252 Aの落日
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大きな音がした。肉が硬い地面に打ち付けられる音だ。
(#0) 2018/10/17(Wed) 00時頃
見学に訪れた保護者や外部の人間が、
学び舎を後にした頃合いだ。
在校生は、楽しかった文化祭の痕跡を、
自らの手で片していく最中だった。
何かを掴もうとするように、ばらりと動く指があった。
その手は何も掴まずに宙に浮き、
数秒後には地面に叩き付けられていた。
(#1) 2018/10/17(Wed) 00時頃
3階と4階をつなぐ階段の踊り場。
そこに設置された窓が一つ開いていた。
その真下に、制服を着た身体が一つあり、
じわりじわりと赤い水たまりが広がっていった。
楽しかった祭りの名残はすでにそこになく、
数秒後には誰のものともつかぬ悲鳴や、
喚くような叫び声が学び舎を満たした。
(#2) 2018/10/17(Wed) 00時頃
事故か、自殺か──そこに他人の思惑があったのか。
明らかにされないまま、サイレンを鳴らす白い車が到着し、
その身体を回収して去っていった。
辛うじて、日の光が赤く学び舎を照らす、
太陽の沈みかけた、夕暮れ時のことであった。
(#3) 2018/10/17(Wed) 00時頃
絡陽高校、平成最後の文化祭は、そうして幕を下ろした。
(#4) 2018/10/17(Wed) 00時頃
──翌日──
君たちは今日も生真面目に登校したというのに、
全校集会にて、授業は中止と伝達された。
残された生徒たちに分かるのは、
安住英子に、まだ息はあるらしいということだけだった。
どんなに憶測を重ねようと、
心当たりが、やましい思いがあれど、
その顛末を知っているのはただ一人。
曖昧な説明は、囁きを増幅させ、
文化祭の片づけをしながら、自習に励みながら、
帰路につきながら、君たちは願った。
(#5) 2018/10/17(Wed) 00時頃
”どうか、助かりますように”
”どうかこのまま、死んでくれますように”
(#6) 2018/10/17(Wed) 00時頃
君たちが何を願おうとも日はまた昇り、
時間は万物に等しく進んでいく。*
(#7) 2018/10/17(Wed) 00時頃
[ 彼女の最後の笑顔が、目に焼きついて消えない ]
[ 万年青は知らない。
彼女がどんな子なのか。
どうして飛び降りたのか。
どうして、あんなきれいな笑顔を見せたのか。
人から聞いた断片をつなぎ合わせても、
つぎはぎの人物像は、熱を持たない ]
[ 万年青は考える。
彼女はどうしてあの時間あそこにいたのか。
どこへ行くつもりだったのか。
もともと飛び降りるつもりだったのか。
決心したのはインタビューのせいなのか。
あの窓から落ちたのは故意なのか、偶然か。
もっと上まで行くつもりだったのか。
窓が開いていなければ彼女は落ちなかったのか。
あの時声をかければ。
シャッター音が響かなければ。
彼女は、空へ飛び立たなかったのだろうか ]
[ 思考を巡らせるたびに、
彼女が思い切ったことに
自分が関わっていて欲しいと、
彼女を動かしたのは自分でいたいと、
願うように思考が巡る ]
[ そんなに人を動かす主になりたいのか。
……浅ましい ]
[ 身を乗り出す安住の後ろ姿の写真を
こちらを見て微笑む安住を、
手が離れた瞬間を、
スライドさせるごとに
ゆっくりと、落ちていく様子を
万年青は何度も見つめる。
最後はふざけて身を乗り出す生徒たちの写真。
下から見ていたら、こんな様子だったのだろうか。
ぶるりと体が震える。
もっと、こんな様子が見たい ]
[ 彼女が死んでしまえば、
きっと感化される生徒が増える。
箱におさめられた生徒たちは
簡単に人に流される。
水をとどめるた堰が亀裂ひとつで破壊されるように
一人目が出れば連鎖が起きてもおかしくない。
そのための土壌は、すでに整えられているのだから ]
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