263 ― 地球からの手紙 ―
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[今日もぶらぶら足を揺らして空を見上げて。 ふーさんが呟いたようにここはいつも平和で静かで。
その静寂と、何気ない日常を破ったのは ミタシュにお手紙だよ!と仲間の誰かが持ってきた封書。 急いで開けばそれは少女が書いたお手紙のお返事]
おへんじが!来た!!
[ワクワクしながら読み進めるのを 仲間たちがうしろから前から横からじーっと眺めます。 だってお手紙なんて本当に珍しいんですもの!!
ほら、ひときわ長い影が現れたと思ったら ふーさんも一緒に、覗き込みました。]
(15) 2019/04/19(Fri) 20時半頃
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宇宙船?艇長? 地球以外の、ほし?
[不思議なお手紙です。 森くらいしか知らない少女は 森の外はおろか、地球の外の存在なんて ほとんど、知るよしもないのですから。
お手紙に書かれたいろんな星の姿 そのどれもが魅力的で、こころ踊り、 この森にあるどの「本」よりも冒険に溢れていて。 少女の瞳はきらきらと輝いていたことでしょう。
だけどそれを覗き込んだふーさんは、 なぜだか神妙な顔つきをしているのでした]
(16) 2019/04/19(Fri) 20時半頃
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[手紙に同封されていた一枚の紙。 それは「しゃしん」というものだと、 少女はやっぱり知っていましたが、 実際にそれを見るのは初めてのことでした。 ── それが「絵葉書」だというのは知りません。
真っ白な月、空を飛ぶ車、四角くて灰色い石の塊 青い空は美しいけれど、なぜだか、どこか寂しく
その写真を見て、ますます ふーさんの顔が険しくなるものですから 少女は大きく首を傾げたものでした。
「なんでもないよ。 だけど、それでもまだ緑は残ってる。 まだ、まだ、大丈夫だよ、この国は。」
ふーさんは、神妙な顔のままそう言いました。 ああ、あとそれから ───。]
(17) 2019/04/19(Fri) 20時半頃
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[ふーさんが真面目な顔して呟いた言葉もきっと 一緒に手紙には添えられるのでしょう。
その手紙はきっと、また、 最初のときと同じ紙、同じ文字のかたちで描かれ きっと、また、同じあなたのところに戻るでしょう]*
(18) 2019/04/19(Fri) 20時半頃
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[きっとそれは夕方で、 夕焼けの空をふわふわ流れる雲を 少女はじいと見つめておりました]
あ!宇宙船!
[それはきっといるはずもないものなのに 覚えたての言葉を使いたい少女は 空を指さして、そう呟くのです。
だけどそれが本当に、本当に? 望んだ形となって、手元に現れたなら?]
(19) 2019/04/19(Fri) 21時半頃
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[ええきっと本当はそれは宇宙船なんかじゃありません だってその人が乗っているにしてはやたら小さく 最終的には手の上に収まってしまうのですから
不思議な模様の書かれた紙でできた宇宙船。 だけどその端に何か文字のようなものが見えたなら? 少女はきっとそれを開いて見てみるのでした。
まさかそれが本当にお手紙だなんて思わずに!
それでもあの美しい青で描かれた 丁寧な文字とは違う、書き殴られたようなそれに きっと、少女まで頭を捻ってしまうのでしょうね]
(20) 2019/04/19(Fri) 21時半頃
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………それは、やだなあ
[手紙を読み終えた第一声はそれで ぽつりと呟いた一言に添えた表情は そう、まるで昼間のふーさんのようでした
少女はふーさんのことを何も知りません 昔一度 ふーさんはこんなことを言いました 覚えていてくれる誰かがいるのは幸せだ と 待っていてくれる誰かがいるのは幸せだ と
少女は子どもでした。 どんなに大人びていたとしても まだまだ小さな子どもでしたから いやだ、と書くのが正しいのかもわかりません
それでも、一生懸命悩んで、きっとお返事を書くのです]**
(21) 2019/04/19(Fri) 21時半頃
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