279 宇宙(そら)を往くサルバシオン
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[暗い部屋に、濡れた音が響いている。
ヘリンは悲鳴をあげようとしたかもしれない。
しかし体格に勝るこの宿主ならば、抑え込むのは容易だっただろう。
首を折るか頸動脈を切るか、とにかく手早く絶命させて、食事にありつく。
鋭い大顎が手あたり次第に肉を裂き、千切り、呑み込んでいく。見た目通りの柔らかい肉だ。
"man-ju"をもっと食って太ってくれれば、もっと沢山食べられたのだろうか。クラゲにはダイエットがわからぬ。
腹が満たされれば触手で顔や口の周りを拭きながら、また自室へと戻っていった。]
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― 談話室 ―
[朝。談話室に入ると、既にワクラバの姿>>3が見えた。他にも誰か来ていたかもしれない。 クラゲに寄生された技師の名が映し出されているモニターを一瞥して、腕を組んで壁に寄りかかり、人が集まるのを待っている。*]
(4) 2020/09/01(Tue) 00時半頃
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[名前を呼ぶ声>>6の方に顔を向けると、肩に軽く触れられる感触と共に、燻んだ瞳と目があった。]
……おはよう。
[返すのは短い挨拶のみ。そのまま、ワクラバの方へ漂っていく姿を少し見送って。 定位置のクッションの上に飛び乗ったアーサーの姿も見えれば、そちらに目を向ける。 シルク同様挨拶を返してから、]
アーサー。宇宙クラゲの姿は見えたか?
[そう問いかけた。*]
(12) 2020/09/01(Tue) 12時半頃
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[そうして、人が集まってきた頃。 男は壁から背を離して談話室を見回した。]
……今朝、ここに来る途中。 ヘリンの部屋から清掃用ロボットが出てくるのを見た。
[彼女は談話室には来ないだろう。淡々とそう告げる。]
寄生されていない者と宇宙クラゲの数が同数になれば、彼等は昼間でも襲い掛かってくる――だったか。 今日もクラゲを見つけなければ、全滅だろうな。
[男はただ、その事実だけを述べた。**]
(13) 2020/09/01(Tue) 12時半頃
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/* わたしとしては今日吊られるのもやぶさかではないという気持ちを置いておく。成り行き次第ではあるけれども。 */
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[なんで、と声を上げる少女>>20に視線をやる。]
…………。
[トルドヴィンにはクラゲの思考などわからない。 悲鳴のような少女の叫びに、ただ口を引き結んだ。*]
(21) 2020/09/01(Tue) 21時頃
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なんで?
……美味そうだと、思ったからだ。
[それ以上の理由なんて、]
…………。
[小さな体を震わせる少女を見る。手が震えている。
わたしに触れた、ぬくもりのない小さな手が。]
[彼女に触れられた記憶と共に、思い出すのは甘い痺れだ。
それが何なのか、何と呼ぶべきものなのか。
クラゲにはわからない。
篝火に近付く蛾のように、思考が引きずられる。
無意識に同じ味を求めてしまう。
激しい混乱を齎したそれは、きっとこのクラゲには強烈すぎた。
これが異常事態であることにすら、気付けないほど。]
[あれは一体何だったのか。
もう一度、彼女に触れたらわかるのだろうか。
それとも――彼女を喰えば、わかるのだろうか。]
[知りたい。もう一度味わいたい。
しかし、喰ったらなくなってしまうのだ。]
[――クラゲは初めて、食べることを躊躇していた。*]
/*
そんな! お願い死なないでトルドヴィン! あんたが死んだらこの船はどうなっちゃうの!
冗談はさておき私は勝ってもいい勢いでいました。雰囲気次第ですが。
/*
信頼度的には私が吊られる可能性のほうが高そうですね。
/*えっそうです…??>信頼度
昨日くらいから信頼度下がってる気がしていたんだがまだいける…!?
勝っても負けても割と吊られたい気持ちではありましたね。まあ…成り行き次第かな…!
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……そうか。
[アーサーから返ってきた簡潔な答え>>23に目を閉じて。 彼を詰る少女の言葉>>27に、目を開けた。僅かに触角が揺れる。]
……。
[見てくる>>24、と声を発したアーサーを止めることはしなかった。 ミタシュがついていくのを見て、組んでいた腕をほどきかけたが、後を追うのはやめた。そのまま、壁に背を預ける。]
(38) 2020/09/01(Tue) 23時頃
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わからない。 思い当たるようなことは、特にないが。
[ヒューマノイドの問いかけ>>25には、ゆるく首を振った。少なくとも彼女はアーサーのように、何かを知る能力があるというようなことは、言っていなかった。]
発見の手段、か。 わたしは、スプスプイがまだ何かを教えてくれる気がしているんだがな。
[息絶えたスプスプイの分隊と、本隊。今は全てミタシュが胸元に持っている彼らの亡骸。 それらを指して、男はそう呟いた。]
(47) 2020/09/01(Tue) 23時頃
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[蜜を持っているか>>46、と問われれば目を瞬いて、頷く。]
ああ。
[ポーチから濃い琥珀色のチューブを何本か出して、シルクに差し出した。]
どうぞ。好きなだけ。
(48) 2020/09/01(Tue) 23時頃
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……痕跡など、
[空腹にまかせて食い散らかしたので、ないとは言い切れなかった。スン……と黙った。]
トルドヴィンは、自分も一本、蜜チューブを開けて舐めている。
2020/09/01(Tue) 23時半頃
残しているのか?
喰い荒らすクラゲは長生きしないぞ。
しかし、なかなか難しいものよな。
自分はクラゲでないという思考のもと動いているが、誰をクラゲに仕立て上げたものか。
やはりワクラバとかいう、あれがよいかな。
そうだな、あの男は言葉が少なすぎる。
ちょうどいいんじゃないか。
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[やはりどこか頼りない様子で近付いてくるシルク>>51に腕を貸しつつ。]
ああ、ヘリンがコーヒーに入れたら美味いと言っていたな。
[それは確か、彼女とシルクのファーストコンタクト>>0:192でもあったか。そんなことを思いながら。]
……いただこう。
[念の為>>52、といった問いかけに頷いたのは意外だったろうか。 無事淹れてもらえれば、新しく開けたチューブを一本分。コーヒーと、カップの底に溜まった蜜。濃度の違う二つは、軽くカップを揺らしているうちにだんだんと混ざって、境界線が見えなくなる。]
(57) 2020/09/02(Wed) 00時頃
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[すっかり蜜の溶けたコーヒーを少しずつ、噛むように飲みながら。 シルクからの問いと視線>>55に顔を上げた。]
……そうだ。 スプスプイの分隊が、本隊が死ぬ前に死んでいたとしたら、と考えていた。
本当はどちらが先に死んだのか。 少なくともわたしには見分けられない。
[男の視線は、分隊を預けられていたワクラバを向いている。 それは昨日も考えたこと。断言できないと、一度は保留にした可能性。>>3:89]
故に、わたしはワクラバが疑わしいと思っている。
(63) 2020/09/02(Wed) 01時頃
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[そう名指しして、一口コーヒーを飲む。 続く質問を、ゆっくりとした言葉を。シルクに視線を移して、ただ黙って聞く。>>56]
どんな顔をしていたかなど、自分ではよくわからないが。
[そう言いつつも、男はあの時、隠そうという気も恐らくなかった。>>3:182]
……"おまえらも災難だな"などと。>>3:180 自分を害するだろう相手に向けて、よくも言えるものだと感心しただけだ。
[男は表情を変えることなくそう答えて、またカップに口をつけた。 男の解釈は、もしかしたらワクラバの意図するところとは違っていたのかもしれないが。*]
(64) 2020/09/02(Wed) 01時頃
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[実際のところ、クラゲは別の解釈をしていた。]
"災難"だと?
まるでこちらを追い詰めたようなことを言う。
まずそうだが、こいつから喰ってやろうか。
[あの時クラゲは、そのようなことを考えていた。]
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[意外だ>>67、と言われれば一度瞬きをして、]
そうだろうか。……そうかもしれないな。 確かに得意ではないが、
(79) 2020/09/02(Wed) 09時頃
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……これだけ甘くすれば、流石にな。 それに、君は薄く淹れてくれたようだ。随分飲みやすい。 ありがとう。
[そう言って見せるようにカップを反対側に傾けた。口に運ぶ回数の割に、減るのは随分遅い。 触角は、最初の一口目はぴりっと揺れたが、その後は目立った動きは見せていない。薄さかたっぷりの蜜のおかげか、流石に慣れたのかもしれない。]
(80) 2020/09/02(Wed) 09時頃
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