158 Anotherday for "wolves"
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[わたしの大事なもの
川原でひろった乳白色の宝石 お菓子を包んでたピンクのリボン 大人になったら使う真っ赤なルージュ
おともだち、優しいおとな
それから…―― 思い浮かべるシルエットは、大好きな家族。]
(0) 2015/05/19(Tue) 03時頃
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[おともだちはいない。優しいおとなも手を差し伸べない。]
[大好きな家族も、もう一人残らず いなくなってしまった。]
(1) 2015/05/19(Tue) 03時頃
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―騒動のあと―
[サイラスがクラリッサから花を受け取り 墓地へと向かう>>3。 ベネットが震えるクラリッサに連れ立って 宿屋の表の方へ歩いて行った。
そんな時。
地面にしな垂れ落ちたまま 意識を手放した少女。 少女の傍らには金色の獣。
疲弊した身体 流れ出る血は
彼から生気を奪っていくのか 喉から唸りあげる声もどこか弱弱しい。]
(30) 2015/05/19(Tue) 23時頃
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[やがて、墓地より戻ったサイラスが ゆっくりとその爪で兄の残りの生気を奪う間。
少女の意識は深い底に。 その最期を見ることは叶わなかった。
そしてそのまま、人々は立ち去り 興奮しきった様子の家畜の鳴き声だけが響く 宿屋の裏手で、少女は独り ただ地面に横たわっていた。]
(31) 2015/05/19(Tue) 23時頃
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―朝―
[ふ、と。 身に襲う寒さで目が覚めた。 意識が浮上したとき。
ジャリ… と硬い砂の感触を覚えた。 春先とはいえ冷え込む朝の空気、 朝露と涙と汗とで身体中ぐっしょりと濡れていて。]
…さむい……。 どうして…、外で…?
[ぼーっとした頭で 自分の身に起こったことを考えていた。 意識を手放したあと、どうなったのかわからなくて。 というかどうして意識を失うことになったのかも よくわからない。]
(33) 2015/05/19(Tue) 23時頃
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[昨日の出来事を思い出そうとすると サイラスの声が頭の中に響く。>>4:378]
「──殺すなら、殺せよ。 でも、これは多分、族長が言った過ちの現場だ。」
[これ? …これって何だ?]
「如何して――…」
[今度はベネットの声>>4:393 何が 起こったというのだろう。]
(35) 2015/05/19(Tue) 23時頃
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「そのまんまだと 噛んだメアリーだって気に病むだろ。」
[再度サイラスの声が聞こえる。>>4:376 噛んだ?わたしが? 違う、わたしそんな悪いことしてない。
長いため息の後]
「――(キィィィィィィィィン)を。 過ちを犯した者として 手にかけてもいいだろうか?」
[言葉>>4:378に被さるように耳鳴りが響いて。 肝心なことがわからない。 過ち? 手に掛ける。]
(36) 2015/05/19(Tue) 23時頃
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[一体、何の話をしているの…?]
(37) 2015/05/19(Tue) 23時頃
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[ただ、これが嫌な記憶だというのは なんとなくわかる。]
[その記憶の全貌を いやでも思い出すきっかけは 地面にしみ込んだ
赤黒い血。
血。 血、兄の、流した。 わたしが、噛んだ。]
[足から流れた血の跡とは別に、背中を深く抉り込んだ爪による血を、少女は知らない。 その夥しい量の出血を、自らの牙によるものと 思い込んで。]
(38) 2015/05/19(Tue) 23時半頃
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ア、ア…!ア…アア…、ア!!!!
[わたしが、わたしが殺してしまった…! 兄を、兄さえも…。]
[父だけでなく、兄までも…… わたしのせいで……。]
(40) 2015/05/19(Tue) 23時半頃
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イヤァァァァアアアアア……!
[しん、と静まり返った朝の空気に 少女の悲鳴が混じって。
ただ、ロクに食事もとっていなければ きちんとした睡眠もとれていない少女の声は か細く、弱く、溶けていった。]
(41) 2015/05/19(Tue) 23時半頃
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[そのまましばらく 血のべったりついた地面に額を付けて 打ちひしがれていた。]
[昨日の出来事があんなに遠い。 薄れゆく希望が一瞬、鮮やかに、輝きだして それも刹那、一瞬にして花弁は無残に 散華する。
何故、何故こんな思いをしなければならないのか。 浮かぶのは自責の念よりも 現状による憤り。己の不甲斐なさ。 兄の喪失感。]
(42) 2015/05/19(Tue) 23時半頃
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―― 四日目/夜 ――
[――遠吠えが、ベネットには聞こえる。
大事な家族である末の妹の、声だった。
族長の血肉を分け与えてから数日が経過している。
マーゴットやスティーブンの血肉には、
結局手を出す事は出来なかったから、
妹が糧を欲するのも当然と思えた。]
今夜は僕が狩りをしよう。
[“味方”に向ける短い一言。
彼女らの意思が働けば狙いはそれたかもしれないが、
結局その夜は、ベネットの意思が、歯車を回す。*]
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[これでもう、なくなったね。]
かぞく……。
いばしょ…。
[涙なんてとっくに枯れ果てて 表情は、疲れと無気力と。]
(43) 2015/05/19(Tue) 23時半頃
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─昨夜─
[この日の運命は、誇り高き彼が回したようでした。]
さて、一体誰をどんな風に。
素敵な殺し方をして見せてくれているのかしら。
明日がたのしみね。
[そんな風に呟いたのは、処刑されてしまったグレッグに寄り添いながら。
金の毛並みを撫で付けながら、くすくすと『声』を送ったでしょう。]
[こんなふうに。
守る誰かがあること、喪失を恐れる何かがあること。
私には、判らない事だけれど。]
メアリー。
『大丈夫』。
まだ、私たちがいるじゃない。
[彼の兄が口癖のように溢した言葉を真似て。
私は彼女に囁きました。
模造品の鈴は、ころり、ころりと音を立てます。]
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[視点は定まらないまま 空を彷徨って。
すると視界がぼんやり暗くなった。 何かが目の前に横切って…――
いや、目の前にいる。
そう思った時には 抱きしめるというには余りに弱く タンポポの綿毛に触るような力で 何かが、触れた。>>59]
(61) 2015/05/20(Wed) 01時頃
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[何が…――。]
[それが人だとわかると、 無意識に顔を探そうと、少し首をもたげて。]
(62) 2015/05/20(Wed) 01時頃
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[ゾ、クリ…――]
(64) 2015/05/20(Wed) 01時頃
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[下から見るその人の眼が 燃える夕焼けのように紅に染まっていて。 その中にキラキラと眩い星が、7つ、瞬いて。
もう一つ、小さく瞬きだした星は 死を前にしたものにだけ 見えるのでしょうか…。]
[そんなことが頭によぎってから 少女はそれが誰かわかって]
…ラディス…おね…。
[呟きながら、頭はぼんやりと
わたしはまだ、怯えられるんだ…――。
なんて驚いた。]
(65) 2015/05/20(Wed) 01時頃
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大丈夫…?
何も、何一つ…。
大丈夫なことなんて…なかったわ……。
何を、何からやり直したらいいのか……。
どうしたら、わたしの宝物を守れたのか……。
教えてほしいのに…ッ。
もう、お父さんも、お兄ちゃんもいないもん……。
[張り裂けそうな胸ではもう、『声』しかでない。]
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[だから、聞いてみた。]
わたしを…、殺しにきたの…?
[少女が何を思っていたのか 少女自身もそれはもう*わからない*]
(66) 2015/05/20(Wed) 01時頃
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やり直すことなんて出来ないの。
私たちは進むしかない。
戻ることなんて。
[出来ないのだから。
私は高い鈴の音を鳴らし。
その音も止んで消えた頃。
彼女の耳にだけ、そうっと囁いて見せました。]
[そして鈴の音は、音を立てます。]
……ほぉんと。
私、餓鬼って大っ嫌い。
いつでも自分勝手よね。
自分で始めておいて、なにが
「どうしたら、わたしの宝物を守れたのか」
笑わせるわ。
[くすくす、ころころ。]
もうお遊戯は、おしまい。
[くすくすと、笑って牙をむきましょう。
私には守るべきものも、喪うものもありません。
望むものもなければ。
望まれることだって、きっとないのですから。]
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[なだめるように あやすように 背中を、頭を、頬を 不気味な細い指が 触れていく。>>67]
「大丈夫…」
[ああ、よく聞いた言葉。
そして、初めて聞く声。]
(97) 2015/05/20(Wed) 11時頃
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おねぇちゃ…声……。
[この人は、初めから喋れたのか。 それとも声が戻ったのか。
それすら、推し量ることもできないくらい 少女は彼女を知らない。]
(98) 2015/05/20(Wed) 11時頃
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