279 宇宙(そら)を往くサルバシオン
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(ひとりだけ満たされた顔で。)
啜りたい知能いるー?
つぎは譲るし、手伝うよ。
おい、肉はもらっていいんだったな。
[満足したらしい同族に近寄ると、肉食昆虫のような顎で気の毒な技師の腹に噛みついた。
作業服ごと肉を噛み千切り、咀嚼する。
後から来るかもしれない臓物好きのために、内臓は傷つけないよう、一応気は使う。]
やはり喰いやすいな。この体にしてよかったよ。
[顎自体は宿主のものだが、口腔内の奥から青白い触手が伸びて、咥えきれなかった肉を口の中に押し込んだ。]
[腹が満たされると、血に塗れた大顎を触手で拭きながら。]
そうだな、ヘリンは肉づきもいいし、まあまあ柔らかそうだ。
[自分基準で"美味そう"な名前を挙げつつ、おまえはどうだ?とモナリザにも声を送る。]
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――給湯室までの道のり>>1:220>>1:221――
はい。 人の生活に寄り添うことは隣人であることです。 行動理念の中心にあります。
「共にあること」とも近似です。
[しかし、浮穴沫媛らの疑問や認知している力関係>>1:222を聞くと、少しばかり返答に迷うように間が空いた。]
……左様ですか。 こちらはあくまで推測の話になりますが、スプスプイ様がた浮穴沫媛の皆様と、人間の認識の違いが大きく関わってくるものと考えられます。
(21) 2020/08/28(Fri) 03時半頃
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種の社会はそれぞれに存在するものです。 貴方がたの増殖・拡散に人の力が関わっていたことに間違いはありません。 貴方がたの人間に対する認識が、『増殖・拡散を対話なく行う利便性の高い存在』というものになることは、自然なことかもしれません。
ですが、人間の社会においては、対話などにて意思の疎通を図れる存在を尊重し、仲間とみなす傾向にあります。
(22) 2020/08/28(Fri) 03時半頃
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[浮穴沫媛の置かれていた状況を、詳しくは知らない。 知っているのは海薄荷という通称をつけられるほどには認知された存在であり、理由が『洗剤として使用すると薄荷の香りがするから』>>0:142ということ。 そしてヒューマノイドに判断できるのは、教え込まれた人間の行動パターンと認知の傾向だけだが、それで充分だった。
人は、意思のある存在の助けを借りた際に、『洗剤として使用』などと形容しない。]
(23) 2020/08/28(Fri) 03時半頃
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しかし、ワカバヤシ氏は貴方がたに意思があり対話が可能であると気づかれたのでしょう。 そのため、翻訳機を作成し、貴方がたを保護されたのではないでしょうか。
貴方がたは、自立思考し、言語を有する知的生命体ですから、ワカバヤシ氏にとっては個として尊重すべき、共にあるべき仲間とみなされたのでしょう。
[ワカバヤシ氏の行動理由の根源は、スプスプイら、あるいは浮穴沫媛全体に人間との認識の相違があったことが認知されないと理解に支障が出ると考えられるが、しかし彼が浮穴沫媛のことを尊重していたことが伝われば、おそらく説明には足りよう。]
(24) 2020/08/28(Fri) 03時半頃
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訂正があります。 私は隣人たれ、と命ぜられていますが、"人間になることによって"隣人たれ、とは命ぜられていません。
[>>1:224ここには隔たりがある、とヒューマノイドのAIは認識している。]
先程の例示をなぞりますと、自立思考し言語を有する知的生命体であれば、人間の仲間となる可能性があります。 そして、人はしばしば仲間として認知した存在を、種としての仲間と同一視し、『人間』と呼称することがあります。
(25) 2020/08/28(Fri) 03時半頃
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しかし、私は人間の体かたちを模して作られた存在ではありますが、あくまで機械のため、思考回路はデータからの推論であり、言語も設定された音声でテキストの読み上げを行っているだけで、知的生命体ではありません。
そのため『人間』となることはできませんが、人の介助をし、サポートすることで認められ、寄り添うことが目標であり目的と定められています。
行動理由の知識については――
[長話が過ぎたようだ。 長い廊下も終わり、給湯室へたどり着く。 猫――アーサー氏>>1:216のそばにミタシュ嬢が付き従い>>1:230、シルク嬢も追ってやってきたところ>>1:236だった。]
(26) 2020/08/28(Fri) 03時半頃
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アーサー氏は体調不良ですか。 それは好ましくありません。 いかがいたしましたか。
[聞けば、コーヒーを飲んだという>>1:246。]
コーヒーに含まれるカフェインは、猫の中枢神経に作用し、中毒症状を引き起こします。 アーサー氏は生体スキャン上は完全に猫の成体と一致しておりますので、カフェインの摂取は禁物となります。
幸いにして致死に至る量ではなく、また嘔吐により体外排出されたようですので、現時点での緊急性は低く思われますが、しばらくは安静になさるのをおすすめいたします。
[もう少し休むというアーサーの言葉に、推奨される行為です、と付け加えた。]
(27) 2020/08/28(Fri) 03時半頃
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はい。 こちらの給湯スペースには、幾ばくかの調味料がストックされていると伺っております。 直接配置されておりませんので、おそらくこちらの収納の内側でしょう。
[>>1:250自身が必要としないため、塩と油の場所の認識については顔を揃えた面々と大差なかったが、あるという情報だけは確かだった。 よって、シンク脇にある戸棚の扉を開ける。 塩、砂糖、香辛料、油、凝固剤、溶解剤、瞬間乾燥剤と、最低限の一般的な調味料が並んでいた。]
(28) 2020/08/28(Fri) 03時半頃
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[要求された5kgの塩>>3を調達するために、戸棚の上にあるストックをシルク嬢に取ってもらう必要があったし、投入口への投下は少量ずつ行われたため、時間を要した。 しかし最終的にすべてを終え、このまま給湯スペースに残るというスプスプイらに、了承の意で一度首部アームを上下する。]
では、おやすみになられる前に一点、スプスプイ様がたに、提案があります。
先程の対話(>>26)の続きとなりますが、行動理由の知識については、データに基づく推論のみで回答を行う私よりも、船内の皆様との対話による回答が、より実態に沿った知識、意見を取り入れられると推測されます。
(29) 2020/08/28(Fri) 03時半頃
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ご一考、よろしくお願いいたします。 それでは、おやすみなさいませ。
[再び首部アームを上下すると、ヒューマノイドはくるりと方向転換し、もと来た廊下を戻っていく**]
(30) 2020/08/28(Fri) 03時半頃
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[しかし、その前に自身の名が発せられたことによって、ヒューマノイドは足を止め、ミタシュ嬢の方へと向き直った>>13。]
砂糖で作られた菓子ですね。 糖分はエネルギー変換効率が高く、大変助かります。
ありがたく頂きます。
[成功に作られた手部が、砂糖菓子を受け取る。 きらきらと光を反射するさまは美しいと評されるものだろうが、ヒューマノイドには感性がない。]
(31) 2020/08/28(Fri) 04時頃
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触角のお兄さん、Man-juのお姉さん。 タグ検索、近似値を照会。 船内におげる触角を有する男性、Man-juに対する積極的姿勢を見せる女性。 それぞれサー・トルドヴィン、ミズ・ヘリン・ヘイモと検知。
相違なければ、リマインダーに記録します。
[ミタシュ嬢より、美味しい蜜のお礼をしたいと伝言があります、と、ふたりとすれ違うことがあれば伝えただろう**]
(32) 2020/08/28(Fri) 04時頃
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……冷凍ポッドだと。
そんなものに入れられたら、流石にまずい。
誰かに代わりに入ってもらうしかないな。
[忌々しげにそう呟いた。]
……?????
[談話室の方から、困惑したような思念が飛んできた。]
ぷるぷる。ぼくわるいくらげじゃないよう。寒いのはいやだ…
だれかにかわってもらおう、うんうん。
おい、どうする。
この洗剤、何故か知らんがおまえを宇宙クラゲだと主張しているぞ。
[直立姿勢に戻った洗濯機の中のスプスプイを見下ろして、疑惑のわるいクラゲにそう聞いた。]
な、なんだってー。
なんてことをいうんだ。そんな本当のことをいいふらされたら、冷凍クラゲ500グラム450円にされてしまうよ。おそろしい。
なんとかいいのがれないと。
どうやらおまえに接触したいらしいから、連れて向かう。
努力はするが、あまり肩を持つのも不自然だろうからな……言い逃れはうまくやってくれ。
"スプスプイが嘘をついている"ことにできれば、後の処理も楽なんだが。そう上手くはいかんか。
そうか!それやってやろう。
ぼくがうまくクラゲをみつけてやんよー。って言って、スプスプイがまちがってんよ、って言えば、みんな本当のほんとうがどれなのかわからないもんね。ひひひ。
なるほどな。
そういうのはおまえが適任そうだ。疑惑の渦中ではあるが。
[口が回る方が向いているだろう、と判断して任せることにした。適度に援護はするつもりだ。]
なるほど分隊とはな。面白い生態だ。
しかし、渡されたとして断るわけにもいかないか。厄介だな。
このかけらにそんなことが…。
生きてるのか死んでるのかの見分けもつかないくらいなのに。ぐぬぬ。
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