246 とある結社の手記:9
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[マリオに襲い掛かった時、きっとそんな風に軽い言葉を暗闇にのせた。
小さな手、小さな身体、食べ出はないけど、
保存ができないから丁度いいか。
子どもを食べる機会なんて、もともと多くはなかった気がする。うまくいってよかった。]
― 夜 ―
[ 『私の 勝ち〜』
年をとった獣は脚をとめ、ユージンの部屋へ伸ばしかけた手を止めた。]
――……ああ。
命拾いしたなあ、ユージン。
スージーとマリオに感謝することだね。
[憐れなマリオが死ぬ羽目になるおかげで、鷲鼻の聡い青年は、助かることとなった。]
はははは。
だめだな、やっぱりおまえには敵わない。
[つやのない毛並みが、夜を引き返す。]
あーやれやれ、走った走った……
……
やっぱり、役割分担ね。
今日の夜もまた競争しましょうか。
[なんて、どうなるかも解らない先の話に笑うような響きをのせながら。
やっぱり全然悪びれず、罪悪感もなく、感慨も無く、大事な友人の弟を黒い狼は喰ったのだ。サイモンの時よりは、遺体は綺麗だったかもしれない。だってマリオに恨みなんて、これっぽっちもなかったんだから。*]
[ 『私の 勝ち〜』
自室でこれからの算段をつけていると、
スージーの明るい声が耳に入った。]
……やれやれ。
[いい気なものだ、と、首を振って溜息をひとつ。]
[スンスンと鼻をならし――]
……甘味はありますが、ややコクに欠けるというか。
[そんなことを呟いた。]
…………さようなら。
ワンダ様の死は、"無駄"には致しません。
せめて、安らかに……
[どこまでも冷たい声。]
―― かわいそうになあ。
[ユージンの代わりに、はたまた全ての大人たちのかわりに死んでしまった憐れなマリオの死に顔をみる。]
昨日はおなかいっぱい食べられたかよ。
ちいさな勇気ある子どもは、
無事ワンダおばさんを退治できたぜ。
なあマリオ。
守ってもらえなくて、かわいそうにな。
[優しく、マリオには聞こえない声で話しかけた。]
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― 早朝:リンダの部屋 ―
[ゆっくりと、目を開く。 想像をしていたような痛みは、訪れず。 だから、だから、それが見えた。
グラスに手を伸ばす。 琥珀色の液体が、薄く揺れる。 昨日、寝付くために使ったものの飲み残し。 一息に飲み干せば、それは消えるはずだ]
(64) 2018/07/29(Sun) 22時半頃
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[だけど、そうはしなかった。 だって、私は生きているのだから。 生き残ったのだから、目を逸してはいけない。
小さな小さなその手に、触れるために腕を伸ばす。 ほんの二日前、彼がそうしてくれたように。 だけど、掴むことは叶わずにすり抜けてしまう。 あの暖かさは、もう失われてしまったのだ]
(65) 2018/07/29(Sun) 22時半頃
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― 朝:リンダの部屋 ―
[ノックの音、そして続いた普段通りの呼びかけ(>>15)に顔を向ける]
ええ、おはよう。 ロイエ。
[同じく、普段通りの返答を。 いや、少しだけうわずってしまっただろうか]
(68) 2018/07/29(Sun) 23時頃
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[どう声を掛けようか迷っているうちに。 身支度は自分でするように(>>16)、と告げられる。 昨日の自らの言動を振り返れば、そう言われるのもやむ無しだろう]
ええ、もちろんです。
[自信満々な口調で、そう返した]
(69) 2018/07/29(Sun) 23時頃
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もう……やだぁ……
[口に出さない思いは、口に出さない代わりにずっと素直に、こちら側の声に乗りました。
涙は出ていないくせ、子供みたいに泣きじゃくる声が聞こえたことでしょう。
まるで昨日の船頭さんのような泣き言でしたが、その本質はまるで違っていました。]
あの人、占い師じゃなかったの?
楽しそうに、喰われたって。
はあ。ふうん?
旦那さんを食べられてるのに、
他の人が食べられて、あんなに喜べるものなんだ。
だったら、いいことしたわね。
[誰かに対して、敵意が芽生えてしまうのが、嫌なのでした。]
やっぱりみんなの部屋が近いから、
すぐににおいに気付かれちゃうのね。
別にいいんだけど。
血の匂いがする…。
やっぱりまるまるは食べれなかったものね。
ごめんね。
[マリオの肉はロイエ曰く()]
やわらか甘美だったか?
……まあ、普段おれたちが食ってる量を考えたらな。
無理だよ、人間一人ってのは、子供だろうと。
…私が味の評価苦手なの知ってるくせに。
でも柔らかかったのは確かね。食べやすかったわ。
こんな時でもなかったら、保存したのにね…。
牧人 リンダは、メモを貼った。
2018/07/29(Sun) 23時頃
[生存を知らせる声は意図してのものではない。
確認のような声は返事を求めていないもの。]
そうだなあ。
子羊でもなんでも、子供はうまそうでイメージがいい。
食べやすかったんなら、いい値段がついたのかね。
[廊下には甲高い笑い声の残響があって、それに重なるようにもうひとつ]
……、 ………
[パトリシアの泣き声がずっと、聞こえている。]
う〜ん、
値段の評価はロイエのほうが得意そう。
でも、大人よりは珍しいし、
いい値段がついたんじゃないかしら。
子供ありますよ、っていったら、
食いつくお客さんはおおそうよねえ。
贅沢に贅沢を重ねちゃった気分。
ワンダも予定通りにつれてってもらえたし。
よしよし。さて。
なんでマリオが死んだかって。そりゃ。
ルパートさんがいったとおり、かもね。()
でも守護者だっけ。いるのかしら。
ルパートさんはモンドだと思ってるんだっけ。
だとしたら、…どんな気持ちなのかしら。
子供を守るようなタイプじゃなくってよかったけど。
いいじゃあねえか。
こんな時くらい贅沢をしねえでどうする。
ははは、そういえば遠慮したみてえに
上品に食ってあったな。 ()
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