231 自由帳の中で、僕たちは。
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To:れーるくん
From:千彰
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寮生恨めしい(雪だるまの絵文字)
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─ 朝・寮 ─
[ 三笹天由の朝は遅い。
早い訳がない。特に冬は。 だって寒いし眠いし。仕方ない。
今日もまたぼんやり目を覚まして、まず最初に天気の確認をする。 今日は曇り。おお。 昨日は、一昨日のリベンジ含めて曇りと予想した。 つまりは正解。やったね。
しかしといって、正解が起床の理由になることは無い。 眠い。冬眠させてくれ。 ジョニーも寝るべきだって言ってる。俺の心の中で。
ちなみにジョニーとは俺の愛する恐竜の形をした抱き枕である。 小学校の頃にサンタさんに貰って以来愛用しているわけだが、当時コアラ的モーションで抱き着いていた彼も、今の俺には身体を折り曲げねば足が触れないくらいに小さい。 悲しいかな。しかし人は成長する生き物である。まる。 ]
(21) 2017/12/17(Sun) 16時半頃
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[ ジョニーの円らな瞳を見つめながら、今日の授業なんだっけって思う。 つかそもそも何曜日だ。携帯ドコ。
寝相によってベッドから落ちてたらしいスマホの画面を確認。 メール無し。知ってた。 写メ見つつ時間割確認。 この時点で一時間目には間に合わないことを悟る。 朝食抜いてダッシュすればギリ間に合う、かな〜?て感じだけど、ホラ男子高校生の健康を守る為には朝食とか抜いちゃ駄目だと思うんスよ僕。
ただ二時間目がそろそろ出席の怪しい科目なもんで、もそもそ動き出してみる。 朝食を食べようそうしよう。 つっても昨日の残りレンチンするだけだけど。 動くやる気をひねり出す為に携帯で音楽をかける。 希望は無いからシャッフルにしとこ。 ってしたら、すげーベタなラブソングが流れてきてしまいウワァ……と言う気持ちにさせられた。不幸。 ]
(22) 2017/12/17(Sun) 16時半頃
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[ そう言えば、と思い出すのは自由帳のことである。 男子校とかいう人類の繁栄に不可欠なXX染色体が不足しているこの学園で彼氏なる単語が出てきたときは、おおマジでかと思った。
何を隠そう俺には彼ピッピが居たことがある。
未だ実家住みの中学の頃、お隣さんのタケシ君、の担任の先生。 引籠っちゃったタケシ君へ呼びかける為に家に通っていた彼と、面会拒否されがちで追い出されて玄関でぼやっとしてるところまあ何となく仲良くなって俺ん家で喋ったりして男同士なのにいい雰囲気になってしまい告白されなぜかおっけーしちゃった過去の俺。
何やってんのアナタ。 直ぐフラれることになるってのにね。 ]
(23) 2017/12/17(Sun) 16時半頃
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[ 恋のABCが何たるかも知らない中学生の俺は、季節が一巡するより早くフラれて呆然とした。 因みにキスもしない清純な付き合いのままである。 三日三晩泣き、乙女宜しく髪を切ろうと思ったところ、フラれる前日に散髪していたことに気付いてしまう。 嗚呼過去の俺、憐れ。タイミングの悪いことよ。
結局、仕方ないから髪を染めた。 当然ぺーぺーのガキンチョに美容室で染色する金何て無い訳で、俺はドラックストアに走りーの、自分の手でブリーチしーの、色入れーの、斑になりーの、不良頭の完成である。
母親にはこっぴどく叱られ夕飯も与えられず、姉には指を差されお隣に声が響くレベルで笑われた。 てか卒業式では割と気になってはいた女子に「実は私、三笹のこと好きだったんだけどさ〜その髪色ダサすぎてめっちゃ冷めたよねw」というお言葉を頂き、心を深く傷つけることになる。 女性に不評極まりねえ。
呪われた髪色かよ……って感じだが、染め直す気にもならないのは、未練が云々というよりは、染め直すのめんどいという至極俺らしい理由からである。 ]
(24) 2017/12/17(Sun) 16時半頃
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[ というか中学生に手を出した?のは向こうなのに、今更年齢がどうのこうのっていう理由でフるのは酷くね? と、高校二年の俺も過去の俺に賛同しておく。
つまり何が言いたいかって言うと、昨日の書き込みからそんな思い出を再生してしまった俺はややセンチメンタルなジャーニーな感じなので遅刻しても仕方が無いってことだ。 まあ言い訳ですけど。
そういや昨日のパイセン元気無さげに見えたけど大丈夫かな。 まよまよ、ってマヨネーズみたいなアダ名で呼んでくる現お隣さんのことを食べてる肉じゃがから連想。
飯を食い終わったなら出ようかなあと時計を見れば、示すのは二時間目から参加する俺には絶妙に微妙な時間だった。 どーしよっかなと思いつつ、アレか。 図書館に行けばいいのか、と、一人納得する朝である。* ]
(25) 2017/12/17(Sun) 16時半頃
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To:友田 千彰
From:入江 礼留
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えっ、寮のオレと同じ部屋で暮らしたかったって?
やだあっきゅんってば朝から熱烈で照れちゃう(*μ_μ)
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To:古雅 七緒
From:入江 礼留
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ななななテストどうだったよ?
先生に虐められたら言うんだぞ。
To:淵 佳徹
Sub:おはようございます。
本文:おはようございます。木島です。朝からすみません。
今日の昼食はもうご用意されてしまいましたか。
今度行う家庭科の調理実習の為に試作をしようかと思っていまして、よろしければ味見をお願いできませんか?
親子丼とほうれん草のお浸しを予定していますが、いかがでしょうか。
To:木島先生
Sub:今日も
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さむいっすね。凍えそう。
試作の味見大歓迎です。
ところで、オカンみたいな献立ですね?
昼に進路指導の先生と話し合いあるんで
生徒指導室の机の上に置いといてもらっていいですか?
よろしくおねがいします。
感想はまた後ほど。
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To:れーるくん
From:千彰
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え〜っ、住んでもいいんですか〜?
先日助けていただいた鶴です。(烏の絵文字)
冬の間だけでも…(雪だるまの絵文字×5)
さむい(お化けの絵文字)
ところで朝はやいね。
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To:友田 千彰
From:佐藤 喜一
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佐藤です。
本、もし合わなかったら頑張って読まなくてもいいから。
友田が好きかもしれないって思う本、まだまだ思いつくので。
よかったら、またいつでも聞いてください。
では。
To:木島先生
Sub:指導室に
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お礼になるかわかりませんが、
スープとプリン置いときました。
よかったら持ってってください。
飯楽しみにしてまーす。
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To:入江 礼留
From:古雅 七緒
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パイセン!
ななななやばいっす八割赤点で大ピンチ〜(泣いてる顔文字)
でもなんとかなるっしょ☆(笑顔の顔文字)
パイセンこそ大ジョブ?
ふっちーとかにいじめられたら一緒に怒られてあげましょーかあ?(泣き笑いの顔文字)
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To:入江 礼留
From:佐藤 喜一
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佐藤です。
突然メールしてすまない。
淵先生から、ちょっといい話を聞いて。俺、もう少し人と仲良くする努力をしようと思って。
入江ともちゃんと友達になりたいと思って、メールしてみた。
面と向かうと上手く話せないだろうし。
正直、いつも笑いもしないし面白いことも返せなくて申し訳ないと思ってるんだが。
ちょっと頑張ってみようと思うので、できれば、今後ともよろしく頼む。
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─ 二時間目前・図書館 ─
[ 人気の無い寮を通り抜けるのはサボり魔の特権である。 自分の足音だけが響くもんで、寂しいんだか楽しだかよく分からん。 まあ俺が暢気に歩いてる間も、皆は教室に閉じ込められてせこせこ授業受けてんだろうなあと言う優越感に浸ることは十二分に可能だ。
校舎に入れば教師の声やら生徒の声やら、人の気配を感じられるようになる。 俺はひっそりこそこそと目的地を目指すことになる訳だ。 今更この口で罪悪感ガーとか言うつもりはないが、教師に見つかると厄介なことになる。 生徒指導の淵さんは結構優しいモンで軽ーく怒っただけで割とスルーしてくれることもしばしばだが、やべえ教師はマジでヤバい。
その場で怒鳴られるからハイ〜って顔をするしかねえし、複数回見つかった奴には親に連絡するとか言われてマジカルマジか(笑)という気持ちにさせられた。 てか一回連絡入れられて俺は死んだ。完。 ]
(67) 2017/12/18(Mon) 20時半頃
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[ マリオばりに残機の有る訳じゃない俺は、まあそう何回も死んでられねえ訳で、忍者顔負けの隠密行動を頑張ってる訳だ。
どうにか目を掻い潜って目的地、図書館へ辿り着いた俺。 聞き耳立てて授業で使ってはいないと確認すれば、ガラッと(しかしなるべく静かに丁寧に)開ける。 ]
おいすー浅見さん ちゃんと学校来たよ、えらいっしょ …て、寝てるし
[ お昼寝タイムの幼稚園児如く愛らしい寝顔でスヤってんのはこの学校の司書さんである。 やや機械音痴で一回聞かれたら懇切丁寧に説明してやらねばならず、更にそれでも理解できないことが多々で結局此方が作業をやることになるのが玉に瑕だが、俺のサボりに寛大であり、それ故図書館は安全地帯なのだ。 ]
(68) 2017/12/18(Mon) 20時半頃
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[ さて身の安全も確保できたところで足運ぶは自由帳の元である。 天気当たったぜ皆。ぜひ褒めてくれ存分に。 ]
おっ増えてる増えてる
[ ぱらぱら捲れば新しい書き込み。 デジタル極まりない時代にこんなアナログなレスを絶やさない人間が現在進行形で複数居るっていうのは、果たして学園に暇人が多いってことなのかアナログにロマン求めてます派が多いってことなのか。
読み込んでいく中で、決して鶏に成長することの無い紙面の上のひよこを見て、ソイツに矢印を指すメッセージを読み、俺の思考はぱちりと停止する。 ]
(69) 2017/12/18(Mon) 20時半頃
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[ 記されるは『トーコ』という名。>>18 一般的な男子高校生つまりDKであれば「はわわどんな可愛い女子かなドキドキ」などと夢膨らませるやもしれない書き込みであるが。 然し。此処は男子校である。
世の夢と希望が詰め込まれ膨らむ二つの山を胸につけている生命体は一部教師を除き存在して居ない(ワンチャン存在していても、それは標準体重を遥に凌駕し肥満と呼ばれる状態に陥ってしまった癒し系生命体だ)。 そして現教職員の中に『トーコ』という名を持つ者も、こんなきゃぴったことを書く奴も恐らく居ない。
つまり。つまりは、だ。 恐れていた事態が起きてしまった。
杏琵高校にも、女の幽霊が現れたのだ。
知ってるもん俺。 主人公が女の子なんて居る筈無いのになって不思議がりつつも楽しんでたある日、いつも天気予想のしてるやつ(俺)の書き込みが赤いペンで「血の雨が降る」とかになって悲劇が始まるんでしょ。 ]
(70) 2017/12/18(Mon) 20時半頃
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[ ホラーは嫌いじゃない。苦手でもない。 が、今は寮生活。帰ったら一人。友達も居ない。 どういうことか分かるか?考えてみろ。
恐怖を感じた俺。誰も居ない部屋。不意に鳴る物音。振り返って誰も居ないじゃないかと安心した先に落ちている長い黒髪。俺は目を見開き震える。逃げよう、そう思い玄関へと向かいたい。然し後ろから異様な気配がする。窓を打つ雨音。ゆっくりと振り返った先には──。
そういうことだ。分かるな? ]
やべえな、やばい
[ 此処は一つ、先手を打たねばならない。 今の時代は男女平等。女性の幽霊であれど、俺は拳を握ろう。
先手を打って「明日の天気予想 きっと血の雨が降るでしょう」と赤いペンで書こうか迷ったが、幽霊騙りするキャラクターとか絶対ロクな目に合わないと俺の脳内映画監督が告げる。 ]
(71) 2017/12/18(Mon) 20時半頃
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↑ 勘弁してください ささみ
(72) 2017/12/18(Mon) 20時半頃
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[ くるっとペンを回せば、脳内映画監督の俺も先程の妄想でお化けに身体を取り込まれ途中の俺も満足したようで、サムズアップを送っている。
やっぱり、真摯な謝罪が一番よね。
彼女が何に恨みを持ちこの世に留まり続けて居るのかは全くの不明だが、せめて俺の心からのごめんなさいで無事に成仏して欲しい。 犠牲者が一人も出ないホラー映画も、俺は有りだと思うよ俺は。
学校七不思議(あと六個は知らない)の仲間入りを果たしたトーコさんの下に書き込みを終えた俺は、図書館のやや年季の入った天井を見上げ神に祈った。 ……あ、あそこの蛍光灯、切れそう。* ]
(73) 2017/12/18(Mon) 20時半頃
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To:古雅 七緒
From:入江 礼留
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そんなところだと思ってたぜ!!
まあいけるいけるななななは二年だしまだまだ遊べる☆
他人の心配とは大きくなったじゃないか
昔はあんなに小さかったのにねえ(赤ん坊の絵文字)
ふっちよっしーはオレのこと大好きだから大丈夫(ハートの絵文字)
とりあえず留年だけは避けるんだぞ!パイセンとの約束だ!
落ち込んでるなら何か奢ってやろうと思ってたけれど
元気そうだからいらないですね(ニヤリと笑う絵文字)
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To:佐藤 喜一
From:入江 礼留
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本当突然でびっくりしたー!まさかきぃちゃんからメールをくれてそんなこと言ってくれるなんて(驚き顔の絵文字)
よっしーもたまには良いことをするんだなぁ。
上手く話せなくてもイケメンはクールだと解釈してもらえるから気にしなくていいんだぞ!
あときぃちゃんは面白いよ?キレキレのツッコミくれるじゃん。ちょっとエロいところも親しみやすいよね☆
まあなんというかですよ。頑張るって言うのなら勿論応援するけれど、オレは気楽に接してもらえたら嬉しいかも
でもきぃちゃんにとってはそれが難しいことなのかな?
じゃあまずはメールから始めましょうか、お母さん喜一のこと応援してるわよ(女性の絵文字)
またいつでも送って来てな!
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To:三笹 天由
From:入江 礼留
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昨日はありがとうな、いつも通り美味かった!
まよまよは良いお嫁さんになること間違いなし(*´ڡ`●)
またお裾分けして下さい待ってます。お休み(月の絵文字)
To:淵 佳徹
Sub:ありがとうございます
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帰りは更に寒そうですね。
味見ありがとうございます!
いつか1人暮らしする時に自分で作って貰えるように……とか考えるとこんな献立になってしまいました……。
生徒指導室の机の上ですね、承知しました。
感想、楽しみにしています。
To:淵 佳徹
Sub:見つけました
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お願いした側なのに、お気を遣わせてしまったようですみません。
有難く頂戴します。
今、生徒指導室に置いておきました。
いい出来だと、いいんですけど。頑張りました!
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─ 二時間目 ─
[ 呪いのノートと貴重な時間をゆっくり過ごしたい男子高校生は、恐らくは居ないだろう。 足早に図書館を後にした俺は、後に現れた赤い頭に遭遇すること無く一時間目を保健室で過ごした。 養護教諭はそこそこ口うるさいが、お腹減ったと甘たれれば飴ちゃんをくれる優しさを持っている。
一日のお菓子は200円分までである。俺ルール。 恐らく百均で買ったであろう飴をスマホで一個何円か計算しつつ、ベッドでごろってたら授業終了の鐘が鳴ったので退場。 保健室を去る際もちゃんと出席してるの?進級できるの?と言っては来るが、ナイーヴな年ごろ(笑)である生徒を強制的に教室に詰め込む気はないらしい。 俺に取っちゃ都合が良い人である。ホントね。 別に精神的にきつくて〜とかでサボってる訳じゃないのにね。ゴメンね。
とは言っても本日は退場時にも飴を追加で握らされて、やや思い出に浸っているとこを見抜かれちゃったようだ。マジかよ。 え?なにそんなに分かりやすかった? もともとテンションが地を這ってブラジルにさえ届きそうな俺にテンサゲもクソも無いのに、長年培ってきた目は誤魔化せないってことっすかウケる。 ]
(101) 2017/12/19(Tue) 02時頃
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[ 養護教諭と言う名のヒーラーから与えられし飴を出来るだけ静かにころころしながら授業を受けつつ、思う。 元彼ピッピがあれ位気を使える人だったらなぁと。
いや無理でしょ急にフッてきた男だぞと否定しつつも、ぼんやり養護教諭と付きあってる自分をイメージしてしまい、精神的ダメージを受けてしまう。いやこれは違う。 てかもう教師と付きあうのヤダ。年上ヤダ。そもそも男がヤダ。年下の女の子と付き合うべきだと思うんだよな俺。逆にね。
あー、どっかに年下女子落ちてねえかなー。中三はちょっと犯罪臭がするので出来れば一個下でお願いします。 って窓の外を眺めながら、過去の俺は無駄にグラウンドに奴の姿が無いか探したりしてたなと思い出してしまう。再びダメージ。もうHPの半分は削れたぞ。死ぬぞ俺。 学校じゃ表立って喋れなかった、喋らなかった癖して、視線が合うと目をきゅっとしてこっそり笑ってくれたところが好きだったとか思い出すな。 手を繋ぐだけで顔面完熟トマトマンと化していた過去の俺は死んだのだ。
今の俺は現在を生きろリアルを生きろ。 過去の俺は過去に死んで思い出に死んでくれ。 ]
(102) 2017/12/19(Tue) 02時頃
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[ つか記憶を考古学者ばりに掘り起こしてはいっそ掲げてやろうと思うんだが、一個上の生徒に関係がバレてたんだよな。 恐らくは手を繋いでいるとこを見られたタケシ君経緯。あれ以来なんかタケシ君からの風当たりつえーもん。ハイハイすみませんね男が男と付き合ったりして。
話を戻すがフラれてしばらくした時に、背が高い奴に呼び止められた。 そのぬぼっとした出で立ちには覚えがあった。度々タケシ君の家に出入りする姿を見掛けてたから。
そして問われたのだ。>>30 男と付き合ってんのかって。上手くいってんのかって。
いやいや初接触ですよ?ファーストコンタクトですよ?聞く?聞いちゃう?そんなこと。デリケートな問題じゃないですか諸々色々結構。 さて、どう返したか。
俺の理想としてはこうである。
「ちょっと何言ってるか分かりませんね」
某お笑いコンビの伊達政宗の末裔じゃない方が如くすっとぼければ良かったのだ。 てか普段の俺ならそうしてた。そうするのが俺でしょ。 ]
(103) 2017/12/19(Tue) 02時頃
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