158 Anotherday for "wolves"
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[去り際。
ラディスお姉ちゃんの唇がいびつに弓を作った。
それはお世辞にも綺麗とは言えなくて。
何だかゾッとして見ていると]
[聞こえた]
[まるで この場に合わせて誰かが声を出して
吹き替えたみたいに。
何で、と浮かぶ疑問も
お兄さんの言葉を思い出すと
すぐに合点がいく。]
[聞いたことない、高く、耳につく声。]
ラディス…お姉ちゃ……ん?
─宿屋での、一時─
[歪な唇を見上げる姿。
そして少し考えたのでしょう、言葉の詰まる音を聞きました。
くすくすと、私から零れるのは耳障りな声。]
ええ。
やっとわかったかしら?
[誰、の問いの一つはこれで埋まったでしょう。
それなら、残すのは後一つ。
明日の朝になれば、それも埋まることです。
集会所へ向かう途中の、愛らしい彼女の行動が
ふっと脳裏に浮かびました。]
今夜はきっといい子守唄が聞こえるわ。
眠れなかったら、耳を澄ませていらっしゃい?
[囀る小鳥よりも、美しい遠吠えを。
ふうわりと微笑んで、私は宿屋を後にしました*]
─深い、夜─
[それは人々も、そして『人狼』でさえも寝静まる深い夜のこと。
私はそっと家を出ました。
夜風は少し肌寒く感じます。
はたはたと、スカートが風に揺れていました。
赤い、ラズベリー(死肉)色のスカートでした。
コンコン、と。
彼女の家の扉を叩きます。
目の見えぬ彼女は、どんな反応をしたでしょう。
宿屋で会った時のように、そっと手をとって見せました。
私だと理解してもらえたなら、家に上げてもらうのは
きっと容易かったのだと思います。]
[私はそっと彼女を抱きしめました。
悲しみを分かつようにして。
慰めを与えるようにして。
そしてゆっくりとその手を首へ回すと。
一気に力を篭めました。
私の指先は、駱駝色の毛に覆われ。
鋭く伸びた爪も、皮膚をツプリと刺していました。]
さようなら、可哀想な『犠牲者』さん。
あなたが死ぬ事で、きっと沢山の人が泣くでしょう。
沢山人が怒りに震える事でしょう。
そしてあなたは過去にされていくの。
あなたが、彼女をそうしたように。
だから私もそうしてあげる。
[自由に唄う声が、愛され護られている姿が。
これを人はきっと『嫉妬』と呼ぶのでしょう。
力を篭めると、細く脆い喉元は
簡単に『くの字』へと、曲がってしまいました。
その首元に、私は歪な口をあけて。
真っ赤なりんごでも齧るかのように。
シャクシャクと。
ちゅくちゅくと。
がりごりと。
ぺちゃぺちゃと。
音を立てて齧りついていました。]
[頭と胴体が皮一枚で繋がっただけの姿になるまで
若く愛らしい少女の味を堪能すると。
死肉に染まった服を纏い
うっとりとした恍惚の表情を浮かべ
ルージュを引いたような鮮やかな唇で
私は夜風に、こう、唄うのです**]
Amazing grace! how sweet the sound
(驚くほどの恵み、やさしい響き)
That saved a wretch like me
(あなたのような者でさえも、救われた)
I once was lost, but now am found
(かつてあなたが失い、それでも見出したもの)
Was blind, but now I see.
(視えなかったものが、今でも“視える”かしら?)
[歌い終わり、床に落ちた銀の首飾りを拾うと。
そっと、大切に。
事切れた彼女の、その手の中に握らせました。**]
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― 昨晩 広場にて ―
[ひととひとおおかみの均衡を崩したのは、 恐らくは昨日集会に出ていた同族のうち誰かである ]
[ 投票にて、疑わしきもののうち 誰を処刑するか決定する ]
[ それは人間の為であり、 そして人狼の為でもあるのだ ]
(8) 2015/05/15(Fri) 07時半頃
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[ ――そう、教会の遺体を片付けた村医者が 族長の話を聞く為、集会場に集まった面々に告げ 投票集計を行ったのは、昨日の晩の事。
一角に置かれた投票箱に一人一枚ずつ 誰かの名前を書いた紙をいれる。 それはまるで儀式のように。 ]
(9) 2015/05/15(Fri) 07時半頃
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[やがて――票数開示と共に処刑先が決定される。 教会で血を吸って 身に付けたローブが 死神のような死臭を纏う。 ――そんな男が 琥珀色の目を向けた先は。 ]
処刑先は、宿屋の……ルパートだ。
[その言葉は 意味は人狼族の皆々に伝わっただろうか。]
それが―― 決定だ。
[レンズの奥の瞳は、覚悟を決めたようにひたすら冷たく。 鳶色の目の主は――或いは、 そこに迷いと恐れがせめぎあっている事に 気づいたかもしれないが。定かではない。]
来い。
[そうかつての親友に告げる。 メアリーやグレッグの前で処刑するわけにもいかないと]
(10) 2015/05/15(Fri) 07時半頃
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[ 連れられていく宿主の姿を 人狼達はどんな目でみていたのだろうか。*]
(11) 2015/05/15(Fri) 07時半頃
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おとうさん…――?
ねえ、どこ?
どこにいったの…?
そう。
そうなの。
[私の声は、どこか無機質に溢れました。]
日頃どんなに優しく接していても。
些細なことで殺されるのね。
ああ、怖い。
[その声は本音を語るのか、それとも騙るのか。
判らない音で、囁きました。]
“お前たちが生きる道なら。”
あなたはそう仰っていたけれど。
……残される方の気も、考えたことはある?
[きっとその言葉は、もう遅く。]
ねえ…。
お姉さ……。
ラディスお姉ちゃん。
ベネット。
[この頭の声は現実。
わたしが殺したことも現実。
“お姉さん”はラディスお姉ちゃん。
“お兄さん”はベネット。
全部、全部現実のできごと。]
わたし、どうしたらいいの…――?
[苦しい胸中。
嘘をついてること。
殺したこと。
殺されたこと。
全てを受け止めるにはこの胸は小さすぎた。]
[幼い声がきこえます。
苦しみ、悲しむような音が届きました。
意地悪な笑みを浮かべることは、
今だけは出来ませんでした。
彼女の親は、無実の罪に。
命を『管理』されたのですから。]
[亡き命の標が林のように立ち並ぶ中。
私は天を仰ぎ見て、ぽつぽつと言葉を溢します。]
メアリー。
あなたは、お父さんを殺した『彼』が憎い?
[その人が、ルパートさんの奥さまの命をもなんて
私が知るところではなかったけれど。
きっと重ねて聞こえることでしょう。
あなたは、お母さんを殺した『彼』が憎い?
そんな風に。]
憎いなら、そうね。
殺してしまいましょう?
でも、もし殺すのなら最後。
彼の回りに誰も居なくなってから。
あなたの悲しみを、あなたの苦しみを、味わわせてあげるの。
[それは、甘い甘い悪魔の囁き。]
はじめに殺してしまったら、あなたと
『あなたのお兄さん』がきっと真っ先に疑われてしまうわ。
死にたくないでしょう?
殺されたくないでしょう?
だから、彼の回りの人を、殺すの。
例えば。
彼の旧くからのお友達、レオナルド。
彼と共に暮らす、アルカイド。
他にも親しい人はいたかしら?
[指折り、指折り、名を連ねていけば。
ふうわりと微笑んでおりました。]
ねえべネット。
あなたはどう思う?
[柔らかな声が、そう問いました*]
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― 昨晩 広場にて [──本当は 恨んでいたんじゃないのか? だから ルパートの名を書いたのでは。>>19 少女につきつけられ、一瞬、揺らいだ。]
[村医者は口の端を歪める。 父親を守ろうと健気なほどに こちらに立ち向かう少女のヘーゼルグリーンに、 確かに キャサリンの面影を見た。>>18
『どうしてお父さん“まで”殺すの!?』 (どうしてこのひとまでころすの)
『お父さんは何も悪いことしてない!』 (このひとはわるくないわ)
(これいじょうわたしからなにをうばおうというの)
──そんな「キャサリン」の声が 聞こえるような気すら、した。]
(68) 2015/05/15(Fri) 17時半頃
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悪魔、ねえ。 じゃ、君は「何」だい? [煽るように応える。 目の前の子供にとっては 父親は「守らなくてはいけないもの」で]
( だったら、僕はさあ、
――そう、そうだね。)
[――悪魔。
そういわれて、男は縋りつく少女の肩を掴んだ。]
(69) 2015/05/15(Fri) 17時半頃
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[彼女が赤子の頃 少し開いた小さい小さい掌に触れたら、 そっと握ってきて わらったことがあったっけ。 ルパートもキャサリンもそれを見て笑っていた。
あの時の少し高い温度。 もう随分と、]
………煩い子だ。
[昔のことに、なってしまった。]
(70) 2015/05/15(Fri) 17時半頃
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