212 冷たい校舎村(突)
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[ 人と違う事を、唯一だって喜ぶ奴もいるけどさ。
俺はそんなものになりたくなかったよ。
俺はその他大勢の、ありふれた一人でいい。
―――――― 皆と同じものがいい ]
[ ずきり。
頭が鈍く痛んだ気がしたけど、
一時的なものだろうと、気にせず、]
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― 3年3組教室 ―
おはよ――――…、?
[教室に入って真っ先にこれほどの違和感を感じたことがあったろうか。 いや、ない。
違和感の正体。 それは空いている席がやたらとあるってことだった。 サボり魔当人を差し置いてサボり多数である。
わたしが昇降口で見かけた面々と、 りーくんと古辺くんと一緒だったらしいと名前のあがっていたふたりと、 ――それからつばさちゃんもいた。手を振られたので振り返す。 わたしとつばさちゃんは出席番号が近い。 その縁で入学当初からわりと話す仲なのだ――という話はさておき。 ささらちゃんやはるちゃんに分かったことを話さないと、とか、 はるちゃんは大丈夫かな、と思っていると、チャイムが鳴った]
(35) 2017/03/10(Fri) 01時頃
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……。
[時間通りに鳴ったチャイムの音に安堵して、]
………え?
[急に教室のあちこちで鳴りだした着信音に、 何事かとまばたきひとつ。 陸の孤島状態から脱したよやった! などと喜んでいられる気分にはならず、 何気なく、日常動作の一環として、送信されてきたメールを開いたら、
「ちょっと死んでみる」
そんな言葉が目に飛び込んできた。>>1]
(46) 2017/03/10(Fri) 01時半頃
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………誰? なんなの?
[メールは二通届いていて、そっちも開いてみたけど、 意味深長な問いかけがあるだけ。>>3
まあそううまくいくはずないよね。 実は嘘でした、なんてネタバラシが二通目にあるなんてオチも、 期待してなかった、といえば、嘘になるけど。 現実は非情である]
(47) 2017/03/10(Fri) 01時半頃
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[似たようなことなら考えたことはある。
『ヒーローがヒーローたる条件は、何か』
強いこと? 優しいこと? 困難に負けないこと? 正義の心が強いこと? 誰にも正体を知られることなくさっそうと事件を解決すること?
わたしの答え、それは、]
(58) 2017/03/10(Fri) 02時頃
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『知らない』
[4文字の短いメールは送信されずに終わる。 また圏外の文字が表示されてる。
その文字を敵か何かのように睨みつけていたけれど、 那由多くんの声にゆるゆると顔をあげて、教室内を見回した。>>43
彼の発した問いの答えを確かめるように。>>44 つまりはここにいる全員にメールが届いているのかと。
もうひとつの問いには答えられないよ、悪いけど。 だって、わたしにだってどう答えていいのかわからない]
(59) 2017/03/10(Fri) 02時半頃
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………食堂……よりもバイキングみたいだけど、これ。
[これ。この匂い。嗅覚が伝える非日常。
聞こえた言葉を拾って繋げた脈絡のない響き。>>24 いくら色んな人が色んなメニューを食べてる食堂の中だって、 こんな、甘いのや辛いのが混じり合った匂いはしないと思う。 だけどどこか懐かしくてかえりたいって気持ちをそそられる。
それが“お祭り”の匂いだと気付くのは、 開かれた扉の先>>57を目にしてからのこと**]
(60) 2017/03/10(Fri) 03時頃
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[他のみんなも漂う非日常に気付いた頃だろうか。 健士郎くんが様子を見てくると言って立ち上がった。>>56
わたしはちょっとちよちゃんに目を向けた後、]
……わたしも行く。
[告げて、鞄だけ自分の机の上に置いて扉へと向かった。
クラス委員というのは何かと面倒ごとを押しつけられる立場でもある。 わたしはちよちゃんのことをすごいと思うけれど、 だからといってこのよく分からない事態の調査を彼女に押しつけたくはなくって]
(61) 2017/03/10(Fri) 03時頃
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……え、どうしたの?
[扉を開けた直後、呆然と呟いた健士郎くん。>>57 その横から覗きこむようにして、わたしも廊下を見た]
……これ、って、……文化祭の?
[電飾はあの時よりも派手に瞬いて視界を彩っていたけれど。 間違いなく、懐かしい“お祭り”の光景がそこにはあった**]
(62) 2017/03/10(Fri) 03時頃
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[―――きらきら弾ける電飾をはじめとした廊下の飾り付けに目を奪われていたからだろう。 ささらちゃん>>66に言われて初めて、笑い声が聞こえることに気がついた。
わいわい、がやがや。 文化祭の日みたいに騒がしいけれど、廊下にはやっぱり人っ子ひとり見当たらない]
………変。
[ぽつりと呟く。 はるちゃんもさっきそう言ってた。>>88 だけどわたしには危ないとまでは思えなかった。 楽しかった文化祭の思い出に呼ばれている気までした。 確かに、わたし達以外いないのは変だけど]
(120) 2017/03/10(Fri) 21時頃
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…… あっ、待って、
[ささらちゃんが廊下に飛び出していく。 健士郎くんとだいたい同じくらいに廊下へと足を踏み出して、>>114 早足で追いかけていく。
教室を振り返ることはなく、非日常の中に飛び込んでいく。
人の声がするということは、 他の教室の中には人がいて、笑い騒いでいるんだろうか。 そういうことにしておこう。 そういうことならちょっとは変じゃなくなるから]
(121) 2017/03/10(Fri) 21時半頃
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……悪戯。
わたし達以外を学校に来させないようにして、 チャイムが鳴った瞬間に変なメールを送って、 一瞬のうちに廊下を飾り付けた、……悪戯?
[もはや魔法の領域じゃないのかなそれ。>>118 とは思っても言わなかった。
やがて、とある教室の前に辿り着く。 笑い騒ぐ声がどこから聞こえてくるか耳を澄ませているうちに。 ささらちゃんがドアを開けた先、>>119 記憶にある通りに中ではポスターの展示をやっていた。 笑い声も相変わらず聞こえてくる。 けれど人の姿はない]
(122) 2017/03/10(Fri) 21時半頃
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――っ、
[思考停止した。 笑い声がするなら誰かがいるはずだと思い込んで、 状況の変さを軽くしようとした、それが実を結ばないかたちになったから。 数秒固まっている間にどうにか軌道修正した結果、]
も、もう……、隠れてないで出てきてよ!
[わたしの叫ぶ声が、人の気配のない教室にむなしく響く*]
(124) 2017/03/10(Fri) 21時半頃
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― 回想/チョコバナナくばろう ―
[そういえば、陸上部の屋台に立ち寄ってくれたクラスの子はどれだけいたか。 少なくとも昴くんの姿は見てなかったけれど。>>0:326
半分に切ったバナナを割りばしに挿してチョコをトッピングしたものを、 何本も何本も発泡スチロールに挿して屋台に並べて売ってた部員たちの格好は、 文化祭Tシャツにジャージといういたってありふれたもの。
まあ、こっちの方が、 プラカード持って宣伝するにはちょうどよかったのだけれど]
(143) 2017/03/10(Fri) 23時頃
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[チョコバナナの他にもタダ券が大量に作られて、学校内で配られていった。 実は3-3の喫茶店の片隅にも置いてあったし、 文化祭実行委員の面々にはもれなく配っていた。 1枚につき1本です、ご自由にどうぞ。
なお、昴くんに差し上げたチョコバナナは完全にタダ―― というかわたしのおごりみたいなものだ。>>93 これはパンケーキのお礼だから、と言って*]
(144) 2017/03/10(Fri) 23時頃
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[呼んだって誰も出てこないし、 教室に入った健士郎くんが物陰を覗いてみてもやっぱり誰かが隠れていたりはしない。>>140
思考停止から思考放棄にゆるやかに向かいつつある状態で、 健士郎くんが探索するのを見ていた。 彼の視界はやがてスピーカーに向いて、やがてひとつの謎が解ける]
……ああ、そっかあ。
[誰もいない、って呟いてたさっきの健士郎くんみたいに、>>138 落ち着いた口調で応える。 悪戯にしろドッキリにしろ。 わたし達を驚かせるのが目的というなら、 あなたの策にははまらないよ、どこかの誰かさん。
もう十分驚いた。もういいでしょう?]
(159) 2017/03/10(Fri) 23時半頃
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[ ああ、こっから飛び降りたら、俺にも、分かんのかなァ。
―――――――― 恐怖ってヤツが ]
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[もう十分だからわたし達に日常を返して。 ついでにわたし達を家に帰して。
ああ、でも、わたしの帰る家には今はあお姉がいる。 そのことを思うと少しばかり頭が痛くなるのだけれど]
(189) 2017/03/11(Sat) 00時頃
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……行こう。 わたし達みんなで文句を言ったらさすがにびっくりするかなあ。 そうだといいけど。
[もし犯人がいたらと仮定しての健士郎くんの言葉は、>>178 わたしの心境にもたいへんぴったりだ。
今度はわたし達が驚かせる番だよ。 できたらいいなあ。
かくいうわたしは健士郎くんの行動力にも驚いているのだけど。 いつもと違って率先して前に出ているよね、と]
(190) 2017/03/11(Sat) 00時頃
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[放送室に向かう道すがら、スマートフォンで時間を確かめた。 相変わらず圏外表示は消えないけど、 時計としての機能は健在だ。
とっくに授業受けている時間に教室の外を歩き回っている。 ちょっと変な気分。
もしみんなで帰れるようになったとして。 平日のこんな時間からファーストフード店とかに押し入ったらさすがに悪目立ちする予感。 外でかまくら作るのが一番無難だろうか、やっぱり。
こんなことしてるどこかの誰かさんも、 謝ってくれたら混ぜてあげよう――― そんな現実逃避の時間はあっさり終わり、 結局放送室にも誰もいなかった]
(195) 2017/03/11(Sat) 00時半頃
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…………ごめんわたしにも分からない。
[お手上げのポーズ。>>180 そもそも放送室だってあんまり入ったことないし]
でもこれだけスイッチあるんだし、 順番に押していけばいずれは止まるんじゃない?
[ね? と健士郎くんとささらちゃん、 双方の様子をうかがって。 やがてスイッチのひとつに手を伸ばすして、押し込む。ぱちん。
―――何も起こらない]
(201) 2017/03/11(Sat) 00時半頃
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はずれ。じゃあこれかな?
[ぱちん、]
これ?
[ぱちん、]
………。
[ぱちん。
目に映るスイッチやボタンは全部押してみたけど笑い声を止めることはできず、 やがて再度お手上げのポーズ]
………、壊れちゃってる?
(203) 2017/03/11(Sat) 00時半頃
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[放送室の機械。 どこを押せばどこが止まるかわからないのと同じくらいに、 どこかの誰かさんの考えていることもわからない。 だからささらちゃんが言葉にした疑問>>207にどう答えればいいかもわからない。 けど、]
別に、わざわざこんな、ちょっとホラーな真似しなくてもよかったのに。 文化祭のここが楽しかったって、わたしはたくさん言えるし、 ここにいるみんなだってそう……だと思うよ。
[どこかの誰かさん、あなたもあの日に帰りたかったのかな。 だけど時計の針は元には戻らない。 いくら願ってもあの日に帰れない。 屋台は解体されるしタダ券はただの紙切れになってしまう。
だから思い出を持ち寄る。形に残るものにしろそうでないものにしろ。 そうしてみんなで思い出を語り合って―――]
(243) 2017/03/11(Sat) 01時半頃
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[でも死んじゃったらそれもできなくなる。
そう思った瞬間背筋に震えが奔った。
死んでみることにして思い出を語れなくなるから、 思い出を残すためにこんなことをした、と考えれば動機としては筋が通る……気がしなくもない。 メールにも文化祭楽しくて、と書いてあったし。
でもどうやって? それを考えてみた時、昔聞いた話が脳裏を過ぎっていた。 あとでちゃんと思い出してみようと決めて]
(244) 2017/03/11(Sat) 01時半頃
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[やがてささらちゃんと一緒になって、>>208 片っ端からスイッチとかつまみをいじってみたんだけど何も変わらなくて。 ついにささらちゃんは最後の手段に出ることにしたようだ。>>213 床に伸びているコードを引っ張ってコンセントから抜く。 スイッチと一緒でこっちも手あたり次第。 わたしも健士郎くんもコードに手を伸ばした。>>214>>233
だけど何をやっても結果は同じ、 笑い声は垂れ流され続ける。 今度こそ本当に、お手上げ]
(252) 2017/03/11(Sat) 02時頃
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[ささらちゃんが最初のコードを抜いた時、 これは無理じゃないか、って気はしていた。 だけど見えてる可能性に全部手を出さずにはいられなかった。
で―――結果が全部徒労に終わればため息のひとつやふたつも出るわけで]
……みんなでよってたかって椅子で殴る?
[ささらちゃんといっしょに肩を竦める。>>253 ままならない放送機材に対して慈悲はなかった。 誰かさんの正体も不明な今、もやもやのぶつけ先もそれしかないし]
(265) 2017/03/11(Sat) 02時頃
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[特に表情も変えず戻ることを提案する健士郎くんにふたつ返事で頷く。>>237 彼の内心を知らず。 ささらちゃんがいっとき健士郎くんをじいっと見るのを横目に、>>255 わたしはこの部屋に来てからまだ触ってないスイッチに手を伸ばした。
―――つまりは放送室の天井にある明かりのスイッチ。 なんとなく浮かぶ、嫌な予感が外れればいいと思いながら、 スイッチを押し込んだ]
(266) 2017/03/11(Sat) 02時半頃
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