88 めざせリア充村3
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[震える手から撃ちだされた銃弾は 周りの兵士の腹を打ち抜き、また、もう一つは腕をかすめた。]
リッキィ…やめてくれ。
[彼女が手をかざせば、すぐに身構え水の剣で相殺させる。 それでも無数の爪により、腕に引掻かれた後が数本残り、 そこがジワリと赤くなる。
怯まず彼女を見つめ、前へと進む。]
(3) 2013/06/29(Sat) 00時頃
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[近寄るな、と言われても聞く気はなく、 彼女のもとへ歩み寄る。
どうしても、伝えたいこともあった。
苦手だったとはいえ、大事な友達の妹となんて、 絶対に戦いたくなどなかった。
戦場で、こんなのは甘すぎる、と思う。]
なんでって・・・。戦いたくないから。 リッキィは正しい。確かに、戦わないと殺される。
[明らかにリッキィは苛立ち動揺していた。 いつも冷静に見えていた彼女のこんな姿は珍しい。]
リッキィは俺と戦いたいの?
(11) 2013/06/29(Sat) 00時半頃
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[リッキィの震える銃口をみて、 答えなんて言われなくても分かっていた。
それでも問うのは、 彼女が戦うというのなら、 それを少しでも阻止できるよう 説得するしかなかったから。]
だな…。
[とにかく話がしたかった。
敵だからと、命令されるがままただ戦うなんて チアキや志乃に操られる周りの人形と同じではないか。]
(24) 2013/06/29(Sat) 01時半頃
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[動きの止まったリッキィに、 今なら聞いてもらえるだろうかと口を開ける。
ちゃんと伝えたかった。]
――ライジは、元気にしてる。
[また2人が無事会える日がくるといい。 ・・・それは戦地以外であって欲しいけれど。
ポイント地点へ行ってから、 彼がどうなったのかまだナユタには分からない。 でも、きっとあいつのことだ。
大丈夫。誰も、死なないで欲しい。
ケイトとヤニクが死んだこともしらずただ願っていた。]
(25) 2013/06/29(Sat) 01時半頃
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・・・なんでッ!
[『ライジ』の名前一言で、リッキィはあまりに混乱した。
なぜ・・・どうして、そんな声で否定するのだろう・・・。]
リッキィ・・・。 関係ないなんて・・・言うな!
あいつは――
[彼女から放たれる銃の音に話は遮断される。 弾はナユタの前後左右、地面に跳ねて流れていく。]
リッキィ・・・!
[更に彼女に近づこうとした、その時、
ナユタとリッキィの間に、雷光が迸った――]
(37) 2013/06/29(Sat) 02時頃
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[相変わらず、派手な登場に、 誰か来たかなんて、見ずとも分かる。
もう昔のように、稲妻1つで慌てることはなくなった。。]
ライ…ジ。なんで…。
[ライジ来たということは、 情報はすでに渡っていたのだろう。]
助け、か…。そう、だな。
[この場を治めて、全員が生きて帰れる助けが、欲しい。
『兄』が来たのに、援軍を呼ぶ指示をする リッキィの声が聞こえた。]
(40) 2013/06/29(Sat) 02時半頃
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[援軍を呼ぶリッキィを見つめていた戸惑いの瞳は、 ライジと会話をするにつれ、 次第に乾いたモノとなる。
リッキィの指示により到着する敵国の援軍を眺めながら ライジに名前を呼ばれれば、視線だけで返事を返した。
否が応でも突きつけられた現実に、ナユタの心は凍りつく。
やるしか・・・ないのか。
苦手だった彼の雷は、戦地に来てからというもの 共に戦うには最適な相棒となった。]
そんなに戦いたいのなら、 戦ってやる…。
[暗い瞳で呟けば、 辺りの空気は微かに湿気が帯びるだろう。**]
(45) 2013/06/29(Sat) 03時半頃
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[リッキィの言葉を痛々しい想いで受け止める。 志乃は退いたりしないだろう。 ライジは先ほどの様子をみればすでに心を決めて来たようだ。
志乃へと視線をやろうとしたとき、 >>51トランプ兵がぐるりと我らを囲みだす。
腐敗臭が増す。
チアキの力とは、こんなに悍ましものだったか。 3年前、悪戯でおもちゃを仕掛ける彼の能力はもっと愉快なものだった。
今やそのコミカルさは、狂気的な演出にしか見えない。
そこに>>53赤色の兵士たちが押し寄せ、 こちらからでは志乃とチアキの様子を遮られてしまう。]
(73) 2013/06/29(Sat) 15時頃
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[リッキィの眼の色が変わり、周りの空気が動き出す。 彼女の指令に、青の兵士たちが殺気立つならば、 ナユタは右手を上げ彼らの方へと向けるだろう。
夥しい数の兵士を前にして、彼らを一瞬で仕留めてやろうと集中する。
ライジの雷と合わせれば、こんな状況屁でもない。 今まで、もう何度もやってきた。今更何だというのだ。
意識を集中させ、兵士たちを強い霧で満たしていく。 段々と辺りは白く、視界は目の前の様子すら、 見えづらいほどに閉ざされるだろう。
高濃度の霧に、彼らの服は水を含みドッシリと重く、 息さえも苦しいほどに――――。]
ライジ
[友の、名前を呼ぶ。 ――――さあ、今だ。とっとと終わらせてくれ。]
(83) 2013/06/29(Sat) 19時頃
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[兵士たちを仕留めようと、発生させた霧は、 ライジが雷を放つより先に、 リッキィの起こした竜巻により、殆ど吹き飛ばされてしまう。
また、兵士たちが近づいてくる。
次の攻撃を仕掛けようと、集中しかけた時、 背後から、身体を割かれるような衝撃が走った]
ッ―――――!!!
[油断し、まともに衝撃を受けた傷口から、 勢い良く血液が流れだす。
片膝を付き、痛みを耐える。 やけに心臓の音が耳に響く。
顔を上げるとリッキィの銃口がすぐ側にあった。]
(105) 2013/06/29(Sat) 22時半頃
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ごめん…、リッキィ、ごめん。
[リッキィは、もう、今にも泣き出しそうな顔で、でも… ごめん…、まだ、退けない。
ライジは生きろというけれど、 そのために動けというけど、何をどうすりゃ正解なのだろう。
ここには志乃もいる。
それに、今ここでナユタが戦わなかったら、 覚悟を決めたライジは妹に直接手をかけるのだろうか。 そんな姿も、やっぱり見たくはない。
背後のどこかから、爆発音が聴こえる。
裂かれた紅の軍服に、血液の赤が、滲む。
雨が、ポツリ、ポツリ、降りだした―――。]
(110) 2013/06/29(Sat) 23時頃
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[あぁ、バカライジ、次こそは成功させてくれよ。 じゃないと俺、次失敗したら、大技なんて出せそうにない・・・。
今度は、吹き飛ばされないよう、霧にはしない。 もっと、もっと、今できる全ての力を振り絞り、大技を。
身体から力が抜けそうになるのを耐え、意識を集中させる。 詰め寄るリッキィに気づかれぬよう・・・。
頭上高くに、水の玉を漂わせ、一箇所へと呼び寄せる。 次第に巨大な水の塊が出来上がり、空にタプン、タプンと浮かんでいる。
降りだした、雨を吸収し、どんどんと膨れあげる。
ライジにチラリと視線を送る。彼は気づいているだろうか。
リッキィの背後にいる兵達の頭上から、 巨大な水の塊をゆるりと落とす。 全てを、飲み込んでいく。]
(131) 2013/06/30(Sun) 00時半頃
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[爆発が聴こえた矢先、聴こえ始めたのは、 戦場に相応しからぬ、陽気な歌声。
そして、雨にかき消される悲痛な叫び。
痛い…痛い…、傷口なんかより、 心が軋んで仕方ない。
でも、痛いってことは…まだ、生きてる。
片膝をついたまま、銃口を向けられ、 そんな状況なのに、だからこそ…か、 生きていることを実感する。]
どっちも、嫌。
[>>116の言葉に、ポツリと呟いた返事は、 リッキィに、聴こえただろうか。
まだ、生きなくては・・・。]
(132) 2013/06/30(Sun) 00時半頃
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[水の中で、息ができず、苦しそうにもがく大勢の兵士たち。 その音は、雨によって、静かに消されるだろう。 リッキィへと送る視線の奥に、巨大な水が浮いている。
さすがに、体力がキツイ。
どんどん血液が流れていくのが分かる。
はやく・・・ライジ。お願い。
自らつくり出した水の重みに、押しつぶされそうだ。
も・・・限界―――。]
(135) 2013/06/30(Sun) 00時半頃
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[辺一体、眩い雷光と轟音が鳴り響く。 閉じ込められた兵士たちが静かに揺蕩う、 その瞬間を見計らい、力を、抜く。
地面に落とされた水の塊が、一斉に流れだす。 雷を帯びた浅い洪水。
志乃がいるであろう方向に、辛うじて洪水を防ぐ水壁を作る。
はは、お礼なんて言うなよ。 ごめん、ライジの分、作る力・・・でない。 自分の雷くらい、なんとかしてね。
自らも、痛む身体で電流を受け止める。 目の前にいる、リッキィの足元にも当然、 雷電を帯びた水は流れただろう。 ごめんリッキィ。ちょっとくらい抵抗させて。]
(140) 2013/06/30(Sun) 01時頃
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[何度も何度も実験で浴びせられた電流に 少しは対抗できていたとはいえ、やっぱり痛い。
覚悟してたとはいえ、・・・痛い。
絶命した兵士たちが、 ボタリボタリと地面にたたきつけられるのが見えた。
邪魔者は、一掃された――――。
雷電をくらい両膝を付いているリッキィを確認し 、荒い息を吐き出す。
だがしかし、ナユタも同じように 片膝をついたままの姿で耐えていた。]
ッ・・・・ク・・・。
(147) 2013/06/30(Sun) 01時頃
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[雨は、どんどんと強くなる。
視界が歪んでくる。
名前を呼ばれ、半ば朦朧とし始めた意識の中、 彼女の目を見据える。
彼女の言葉に、何を言えばいいのだろうか・・・
リッキィは、十分つよ――。
そのとき、ナユタの心をなぞるような、 ライジの声が聴こえ>>152ライジへと視線を流す。
リッキィは、何と答えるだろう。しばし、待つ。]
(158) 2013/06/30(Sun) 01時半頃
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[リッキィが、乾いた笑顔で、手を伸ばしてくる。 意識が朦朧とし始める、背中の傷が 雨により流されても、 それでもなお、滴り落ちる、その熱を感じる。]
痛い、でも、生きてる。
[ニュリクティに来てからのナユタは、 戦いの後に、必ず雨を降らせるようにしていた。
何もかも、洗い流したかったから・・・。
絶望に侵食されていくナユタの代わりに、 いつも、空が泣いていた。
――――さよなら。
リッキィの声が聴こえる、動けない。 身体が、動かない・・・。]
(166) 2013/06/30(Sun) 02時頃
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・・・・クッ・・・っ。
[胸に衝撃が走り、血が迸る。霞む視界の前で、 リッキィの表情も、よく見えなかった。 そのまま、横たわるように、身体が地面へと沈む。]
ハァ・・・。
[掌が、真っ赤に染まり、更に地面に広がっていくのが分かった。 雨が、少しずつ、弱まってくる。
>>165遠くで、ライジの声が聴こえた気がする。
手を空へと持ち上げると、弱まりつつ雨に、 それでも少しはこの血を洗い流してくれただろうか。
あり、が・・・と。
ほんの少し綺麗になった手を確認し、 ――――雨は、止んだ。]
(171) 2013/06/30(Sun) 02時頃
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― 0と1の世界 ―
[目まぐるしく世界が変わる。
赤い数値がいくつもあがっては、黒の画面に変わる。
実験が全て終わるまで、現実世界の様子は分からない。
目覚めた子達はどうしているだろう。
偽りの記憶を植えつけられて、仲間と戦うことを強いられて。
目覚めた世界で、何を思っているだろう。]
[だけどそれ以上に、
実験を見ているであろうミナカタが気にかかって。
絶望していなければいい。
見せ付けられる実験に。それを止められなかった自分に。
実験の準備を進めたのは自分だろうにと自嘲する。
事前に実験のことをミナカタに教えれば、
止めることができたかもしれないのに。
我が身可愛さに秘密裏に進めたのは自分の業。]
……ぃ、ちゃ …
[目覚めるのを、待ってくれているだろうか。
頭を撫でてくれるだろうか。
痛み続ける頭の中で、混濁する意識が過去と交じり合って。
めまぐるしい数字の海に飲み込まれた。]
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