158 Anotherday for "wolves"
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[せんせいの持っていた燭台が床に落ちると
くすぶった臭いとそれから広がる炎。
きっとその時なら消せたんだろうけど]
地獄の炎に焼かれればいいんだ。
[興奮してたわたしはそう言い捨ててその場を後にしました。
それから家のベッドに潜り込んで窓から教会の方を
吹き上げるように燃える火を
眺めていました。]
─昨夜─
[村には活気が溢れているようでした。
それは決して、いい意味のものではなく。
喧騒、木の燃える、『人々』の声。
小さな彼女は無事に復讐を果たしたようです。]
素敵な火柱。
とぉっても綺麗ね。ふふっ。
[地獄の業火に焼かれていくのは、可哀想な(やさしい)『死神』。
私はただ、鈴を転がしたように。
もしくは、しゃぼんが割れるように。
あるいは、泡沫の夢のように。
くすくすと、笑って見ていました*]
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―昨夜・酒場― [昨夜、罪の疑いを掛けられて亡くなった宿屋の主人。 その宿屋に、顔を出しづらいのか 普段のように飲みに来る客もいなければ 亡くなった主人を悼む者も来るでもなく。]
…静かだな。
[空のコップをふたつ眺めて なんとなくもうひとつコップを取りに向かった。
台所の方に立つと、勝手口の方から兄の声。>>31 誰かと話しているような声に 耳を澄ませた。]
(38) 2015/05/17(Sun) 12時頃
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―朝―
[いつもなら、鳥のさえずる声や裏手の動物たちの鳴き声のだが、 その日はそうではなくて人の叫ぶ声で目が覚めた。
短い言葉で何かを指示する声があちこちで飛び交っていて やや怒声のような声圧におののきながら窓の向こうの方を覗いた。]
[何か黒い煙のようなものが見え、 窓を開いた時に 漂うきな臭さから 何かが燃えていることが窺えた。]
…火事……。
[あっちの方、教会がある方を見ながらわたしは思わず ベッドから飛び降りた。]
(49) 2015/05/17(Sun) 16時頃
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―未明・教会付近―
[自警団のおとなや村のおとなが消火活動に当たる。 人間のおとなは人狼のおとなをやや疎ましそうに 見ているが、今ばかりは仕方ないと言わんばかりに 意識は燃え盛る火に集中している。]
[その中にいつもスティーブン先生のところにいる 男か女か見分けがつかない人がいるのを見かけた。
向こうは消火活動、片やわたしは野次馬。 人垣に紛れて相手に見えることはなかっただろう。 辺りを見渡すと、他にも人はいただろうか。]
[燃える教会はうなりをあげて、ステンドグラスが熱に耐えきれなくなったのか時々ガラスが割れる音がする。
その恐ろしい光景が心配でしばらく眺めていたが、 ごう と風が吹くたび火の粉があがり 少女にはそれが村全体を飲み込むような気さえした。]
(50) 2015/05/17(Sun) 16時半頃
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―朝―
[結局、沈下しきる前に家に戻りベッドの中で丸くなって時間をつぶした。 母の命日から二日、族長の召集が掛かった日より三日が経過した。
だが体感する時間はそれよりずっと長く濃く感じていた。]
…起きなきゃ……。
[でも外は怖いよ。]
…お父さんのおそう式……。 しなきゃ…。
[よろよろと立ち上がり服を着替え、墓地へと足を向けた**]
(51) 2015/05/17(Sun) 18時頃
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[少女の呼びかけに応じて教会の十字架に細工をする。
根元への傷は牙や爪を使わず道具を使用した。
彼女の仇討ちは、
彼女の強い思いを受けての協力。
メアリーの事を、ルパートの事を、
グレッグの事を思うなら、
もう少し彼女と相談したほうがよかったのかもしれない。
それでも、強き思いを抱えたままでは苦しいだろう。
思いを抑えることの苦しさは身にしみていて
“味方”として協力は惜しむことなく、共犯の咎を負う。*]
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―昨夜・宿屋―
[宿屋の奥、台所の勝手口の近くで しゃがみこんでじっと耳を澄ます。 すると少し怒りの色が感じられる兄の声。>>52>>53 それから、穏やかな声…ベネットだろうか。>>65>>66
どうやら話は自分のことのようで。
低い声も聞こえる。ドナルドおじさんだろうか。 女の人の声は…多分クラリッサ…(だってマーゴはいないから…)。
聞こえる声に静かに耳を傾ければ、 断片的に会話が聞き取れた。]
(102) 2015/05/17(Sun) 23時頃
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[多分…ドナルドおじさんは わたしのこと…殺そうと思ってるんだろうなあ……。]
[現状、疑いを掛けるということは すなわち殺意に通じる。
いや、殺害行為に通じるというべきか。 殺意がなくとも人を殺せる。
そういう状況なのだ。]
普段と様子がおかしい人が疑わしいんなら… こんな今を、普段と変わらず過ごす人だけが 生き残れるんなら… そんな村…異常だよ。
[ぽつりと言うと、いつも父が使っていたコップを握りしめて、宿屋の方へと戻った。]
(104) 2015/05/17(Sun) 23時頃
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―→墓地―
[黒いストンと落ちるシルエットのワンピースに身を包んで、墓地の方へと歩く。 いつものように駆けていく気にはなれずにいると、 サイラスに声を掛けられ、静かに目線をあげた。
猜疑。
何に対する? それは次に口を開いた相手の声でわかる。]
……先生が? はは……、バチが当たったんじゃないのかな。 お父さんを殺したから。
[目は背けずに、相手の表情の変化を漏れなく 窺うように、そのヘーゼルグリーンの双眸で じっと相手を見つめながら]
(105) 2015/05/17(Sun) 23時半頃
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サイラスは、それをわたしに聞いて どうするの?
わたしのこと、疑ってるの? わたしが、オーレリアお姉ちゃんと族長と。 マーゴと。 先生を殺したって。
疑ってるの?
(106) 2015/05/17(Sun) 23時半頃
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[昔絵本で見たことがある。
魔女裁判。
今がもしそうなら、 しおらしくしていたら「人間の皮を被る」と詰られ 語気を強くすれば「本性が出た」と罵られ。
きっと、もう、人が疑う気持ちは 何をやっても消えないのだろう。]
(108) 2015/05/17(Sun) 23時半頃
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[返事はどうだったのだろうか。 憂い気に目を伏せて]
わたし、お父さんのおそう式しに行くから…。 マーゴのおそう式は、サイラスに任せるから…。 じゃあね。
[と短く別れを告げて、村の外れへ再び歩みを進めた。]
(109) 2015/05/17(Sun) 23時半頃
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[墓地へ行く道すがら、少し遠回りをして通るのは アネモネが咲く小道。 少女はアネモネという名前など知らない。 それはいつだってマーゴが教えてくれたから。
いつだったか匂いだけで何の花か当てた――もちろんあってるか確認したのは花屋のクラリッサだが――時はみんなで歓声をあげてマーゴを讃えたものだ。その汁液に触れると手がかぶれると聞いた>>2:144のはその時。]
こないだのところ…行きづらいから。
[マーゴと最後に行った場所。 マーゴと一緒に笑った場所。
マーゴと一緒なら、“いつも”でいられたのに。]
マーゴ…。もう会えないなんて…。 やだよ。
[もう一度あの手を引っ張って 一緒に風になりたかった。]
(117) 2015/05/18(Mon) 00時頃
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[おとなの前では仮面をかぶることにした。 強い子の仮面。
だってわたしは弱いから。 自分の見せた弱い部分を 否定されたり 疑われると どうしようもなく胸が苦しいから。
もろくて壊れやすい、わたしの仮面。]
(118) 2015/05/18(Mon) 00時頃
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―少し前―
[サイラスがわたしのヘーゼルグリーンを覗くように わたしはサイラスの碧眼を覗いてた。]
お父さんが死んだの。 わたしはわかんないけど 他の人からしたら、理由があったんでしょ? マーゴに理由がないの、わたしにもわかるよ。 でもそれはきっと全員にとってそう、 ってわけじゃなかったんだよ。
[そう、均衡なんてものは始めからあったのか。 その天秤は誰のもの?その均衡は誰のもの?]
(133) 2015/05/18(Mon) 00時半頃
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[一瞬視線から外れ ふわり彷徨う碧眼。]
[子どもにそんな力あるもんか。 そうは思うが口にはしない。 どうせ、揚げ足を取られるのだから。]
[迷って出た言葉は苦しそうで。 自嘲と無理解の混紡は 何とも肌触りの悪い言葉。]
きっとそれは…――。
(135) 2015/05/18(Mon) 00時半頃
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─宿屋─
[泣きながら。
偽りの悲しみに泣きじゃくりながら。
私の裡側はただ、嗤っていました。
幼馴染みを目にしても、それは変わることなどありません。]
悲劇のヒロインぶるのも、板についてきたかしら。
[くすくす、くすくすと鈴は鳴ります。
そう、昨日の教会でも。]
[教会へほどこす仕掛け。
優しくしてくれたお医者さんを見殺しにする、咎。
共犯を担い、重い命の星ひとつ背負いましょう。
細工は、ベネットさんと同じく人の道具を使いました。
それは私が『ひと』であるという主張。]
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―墓地―
[一日ぶりに足を運ぶ、墓地には 真新しく土を盛った場所が4つ。一列に並んでいる。
それをしばらく見つめたけれど、わたしは結局、 お母さんの墓石の前にやってきた。]
お父さんはここに…… いるんだよね? ごめんね、遅くなって。
おそう式。ここでするね。 でも、お母さんの時、あんまり何してたか覚えてないや。 みんながお母さんの入った箱の前に お花並べてたことくらいしか。
[ぽたり 零れ落ちるように流れていった涙で 初めて泣いていたことに気付いた。]
(158) 2015/05/18(Mon) 01時頃
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ご、め……なさっ……。 わたしが疑われてたんだよね。 ほっ、ほんどうは…っ! わたしの代わりに…… おと…さっ、んっ…――
[後の言葉は嗚咽と混じって うまく形成できなくて。 昨日芽生えた疑いは今日確信になって。]
守ってくれたの…うれしいけど……。 お父さんと……ッ! い、…しょがよかった…。 置いて…か…いで…。 ばか……。
[いっつもわたしに甘いお父さん。 そんなお父さんに無茶言って困らせて。 わたしは全然いい子じゃなかった。]
(160) 2015/05/18(Mon) 01時半頃
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[わたしが摘んできたアネモネを父に 献花したのはたっぷり泣き終えた後。
母の墓石に一輪、真っ赤なアネモネを添えて。 新しい盛土に備えなかったのは父を亡くす原因になった『村人』の投票の後、『村人』によって掘られたものだとわかるから。 万が一にもスティーブン先生のお墓だったら嫌だから。]
[それから並んだ4つの膨らみの前でしばらく悩んで。 一番小さな盛土にもう一輪添えた。 マーゴに、捧げたつもり。]
(161) 2015/05/18(Mon) 01時半頃
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悲劇のヒロイン……。
みんな誰もが自分の世界ではヒロインだよ。
マーゴもヒロインだったし、ラディスお姉ちゃんもヒロインだよ。
[と、何となく呟く。
わたしがヒロインの話はどんなだろう。
嘘と疑いと甘えで固められたお花の砂糖漬けを
摘まむような。
そんなお話なのかな。]
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[手に汁液が付くことも厭わず 捧げ終えたその手は 段々と所々赤い斑模様を呈していく。
毒が身体に回るように。]
(167) 2015/05/18(Mon) 01時半頃
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どうしたら 終わるのかな…。
[この馬鹿げた騒動は。]
わたしは守らなきゃ
[兄を。そして、父が守ってくれた自分を。 母の墓石を険しいような泣き出しそうな顔で見つめた後 墓地を後にした。
宿屋に戻ろうか それとも、いろんな本を持ってるベネットなら 昨日、兄に掛けた穏やかな声を持つ青年なら 力を貸してくれるかもしれない、と思いながら**]
(169) 2015/05/18(Mon) 01時半頃
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[狩り以外には己の爪も牙も使わない。
道具を使うはベネットにとってはそれだけの理由。]
[ラディスラヴァの声に反応するように
メアリーの言葉が聞こえる。]
――…ならキミもヒロインだね。
ヒーローはグレッグかな。
……とても大事に思われてる。
[グレッグの言葉を思いながら、ぽつ、と紡ぎ。]
ふふ、私がヒロイン?
やめて、ガラじゃないわ。
[幼い声が綴る声に、私は目を細めます。
私はただの『ヒロインかぶれ』。
やがてまたこたえるように声が聞こえたなら]
そう。
あなたみたいな可愛い娘が、ヒロインっていうのよ。
素敵なヒーローもいるじゃない、羨ましい。
[側にいてやってくれと謂われたのだったでしょうか。
そうして、想われていることは。
とても羨ましいことでした。]
[誇り高い獣の彼も。
想う人が居るのでしょう。
手にかけたマーゴさんにも。
十字背負ったスティーブン先生にも。
みんな、私にはないものを、持っているから。]
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