97 wicked ROSE 【ハジマリの五線譜】
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…… おれ 。何も出来なかった。
[横に座る誰かの存在を漸く認識出来る程、時計の音が聴こえた頃。 床から視線もあげずに、ぽつりと吐きだす様に呟いた]
(2) 2013/10/02(Wed) 02時頃
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[何も出来なかった、と少年は云うが。 否、本来指揮存在は、ある意味の役割を考えれば。 寧ろ何もすべきでないのかも知れない。
指揮存在の運命を、その身、魂に共有こそしたが。 少年はその運命が在るべき正しい価値観を、理解できていない。 自分の心が奏でる方向、価値基準にどうしても従う。
《美しい》音楽の奏でには、逆らうのかも知れないが。その生まれたばかりの矛盾]
(3) 2013/10/02(Wed) 02時頃
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独りじゃ、何にも止められなかったや。
[それでも、堪える物を抱えながら、少年は漸く表情を上げて。 喪失のショックに、多少酷い表情をしていたかも知れない]
(4) 2013/10/02(Wed) 02時頃
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[少し平坦気味な、青年の声に、緩く首を横に揺る]
……ううん。
[大丈夫、も嫌だ、も云わず、唯首を横に振るだけ。 辛い事を、否定は出来ない。道はもう選んだつもりでいる。 その所作だけで意志は伝わるだろうか]
(7) 2013/10/02(Wed) 02時半頃
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[《指揮者》。アスランの言葉に、反応して表情を向けた。 己以外には不可視らしい、鎖巻く左腕を抑えながら]
俺も、経緯なんて解らないよ。 気付いたら、俺の腕に、見えない鎖が巻き付いて。
――――罪科や、執念、だったりな……ううん、なんでもない。
[最期に、自嘲の様に呟いた言葉は、正しく、聞き返される前に自分で否定していた]
(10) 2013/10/02(Wed) 02時半頃
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[《指揮者》は《天使》と兼任できるか、ある意味素朴なアスランの疑問に瞳を瞬かせ]
……天使、て云うけど。
今更自分で思い返してみたら。 俺はどうみても、人間そのものなんだよな。
[詩は歌えるが、翼持つ生粋の天使達とは違う。苦笑を浮かべて]
音域天使《メロディ・レンジェル》が。て意味なら。 どうなんだろう… 俺、『アルト』を名乗る自身、失くして来てるかも
[特別な存在が、己ひとりである内は、力と矜持も信じられたが。 立て続けに、己の限界を直視して、ブルーの気分が入りだした自覚はある]
(12) 2013/10/02(Wed) 02時半頃
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[変な子、と普段なら手も上がる呟きに、寝台の淵に寄るその姿を唯見つめ。 少なからず消耗はある気がする。 あくびと共に、眠りに入る姿]
俺は空き部屋でも占領しようかな……。
[アスランはどうする?と。 問い掛けようとした時、ふわりと微笑みながら受ける彼の言葉に、少年もまた表情を緩める]
(13) 2013/10/02(Wed) 03時頃
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長い孤独、か…。 でも独りじゃないなら、まだ暇も紛れそうだ。
[青年に毛布を掛ける姿を後ろに、少年は足早く部屋を辞して]
(14) 2013/10/02(Wed) 03時頃
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[パタ、ン、と扉の閉じる音で、空気はひとり遮断されて。 緋色に光る罪の鎖と、虚空を見詰めながら、独り小さく呟いた]
(15) 2013/10/02(Wed) 03時頃
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……そう……原初から決めてたんだ……。
翼を失くし、罪の鎖に縛られても。 運命に定められた、弟の手から離れる事も。 喩え必要なら、このアルトの詩すら惜しくない。
自分の命すら本当に、あいつは……。
(16) 2013/10/02(Wed) 03時頃
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"前の俺"は。答えだけは最初に出してたんだっけ――…
[緋色の鎖には、夜色の羽。夜色の髪には、緋色の瞳が少年に煌いていた**]
(17) 2013/10/02(Wed) 03時頃
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『ねえ、駒鳥さん。道の囀る駒鳥さん。 私ね、正直者だと思うかしら?それともお馬鹿さん?』
[遠い昔の最初の『アルト』。夜の色した天使は訊いた]
(34) 2013/10/02(Wed) 20時頃
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『気持ちに従えと貴方はいう。 だけど少し恐いと私は思う』
[駒鳥は笑う、少女は軽く祈って見せる]
『種は冬を耐え切れるかしら? 春に蕾は生きているかしら?』
[握り締めた両手は胸の前。種を駒鳥に突かれない様に]
『恋は打算じゃないと謳われる。 けれど皆は花占いが大好きなのよね』
[最期に肩を竦めて、芝居がかったセリフをやめた]
(35) 2013/10/02(Wed) 20時頃
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『あの人は、視線を動かすのが上手なの。 最重要なポイントは、きっと瞳の奪い方ね』
[そして、冬の土に種は植えるの?笑いながら駒鳥を向いて]
『だけどもちろん、この気持ちに歯止めは不要。 打算的で正直な恋の詩が、今の私のお気に入り。 天使の執念は、凄まじいなんて噂もあるの』
(36) 2013/10/02(Wed) 20時頃
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『私と云う魂の旋律が残り続ける限り。 きっと……ね? 駒鳥さん』
[最期に、囁きと嗾けの駒鳥と、笑顔で謳いながら。 遥か昔、天使と呼ばれた『アルト』の少女は、坂道を駆け落ちた。 まるで譜面の様に、そう記されたのを読んだ*]
(37) 2013/10/02(Wed) 20時頃
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― 大聖堂 祭壇 ―
[体力の休息、微かな楽曲の休符パート。 客室か、何処かで同じく休息を迎えた後、少年は礼拝堂に訪れた。
服は、元々少年が纏っていた黒衣。 借後、青年から借りた寝巻きは、少し不恰好な畳で丁寧に部屋へ戻された。
まだ誰の姿も視えない。元いる教会の《大衆》も目覚める気配が無い。 鳴り響く鐘の音は高く、静かなゴートリンゲンの歌も空に流れる]
(39) 2013/10/02(Wed) 20時半頃
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[礼拝堂、祭壇に聳えるパイプオルガンの長椅子に腰を掛けて。 本来向くべき鍵盤の方には背を向け、茨に覆われた天井を見上げだした]
教会の、聖歌賛美歌、かぁ。
正直、硬い格式の礼讃詩が多いから、少し苦手だけど。 あの似非神父、神父らしく古典謳ってたけ。
[うん、胡散臭い、と僅かな期間でテンプレートと化した結論をひとりで勝手に愉しみながら。 すぅ、と呼吸の音が微弱に反響する音色に、聴き入る]
(40) 2013/10/02(Wed) 20時半頃
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Schlafe, mein Liebster, geniebe der Ruh, Wache nach diesem vor aller Gedeihen Labe die Brust, Empfinde die Lust, Wo wir unser Herz erfreuen
――眠り憩うが良い、愛しき御子よ ――やがてそなたは覚醒め、そして天の栄光を享受せよ ――其の心、清々しいまでに、やがてそなたは覚醒めよう ――それこそ至福、我らは歓喜に打ち震えた
[祭壇の天井包むアルトは、珍しくも現代の言葉。 神に捧げしオラトリオ、静かに震わす、聖讃詩の旋律。 聖堂の為に作られたと思われる様な、聖典の楽曲を、その音律を追いかけなぞる様に。
謳うテンポは、微睡む様なラルゴ調に変えて*]
(41) 2013/10/02(Wed) 20時半頃
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[古典からロマン調へに移り近代詞、時に子守唄。 らら、と口ずさむ音律は、何れもが一律して、静かに包むラルゴ調。
本来の楽曲が備える作風は、全て眠る様な柔らかな調子に転換され。 アルトの声色でオルゴールを巻く様に。 祭壇の上から流れて来るのは、夜色の眠り詩。
元々の曲は崩している物の、こういう楽しみ方もひとつの乙。
微睡みを流しながら、少年は天窓を高く仰ぎ、罪の鎖を翳していた]
(72) 2013/10/03(Thu) 00時頃
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[零れる羽の色は、"彼"の黒色に酷く近く。 嘗て『アルト』の天使が堕ちた後、黒羽の片翼はどの様な道を奏でていたのだろう。 地下霊廟で眠っていた、古の聖遺体。 それを思うと、胸が軽くざわりと揺れた気がした]
…………イーシュは…… 少しでも、自分の気持ちに正直に成れてたのかな……。
[知る者は、恐らくもうこの世の何処にも居ないのだろうけれども。
二楽章が始まるまでの、僅かな幕間の空白に、眠り詩は静かに柔らかく響いていた]
(73) 2013/10/03(Thu) 00時頃
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――――……きた。
[姿《聴こえぬ》聖堂の大空に現れた音律に、少年は静かに眠り詩を終える]
(77) 2013/10/03(Thu) 00時頃
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所詮、僕の声《ヴォイス》はひとりじゃ何もできない。
[ひら、と少年は軽い動きで長椅子の上、身を翻す。 同時に指先が摘むのは、鍵盤両端に並ぶ、多くのオルガンストップ]
(83) 2013/10/03(Thu) 00時半頃
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だけど、ひとつ違うのは……。
[高く聳える、このデカブツの扱いは知る訳が無い。 オマケに、歌はイケても鍵盤はてんでダメだ。が。 両手の指を確かめる様な手付きで鍵盤の上に滑らせ]
さっきの俺じゃなく。
(84) 2013/10/03(Thu) 00時半頃
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今の俺はもう、記憶を知ってる……。
[ひとつの呼吸と共に、鍵盤に向けて両手を振り上げて]
(85) 2013/10/03(Thu) 00時半頃
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[パイプオルガンの重厚な和声《ハーモニクス》を、聖堂中に鳴らした]
D 《A》――――――!! C F# C
[強く濃厚に鳴り響く、二度の不協和音《ゴートリンゲン》を美しい重音へと消化させる、神聖なセプテンノートは、天窓から空へと届くだろう。 火蓋を切る、奇想曲に絡みつく様に]
(86) 2013/10/03(Thu) 00時半頃
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[左手は複数の指で重ね合わせた重音の和声を、一定のリズムで組み替える。 右手は流石に単旋律で無ければ、重音にした瞬間、指が止まる]
音のタッチ、あいっかわらず難しすぎ……。 あの似非神父、オルガニストだっけ?よくこんなデカブツ弾けるよ。
[然し、音心を備えていても、稚拙な技巧で奏でられる程甘くは無い。 欲望の旋律を《増幅》するチェレスタの旋律が、天から降り注ぐ。
この場所は教会。 まるで黙示録の四騎士か終末のラッパが現れてくる様だと、呆れた溜息を零し]
(100) 2013/10/03(Thu) 01時頃
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[多少、抗おうと幾つか足掻きはしたが、パイプオルガンの旋律は圧され]
…………だめ、もう限界ッ!
[ガタ、と長椅子を立ち上がる。 幾ら気を引くだけが目的とは云え、下手の横好き、手慰みに奏でても何の意味も無いと。 少し気を逸らせた表情で、祭壇に来るべき姿を、長椅子の横で待つ]
(101) 2013/10/03(Thu) 01時頃
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[丁度良い頃合。聖堂の壁に亀裂が走るのを認めた時、扉は開かれ待ち人は来たり]
え、まてよこのストップどんだけ数あると思って。 まって、無理無理無理、両手だけじゃ無く足まで気を配れなんて。
[首を傾げられても、と両手を振る様に否定しながら、既にその長椅子は、然るべき者の為に空けられて]
……その辺も、《指揮者》には覚えないと行けない事なのかよ。
[この場所、大聖堂その物に絞られる、ゴートリンゲン]
(109) 2013/10/03(Thu) 01時半頃
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[続き掛けてきた姿。言葉調から…セシルの方か?だが]
…………え……?
[今、明らかに不思議な事を云われた気がした。 どういう事か、理解が追いつかない様子で困惑を浮かべる]
ちょ、ちょっとまて。 俺が、セシルの声《ヴォイス》を《調律》するの……?
[元々アリアの歌ばかりの少年には。 ましてや、《調律》を受ける側としていた身には経験が無く、方法に戸惑う]
(115) 2013/10/03(Thu) 01時半頃
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[然し、混乱する間にも、既に奏でるオルガンの旋律は、ゴートリンゲンを巻き込んだフーガとして、転調を為されている]
…………ッ。要は主導部持てって事だな?
くそ、ぶっつけだぞ。
[歌の導きで、声達を《指揮》していく存在。 要領を掴めない表情を浮かべながらも……今度は、声《アルト》だ]
(116) 2013/10/03(Thu) 01時半頃
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