単に、これが彼女のスタンスである。 ドン・キホーテの作者を『書き換え』た。 彼女は作家の人霊であり、その著作名である。 あるいは書霊ならば、短編集が核≠ナある。
この辺りが妥当だろうか。 二番目にしては次の現象とどうも噛み合わず、 後者二つならば能力が多彩かもしれない。 さらに『臓器』となれば、最有力は四番目だ。
(19) 2018/10/12(Fri) 15時頃
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私が身構えれば、現れるのは拳銃>>1:274。 正確には、私の物と同一に見える軍式回転銃だ。 素直に取るなら同じ物、という事にはなる。
「 私の愛銃と同じに見える。 使い込んだ色味や傷、癖までも。 貴女の能力も見事なものだが…… 足止め、などと言っていられるかな。
貴女にそのリボルバーが大きいなら、 口径も反動も、貴女には不適だろう。 下手をすれば肩が外れるが? 」
ほんの少しばかり誇張を織り交ぜたが、 元軍医の意見としては、至極正直な言葉だ。 なんらかの能力を加えれば話が別なのだが。
(20) 2018/10/12(Fri) 15時頃
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【本質的には全く同一である】
交戦中のキェルケゴール氏が相手なら 議題の的になるかもしれない興味深い現象だが、 私自身はといえば、どちらかというと彼女の 何かを待っているような言い草が気になった。
( 時間を稼げばなにか、 黒衣に有利な事でもあるのだろうか? )
現時点では分からない。 あの妙な気配には関連するかもしれないが。 しかし、キェルケゴール達のところへ 彼女を加勢させたくないのは私も同意見。
(21) 2018/10/12(Fri) 15時頃
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よって、私の次手はごく素直であった。 彼女の肩あたりを狙って一発、引鉄を引く事だ。
……どちらかというと私は友人と違い、 まず行動、というきらいがあるらしいもので。**
(22) 2018/10/12(Fri) 15時頃
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