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267 【突発】Sanatorium,2880【RP村】

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        達成  
 ずぅっと前の    を、 もう 忘れたから。
        虚無              
 





      **************


 


 
 
  自らの思い込みを自覚するのは、
  少女が星の砂になったあと。
  彼女が遺した手記に目を通す時だろう。
 
  





        星の死んだ夜のようだと 思った。


 





   しらぎくを手放すために、
   わたしはほしを呑み込みました。
   そうして、たしかにわたしは、
   あるべきにんげんへともどったのです。

   世界を映す、片方と。
   歩むための、両脚と。
   その時の"わたし"であった、十数年と。

   すべて、わたしのなにかと、ひきかえに。
   ─── わたしだけのなにかだと信じていたのです。


 





      祈ったのは碧の空をはしる ────


 




 冬が終われば雪が融けていくことと、
 弾けたいのちが消えてなくなること。
 どちらも変わらない筈なのに悲しいのは、
 無くなってしまうことが怖くなったから。

     





 ──────  いまは、ただ  こわい

 
     





 …… やっぱり ■■さまみたいだと思って、
 

    (  だけど今の顔はとても
       ■■さまのようには見えなかった  )

     




   祈ったのは、 たったひとつ
     ちぃさな 種子のかたちをした ─────

 




  すこしでも にんげんのせんせいで在りたいと、
  ■■でありたいと 願ってしまったのです。
  
    ──── きっと 若かったためだろう。

 かんじゃさま
  被験者 の ■ に 慣れるような
  経験ひとつ 持っていなかったから

  はじめて訪れた其の時に、 褪めた碧を忘れ、
  融かし殺した しょくぶつのいのちへ

 




     『             』 と、

  



       ・・
 もしかするとそれは
 死の淵に立った途端、かえりたかった場所に
 かえることが恐ろしくなった僕の願望じみた
 大きな思い込みだったのかもしれません。
     
 せんせいの唇から洩れる息のふるえも、
 冷たい距離から落ちるよりずっと■かい声も、
 こんな姿の僕をここに引き止めるような言葉も、

 




  青白い心臓のあるところに重ねてくれた感触も。

 




    結局、こんなすがたになってまで、
    祈った意味はあったのでしょうか。

    何時かは土の下に埋まる身なのですから、
    それが初めてだろうと なんだろうと
    花になってしまえば良かったのです。

 




    つまらない顔されるより、
    花に成りきったその瞬間を見れば良かった。

 




    ……とは、只 不機嫌なままの感情でしょうか。
    きっとそうかもしれません、
    なにせ わたしは幾つの姿をとろうと気紛れでした。

 




  死にどきを 選ぼうと、
     達成のうちに 舌を切り落としたあのときは、

  舌先の始末を間違い、 ──── 
     出血より先に窒息を死因とし、
     赤と また別の" なにか "に 塗れ、
     ……到底 願ったよなうつくしい死は迎えに来ず

 




  知らない顔ばかりだ。
  どうでもいい顔は覚えていないとも言う。
  成程モルモットとはこの気持ちなのだろう、
  格好付けて残すなら そんな風。

  定期的な 被験体のできごと。何時も通りの。

 




 [ 指が 這う。 ]

   「 ─── 何かが絡んでいるみたいです 」
   「 歩く練習をしても上手くいかないので、 」
   「 ……まあ 呪いみたいなものじゃないですか 」
   「 ええ、奇跡的に生き返ったあの時からですよ 」

 




   「 触ったところで何か分かるんですか? 」
   「 ちっとも変わらないのに、全部、わたしも、 」

 




        [ 片目を隠す真白に指がかかって、 ]
        [ わたしは言ってやった。 ]
        [ 変わらなくて変わった身体で、 ]
        [ 変わって変わらなくなった声で、 ]
        [ がらんどうの瞳で、"見詰めて" ]

 




        あなたたちもよ、おばかさん。

 




       在る筈のものが ない とか、
       そんなこと ちっとも気にしていないので、

 




    [ 触れるものは薄く開いた歯のみで、
      ──── 咥内に"おちる"よに 花弁を残す。 ]

 




     [ 毎日 ずぅっと 変わらない。 ]

 




   [ 何度か、ふと過ぎることはあって、
    別にたいしたことじゃあないだろうって
    放っておいたけれど、

     ─── 否、嫌いとは散々言った。
 
    だって、何故って、嫌いだったから。
    変わらない毎日の中で、瞬間か、一日か、
    理由も無く本能的に突き放したくなってしまって、
  
    全く失礼な理由だとは思えど、
    間違っちゃいない とも 感じていて、 ]

 




   [ 何時か振った片手が ほんのすこぅし痺れたから、 ]

 




  [ 何時気がついたのだったか、忘れてしまったけれど、

    「 嫌い 」と 部屋を閉め出されるときは、
    決まって、 何かが咲いた日だった。

    女郎花と男郎花の揃った時、
         しらぎくの二度目の春、 ───────

    途端 また、 "いつか"のような、
    虚無に基づいた衝動に駆られてしまって。

       切り落とす舌がなくて良かった、と思う。 ]

 


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