279 宇宙(そら)を往くサルバシオン
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[暗い部屋に、濡れた音が響いている。
ヘリンは悲鳴をあげようとしたかもしれない。
しかし体格に勝るこの宿主ならば、抑え込むのは容易だっただろう。
首を折るか頸動脈を切るか、とにかく手早く絶命させて、食事にありつく。
鋭い大顎が手あたり次第に肉を裂き、千切り、呑み込んでいく。見た目通りの柔らかい肉だ。
"man-ju"をもっと食って太ってくれれば、もっと沢山食べられたのだろうか。クラゲにはダイエットがわからぬ。
腹が満たされれば触手で顔や口の周りを拭きながら、また自室へと戻っていった。]
/* わたしとしては今日吊られるのもやぶさかではないという気持ちを置いておく。成り行き次第ではあるけれども。 */
なんで?
……美味そうだと、思ったからだ。
[それ以上の理由なんて、]
…………。
[小さな体を震わせる少女を見る。手が震えている。
わたしに触れた、ぬくもりのない小さな手が。]
[彼女に触れられた記憶と共に、思い出すのは甘い痺れだ。
それが何なのか、何と呼ぶべきものなのか。
クラゲにはわからない。
篝火に近付く蛾のように、思考が引きずられる。
無意識に同じ味を求めてしまう。
激しい混乱を齎したそれは、きっとこのクラゲには強烈すぎた。
これが異常事態であることにすら、気付けないほど。]
[あれは一体何だったのか。
もう一度、彼女に触れたらわかるのだろうか。
それとも――彼女を喰えば、わかるのだろうか。]
[知りたい。もう一度味わいたい。
しかし、喰ったらなくなってしまうのだ。]
[――クラゲは初めて、食べることを躊躇していた。*]
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[昨晩は手筈通りコータ技師が最多得票となり、ポッドが射出された。 彗星のように無重力空間を進むポッドは、射出時の勢いのまま遠く暗くなっていった、
共存できない相手だ。これは正しい行為である。 本来のコータ技師はいつのタイミングからかすでに宇宙クラゲによって死していて、あれはあくまでクラゲが操っているだけの肉体でしかなかった。
本当だろうか。 確かめてはいない。 もう、確かめるすべもない]
(22) 2020/09/01(Tue) 21時半頃
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――談話室――
[シルク少年との約束通り、チャージを終えて談話室に集う。 ワクラバ氏、トルドヴィン氏が先にいて、シルク少年と共にいた。 追ってアーサー氏、ミタシュ嬢、と集う。
なれば、不在なのは。]
なぜ。 なぜ、でしょう。
昨日のヘリン女史の言動に、何か宇宙クラゲの不都合となることがあったのでしょうか。
(25) 2020/09/01(Tue) 21時半頃
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[トルドヴィン氏が、ヘリン女史の不在の理由を口にする。 推論の裏付けがされた。]
今日発見できなければ、全滅。 何か、発見の手段はありますでしょうか。
(26) 2020/09/01(Tue) 21時半頃
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/*
そんな! お願い死なないでトルドヴィン! あんたが死んだらこの船はどうなっちゃうの!
冗談はさておき私は勝ってもいい勢いでいました。雰囲気次第ですが。
/*
信頼度的には私が吊られる可能性のほうが高そうですね。
/*えっそうです…??>信頼度
昨日くらいから信頼度下がってる気がしていたんだがまだいける…!?
勝っても負けても割と吊られたい気持ちではありましたね。まあ…成り行き次第かな…!
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アーサー氏。 私も同行してよろしいでしょうか。
[ミタシュ嬢を伴ってヘリン女史の部屋へ向かおうとするところに、すい、と脚部ホイールを回転させる。]
私は宇宙クラゲを探す手がかりを求めています。 彼女のもとに、なにか痕跡がある可能性を考えます。
(35) 2020/09/01(Tue) 22時半頃
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[何故アーサーは生きているクラゲのことを感知できないか、については答えを持たない。 元助手が宇宙クラゲに寄生されていたという過去も、時にこの世ならざるものですら猫が感知できるということも、"生きているもの"を感知できないことの理由ではない。 故に、ヒューマノイドは感情に揺れ動く幼気な少女のことを見ているしかできなかった。
それも、動向を申し出た理由の一つかもしれない。 ミタシュ嬢をこのままにしておくことは、"隣人"たるヒューマノイドのAIが許せないのだ。]
(36) 2020/09/01(Tue) 22時半頃
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……痕跡など、
[空腹にまかせて食い散らかしたので、ないとは言い切れなかった。スン……と黙った。]
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情。とは、どういうことでしょうか。 となたもクラゲだと思いたくない、ということでしょうか。 あるいは、どなたか特定の方を外して考えているということでしょうか。
[ヒューマノイドは、感情に関する認知が少ない。 どうしても推測しきらない項目が多くなり、質問が生まれる。]
残り6名から、あと2名。 確率論だけで言えば、3名で行動している今、ここに1体はいてもおかしくありません。 ですが、私にはおふた方のどちらかが宇宙クラゲと考える材料がありません。
情とは、こういうことなのでしょうか。
(49) 2020/09/01(Tue) 23時半頃
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残しているのか?
喰い荒らすクラゲは長生きしないぞ。
しかし、なかなか難しいものよな。
自分はクラゲでないという思考のもと動いているが、誰をクラゲに仕立て上げたものか。
やはりワクラバとかいう、あれがよいかな。
そうだな、あの男は言葉が少なすぎる。
ちょうどいいんじゃないか。
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特定の対象を外して考えている。 考え方、姿勢、感情の発露が近い方、ですね。 あまり推奨された行為ではありませんが、致し方ないのでしょうか。
[ヒューマノイドが自身と似ていると感じる相手は、この船には居ない。 正確には、もう居ない、というべきだが、ヒューマノイドにはその自覚も薄い。]
まずは、その方に宇宙クラゲが寄生している可能性を念入りに調査し、対象から外して問題ないかを吟味すべきと提案します。 お一人でも、お二人でも、外せることも今は情報の一つです。
今日、違えることは、命取りです。
(61) 2020/09/02(Wed) 00時半頃
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私に感情はありません。判断しかできません。 ですがそれ故に、迷っています。 判断すべき事象が曖昧すぎ、判定に至れません。
情によるものはいえ、思考のきっかけがあることは助けにすら思います。 推奨はされませんが、それすらも私には足りていません。
[話すうち、ヘリン女史の部屋に着く。 アーサー氏が呼びかけても、返る声はない。]
(62) 2020/09/02(Wed) 00時半頃
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[実際のところ、クラゲは別の解釈をしていた。]
"災難"だと?
まるでこちらを追い詰めたようなことを言う。
まずそうだが、こいつから喰ってやろうか。
[あの時クラゲは、そのようなことを考えていた。]
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……ヘリン女史は昨日錯乱されておられましたが、どなたかを糾弾される様子も、強く擁護される様子もありませんでした。 昨日はコータ技師への疑いが強く、彼についての話が全体の話題の中心でしたから、無理もありません。
[空になった、清掃のされた部屋に入る。 そこには人の気配はなく、はじめから誰もいなかったようにすら思える。]
彼女が喪われたことに理由があるなら思考の余地がありますが、理由がない可能性も想定すべきです。 我々が捜索しなければならないのは、死因ではなく宇宙クラゲですので。
(65) 2020/09/02(Wed) 01時頃
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[それは酷な話に聞こえるだろうか。だが、ヒューマノイドには気遣う機能もなければ、その時間もない。]
これは……Man-juの包装紙でしょうか。
[アーサー氏の視界からは見えないものも見える視点の高さだが、確認できたものは女史がここにいたと、そして今はいなくなったことを示すだけの、哀しい残滓だけだった**]
(66) 2020/09/02(Wed) 01時頃
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ははは。なるほど、この男。我々に言っているのか。
ああ、ああ、確かに災難だ。ははは。
同数になったら?
その時は、既に追放した者をクラゲだと言い張るだけだ。
猫が嘘をついていた、ということにすればいい。
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――ヘリンの部屋で――
左様ですか。 ダブルチェックは素晴らしい心がけです。 一人の感情にのみ寄り添って判断された事柄を正とすることは危険を孕みますが、他の方の視点も合わされば、別のものも見えましょう。
[アーサー氏がトルドヴィン氏に制止を頼んだということを讃する>>84。 冷静な相手を選んだというのも、好印象だ。]
そうですね。 可能な限り、迅速に動かねばなりません。
[ひとりひとりを当たっている時間はない。 何をしていても、時間だけは等しく過ぎていく。]
(114) 2020/09/02(Wed) 21時半頃
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