196 水面に映る影より遠く
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── 朝、通学路 ── [本日も晴天なり。 このあとの天気は、 予報も見ていないから知らないけど 晴れだ。きっと晴れに違いない。
ギィ、と車体を軋ませながら 今日も今日とて、補講へ向かう。 ギアチェンジなんてイカした機能のない相棒で 緩い坂道を立ち漕ぎで登っていくのだ。]
あっちー…
[ジリジリと照りつける光を受けながら 昨日と変わらない道を、ぐんぐん進む。 クラスメイトを見かけたら やっぱり昨日と変わらずに おはよー、と 声をかけていくだろう。]**
(4) 2016/08/19(Fri) 07時半頃
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[ ─── 猶予は、あと少し。
全部読み終えられるでしょうか?
夏休みを返上すれば、きっと。
できないことはないと思います。
突然の、帰還命令。
私は夏休みが終われば、
私の元いた場所に、かえります。 ]
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はよー、小夏。 お先っ!
[クラスメイトのちびっこその2を見つけると びゅうんと追い越し横目におはよー。>>31 返される挨拶とずるいの言葉は ひらひら手を振り返すだけ。 停まるつもりなんて、1ミリもなかったのに]
………アイス?
[その魅惑の単語を聞くなり キキィーッと音を上げ急ブレーキ。 振り返り顔だけ向けて小夏を見れば なるほど、たしかにアイスっぽい箱の入った袋がその手に>>30]
(32) 2016/08/19(Fri) 18時半頃
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[考えること3秒。]
よし、乗れ。
[アイスの誘惑に簡単に屈した俺は 後ろの荷台を くい、と親指で指すのだった。]*
(33) 2016/08/19(Fri) 18時半頃
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んっ、
[後ろに座るのかと思いきや、 小夏は俺の肩に手を乗せてきて。>>48 触れられると思っていなかったから 肌に感じる指先の感触に びくりと肩を揺らした。]
( やば、変な声出そうになった )
[んん゛っ、と咳払いをするように誤魔化したけど くすぐったがりな俺には 腰回りよりはマシとはいえ、肩も少しくすぐったい。 まあ、学校まではあと少し。 なんとか我慢できるだろう。うん。 かっこ悪いから、小夏にはこのことは隠すつもり。]
(65) 2016/08/19(Fri) 20時頃
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立ち乗りでいーの? ……ちゃんと掴まってろよー 落っこちたら置いてく。
[小夏の足元を確認して 自転車はゆっくりと走り出した。 出発進行の合図には「おー」と力ない返事。]
(66) 2016/08/19(Fri) 20時頃
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[後ろに女子を乗せるのは初めてだ。 昨日の178cm男子>>20とは違い その軽さに 飛んでいきそうだなって 少しだけ、不安になる。 揺らしたり、スピードを上げすぎないよう珍しく気を遣いながら、すいすいと道を進んでいった。]
んー?味? じゃあ………みかん!
[つむじの上からかかる声に>>49 わずかに視線を上げながら答えを返す。 パインもいいなーってぼやきつつ]
(67) 2016/08/19(Fri) 20時頃
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小夏は?なにがすき?
[そんな、他愛のない会話を。 みんなに配る予定のアイスにまんまと釣られた俺だけど、 こうやって小夏と話せるんだから まあ悪くない。
くすぐったさは、じきに薄れていった。]*
(68) 2016/08/19(Fri) 20時頃
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── 昨日、圭一と ──
いーよ洗わなくて。 俺が勝手に預けただけだし。 持っててくれてありがと。
[「洗って返す」>>0:303なんて律儀に言うものだから、その気配りに女子か!と笑いながら、圭一からタオルを受け取った。 他にも洗うもんあるし、とバッグにタオルを突っ込んで、机の上のプリントを覗き込む。>>0:302]
余計な課題増えた上に この内容って……ふっ、
[思わず笑いそうになるのをギリギリで堪えて]
(71) 2016/08/19(Fri) 21時頃
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まあ、圭一ならすぐ終わるだろ。 得意じゃん?こーいうの。
[笑みを含んだ声で適当なことを言えば、 じゃ!と爽やかに手を挙げ教室から出て行った。 残念ながら、手伝う気はさらさらない。 がんばれ思春期男子。]**
(74) 2016/08/19(Fri) 21時頃
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[誤魔化しの咳払いは風邪と勘違いされ>>75 ソウカモナーと適当に相槌を打ちながら 昨日のずぶ濡れの律を思い出す。 そういえば、風邪は引かなかっただろうか。 流石にパンツは貸せなかったけど>>38
……って、]
『ワカナだけ』…? あ゛!
[小夏の抗議の声>>76に 自分以外にもアイスを配るつもりだったのだと、ここでようやく理解した。]
(87) 2016/08/19(Fri) 22時頃
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チクショウ、足に使われた…
[小さく文句を漏らすけど、それ以上言うことはなく]
アイス、溶けないで済みそうで良かったな。
[俺に感謝しなさい、と 目線は前を向いたまま 小さく笑った。]
(88) 2016/08/19(Fri) 22時頃
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[どうやら小夏もみかんをご所望らしい。>>77 ふむふむ、みかんが好きなのかと心の中でメモメモ。]
やっぱ夏はみかんだよなー んじゃ、小夏と俺でお揃いみかんってことで 取り置きヨロシク。
[僅かに上体を逸らし見上げれば 小夏と目はあっただろうか。 もし顔が見えたら、ニッと歯を見せ笑って。
そうしているうちに学校へ着いたことだろう。 二人乗りを見られていたことも>>64 『魔物に取り憑かれし思春期の雄代表』>>0:287に加え『取っ替え引っ替えなぎらぎら男』なる称号を得たことも、俺は知らない。]
(89) 2016/08/19(Fri) 22時頃
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とーちゃくっ。 おつかれ。 チャリ置いてくるから先行ってていーよ。
[昇降口の前でゆっくり止まると、小夏が降りるのを待って(一応、落ちないように片手は差し出しておく)、校舎横の駐輪場へ停めに行った。]
(90) 2016/08/19(Fri) 22時頃
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( ………くすぐったかった… )
[自転車を置いた後、小さく細い指の触れていた肩を触りながら、むずかゆいような表情を浮かべた。 少しだけ 熱いように感じるのは、きっと気のせい。
昇降口に小夏はいただろうか。 もしいたのなら慌てて駆け寄って「アイス溶けるぞ!」って急かすだろうし、先に行っていたとしても、やっぱり追いかけるように教室へ急ぐだろう。 ほら、アイスが待ってるしね。]*
(91) 2016/08/19(Fri) 22時頃
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[昇降口に着いた時、ちょうど小夏の元から一匹の白猫が逃げていくところだった。>>101]
ねこ……?
[視線でその背を追うけれど すぐにはっと気がついて]
ていうか、アイス アイス!溶ける!
[そう急かせば、二人並んで廊下を駆け出した。
───あいつの残したメッセージに>>47 俺はまた、気がつけなかったんだ。>>0:273>>0:277]
(118) 2016/08/20(Sat) 00時頃
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──→ 教室 ── [小夏のスピードに合わせて走り、 教室に着いたのも一緒。>>103 大声でアイスを売り出す小夏の後ろについて教室へ入ると、「みかんは売り切れ」の言葉にこっそり笑って、『運賃』を受取った。]
はいどーも。 次回からは割増料金になりまーす。
あ、そーだ
[ふと、思い出したように小夏に一歩近寄ると 身長差があるせいか、自然と耳元で囁くように顔を寄せた。]
(120) 2016/08/20(Sat) 00時頃
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[ぼそりと落とした呟きは きっと周りには聞こえていないだろう。]
ありがと。
[手に持った“おそろい”を軽く上げて笑いかけると そのまま席へと向かいながら袋を開けて口の中へ。
広がる味は甘くて酸っぱくて、 あつくなった身体の熱を 冷ましてくれる。]**
(122) 2016/08/20(Sat) 00時頃
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[ 西の魔女は死んだのです。
今はもう、私しかいませんでした。
東の魔女として、私は唯一の希望。らしい。
この世界の根元について学ぶ機会を得ました。
私たちの未来を獲得することが目的でした。
私は、静かに、空気のように暮らして。
何れ来る帰還命令に応じて静かに帰る。
そのつもりだったのです。]
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[自分の席に座り、アイスの二口目をかじろうと口を開けた時、律が近寄ってくることに気がつけば食べるのをやめ、おはよ と軽く挨拶。>>126]
ん、みかん。 ちょっとだからな!
[ちょーだい、と言われたら断ることもせず その食べかけのオレンジ色を律の口元へ。 代わりに向けられた乳白色を遠慮なく口に含む。 味見にしてはちょっとだけ大きめな一口は 律に怒られただろうか。]
(153) 2016/08/20(Sat) 08時半頃
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[どこかの誰かさんたちみたいに>>26>>78 甘酸っぱい男女の関係ではないので 恥じらったり、味がわからなくなるなんてこともなく]
んま。 桃も悪くないな。
[口に広がる優しい甘さに 素直に美味しいと感想を漏らす。 やっぱみかんが一番だけどね。]
(154) 2016/08/20(Sat) 08時半頃
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[最後の一口を食べ終わった頃だろうか おもむろに律が発した言葉に>>127 げほごほげほっ、とむせ込んだ。]
……え、なにそれ。
[真剣にこちらを見つめる律に 昨日の「俺はともかく」の言葉を思い出す>>0:185。 あれは 既にカノジョがいるとか、 そうなりそうな関係の女子がいるとか、 そういう意味、だったんだろうか。]
(155) 2016/08/20(Sat) 08時半頃
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……それ、俺に聞きます? そんなん女子に聞け。
ていうかなに?だれにあげんの?
[食べ終わったアイスの棒をビシッと向けながら 座ったまんま、 身を乗り出すように顔を覗き込む。 コレか?って、昨日の律がしたみたいに 小指を立ててみたり。]*
(156) 2016/08/20(Sat) 08時半頃
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────… 転校?
[神山からその話を聞いたのは、 準備運動の最中のプールサイド。 どうやら声が大きかったらしく、 神山は慌てて「しーっ!しーっ!」と 周りを気にしながら口元に人差し指を当てていた。 近くに先生がいたからなのか、 別の理由>>107があったからなのかは知らないけれど いつもの得意げな表情でなかったことは 俺にも見て取れた。]
(159) 2016/08/20(Sat) 09時半頃
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……知らない。だれ?
[声を潜め問い返すも、 神山はそれ以上は知らないと眉を下げる。 周囲を見渡せば、俺の声に気付いた誰かと 目が合うことはあっただろうか。
──夏休みが終われば、誰かがいなくなっている。 胸の奥、小さな穴が空いたみたいに なにかがひゅうっと通り抜けていった。]
(160) 2016/08/20(Sat) 09時半頃
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…………えいっ
[重くなりかけた空気を壊すように 神山の背をぽん、と押した。 不意を突かれた彼はそのままプールにドボン。 俺も水に飛び込んで、突然のことに怒る神山に ごめんごめんと笑いながら謝った。]
…………
[ココロの隙間を満たそうと 水の中に身体を沈め プールの底を滑るように、静かに泳ぐ。
みんなの声を遠くに聞きながら、 息が続く限り、ずっと。]
(161) 2016/08/20(Sat) 09時半頃
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[水面に顔を出した時、 きっとみんなは昨日と変わらず 水泳を楽しんでいたことだろう。 大樹が圭一に指導を頼んでいるのを知れば>>132 俺は!?水泳部だよ!?!?って騒いだかもしれない。]
あおい?
[プールの端、ぶくぶくと沈む姿を見つけられたなら>>130、すいー…と近寄ってみる。 なかなか立ってこないようなら その腕を引き上げようと、手を伸ばして]*
(162) 2016/08/20(Sat) 09時半頃
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[ヒトたる性の有様は、
私の本来いる世界と此処とでは、
かように違うものなのかと、
授業は真剣に、
そして楽しく受けたことを思い出します。]
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