149 Hogwarts School ~ 2nd season ~
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―彩り―
[覚えある気配が駆け抜けた、随分と後のこと。 ようやくその場に背を向けて、静かに歩みを取り戻す。 二歩、三歩とゆっくり離れて一度立ち止まり、少し考える仕草をして。]
Orchideous (花よ)
[その言葉に呼応して顕れるのは、鮮やかな橙のカレンデュラ。 転がる幾多の骸に手向ける“冬知らず”の金盞花。
その花言葉は、“絶望”。]
[宙を舞い地に墜ちる花をぼんやりと目で追いながら。 やがて見下ろす眼差しには何の感慨も映さずに。
進む先にある“色を問わぬ骸”達へ、戯れのように花を降らせて行こうかと。彼らの最期は知らないけれど、きっと此処で終わる事を望んだ者は少ないだろうから。 不意の死に抱かれた生命達に、ほんの少しの憐憫を。]
(21) 2015/02/15(Sun) 19時頃
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―五色ともう一色―
[赤 黄 青 緑 そして黒。 物言わぬ色達にふわり、ふわりと花を落とし歩く。 散り逝く生命に手向ける橙は鮮やかに死を彩りながら地に墜ちる。]
もう生きてる奴の方が圧倒的に少ないのな。
[暫く行っても、生命の灯を宿す者は無く。 何とは無しに足元の骸を覗きこんだ時の事。 不意に黒猫がちりん、と音を立てて肩口へと駆け上がり、そこから宙へとダイブする。 静かな世界に響き渡る鈴の音、続いてバサリと何かが墜ちる音。
何だ?と思い振り向けば、“獲物”を仕留めてご満悦な黒猫と、仕留められて弱々しくもがく黒鳥の構図。]
りの、それ俺の―――
[放った奴だろ、と続くはずの言葉は音を為さず。 歩み寄り、猫を褒めるように撫でてやってから鳥を見る。 何故戻ってきたのか、なんて考えながら親指で拭う様に触れれば、空気に触れて赤黒く変貌したものが其処にはあって。]
(32) 2015/02/16(Mon) 03時半頃
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何、宣戦布告?
[その示す真意は知らない―あぁ、全くさっぱり理解できないけれど。 本人の血なのか、それとも他の誰かのものなのかなんて判別もつかないけれど。]
生きてんのな、アイツ。
[それだけは分かる。 さて、投げられた言葉は、投げ返した言葉は何だったろうか。]
[思い出せば、ふ、と唇は笑みを象って。 くるりとサクラを踊らせて黒翼に手向ける労いはナルキッソス。 添え咲かせれば眼差しを向け、それに呼応するように霧散する魔法仕掛けの小さな生命。 姿を失くしたその場所に、託された赤色だけを遺して。]
[赤色に寄り添う白の花。 増えた一色の鮮やかさを見つめる様、暫くその場に佇んでいようか。]
(33) 2015/02/16(Mon) 03時半頃
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[やがて再び、歩みを取り戻す。 取りとめのない手向けを続けるけれど、やがて]
Renervate (甦れ)
[呼び戻す生命は先程の使者。 塗られた赤色だけはあの場に置いてきた小さな生命。]
もう一度、さっきの奴の元まで行けるか?
[そんな風に問い掛ければ、くるりと旋回して記憶の場所へと導く黒翼の姿。 ゆるりとしたその羽ばたきに、こつり、靴音を一度だけ鳴らして。続く足取りは音を呑む様、闇を纏う様、静かに。]
[解き放たれたその場所には既に姿は無かっただろうけれど。 地に記された赤の標が、相手の居場所を導くだろうか。]**
(34) 2015/02/16(Mon) 03時半頃
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―― 母さん、父さん
カルヴィン、デメテル、
…… 俺はさ、 間違ってたのかな
―― 誰も守れないヒーローなんて、
皆、死んでいくだけの正義なんて、
(そんなの。
ただの‟悪”とおんなじじゃんか)
[ ぽつり。
首を振るえど 心は迷う。
誰にともなく零した声は 宙に消える]
( ―― でも、今まで 全部 全部
間違ってたなんて 、 )
[ 幼い頃からの全て
‟俺”っていう存在が、全て否定されたようで
ぐらつくような感覚を覚える。
でも 行かなきゃならない。
どこへか、 そんなの 俺にもわかんないけど
―― せめて、俺は。
誰も守れないまま 終わりたくない。
最期まで、ヒーローだと胸を誇りたい。
導かれるように 向くのは、天文台。]
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―赤い標の その先に―
[地に落ちる赤色の行方を静かに巡りながら。 時折くるり、ふわりと金盞花に宙を舞わせて。
物言わぬ骸、その横顔にそっと寄り添う一輪花。]
[そうして虚空に独り、歩みながら。 やがて一色が途切れる場所へ辿り着く。]
―――…、
[音無く唇が紡げば、ばらり、と群れ為して踊る橙の花達。 其処に“見えざる姿”があるならば、歪な形で地に墜ちるだろう。]
(51) 2015/02/16(Mon) 23時半頃
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―金と紅―
[眩ましの魔法でも使っているのか、と思ったけれど予想とは違って。 ヴェールを脱いだかの如くその場に現れた様子に、ほんの少しだけ驚く。勿論そんな素振りは見せやしないけれど。]
…別に?
[よもや礼を言われると は思わずに、言葉の意味を理解すれば苦笑しながらそう返す。 凛と咲く橙が、紅に侵されていく様を眺めながらその向こう側、対峙する相手を見やれば戦の名残が其所にはあって。]
ボロボロじゃん。
[そんな風に言えば、いつもみたいに嫌な顔を見せるだろうか。]
(55) 2015/02/17(Tue) 07時半頃
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[手招き、誘い、相反する表情に。]
…話?
[お前と、俺が?そんな含みを持たせるよう。 今更、何を?そんな問いは言葉にのせずに。]
―――…いいぜ、“聞いて”やるよ。
[何を企んでいるのやら、とも思うけれど。 見るからに嫌そうなくせに言うものだから、此方は笑って手招きに応じてやろう。 くるり、と掌でサクラを玩びながら一歩、近付いて。]
(56) 2015/02/17(Tue) 07時半頃
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