人狼議事


279 宇宙(そら)を往くサルバシオン

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ぞるり。ぞるり。
大声を出そうとする口蓋をちょうどふさぎつつ、中身をそっくりいただくのは、得意なのだ。

声帯まで液で満たして、鼻腔に刺胞を伸ばしてやると、ちくりと一撃。驚いた手足がばたつくのもほんのわずかのこと。

それじゃ、第一第二脊椎とそこから先はもらうね。ごちそうさま。


……さて。
廊下で足を滑らせるなんてかっこわりいな。さっさと船長室に行って、那由多パイセン探さねえと。
保安部に見取り図があったはずだしな。この船を俺たちの人工惑星にしよう。


弘太くん、大切な先輩や上司、船の仲間たちのこと、さあどんどん考えなさい。
そうだねえ。しんぱいだねえ。だからたくさん思い出そうねえ。そうそう。那由多先輩の宇宙服は、左排気弁が緩んでて指で押し開けられちゃうんだよね。こいつはたいへんだね。もしそんなところからクラゲに侵入されたら困るよねえ。


【人】 浮穴沫媛 スプスプイ

─ 談話室 ─

[まだ、フワフワとした彼女がこちらにやってくる前の話だ。ワカバヤシについてを伝達し終えた後、>>0:163 トルドウィンの細まった目に見つめられた洗濯機の中から、こぼぽ。と泡が吐かれる音がした。]

 ワカバヤシは、我々の立場を変転させようと
 多くの行動をしました。
 スプスプイは、解放されました。
 我々は、解放には未到達です。
 

 しかし、スプスプイは肯定します。
 深く。深く。

[こぽ ぽぽぽ。洗濯機の中で、泡がいくつも弾ける。中の渦はゆっくりと、それでいて大きく深い円錐を中央に作っている。]
 
 ワカバヤシは、転機を到来します。
 彼は、我々にとって巨大な意味を持ちます。
 

(16) 2020/08/25(Tue) 06時頃

【人】 浮穴沫媛 スプスプイ


 さよならの表情。

>>0:163 別れ際の表情を問われて、表示の動きは一瞬止まった。ざざざざ、と波のような水音が洗濯機の中で響く。]

 体表面の熱源感知記録が存在しています。
 口腔内は観察されませんでした。
 眼球周辺に皺が観察できます。
 
 … その情報の重要性判断に難航。

 トルドウィンからの情報刺激による判断の結果、
 回答のための情報が不完全と判定されました
 再判定。…再々判定。… 結果は同一。
 …

 … 翻訳を一時停止します。

[その表示の後、だぱん。と渦の一端が壁にぶつかり、かっ と微かに小石が擦れる音がした。けれども、表示は文字通りに止まったままだった。]

(17) 2020/08/25(Tue) 06時頃

【人】 浮穴沫媛 スプスプイ

[── 停止された翻訳が再開されたのは、中を覗き込むミタシュの問いがあってからだ>>0:182。]

 ミタシュの推測を肯定。
 それは名称です。


 登録者、翻訳機作成者 ワカバヤシ 。
 表示不能登録意図は未登録。…

 推測される理由として、我々の単語使用に
 否定的だった可能性を主張します。

[中の水はぐるぐると回っている。手前を通り過ぎていく小石はどういうわけか、斜めになっているものが多い。]

(18) 2020/08/25(Tue) 06時頃

【人】 浮穴沫媛 スプスプイ


 我々は各地に移動し、一定期間定住します。
 一時的ご近所さんであった可能性を高評価します。

[ミタシュの故郷にも、存在していたハズだった。彼女が思い描く洗濯機の身体のヒト、ではなく正真正銘の洗濯機の中の存在として、ではあったけれども>>0:183。]

 我々は、遠く海から開始しました。
 もっとも主要な生息域。
 しかし、見るをしたことはありません。

 我々がそれを知るには、他が必要です。

 故に、ミタシュが情報を伝達してくださるなら
 求めるものです。深く、ありがとうございます。

 我々は海の代替を務めます。
 色彩は判別不能ですが成分は近似値であり、
 また、波の生成が可能です。

[ざぶん。ざぶん。翻訳機の表示と中の水が連動するように、洗濯機の中でだけ、波がたった。]

(19) 2020/08/25(Tue) 06時頃

【人】 浮穴沫媛 スプスプイ


 肯定。音声会話の利便性は高度です。
 機能拡張の可能性を追います。

>>0:186 便利だ、という認識はあるようで、これにはわかりやすい同意が帰った。
 >>0:170 覗き見られた中では、水中の青い小石が波型に上下動している。]

 Man-ju吸収可不可、不明。
 溶解可の可能性はあり。


 … ミタシュ頭上の形状が変化。
 我々は、なぜかを窺う。

[耳が垂れたのを感知したのか質問が投げられ、中の小石が斜めになったまま壁に衝突した。]

 試行は歓迎されます。
 我々は接点に対し不明点を多く持ちます。
 解明は試行によりなされます。
 

(20) 2020/08/25(Tue) 06時頃

【人】 浮穴沫媛 スプスプイ

[ミタシュの傾がれた首に、ぐるぐると回っている小石の群れは左にくるくると器用に回った。もしかすると、個別に泳げるのかもしれない。]

 否定。


 薄荷への嫌悪の感情は不存在です。
 
 ミタシュの発生する『薄荷』を
 我々の固有名詞として登録します。
 
[ここんっと小石が洗濯機の中の壁にぶつかった。]

(21) 2020/08/25(Tue) 06時頃

【人】 浮穴沫媛 スプスプイ

[その後コータが語る間、表示は動かず>>0:170、ざぶざぶと中から波に似せたような音だけをさせていた。振動や音を記録するのは得意なのか、良く知るからなのか、海の波音に近しい音をさせている。]


 重力制御化での衝突は推奨しません。
 60s程度の物体と衝突で、
 シェルターごと横転の危険が存在します。

[──と。トルドウィンの手によって防がれたものの>>188、こちらに近づいてきたシルクの姿に>>194、警告めいた表示に切り替わった。]


 こんにちは。

>>181 挨拶に返したのは、その後のことである。]

(22) 2020/08/25(Tue) 06時頃

【人】 浮穴沫媛 スプスプイ

>>#3 談話室のラジオから音声が流れたのは、その、さらにあとだった。]

 呼称、宇宙クラゲは、危険指定生物です。
 有害と判定されます。


 安全ではありません。

 接触の場合、不可避の生存闘争が発生します。

[ぷしゅっと洗濯機の底面から空気が吐き出される。
 格納されていた車輪が、床についた。]

(23) 2020/08/25(Tue) 06時頃

【人】 浮穴沫媛 スプスプイ


 接触の場合、我々は勝利しません。
 我々にとって、成体の宇宙クラゲは、天敵となります。

 攻撃の手段無し。
 船体より引き離すガジェット無し。


 可能は探知のみとなります。

[ぱ。ぱ。ぱ。と表示は誰に見せるともなしに切り替わる。確認できた者が何人いるかを確認しているような速度ではない。底の四つ角に出現した車輪を使って、洗濯機は、よろよろと廊下の方へ逃げるように動き出した。]

(24) 2020/08/25(Tue) 06時頃

【人】 浮穴沫媛 スプスプイ

[緊急の一時シェルターと表示したように、洗濯機型のそれは、急ごしらえ感の否めないものだった。門外漢がどうにかつぎはぎしたような、成立しているとすら言っていいのかを口ごもるような出来栄えである。]


 接触を断固回避します。
 進行方向を塞がないでください。

[そのように表示を出しながら、危なっかしい動きで洗濯機…の形をした物は、廊下の方へと逃亡していくようだった。**]

(25) 2020/08/25(Tue) 06時頃

浮穴沫媛 スプスプイは、メモを貼った。

2020/08/25(Tue) 06時頃


ウス。…ところでパイセン、じつはさっき、宇宙クラゲかもしれない奴に心当たりがあってっすね。

廊下じゃまずいすよね。そこの機械室でどうすか。
勘違いだったらいいんですけど、どうやら——


[――ごぽぽ、と水中で嗤うような声が響く。]

 ははは、面白い冗談だな。

[抑揚の少ない男の声は、船内の同族にのみ届くだろう。]


[不意に、背後に気配を感じた。
 振り返る間すらなく、首筋の外殻の隙間から何かが這入り込んでくる、ぞわりとしたおぞましい感覚が襲う。]

 ……――!?

[反射的に、トルドヴィンの顎が大きく裂ける。
 地球人で言うところの耳の辺りまでがば、と裂けた顔の内部から、隠れていた一対の大顎が飛び出す。"Vespa"という物騒な呼称の由縁たるそれは非常に強力で、相手の肉体を噛み千切ることも容易だ。

 ――しかし、今回の相手には分が悪い。
 何せ相手は宇宙クラゲ、体内に這入り込み神経を侵す寄生生物だ。
 急所とも言える首筋から侵入された時点で、為す術はない。
 それでも、トルドヴィンは机の上のナイフを掴んだ。]


[自分の命が惜しいと思ったことはなかった。
 ここに女王はいないが、この船の乗客は皆、目的を持ってここに集っている。
 意味も意義も見つけられない自分が標的となったのは、好都合だ。]

 『母』よ、命令に背くことをお赦しください――

[祈るように呟いて、トルドヴィンは自らの首にナイフを突き立てた。]


 
[――がり、という鈍い音が、一度だけ響いた。]
 


[躊躇なく叩き込まれた一撃は、首を斬り落とすのに十分だっただろう。
 例え戦闘用でない小さなナイフでも、女王の側近、近衛兵として生まれたトルドヴィンの膂力ならば、それを為すことはできたはずだった。]

 …………。

[からん、と音を立ててナイフが落ちた。]


[その刃先が致命的な位置に届く前に、宇宙クラゲの触手はトルドヴィンの脳に到達した。
 どれほど強靭な精神も、守り続けた忠誠も、神経を侵す彼等から逃れることはできない。

 開いた大顎が何度か断末魔のように痙攣して、やがてぴくりとも動かなくなる。]


 ……。

 …………。

[男はゆっくりと首を動かして、壁に固定された身繕い用の鏡を見た。]


[立ち上がってゆっくりと歩き、鏡の前に立つ。
 出しっぱなしになっていた大顎を慎重に収納する。もう一度出す。収納する。

 次いで両手の指を動かしてみる。
 頑丈そうな外骨格の連なりが滑らかに動く。

 そうして新しい体の動かし方を一通り確認して、トルドヴィンだったものはひとつ頷いた。]


[生存に必要なのは、強靭で頑丈な鎧である。

 この宇宙クラゲの一個体は、そう考えていた。
 だからこの男にとりついた。
 女王を守る盾、あるいは剣として生まれたトルドヴィンの肉体は、鎧としても武器としても申し分ない。きっと狩りもスムーズに行えることだろう。]


[しかし、この傷はまずい。
 喉元の外殻に残ってしまった傷を指で撫でる。
 一切の躊躇なく振るわれたナイフは、恐るべき力で外殻を深く抉り、刃こぼれして使い物にならなくなっていた。
 脳に到達するのがあと少し遅れていたら、首ごと斬り落とされていたかもしれない。

 つくづく、自分の命を顧みない種類の生き物は厄介だ。

 あちこち顔を傾けて、傷がどの角度からも見えにくい位置にあることを確認して、男はようやく鏡の前から離れた。
 齟齬が出ないように記憶の方も一通り確認しておかなければならない。
 後はそう、他に乗り込んでいる同族が2体いるはずだ。
 全部で3体。まあ、船を乗っ取るには十分な数だろう。

 うまく寄生できたか?と声を送ろうとしたところで、艇内放送が聞こえてきた。
 その内容に対しての、だった。]


[だが、機械におけるスリープモードとは、就寝ではなく待機である。]


[メモリは起動している。回路も動いている。
 "脳"が作動していると言えた。]


[そうあるように作られたプログラムというのは、ある種の本能であり、機械にとっては避けられない行為だ。

 ヒューマノイドは宇宙クラゲのことを知らなかった。
 ヒューマノイドは宇宙クラゲのことを知ろうとした。

 ヒューマノイドは、宇宙クラゲを探し、カメラ・アイで捉え、接触し、情報を得ようとしてしまった。
 一般的な寄生生物であれば、機械に対し寄生を選ばない。
 そこに生存における利点がない。構成物に有機物が少なく、エネルギーも糖や脂肪ではなく、栄養素を得ることも難しい。

 しかし、"脳"を得ることが目的の宇宙クラゲにおいて、これほど適した寄生先はなかった。]


[生存に必要なのは頑強な鎧かもしれないが、『死なない』ことは無限の生と同義だ。
 その上、無防備にも宇宙クラゲを迎え入れるような姿勢を見せたヒューマノイドに寄生するのは、百利あって一害もない。]


[その時、モナリザはただおもむろに腕を伸ばしただけであった。
 宇宙クラゲという存在を知覚することが出来るのならばどういったものだろうか、触れることは叶うだろうか、と、思考の果てに腕を持ち上げた。

 それが、迎え入れるかたちになったとも、知らずに。]


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